【なりそこないの四方山うる星ばなし06】10くらいからわかるうる星講座その4・まずは初期から読んでみよう!単発掲載期編
※【なりそこないの四方山うる星ばなし】とは……
令和の時代に新しくTVアニメ化された「うる星やつら」。自他共に認める高橋留美子主義者である私なりそこないが、2024年から始まる第2期までの間、「うる星やつら」についてざっくばらんに語っていく企画です。
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
この時期の特徴としては、「連載ではない」というのがまず挙げられます。それはいわば「読み切り」と呼ぶべき性格のものでした。
もっとも不安定だった時期ともいえますね。
高橋先生が読者の反響を知るのは「5週連続連載」が終わった後です。そこで先生は、どうやら「ただのドタバタSF」よりも読者の興味は「あたる、しのぶ、ラムの三角関係」にあるらしいということを知ります。
「大反響だったと知ったのは、連載が終わってから。」(好書好日 人気漫画家インタビュー「 祝「うる星やつら」アニメ化、高橋留美子さんインタビュー! SF、ギャグ、学園もの…なんでもありの世界だっちゃ」 2022年4月22日より)
「幸い1話を発表してすぐに、読者からたくさんのお手紙をいただきまして。」(漫画家本Vol.14「高橋留美子本」P37より)
ただ、現役大学生だった高橋留美子にとって、まとまった時間がとれるのは夏休みだったり冬休み春休みくらいしかなかったのでしょう。1978年9月末に最初の連載が終わった後、次の長期休みまで時間が空くわけです。
その間、だいたい月1くらいのペースで「読み切り」を、という話になったのは容易に想像できます。
最初の「読み切り」は10月下旬発売の「少年サンデー1978年11月25日増刊号」です。9月頃に読者の要望を知ったとしても、それをじっくり反映させるまでの時間はあまりなかったんじゃないかと思われますね。
次の「読み切り」が11月22日発売の「週刊少年サンデー1978年51号」、さらに続けて11月下旬の「少年サンデー1978年12月20日増刊号」となれば、作画に追われる一方だったんじゃないでしょうか。当時はもちろんアシスタントを雇うわけにもいきませんでしたからね。(劇画村塾時代や大学の友人に手伝ってもらったらしいですが)
方向性をはっきり定めるほどには、まだそれほど余裕がなかった頃だったわけです。
というわけで、これからその微妙な時期の作品たちを見ていきます。各話ごとに注目ポイントなどを箇条書きしていますので、読む際の参考にしてみてください。
※各話の収録データはオリジナルコミックス(新装版および電子書籍版)に基づいています。
※重要度は4段階評価で、S=★★★★ A=★★★ B=★★ C=★。Sは絶対に外せない最重要エピソードになります。いずれも私見に寄るものですので、あくまで参考程度に考えてください。(なお、これは話の傑作度ではありません。あくまでうる星の歴史を顧みた場合の重要性を評価したものです)
※記事内の引用画像は当ブログにて考察研究のために「うる星やつら(新装版)1巻~34巻」より引用しています。
■単発掲載期
「いちばん考えたのは実は主人公のあたるでした。(中略)ただ巻き込まれてあたふたするだけの男じゃつまらないじゃないですか。では、どうすればいいだろうと思って考えたら、あるとき三宅さんが、あたるのことを「こいつはめげない子だね」と言ってくださって。お雪が最初に出る回のネームを見ての発言でしたけど、それでようやく彼のキャラが見えた気がしました。」(2019年12月発行 漫画家本Vol.14「高橋留美子本」小学館 P37より)
●EP006;愛で殺したい(01巻 PART06)(重要度:S★★★★)
◆あらすじ;あたるの部屋へと逢引きに向かうしのぶは、夜道の途中で巨大な虎牛に襲われる。どうやら彼はラムの元婚約者らしいのだが……
◆ポイント;レイ初登場
◆キーワード;変身 狂言 決闘
◆注目フレーズ;「わたしだってまだひと花くらい……」「種族同士の結婚が一番幸福だぞ!」「うちのおなかの中にはダーリンの子どもがいるっちゃ~~っ!!」
◆解説
ラムの元・婚約者、レイ初登場。
早くも新キャラ投入といった感じですけど、冒頭でも言った通りこの時期は連載ではなくあくまで「読み切り」という扱いですからね。特にテコ入れというわけではなかったと思います。
単純に三角関係をさらにこじらせてドタバタ色を強めたかったのではないでしょうか。
ただ、結果的にラム周辺の宇宙人キャラを出しやすい雰囲気にはなりましたよね。ラムメインへと次第にシフトしていく一つのきっかけになった話と言えるかもしれません。
なお、レイは「美男子は絶対にダメな奴でなければならない」という当時の高橋留美子が自分に課したルールに基づいて生まれたキャラだそう。なので、必然的に牛にさせられましたw
言葉がほとんど話せず、食べ物にばかり執着する彼は確かにわかりやすいキャラとして動かしやすかったでしょうね。
ちなみに「その当時、私に描けた一番のハンサム」だそうでw
まあしかし、前回の「絶体絶命」を引きずっているせいもあるでしょうけど、この回のラムは特にイカれていますねw
これとか、ほとんど売女(ばいた)としか思えませんw
このあとチェリーが入ってきたのでしかたなくブラを着け直すところも含めて、いわゆる「悪女」のオーラがすさまじい。
さらに
このあたりは、単なる敵役というよりも狂気に満ちていますね。もはや「極悪」といってもいいかもしれません。
(個人的には、「おおきっとそうじゃ!」と容易くラムに同意するチェリーがツボw)
この「けけけ!」という笑い方なんかは、もはや妖怪じみていますw
さすがにラムがこんな笑い方をしたのは後にも先にもここだけですが、この回における彼女は数あるうる星の中でも最も凶悪な存在だと言えるでしょう。
ただ一方、
妊娠したと狂言する姿に私は妙な生々しさを感じずにはいられません。
それは「絶体絶命」におけるUFO心中より、はるかに現実味のある「悪女」ぶりなのです。
ラムに婚約者がいたというのは何気に重要な設定だったと思います。
彼女のキャラが形づけられる上で、大きなファクターの一つになったのは間違いないでしょう。
というのも、元婚約者という存在は彼女に「生活」の匂いを加味したんだと思うんです。それはつまり、あたるたちが知らない世界で彼女もまた他者と交流し生活する場所があったということですからね。
「こいつ、昔と全然かわらないっちゃ~~っ!!」
このセリフは彼女には「昔」、つまり歩んできた道があるということを示しています。
ここで一気にラムというキャラは肉付けされて、リアリティを帯びるようになるわけです。
そしてそれは、彼女には「自由意志」がある証でもあります。
「元」というからには、恋愛だったにせよ家同士で定められた婚約だったにせよ、彼女はそれを拒否できているわけですから。
単にやみくもに人にとりつくだけの得体のしれない存在ではなく、彼女は彼女なりの価値観に基づいて行動しているんですね。
妊娠の狂言自体は正気の沙汰ではありませんが、ただ意味の分からない怖さではなくそこには「人としての業」が透けて見えるんですよ。
あたるの「種族同士の結婚が~」というワードが飛び出した直後の発言ですからね。ここはしのぶに対してだけではなく、「元婚約者」に対するあてつけでもあるんです。
心を持たない単なるかき回し役から、生きたキャラクターとしての第一歩を踏み出す大きなきっかけになった話としても非常に重要な意味を持つ回だったと思います。
一方、しのぶのキャラもここからグッと存在感を増した気がしますね。

まさに「本性」が見えたという感じw
実は彼女とラムが「会話」するのって、この回が初めてなんですよね。最初の連載中では二人が真正面から対峙することすらなかったんです。
彼女もまた、ここにきてようやく「ラム」という一人の存在を認めたと言えるのかもしれません。
ここのシーンなんかすごく好きw
言ってることはむちゃくちゃですけど、彼女の生身の人間らしさがすごく滑稽な形で見れた気がして。ギャグとしても秀逸だと思います。(あと、レイが拍手を送ってるところも好きw)
ラムの狂言をすんなり信じてしまうところも面白いですね。
この辺はやっぱり女なんだなあというか、疑心暗鬼になってしまう心情は理解出来ます。
てか、チェリーも焚きつけるなw こいつ絶対面白がってるだけだろw
個人的な見解ですけど、もし彼女がこの時くらいのパワーとバイタリティを保っていければヒロインの座に留まることも可能だったのではないかという気がします。
そうはならかったのは、彼女が優し過ぎたからでしょう。実際、彼女がここまでラムと本気で張り合えたのはこの回くらいなんです。
彼女にはラムに対抗できるようなある種の「狂気」を持ち合わせられなかった。例えばラムに罠を仕掛けたり、だましたりするような真似は最後までできなかったんです。
それは悲劇でもありましたが、でもそれが彼女のよさでもありました。
この辺は基本ラム派(?)な私にとっても、少し複雑な思いがあります。
☆なりそこないが選ぶこの一コマ

レイとの「決闘」の中で、とにかく勝てとあたるの身を考えずにイモを押し込むラムと彼の身を案じるしのぶ。
二人の愛情の違いがはっきり表れた瞬間です。
「負けたら殺される!でも勝ってもきっと死んでしまう」状況の中で、確かにラムの「どうせ負ければ殺されるっちゃ!」という言葉通りなのかもしれません。でも、そんな簡単に割り切れるものでもありませんよね。少なくとも普通の人間にとって、目の前に苦しむ相手がいたならまずは心配するというのが人情というものでしょう。
でも、それは普通のマンガならではのことです。はっきり言いますが、「うる星やつら」という作品においてはこの場合、ラムの行動のほうが正しいのです。
だって、そっちの方が面白いんだもん!
☆なりそこないがハマったギャグベスト2
掛け合いの面白さはもちろんのこと、これだけの密度を1コマで見せるのがすごい。チェリーのセリフの畳みかけ方とか、もはや芸術と言っていいでしょう。これはパッと一気に言わせるから笑えるんですよね。
笑いとはテンポとタイミングであるというのがよくわかる1コマだと思います。

ここの掛け合いも最高w
初期においては、あたる母の存在はチェリー並みの面白さがありましたね。
☆ピックアップワード;呪われた一家じゃ……

定番の不幸オチですが、チェリーの「呪われた一家」というツッコミで一味違う面白さが加わりました。
二手に分かれた修羅場(?)に説得力がありますよねw
あたるの不幸を呼び込む体質は遺伝だったのではないかと思わせますw
●EP007;お雪(02巻 PART01)(重要度:S★★★★)
◆あらすじ;ラムが出かけたタイミングで運悪く風邪をひいてしまったあたる。しのぶやメガネたち四人が見舞いに来ている時に、なぜか押し入れから雪がなだれ込んできて……
◆ポイント;おユキさん初登場
◆キーワード;二号さん 四次元の穴 間男
◆注目フレーズ;「いいところだったのに…」「うちのこの手で殺したかったのに~~っ!!」
◆解説
単独ではうる星史上、最長回。なんと総計29ページという大長編です。
にもかかわらず、そんな印象はまったく受けませんよね。それだけ構成がしっかりしているのでしょう。
あたるが海王星に落ちた時の見開き2ページぶち抜きは、かなりのインパクトがありました。
ここでは元婚約者に続いてラムの「友だち」が登場します。
彼女の交友関係が徐々に明らかになってくるわけですね。レイはほとんど意思の疎通もままならない存在でしたが、おユキさんは一応話の通じる「普通の存在」ですからw
しかもラムと同じ宇宙人でも、彼女は「鬼族」ではないんですね。ここに大きなポイントがあります。
自分とはまったくタイプの違うおユキさんと「友だち」であるラム。
彼女のまた別の一面が垣間見れた回とも言えるのではないでしょうか。
ここでついに
トラジマビキニ以外の衣装が初お披露目になったのも、単なる偶然とは思えませんねw
(ていうか、これは一応防寒着のつもりなんだろうかw)
もう一つのポイントとしては、ラム親衛隊の面々が再登場した点も挙げられます。
早くも一人リストラされていますがw
あと、何気にチェリーが空き地を住処(?)にしている設定もここからですね。
しのぶの冬制服初お披露目も含めて、「学生」の匂いが少しずつ漂い始めるのもこのあたりから。
あたるの周りも少しずつ世界が広がっているんです。
それにしてもおユキさんのキャラデザインは今見ても秀逸ですね。特に髪型が氷のようになっているのはどこから来た発想なんだろうw あれはポキッと割れたりしないんだろうかw もしかしたらスライムみたいな形状なのかな?
どういう仕組みなんだろうと見るたびに思いますよ。
「鬼」ときたら「雪女」というのも面白いですよね。
日本古来の妖や異形といった存在を宇宙人とつなぎ合わせることで、うる星は独特の雰囲気を作り出すことに成功しました。
この和+SFテイストは、後の他るーみっく作品にも大きな影響を与えています。
下男のB坊は凶暴な「雪男」ですが、なぜかかわいいウサちゃんのお面を付けているというw
この辺のギャップもうる星ならではのテイストですよね。
で、当のおユキさんは完全に「友人の旦那との不埒な情事」というシチュエーションに酔っているというw
これも冷たい女というイメージとのギャップでしょう。(もっともこれは1話限りのゲストだからあり得たネタで、その後レギュラーとして復活した際にはそんなキャラ設定はどこかに行ってしまいましたが)
ギャップネタといえば、

ここも印象深い。しとやかってw
「あんなに」がついているのがよけいに笑いを誘いますねw どんなにだよw
ここはあたるの「おユキさんはおまえらとちがってしとやかだからな!」というセリフが前もってあるからこそ、面白みがより増すわけです。
☆なりそこないが選ぶこの一コマ
その「おまえらとちがって」という言葉に激高する二人w
ラムはもちろんのこと、しのぶの苛烈ぶりがすごいですよね。なんと煮えたぎった鍋を素手で投げているんですよw
この回は休戦協定でもないですけど、ラムとしのぶが共同戦線を張ったかのように二人一緒にあたるの浮気な行動に怒りをぶつけるさまがすごく印象的です。
こんな感じで二人が手を組んであたるを成敗するという展開があってもよかったんじゃないかなという気もしますね。
そこで奇妙な友情が芽生えるとかあったら面白いじゃないですかw
☆なりそこないがハマったギャグベスト2
おなごの戦いw 本当こいつはひたすらこじれるのをただ楽しんでるだけだなw
「失礼ね」と否定するしのぶがまたいいですね。
にくっき敵とはいえ、自分が追い出した不憫な存在だとなるのはやはり気持ちのいいことではないのでしょう。
レイとのことでも一緒になった方がラムのためと思っていた節がありますし、本当に素直ないい子なんだと思います。
キングコングオチ自体は月並みな印象でしたが、そのあとの新聞記事が振るっていますw
「またしても諸星くん!!」も笑えますが、なんといっても「雪女を間男」が最高w そこまで言ってやるなよw
ていうか、おユキさんも写真に応じるなw そもそも間男って、夫がいる女性に取り入る男のことを言うんじゃなかったっけ。ひょっとして雪男と夫婦だと思われているんだろうか。まあどうでもいいけどw
雪男出現よりもこんな恥ずかしいスキャンダルを全国紙に大きく扱われたことが何より恥ずかしいw
☆ピックアップワード;だれが二号ですか!!

何を隠そう、私はこのマンガで「二号さん」という言葉を知りましたw
80年代初頭の時点でほぼ死語だったと思うんですが…ラムもおユキさんも何で知ってるんだw
ていうか「愛人」とか「浮気相手」と言わないだけ、ある意味相手の立場をそれなりに認めているということなのかもw(もちろん皮肉としてのニュアンスなんでしょうけどね)
まあでも、このラムの意地悪そうな顔は彼女の「悪女」ぶりがよく出ていますよね。
あたるも嫌悪感を露にしています。
この時期ならではのエグさがよく出ているシーンといえるでしょう。
●EP008;酒と泪と男と女(04巻 PART01)(重要度:C★)
◆あらすじ;「絶体絶命」事件の最後で壊れたUFOを修理しに出かけたラム。無事に試運転も終わり帰還する途中で、酔っ払いの妖狐も一緒に持ち込んでしまう。そしてその夫を追いかけて妻の狐もまた……
◆ポイント;汁夫と麺子初登場 あたる(キツネ)とラムのキス3連発
◆キーワード;かかあ 齢三百年の古ギツネ
◆注目フレーズ;「ダーリンって異常なのかな…?」「あんな人見たこともないわ……ほ~ほほほほほ……」
◆解説
個人的には今一つという印象が強い回ですね。
酔っ払いの化け狐宇宙人の言動も理不尽ならば、その狐に体を乗っ取られてあらぬ醜聞を言いふらされてしまうあたるの身に起こることも理不尽です。ひたすら陰惨でどす黒い雰囲気が全体を漂っていますし、オチも悲惨すぎて笑うことも躊躇してしまいます。
正直、今作が4巻まで単行本収録が見送られたのもわかるような気がしますよ。
特に重要な要素がある話でもありませんし、仮にこの回を飛ばしてもそれほど支障がないように思えます。
何よりここでは、しのぶの存在が希薄になってしまうんですよね。これまでの三角関係を中心としたドタバタ劇がどこかに飛んでいってしまっているんです。そのせいでベトッとした嫌な空気感が前に出てしまうんですよ。
あたるも早々にキツネに乗っ取られてしまいますし、ラムもなんだか普段と違う、妙に湿っぽい色気を出しているんです。そこに何とも言えない違和感を覚えるんですよね。
いずれにせよ、「初期」の中でもいろんな意味で異色の回と言えるかと思います。
そんな中、前回に引き続き登場のメガネたち「ラムちゃん親衛隊」の面々はここでも存在感を見せていますね。
彼らにちやほやされるラムもあながちまんざらでもないようです。
「ハーイ!」って、みんなが憧れる留学生かってのw
まああえてポイントを挙げるとするなら、「愛情表現」としての電撃は時として危険であるということをラムが学習したことでしょうか。
この後、哀れあたるは過度の電撃ショックのおかげで一時仮死状態に陥るわけですが、これをきっかけにしてラムもようやく「愛情表現」は控えるようになります。
まあ「愛情」だろうが「おしおき」だろうが、電撃には変わりないわけですけどw
実際、絶体絶命やお雪で見せたあたるに対する「怒りの」電撃も、彼女にとっては「愛情表現」の一つだったのかもしれませんね。
一方、あたるとラムのキスシーンが(狐に乗っ取られていたとはいえ)もっとも多いのもこの回ではあります。
これなんか、ラムも陶酔(「酩酊」と「陶酔」をかけています)していますよねw 軽くイッてるんじゃないかと思うくらいw(どさくさに何言ってんだ俺…)
こちらでは往来の面前ということもあってか、
恥じらいの表情を見せています。
なんだか急に「女」を感じさせるようで、むずむずしてしまいますね。なんとなくラムらしくないようで、その辺も少しもやもやしてしまうわけですが…
まあとにかく、ぶちゅぶちゅやってますよw
ただ、ここで重要なのは「キス」そのものには何の意味もないということです。
つまり、二人の愛情の証であるとか、関係が深まっていく兆しであるとか、そういうこととは一切関係がないんですね。
元々うる星におけるキスシーンは「初期」に偏っています。そしてその半分くらいはこの回に集中しているでしょう。
要するにまともなキスなんてないんですよ、うる星においては。
考えてもみてください。これまであたるとしのぶのキスシーンなんてありました? 一切皆無でしょう。
あたるとラムのキスも「初期」のみです。そして彼らが初めて心を通わせる「君待てども…」以降は一切そういうシーンはありません。
そう、うる星においてはロマンスとしての「キス」は存在しないのです。
たとえば婚約している大人のカップルであるサクラさんと尾津乃つばめでさえ、キスは未遂で終わっていますからね。
逆に言えば、キスをするような間柄の時点では結ばれることはないのがうる星の世界なのです。
二人が関係性を強めれば強めるほど、そういう色っぽい行為からかけ離れていくのがギャグマンガたるゆえんなんですよ。私が決してラブコメではないと再三言うのは、そういうことでもあるんです。
まあとにかく、
うる星に 出てくるキスは 事故かギャグ
とだけ覚えておいてください。(ここ、テストに出ますよ!)
あと、強いて挙げるなら
汁夫と麺子、初登場かなあw まあ本当どうでもいいことですけどw
ちなみに汁夫が麺子にプロポーズしようとしていた喫茶店の名前は「喫茶 大魔神」ですw どういうセンスだw
☆なりそこないが選ぶこの一コマ
なんだかわかりませんが、この張り紙が妙に心に残ったので。
看護婦とか、今はなくなった言葉ですね。女医というのもなんだかエロいイメージしかないw
まあ時代ならではのネタを色濃く感じるものとしてピックアップしてみました。
ちなみにこの病院は、「明土病院」と言いますw
☆なりそこないがハマったギャグベスト2
あまり笑えるネタがなかった中で、数少ない笑いどころでした。
衝撃を受けているあたるが面白いw
てか、お前も知らず知らずのうちにクセになっていると思うけどなw
「後期」になると、電撃を受けるためにわざとちょっかい出してるように見えるしw
かかあギツネに乗っ取られた女性たちにむちゃくちゃ問い詰められるところは、正直グロテスクな感じで笑えないものがあるんですけど、このマサ子ちゃんのくだりは不覚にも笑ってしまうw
6年同棲して気づかないって、マサ子ちゃんいくつだよw 下手すると出産した直後あたりから同棲していないとつじつまが合わないぞw
気づく気づかない以前の問題だろーがw
☆ピックアップワード;でもおたく三人家族じゃ?
4人の子持ち母親との修羅場(?)を目撃したあたるの母親がシャケの切り身を「2枚」にした時の魚屋さんのセリフ。
ここではまだ、ラムは諸星家の数に入っていないのがよくわかりますね。
いったい彼女はいつ頃諸星家の一員として迎え入れられたのか。近いうちに検証記事を執筆予定ですので、どうぞお楽しみに!
◆単発掲載期のまとめ
この時期は、まだ「過渡期」だったという印象ですね。
ラムの周りに新キャラも増えて少しずつ世界観やキャラの関係性が固まってきた時期ではありますが、それぞれが「読み切り」だったこともあり、どこかとっちらかった印象があります。
ある意味、毎回が「最終回」のつもりで描かれていたのではないでしょうか。
また、ここでの3話はどれもいつもよりページ数が多いんですよね。「愛で殺したい」「酒と泪と男と女」が24P、「お雪」にいたってはなんと29Pあります。(これはうる星史上最長)
そのうち2話は「増刊号」の掲載ということもあり、通常の連載とは勝手の違う面もあったんじゃないかと思います。
それによって冗長になっている印象はありませんが、大学在中時に休みの合間を縫って作画していた高橋留美子先生の負担は大きかったであろうことは想像に難くありません。
次の「10週連続連載期」までの“つなぎ”という側面も否めませんし、本格的なうる星ワールドが繰り広げられるのにはもう少し時間を要したんだと思います。
ただ一方、非常に大きな動きがこの時に起こっています。
冒頭でも引用しましたが、「お雪」で主人公・諸星あたるのキャラがようやく動き出したんですね。
これまでのようにただ不幸に翻弄されるだけではなく、能動的に行動するようになるんです。
その成果は「お雪」から約3か月後の「10週連続連載」開始から徐々に実を結んでいきます。
まさに「5週連続連載」と「10週連続連載」とをつなぐ役割として、重要な時期だったと言えますね。
というわけで、次回は「まずは初期から読んでみよう!10週連続連載期編」になります。
私たちがイメージする「初期のうる星」とは、だいたいこの時期を指しますね。
いよいよ本格的に暴れまわる「うる星ワールド」をぜひ味わってください!
「復刻BOX」4セットがあれば、うる星の歴史を一望できます!
気軽に読める電子書籍もいいですね。とりあえず4巻まで読めば、「初期」の雰囲気がわかります!
初出どおりの順番で読むには文庫版が便利!
特に「5週連続期」から「単発掲載期」への流れはすごくわかりやすくなっていますね。
令和版アニメのほうも忘れちゃいけません。
第2期が始まるまでには、「うる星やつら Blu-ray Disc BOX」を何度でも見てうる星ロスを吹き飛ばしましょう!
令和の時代に新しくTVアニメ化された「うる星やつら」。自他共に認める高橋留美子主義者である私なりそこないが、2024年から始まる第2期までの間、「うる星やつら」についてざっくばらんに語っていく企画です。
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
この時期の特徴としては、「連載ではない」というのがまず挙げられます。それはいわば「読み切り」と呼ぶべき性格のものでした。
もっとも不安定だった時期ともいえますね。
高橋先生が読者の反響を知るのは「5週連続連載」が終わった後です。そこで先生は、どうやら「ただのドタバタSF」よりも読者の興味は「あたる、しのぶ、ラムの三角関係」にあるらしいということを知ります。
「大反響だったと知ったのは、連載が終わってから。」(好書好日 人気漫画家インタビュー「 祝「うる星やつら」アニメ化、高橋留美子さんインタビュー! SF、ギャグ、学園もの…なんでもありの世界だっちゃ」 2022年4月22日より)
「幸い1話を発表してすぐに、読者からたくさんのお手紙をいただきまして。」(漫画家本Vol.14「高橋留美子本」P37より)
ただ、現役大学生だった高橋留美子にとって、まとまった時間がとれるのは夏休みだったり冬休み春休みくらいしかなかったのでしょう。1978年9月末に最初の連載が終わった後、次の長期休みまで時間が空くわけです。
その間、だいたい月1くらいのペースで「読み切り」を、という話になったのは容易に想像できます。
最初の「読み切り」は10月下旬発売の「少年サンデー1978年11月25日増刊号」です。9月頃に読者の要望を知ったとしても、それをじっくり反映させるまでの時間はあまりなかったんじゃないかと思われますね。
次の「読み切り」が11月22日発売の「週刊少年サンデー1978年51号」、さらに続けて11月下旬の「少年サンデー1978年12月20日増刊号」となれば、作画に追われる一方だったんじゃないでしょうか。当時はもちろんアシスタントを雇うわけにもいきませんでしたからね。(劇画村塾時代や大学の友人に手伝ってもらったらしいですが)
方向性をはっきり定めるほどには、まだそれほど余裕がなかった頃だったわけです。
というわけで、これからその微妙な時期の作品たちを見ていきます。各話ごとに注目ポイントなどを箇条書きしていますので、読む際の参考にしてみてください。
※各話の収録データはオリジナルコミックス(新装版および電子書籍版)に基づいています。
※重要度は4段階評価で、S=★★★★ A=★★★ B=★★ C=★。Sは絶対に外せない最重要エピソードになります。いずれも私見に寄るものですので、あくまで参考程度に考えてください。(なお、これは話の傑作度ではありません。あくまでうる星の歴史を顧みた場合の重要性を評価したものです)
※記事内の引用画像は当ブログにて考察研究のために「うる星やつら(新装版)1巻~34巻」より引用しています。
■単発掲載期
「いちばん考えたのは実は主人公のあたるでした。(中略)ただ巻き込まれてあたふたするだけの男じゃつまらないじゃないですか。では、どうすればいいだろうと思って考えたら、あるとき三宅さんが、あたるのことを「こいつはめげない子だね」と言ってくださって。お雪が最初に出る回のネームを見ての発言でしたけど、それでようやく彼のキャラが見えた気がしました。」(2019年12月発行 漫画家本Vol.14「高橋留美子本」小学館 P37より)
●EP006;愛で殺したい(01巻 PART06)(重要度:S★★★★)
◆あらすじ;あたるの部屋へと逢引きに向かうしのぶは、夜道の途中で巨大な虎牛に襲われる。どうやら彼はラムの元婚約者らしいのだが……
◆ポイント;レイ初登場
◆キーワード;変身 狂言 決闘
◆注目フレーズ;「わたしだってまだひと花くらい……」「種族同士の結婚が一番幸福だぞ!」「うちのおなかの中にはダーリンの子どもがいるっちゃ~~っ!!」
◆解説
ラムの元・婚約者、レイ初登場。
早くも新キャラ投入といった感じですけど、冒頭でも言った通りこの時期は連載ではなくあくまで「読み切り」という扱いですからね。特にテコ入れというわけではなかったと思います。
単純に三角関係をさらにこじらせてドタバタ色を強めたかったのではないでしょうか。
ただ、結果的にラム周辺の宇宙人キャラを出しやすい雰囲気にはなりましたよね。ラムメインへと次第にシフトしていく一つのきっかけになった話と言えるかもしれません。
なお、レイは「美男子は絶対にダメな奴でなければならない」という当時の高橋留美子が自分に課したルールに基づいて生まれたキャラだそう。なので、必然的に牛にさせられましたw
言葉がほとんど話せず、食べ物にばかり執着する彼は確かにわかりやすいキャラとして動かしやすかったでしょうね。
ちなみに「その当時、私に描けた一番のハンサム」だそうでw
まあしかし、前回の「絶体絶命」を引きずっているせいもあるでしょうけど、この回のラムは特にイカれていますねw

これとか、ほとんど売女(ばいた)としか思えませんw
このあとチェリーが入ってきたのでしかたなくブラを着け直すところも含めて、いわゆる「悪女」のオーラがすさまじい。
さらに

このあたりは、単なる敵役というよりも狂気に満ちていますね。もはや「極悪」といってもいいかもしれません。
(個人的には、「おおきっとそうじゃ!」と容易くラムに同意するチェリーがツボw)

この「けけけ!」という笑い方なんかは、もはや妖怪じみていますw
さすがにラムがこんな笑い方をしたのは後にも先にもここだけですが、この回における彼女は数あるうる星の中でも最も凶悪な存在だと言えるでしょう。
ただ一方、

妊娠したと狂言する姿に私は妙な生々しさを感じずにはいられません。
それは「絶体絶命」におけるUFO心中より、はるかに現実味のある「悪女」ぶりなのです。
ラムに婚約者がいたというのは何気に重要な設定だったと思います。
彼女のキャラが形づけられる上で、大きなファクターの一つになったのは間違いないでしょう。
というのも、元婚約者という存在は彼女に「生活」の匂いを加味したんだと思うんです。それはつまり、あたるたちが知らない世界で彼女もまた他者と交流し生活する場所があったということですからね。
「こいつ、昔と全然かわらないっちゃ~~っ!!」
このセリフは彼女には「昔」、つまり歩んできた道があるということを示しています。
ここで一気にラムというキャラは肉付けされて、リアリティを帯びるようになるわけです。
そしてそれは、彼女には「自由意志」がある証でもあります。
「元」というからには、恋愛だったにせよ家同士で定められた婚約だったにせよ、彼女はそれを拒否できているわけですから。
単にやみくもに人にとりつくだけの得体のしれない存在ではなく、彼女は彼女なりの価値観に基づいて行動しているんですね。
妊娠の狂言自体は正気の沙汰ではありませんが、ただ意味の分からない怖さではなくそこには「人としての業」が透けて見えるんですよ。
あたるの「種族同士の結婚が~」というワードが飛び出した直後の発言ですからね。ここはしのぶに対してだけではなく、「元婚約者」に対するあてつけでもあるんです。
心を持たない単なるかき回し役から、生きたキャラクターとしての第一歩を踏み出す大きなきっかけになった話としても非常に重要な意味を持つ回だったと思います。
一方、しのぶのキャラもここからグッと存在感を増した気がしますね。

まさに「本性」が見えたという感じw
実は彼女とラムが「会話」するのって、この回が初めてなんですよね。最初の連載中では二人が真正面から対峙することすらなかったんです。
彼女もまた、ここにきてようやく「ラム」という一人の存在を認めたと言えるのかもしれません。

ここのシーンなんかすごく好きw
言ってることはむちゃくちゃですけど、彼女の生身の人間らしさがすごく滑稽な形で見れた気がして。ギャグとしても秀逸だと思います。(あと、レイが拍手を送ってるところも好きw)
ラムの狂言をすんなり信じてしまうところも面白いですね。

この辺はやっぱり女なんだなあというか、疑心暗鬼になってしまう心情は理解出来ます。
てか、チェリーも焚きつけるなw こいつ絶対面白がってるだけだろw
個人的な見解ですけど、もし彼女がこの時くらいのパワーとバイタリティを保っていければヒロインの座に留まることも可能だったのではないかという気がします。
そうはならかったのは、彼女が優し過ぎたからでしょう。実際、彼女がここまでラムと本気で張り合えたのはこの回くらいなんです。
彼女にはラムに対抗できるようなある種の「狂気」を持ち合わせられなかった。例えばラムに罠を仕掛けたり、だましたりするような真似は最後までできなかったんです。
それは悲劇でもありましたが、でもそれが彼女のよさでもありました。
この辺は基本ラム派(?)な私にとっても、少し複雑な思いがあります。
☆なりそこないが選ぶこの一コマ

レイとの「決闘」の中で、とにかく勝てとあたるの身を考えずにイモを押し込むラムと彼の身を案じるしのぶ。
二人の愛情の違いがはっきり表れた瞬間です。
「負けたら殺される!でも勝ってもきっと死んでしまう」状況の中で、確かにラムの「どうせ負ければ殺されるっちゃ!」という言葉通りなのかもしれません。でも、そんな簡単に割り切れるものでもありませんよね。少なくとも普通の人間にとって、目の前に苦しむ相手がいたならまずは心配するというのが人情というものでしょう。
でも、それは普通のマンガならではのことです。はっきり言いますが、「うる星やつら」という作品においてはこの場合、ラムの行動のほうが正しいのです。
だって、そっちの方が面白いんだもん!
☆なりそこないがハマったギャグベスト2

掛け合いの面白さはもちろんのこと、これだけの密度を1コマで見せるのがすごい。チェリーのセリフの畳みかけ方とか、もはや芸術と言っていいでしょう。これはパッと一気に言わせるから笑えるんですよね。
笑いとはテンポとタイミングであるというのがよくわかる1コマだと思います。

ここの掛け合いも最高w
初期においては、あたる母の存在はチェリー並みの面白さがありましたね。
☆ピックアップワード;呪われた一家じゃ……

定番の不幸オチですが、チェリーの「呪われた一家」というツッコミで一味違う面白さが加わりました。
二手に分かれた修羅場(?)に説得力がありますよねw
あたるの不幸を呼び込む体質は遺伝だったのではないかと思わせますw
●EP007;お雪(02巻 PART01)(重要度:S★★★★)
◆あらすじ;ラムが出かけたタイミングで運悪く風邪をひいてしまったあたる。しのぶやメガネたち四人が見舞いに来ている時に、なぜか押し入れから雪がなだれ込んできて……
◆ポイント;おユキさん初登場
◆キーワード;二号さん 四次元の穴 間男
◆注目フレーズ;「いいところだったのに…」「うちのこの手で殺したかったのに~~っ!!」
◆解説
単独ではうる星史上、最長回。なんと総計29ページという大長編です。
にもかかわらず、そんな印象はまったく受けませんよね。それだけ構成がしっかりしているのでしょう。
あたるが海王星に落ちた時の見開き2ページぶち抜きは、かなりのインパクトがありました。
ここでは元婚約者に続いてラムの「友だち」が登場します。
彼女の交友関係が徐々に明らかになってくるわけですね。レイはほとんど意思の疎通もままならない存在でしたが、おユキさんは一応話の通じる「普通の存在」ですからw
しかもラムと同じ宇宙人でも、彼女は「鬼族」ではないんですね。ここに大きなポイントがあります。
自分とはまったくタイプの違うおユキさんと「友だち」であるラム。
彼女のまた別の一面が垣間見れた回とも言えるのではないでしょうか。
ここでついに

トラジマビキニ以外の衣装が初お披露目になったのも、単なる偶然とは思えませんねw
(ていうか、これは一応防寒着のつもりなんだろうかw)
もう一つのポイントとしては、ラム親衛隊の面々が再登場した点も挙げられます。

早くも一人リストラされていますがw
あと、何気にチェリーが空き地を住処(?)にしている設定もここからですね。

しのぶの冬制服初お披露目も含めて、「学生」の匂いが少しずつ漂い始めるのもこのあたりから。
あたるの周りも少しずつ世界が広がっているんです。
それにしてもおユキさんのキャラデザインは今見ても秀逸ですね。特に髪型が氷のようになっているのはどこから来た発想なんだろうw あれはポキッと割れたりしないんだろうかw もしかしたらスライムみたいな形状なのかな?
どういう仕組みなんだろうと見るたびに思いますよ。
「鬼」ときたら「雪女」というのも面白いですよね。
日本古来の妖や異形といった存在を宇宙人とつなぎ合わせることで、うる星は独特の雰囲気を作り出すことに成功しました。
この和+SFテイストは、後の他るーみっく作品にも大きな影響を与えています。

下男のB坊は凶暴な「雪男」ですが、なぜかかわいいウサちゃんのお面を付けているというw
この辺のギャップもうる星ならではのテイストですよね。
で、当のおユキさんは完全に「友人の旦那との不埒な情事」というシチュエーションに酔っているというw
これも冷たい女というイメージとのギャップでしょう。(もっともこれは1話限りのゲストだからあり得たネタで、その後レギュラーとして復活した際にはそんなキャラ設定はどこかに行ってしまいましたが)
ギャップネタといえば、

ここも印象深い。しとやかってw
「あんなに」がついているのがよけいに笑いを誘いますねw どんなにだよw
ここはあたるの「おユキさんはおまえらとちがってしとやかだからな!」というセリフが前もってあるからこそ、面白みがより増すわけです。
☆なりそこないが選ぶこの一コマ

その「おまえらとちがって」という言葉に激高する二人w
ラムはもちろんのこと、しのぶの苛烈ぶりがすごいですよね。なんと煮えたぎった鍋を素手で投げているんですよw
この回は休戦協定でもないですけど、ラムとしのぶが共同戦線を張ったかのように二人一緒にあたるの浮気な行動に怒りをぶつけるさまがすごく印象的です。
こんな感じで二人が手を組んであたるを成敗するという展開があってもよかったんじゃないかなという気もしますね。
そこで奇妙な友情が芽生えるとかあったら面白いじゃないですかw
☆なりそこないがハマったギャグベスト2

おなごの戦いw 本当こいつはひたすらこじれるのをただ楽しんでるだけだなw
「失礼ね」と否定するしのぶがまたいいですね。
にくっき敵とはいえ、自分が追い出した不憫な存在だとなるのはやはり気持ちのいいことではないのでしょう。
レイとのことでも一緒になった方がラムのためと思っていた節がありますし、本当に素直ないい子なんだと思います。

キングコングオチ自体は月並みな印象でしたが、そのあとの新聞記事が振るっていますw
「またしても諸星くん!!」も笑えますが、なんといっても「雪女を間男」が最高w そこまで言ってやるなよw
ていうか、おユキさんも写真に応じるなw そもそも間男って、夫がいる女性に取り入る男のことを言うんじゃなかったっけ。ひょっとして雪男と夫婦だと思われているんだろうか。まあどうでもいいけどw
雪男出現よりもこんな恥ずかしいスキャンダルを全国紙に大きく扱われたことが何より恥ずかしいw
☆ピックアップワード;だれが二号ですか!!

何を隠そう、私はこのマンガで「二号さん」という言葉を知りましたw
80年代初頭の時点でほぼ死語だったと思うんですが…ラムもおユキさんも何で知ってるんだw
ていうか「愛人」とか「浮気相手」と言わないだけ、ある意味相手の立場をそれなりに認めているということなのかもw(もちろん皮肉としてのニュアンスなんでしょうけどね)
まあでも、このラムの意地悪そうな顔は彼女の「悪女」ぶりがよく出ていますよね。
あたるも嫌悪感を露にしています。
この時期ならではのエグさがよく出ているシーンといえるでしょう。
●EP008;酒と泪と男と女(04巻 PART01)(重要度:C★)
◆あらすじ;「絶体絶命」事件の最後で壊れたUFOを修理しに出かけたラム。無事に試運転も終わり帰還する途中で、酔っ払いの妖狐も一緒に持ち込んでしまう。そしてその夫を追いかけて妻の狐もまた……
◆ポイント;汁夫と麺子初登場 あたる(キツネ)とラムのキス3連発
◆キーワード;かかあ 齢三百年の古ギツネ
◆注目フレーズ;「ダーリンって異常なのかな…?」「あんな人見たこともないわ……ほ~ほほほほほ……」
◆解説
個人的には今一つという印象が強い回ですね。
酔っ払いの化け狐宇宙人の言動も理不尽ならば、その狐に体を乗っ取られてあらぬ醜聞を言いふらされてしまうあたるの身に起こることも理不尽です。ひたすら陰惨でどす黒い雰囲気が全体を漂っていますし、オチも悲惨すぎて笑うことも躊躇してしまいます。
正直、今作が4巻まで単行本収録が見送られたのもわかるような気がしますよ。
特に重要な要素がある話でもありませんし、仮にこの回を飛ばしてもそれほど支障がないように思えます。
何よりここでは、しのぶの存在が希薄になってしまうんですよね。これまでの三角関係を中心としたドタバタ劇がどこかに飛んでいってしまっているんです。そのせいでベトッとした嫌な空気感が前に出てしまうんですよ。
あたるも早々にキツネに乗っ取られてしまいますし、ラムもなんだか普段と違う、妙に湿っぽい色気を出しているんです。そこに何とも言えない違和感を覚えるんですよね。
いずれにせよ、「初期」の中でもいろんな意味で異色の回と言えるかと思います。
そんな中、前回に引き続き登場のメガネたち「ラムちゃん親衛隊」の面々はここでも存在感を見せていますね。

彼らにちやほやされるラムもあながちまんざらでもないようです。
「ハーイ!」って、みんなが憧れる留学生かってのw
まああえてポイントを挙げるとするなら、「愛情表現」としての電撃は時として危険であるということをラムが学習したことでしょうか。

この後、哀れあたるは過度の電撃ショックのおかげで一時仮死状態に陥るわけですが、これをきっかけにしてラムもようやく「愛情表現」は控えるようになります。
まあ「愛情」だろうが「おしおき」だろうが、電撃には変わりないわけですけどw
実際、絶体絶命やお雪で見せたあたるに対する「怒りの」電撃も、彼女にとっては「愛情表現」の一つだったのかもしれませんね。
一方、あたるとラムのキスシーンが(狐に乗っ取られていたとはいえ)もっとも多いのもこの回ではあります。

これなんか、ラムも陶酔(「酩酊」と「陶酔」をかけています)していますよねw 軽くイッてるんじゃないかと思うくらいw(どさくさに何言ってんだ俺…)
こちらでは往来の面前ということもあってか、

恥じらいの表情を見せています。
なんだか急に「女」を感じさせるようで、むずむずしてしまいますね。なんとなくラムらしくないようで、その辺も少しもやもやしてしまうわけですが…
まあとにかく、ぶちゅぶちゅやってますよw
ただ、ここで重要なのは「キス」そのものには何の意味もないということです。
つまり、二人の愛情の証であるとか、関係が深まっていく兆しであるとか、そういうこととは一切関係がないんですね。
元々うる星におけるキスシーンは「初期」に偏っています。そしてその半分くらいはこの回に集中しているでしょう。
要するにまともなキスなんてないんですよ、うる星においては。
考えてもみてください。これまであたるとしのぶのキスシーンなんてありました? 一切皆無でしょう。
あたるとラムのキスも「初期」のみです。そして彼らが初めて心を通わせる「君待てども…」以降は一切そういうシーンはありません。
そう、うる星においてはロマンスとしての「キス」は存在しないのです。
たとえば婚約している大人のカップルであるサクラさんと尾津乃つばめでさえ、キスは未遂で終わっていますからね。
逆に言えば、キスをするような間柄の時点では結ばれることはないのがうる星の世界なのです。
二人が関係性を強めれば強めるほど、そういう色っぽい行為からかけ離れていくのがギャグマンガたるゆえんなんですよ。私が決してラブコメではないと再三言うのは、そういうことでもあるんです。
まあとにかく、
うる星に 出てくるキスは 事故かギャグ
とだけ覚えておいてください。(ここ、テストに出ますよ!)
あと、強いて挙げるなら

汁夫と麺子、初登場かなあw まあ本当どうでもいいことですけどw
ちなみに汁夫が麺子にプロポーズしようとしていた喫茶店の名前は「喫茶 大魔神」ですw どういうセンスだw
☆なりそこないが選ぶこの一コマ

なんだかわかりませんが、この張り紙が妙に心に残ったので。
看護婦とか、今はなくなった言葉ですね。女医というのもなんだかエロいイメージしかないw
まあ時代ならではのネタを色濃く感じるものとしてピックアップしてみました。
ちなみにこの病院は、「明土病院」と言いますw
☆なりそこないがハマったギャグベスト2

あまり笑えるネタがなかった中で、数少ない笑いどころでした。
衝撃を受けているあたるが面白いw
てか、お前も知らず知らずのうちにクセになっていると思うけどなw
「後期」になると、電撃を受けるためにわざとちょっかい出してるように見えるしw

かかあギツネに乗っ取られた女性たちにむちゃくちゃ問い詰められるところは、正直グロテスクな感じで笑えないものがあるんですけど、このマサ子ちゃんのくだりは不覚にも笑ってしまうw
6年同棲して気づかないって、マサ子ちゃんいくつだよw 下手すると出産した直後あたりから同棲していないとつじつまが合わないぞw
気づく気づかない以前の問題だろーがw
☆ピックアップワード;でもおたく三人家族じゃ?
4人の子持ち母親との修羅場(?)を目撃したあたるの母親がシャケの切り身を「2枚」にした時の魚屋さんのセリフ。
ここではまだ、ラムは諸星家の数に入っていないのがよくわかりますね。
いったい彼女はいつ頃諸星家の一員として迎え入れられたのか。近いうちに検証記事を執筆予定ですので、どうぞお楽しみに!
◆単発掲載期のまとめ
この時期は、まだ「過渡期」だったという印象ですね。
ラムの周りに新キャラも増えて少しずつ世界観やキャラの関係性が固まってきた時期ではありますが、それぞれが「読み切り」だったこともあり、どこかとっちらかった印象があります。
ある意味、毎回が「最終回」のつもりで描かれていたのではないでしょうか。
また、ここでの3話はどれもいつもよりページ数が多いんですよね。「愛で殺したい」「酒と泪と男と女」が24P、「お雪」にいたってはなんと29Pあります。(これはうる星史上最長)
そのうち2話は「増刊号」の掲載ということもあり、通常の連載とは勝手の違う面もあったんじゃないかと思います。
それによって冗長になっている印象はありませんが、大学在中時に休みの合間を縫って作画していた高橋留美子先生の負担は大きかったであろうことは想像に難くありません。
次の「10週連続連載期」までの“つなぎ”という側面も否めませんし、本格的なうる星ワールドが繰り広げられるのにはもう少し時間を要したんだと思います。
ただ一方、非常に大きな動きがこの時に起こっています。
冒頭でも引用しましたが、「お雪」で主人公・諸星あたるのキャラがようやく動き出したんですね。
これまでのようにただ不幸に翻弄されるだけではなく、能動的に行動するようになるんです。
その成果は「お雪」から約3か月後の「10週連続連載」開始から徐々に実を結んでいきます。
まさに「5週連続連載」と「10週連続連載」とをつなぐ役割として、重要な時期だったと言えますね。
というわけで、次回は「まずは初期から読んでみよう!10週連続連載期編」になります。
私たちがイメージする「初期のうる星」とは、だいたいこの時期を指しますね。
いよいよ本格的に暴れまわる「うる星ワールド」をぜひ味わってください!
「復刻BOX」4セットがあれば、うる星の歴史を一望できます!
気軽に読める電子書籍もいいですね。とりあえず4巻まで読めば、「初期」の雰囲気がわかります!
初出どおりの順番で読むには文庫版が便利!
特に「5週連続期」から「単発掲載期」への流れはすごくわかりやすくなっていますね。
令和版アニメのほうも忘れちゃいけません。
第2期が始まるまでには、「うる星やつら Blu-ray Disc BOX」を何度でも見てうる星ロスを吹き飛ばしましょう!
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