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なりそこないの昔話9~島本和彦のこと(アオイホノオ第10話より)~

テレ東系ドラマ「アオイホノオ」もいよいよ第10話。あとは最終回を待つばかりとなりました。
モユルの渾身のアニメ作品「未来への使者」への無反応に対して、庵野サイドのダイコンOPアニメに対する“爆発”的大ウケと、まあサディスティックまでの対比でしたね。
あと一回なのに、こんなんで大丈夫なのかと不安になりますが、なにしろ原作もまだ完結していませんからね。たぶん、ドラマオリジナルの結末があるのでしょう。

この作品は原作者・島本和彦氏の自伝的「漫画家マンガ」ですから、焔モユルが最終的には「漫画家」になれることは見ている側にはわかっているという“安心感”があります。
だから、どんなに打ちのめされた主人公を見ても私たちは笑っていられるわけですが、それでもここからどう「漫画家・島本和彦」となっていくかは原作を読んでいる人間も含めて、まだよくわからないんですよね。

モユルサイドとガイナックスサイドの接点が、ここにきてほとんど描かれなくなったこともあり、これからどうドラマに収拾つけるのか少し心配にもなります。

まあ、次回予告を見るかぎり、モユルと庵野の間になにやらありそうでしたし、納得のいくラストを期待したいですね!

さて、そろそろ振り返るような昔話ネタもなくなってきましたが、
やっぱりこれを忘れてはいけません、今回の昔話は「島本和彦」です。


といっても、実は個人的にそれほど思い入れがあるわけでもないんですよね。

もちろん、当時「うる星やつら」目当てで少年サンデーは毎週買っていましたので、
炎の転校生」の連載が始まったときのことはなんとなく覚えてはいます。
でも、正直言って、どういう印象だったかまったく覚えていないんですね。
今考えると、確かに当時のサンデーぽくないというか、どこかジャンプ的な匂いが伺える作風でしたが。(本当にどういう経過で集英社から小学館になったんでしょうか……)

その後、すぐに気になる存在にはなりました。
というのもデビュー作「必殺の転校生」のタイトルをもじっての新連載って、高橋留美子の「勝手なやつら」→「うる星やつら」のパターンでしたから。
タイトルの件を知って、ひょっとすると高橋留美子の影響がある人かもと思ったんですね。

ただそれでも、彼の「熱血アクションパロディ」ギャグに対して、衝撃を受けたという記憶がないんですよ。
当時はむしろ、ゆうきまさみの「究極超人あ~る」や安永航一郎の「県立地球防衛軍」とかのほうが印象深かったはずです。
あと「かっこいい絵」でコメディという点では、上條淳士の「ZINGY」や「TO-Y」のほうが衝撃があったかも。

まあおそらく、彼のギャグスタイルは、あの頃の私にはわかりづらかったのかもしれませんね。
ああいうスタイルは元ネタをある程度知ってのものですし。あの絵柄もどこか苦手だった気がします。

同じパロディ系でもなぜか「あ~る」や「地球防衛軍」は面白さが理解できたんですけどね。
これらは当時、私も含めたいわゆる“おたく”系グループに大好評でした。(ちなみに80年代前半、まだ“おたく”という言葉はほとんど存在していません。)

「炎の転校生」はむしろ“一般”系グループにウケていた記憶があります。
(当時“リア充”という言葉はもちろんありませんが、いわゆる“リア充”でも“おたく”でもなく、本当に単に“普通”の人たちでしたね)

変におたく的知識をかじった層よりも、こだわりなく「ノンポリ」的にマンガを読む人たちには、「かっこいい絵」と「かっこいいアクション」でギャグ、というスタイルがかえって新鮮に見えたのかもしれません。

ただ、一方で「こんなの単にオーバーアクションでごまかしているだけじゃん、勢いだけ」という辛辣な意見をいう人もいましたね。シリアスタッチと“笑い”の落差に対してまだうまく消化できないところもあったんでしょう。

そんな中で私はまた、ちょっと複雑ではありました。
それほど大騒ぎするほどの面白さとは思えない。でも単なる大げさに見せているだけ、というのも違うよなあ、といった感じだったんですね。

さらに複雑にさせたのが、高橋留美子がどうやら「炎の転校生」をすごく気に入っているということ。
少年サンデー誌上の作者コメントでも確か「炎の転校生」について言及していたり、
少年サンデーグラフィックの「けも・こびるの日記」にも島本和彦本人が登場して、お互い『熱血』テンションで盛り上がったりと、
あだち充にさえ愛憎半ばする感情を抱く、「高橋留美子主義」の私としては看過できない存在になっていたのですよ。

そんなこんなで、「炎の転校生」は単行本を買うまでにはなかったものの、それなりに楽しみにはしていました。
面白い回とイマイチの回とありましたけどね。

個人的に忘れられないというか、好きだったのはやっぱり
「心に棚を作れ」かなあ。
さすがにあれは当時爆笑した記憶がありますw

けっきょくのところ、島本和彦に関しては作品よりもむしろ、本人のほうにより興味がある感じでしょうか。

「炎の転校生」終了後、ぱっとせずにいつのまにかサンデー誌上からは姿を消してしまいましたが、
それでもこのまま消えるとはまったく思いませんでしたね。
もともと、交友関係が広いというか、業界にもファンが多い人でしたので、
活躍の場もいくらでもある、といった感じでしたから。

また島本氏のマンガやアニメ、特撮への熱い思いというのは、“ギャグ”ではなく“ガチ”であるということは、本人を見ればすぐにわかりますし、
そういった熱さを武器にできる人というのは素直に尊敬できます。

「炎の転校生」の単行本は買わなかった私が、「燃えよペン」や「アオイホノオ」は買ってしまうのも、つまりは“島本和彦”に興味があるからなのかもしれません。

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tag : 1980年代アオイホノオ

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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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