ひとまずの終了から1ヶ月、そろそろ落ち着いてきたので新TVアニメ「うる星やつら」第1期について改めて総括してみる
※このたび36年ぶりに新しくTVアニメ化された「うる星やつら」。自他共に認める高橋留美子主義者である私なりそこないが、ここまで視聴した感想を総括して語ります。
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
令和版新「うる星やつら」の第1期目が終了を迎えて早1ヶ月。そろそろ「うる星ロス」も落ち着いたころではないでしょうか。
というわけで今回は、23話感想記事で予告した通り「第1期」を私の独断と偏見で総括してみたいと思います。
まあぶっちゃけ、次の第2期が始まるまでの「つなぎ」的な感じですけどね。そんなに突っ込んだ内容にはならないでしょう。
何しろ1年余り間が空くわけですから、それまでみなさんが「うる星やつら」を忘れないようにというのが主な趣旨ですw
なので、これから1年間、月1から月2くらいのペースで定期的に「うる星記事」を発信していくつもりですので、そこんとこよろしくお願いいたします!
さて、「第1期」の総括といっても、基本的には1クール目終了時に語った感想と変わらないですね。あそこで語った以上に付け加えることはあまりありません。
「OP/EDが素晴らしい」のは2クール目も同様でしたし(特にやっぱりOPが見事!)、「声優さんがぴったり」なのもテンちゃんや竜之介を挙げるまでもないでしょう。
「原作愛」は毎回のように感じていましたし、「アニオリの面白さ」も23話などを挙げるまでもなく健在です。
一方、これは改善してほしいというところも変わりなかったですけどねw 擬音を口にする演出とか。
まあこれに一つ付けくわえるとするなら、明らかに2クール目からより面白くなってきているということでしょうか。テンポがよくなっているのはもちろんのこと、ギャグの演出やキャラの見せ方一つとっても1クール目に比べて良くなってきている印象ですね。
やっぱり今思うと、1クール目は新キャラ登場(紹介)に徹していた感があったんですよ。
1話がラム、2話がサクラ、3話が面堂、4話がクラマ姫、6話が弁天&おユキ、8話がランちゃん、9話がレイ、11話が面堂了子といった具合に。5話と7話、そして10話以外はすべて新キャラ回なんです。
これらのレギュラーキャラが揃ってからが本格的に「うる星やつら」が始まるわけですからね。
本番は2クール目からと、スタッフもある程度開き直っていた部分もあったのではないでしょうか。
そういった意味で、1クール目はちょっと駆け足だったかもしれません。こうも次から次へと新キャラが登場してくると、アニメからうる星を知った人は付いていくのが精一杯だったでしょう。
元々は新規ファンを開拓する意味でも、原作の流れよりキャラを軸にシリーズ構成をしたはずでしたが、それも良し悪しだったのかもしれませんね。
ただ、360話以上もある原作です。それを4クールでやろうというのですから、どうであろうと駆け足になってしまうのは当然とも言えます。そもそも9年続いた連載を1年で全部やろうということ自体、土台無理な話なんですからw
アニメスタッフは与えられた条件の中で精一杯の仕事をしていたと思います。
その中でも、基本30分2話構成でAパートとBパートが独立している形を採用したのは特にいい判断でしたね。いわゆる「サザエさん」「ドラえもん」スタイルでしょうか。
あれにより、多少なりともより多くの原作をピックアップできるようになりました。4クール48回として、単純計算で96話分やれるわけですからね。原作の約1/4をアニメ化できるとなれば、単なる「ダイジェスト」にはならずに済みます。
1クール目を2クール目以降の土台作りと割り切ったおかげで、かえって原作の選び方にも幅が出たような気がします。
願わくば、2期目もこの形式は守り通して行ってほしいですね。
2クール目からテンポが良くなったような気がするのも、1クール目での試行錯誤がうまく花開いたからなのかもしれません。
14話Bパートの「トLOVEル・レター」は15分で2話、20話の「失われたモノを求めて」は30分で3話分をうまく消化していましたが、その辺は9話Aパートの「愛で殺したい」や、4話の「口づけと共に契らん!!」での経験が活きているように感じましたよ。
ていうか、なんなら話によっては30分3話形式でもいいんですよね。6話や15話を見ても全然駆け足になっていませんでしたし。
まあだから、話のテンポとしては4話や20話のように3話分を30分1本にまとめる形が一番いいのかもしれませんね。
あと、全体的に2クール目はいわゆる「ドタバタ系」が多かったのも功を奏したような気がします。
キャラの心情とかを見せるよりも、多少駆け足でもテンポ良く見せた方が面白くなる話が多かった印象です。
さてこの辺で、前回(1クール目終了記念総括)に引き続き、今回も私的ランキングを発表していきましょう。
第1位 18話 「き・え・な・いルージュマジック!!」「必殺!ヤミナベ」
第2位 21話 「惑星教師CAO-2」「あな恐ろしや、ワラ人形」
第3位 7話 「住めば都」「生ゴミ、海へ」
第4位 23話 「決戦!!友1クイーンコンテスト」
第5位 10話 「戦慄の参観日」「君去りし後」
第6位 20話 「失われたモノを求めて」
第7位 14話 「水乃小路家の男」「トLOVEル・レター」
第8位 12話 「テンちゃんがきた」「二人だけのデート」
第9位 16話 「激闘、父子鷹!!」「セーラー服よ、こんにちは!!」
第10位 19話 「魔境!戦慄の密林」「酔っぱらいブギ」
とりあえず、ベスト10はこんな感じですね。見てお分かりのように、ほぼ2クール目以降で占められています。
そういった中で、1クール勢で7話と10話だけがランクインしているのが目を惹きますね。
この二つはいわゆる「新キャラ回」ではなかったわけで、ある意味2クール目以降のテイストを感じたのかもしれません。
ついでですから、11位以下も選んでみましょうか。
第11位 22話 「大ビン小ビン」「愛がふれあうとき」
第12位 6話 「いい日旅立ち」「お雪」「あたるの引退」
第13位 13話 「買い食い大戦争」「テンからの贈り物!!」
第14位 2話 「あなたにあげる」「幸せの黄色いリボン」
第15位 8話 「転入生危機一髪…」「お別れパーティ危機一髪…」
第16位 5話 「愛と闘魂のグローブ」「君待てども…」
第17位 17話 「あこがれを胸に!!」「星に願いを」
第18位 15話 「あんこ悲しや、恋の味!?」「思い出危機一髪…」「薬口害」
第19位 9話 「愛で殺したい」「自習騒動」
第20位 3話 「トラブルは舞い降りた!!」「迷路でメロメロ」
第21位 4話 「口づけと共に契らん!!」
第22位 11話 「面堂兄妹!!」「面倒邸新年怪」
第23位 1話 「かけめぐる青春」「絶体絶命」
といったところかな。1クール目総括で上位に挙げていた2話や6話も、トータルではかなり低くせざるを得ませんでした。そのくらい2クール目が圧倒的に面白かったということですね。
個人的には原作で特に好きな話だと比較的評価が厳しくなる一方、あまり思い入れのない話は逆に原作以上に面白く感じる傾向があったような気がします。
けっきょく自分は「原作」ありきで評価するんですよね。好きな話だとあのシーンがカットされただの、あそこの微妙なニュアンスが台無しになっていたとかになってしまうわけです。
アニメで評価が上がったのは、18話の「き・え・な・いルージュマジック!!」「必殺!ヤミナベ」や、19話Aの「魔境!戦慄の密林」あたりがその典型的な回でしたね。
他にも23話の「決戦!!友1クイーンコンテスト」や、14話Bの「トLOVEル・レター」が挙げられるでしょうか。
逆に13話Aの「買い食い大戦争」や19話Bの「酔っぱらいブギ」はどこか物足りなさを感じました。あと、ランちゃん回はどうしても厳しい目で見てしまうw
この辺は原作厨の性(さが)かなあという気もします。
たぶん原作未読の人とは、そこが見方の変わってくるところなのかもしれません。
評価が難しかったのは、なんといっても3話と9話。あと17話かな。
どれも内容そのものというより、シリーズ構成によりキャラの立ち位置や関係性に齟齬が出てしまう問題が大きく影響しました。
その中でも9話の問題は別格ですね。あれをどう考えるかが私の中で最重要課題といってもいいかもw
(逆に今思うと、22話の「大ビン小ビン」問題はそこまでではなかったような気がしています。もちろん無視はできない問題ですけど、それで話の評価が左右されるかと言えばそうでもなかったですね)
ていうか、それらの「問題」って、今回のアニメで初めて気付かされた面が大きいんですよね。
「君待てども…以降のレイ登場」問題や、「大ビン小ビン」問題はこれまで意識したことはありませんでしたから。
それもそのはず、原作読む分には話の流れ通りですからね。たとえ3巻から1巻、26巻から18巻に読み返したとしても、うる星の世界が逆流することはないわけです。
今回のアニメでは、4クールで一つの作品を最初から最後までパッケージングするという観点から見てしまうので、そういう「世界観」のブレみたいなものがどうしても気にかかってしまうのでしょう。
あと、ネタ的にどれが今も通用してどれが通用しないのかも興味深かったですね。
竜之介関連とか今思うと笑えないものもあったりして、私自身、新たな発見をしたような気がします。
その他、コンプラ的に意外に感じるものも多かったですね。
15話の「せっかん」とか「ノイローゼ」がダメな一方、「生むんじゃなかった」とか「土曜日の夜には子どもを作るっちゃー!!」(1話)はOKなんですよね。あと、「おさわりバー」(2話)もそのままだったりw
スカートめくりや焚き火がダメというのもよくわからなかったなあ。
そんな中、12話の「二人だけのデート」をほぼ原作のまんまやってくれたことは特筆に値しますね。
ある意味感動的ですらありましたよ。ちゃんと面白かったですし。
それと、「ポン引」「トウがたってる」とかコンプラ案件とは関係なく、そもそも今の時代では意味が通じないワードがあるというのも私にとっては衝撃でしたw
もはや何が通用するのかよくわからなくなってきていますw
さて、最後にちょっとヘビーな戯言を。
今回のアニメ化は、リメイクとかリブートではないと思っています。
なので、私はこれまで再アニメ化とかリメイクといった言葉は使っていません。あくまで新TVアニメ、もしくは令和版うる星やつらといった言い回しをしているはずです。
アニメ化が決まった最初の記事の際に
> 「うる星やつら」に関しても昭和のアニメのリバイバルという形ではなく、令和の新作アニメとして期待したいと思います。
と書いたのはそういう意味も込めてのことでした。
まあしかし、改めて思いますけど4クールじゃ全然足りませんね。本当、今からでもなんとかせめて6クールくらいにならないかと思うくらいw
なにしろ原作は366話あるわけで、1回につき2話、もしくは3話消化するしても150週から160週くらいは費やさないと無理な計算です。つまり、詰めに詰めても12クールは必要なわけでw
だからこそ、「選び抜かれた原作エピソード」と銘打っているのでしょう。
それは逆に、アニメオリジナル回は入れないという意思表示でもあるわけです。
つまり、旧アニメとは一線を画するということに他なりません。
あくまで「原作」の世界観をなるべくそのままアニメ化するというのが、今回のコンセプトなんだと思います。
漫画の書き文字や擬音をそのままアニメの中に落とし込む演出も、そういう意図があるような気がしますね。
そういった意味で、私は旧アニメと比較しての批判は傾聴に値しないと思っています。
純粋に若い人の「つまらない」という意見は甘受しないといけませんが、
やれ「昭和の頃にあったなんでもありの熱量がない」とか「今のは綺麗だけどそれだけ」とか、はたまた「メガネがいない」とかなんて、まったくもってナンセンスの一言です。
昭和版のリメイクをしたいならそれこそ押井守を呼んでこいって話ですよ。
彼の関知しないところであの頃の「うる星」を蘇らせようというのは、それこそ筋が通りません。
でも、彼はもう二度とうる星やつらは作らないと思います。
映画「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」は、押井氏のうる星への決別の思いをこめた映画でした。
私は当時もその意志に対して感銘を受けましたし、また尊重したいと思っています。あれは「うる星やつら作品」以上に、押井氏による「うる星やつら批評」でもありました。
あそこで彼は、もう「うる星」についてはこれ以上語ることはないんだと宣言したんです。少なくとも「作品」としては。
今後、パトレイバーや攻殻機動隊はもう一度作ることがあったとしても、うる星だけは二度とやらないはずです。
そこは信じていますね。
今回のアニメ化は、あくまで「原作」を4クールという制約の中で一つの作品として今の時代に合わせたものを見せたいというのが基本コンセプトです。
どこで終わらせるか決まっていない中で好き勝手にできた旧アニメとは、最初の前提からして違います。
それでも所々旧アニメへのリスペクトは感じられましたし、スタッフの「うる星」愛が本物であるのは明らかでしょう。
そこを見ようともしない上での批判は、一切聞く必要がないと私は思っています。
というわけで、ここまで令和版新「うる星やつら」の第1期を総括してみたわけですが、いかがだったでしょうか。
私としてはいくつかの不満点はあるものの、トータルとしては出来過ぎなくらいに素晴らしいシリーズだったと思います。
特に当初懸念していた「ラブコメ色」をあまり強調せずに、うる星らしい「ドタバタギャグ色」を前面に出していたのには感心させられました。最後の最後まで、喧騒と混乱のまま貫きましたからね。
うる星がうる星のままで、今の時代に新たな姿を見せてくれたことが何よりうれしかったです。
いやもう本当、今が一番「うる星やつら」に夢中になってますよ。40年前以上にファン熱が燃え上がっていますね。
この勢いのまま、第2期まで突っ走ってやろうと思っています!
冒頭でも言いましたが、これから次の「第2期」が始まるまで月1から月2くらいで「うる星やつら」の記事を発信していくつもりです。
どんな内容にするかはまだ未定ですが、基本的には肩の力を抜いたものにしたいですね。簡単なコラム的な感じがいいかな。毎回テーマを決めてざっくばらんに語っていけたらいいなと思っています。……でもまあ、時々は暴走してしまうでしょうけどw
あとはもちろん、第2期の内容を予想する記事は絶対にやります。1クール目終了時でも、2クール目を予想するのがむちゃくちゃ楽しかったですから。
ただ、あまり早い時点でやるとなんだか興ざめな気もするので、タイミングを見計らってやりたいですね。
というわけで、ぜひこれからも一緒に「うる星やつら」を楽しんでもらえたらうれしいです。
それでは、また近いうちに!
1クール全11話を収録したブルーレイBOX第1巻が絶賛発売中!2クール目を収録した第2巻は6月28日発売予定。
BOXセットの紹介記事なんかもいいかな。コミックス1巻ごとにうる星やつらの歴史を見ていくのも面白そう。
新TVアニメ「うる星やつら」のOP/EDテーマ4曲を収録したCDが発売中!限定盤にはノンクレジットOP/EDを収録したBlu-ray付き。新曲の「トラエノヒメ」「もういいもん」がまたいいんですよ。本当、「うる星やつら」は音楽にも恵まれているなあと改めて感じます。
新TVアニメ「うる星やつら」オリジナルサウンドトラックが絶賛発売中!次の第2期まで、これを聴いて思いを馳せるのもまた一興かと。
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
令和版新「うる星やつら」の第1期目が終了を迎えて早1ヶ月。そろそろ「うる星ロス」も落ち着いたころではないでしょうか。
というわけで今回は、23話感想記事で予告した通り「第1期」を私の独断と偏見で総括してみたいと思います。
まあぶっちゃけ、次の第2期が始まるまでの「つなぎ」的な感じですけどね。そんなに突っ込んだ内容にはならないでしょう。
何しろ1年余り間が空くわけですから、それまでみなさんが「うる星やつら」を忘れないようにというのが主な趣旨ですw
なので、これから1年間、月1から月2くらいのペースで定期的に「うる星記事」を発信していくつもりですので、そこんとこよろしくお願いいたします!
さて、「第1期」の総括といっても、基本的には1クール目終了時に語った感想と変わらないですね。あそこで語った以上に付け加えることはあまりありません。
「OP/EDが素晴らしい」のは2クール目も同様でしたし(特にやっぱりOPが見事!)、「声優さんがぴったり」なのもテンちゃんや竜之介を挙げるまでもないでしょう。
「原作愛」は毎回のように感じていましたし、「アニオリの面白さ」も23話などを挙げるまでもなく健在です。
一方、これは改善してほしいというところも変わりなかったですけどねw 擬音を口にする演出とか。
まあこれに一つ付けくわえるとするなら、明らかに2クール目からより面白くなってきているということでしょうか。テンポがよくなっているのはもちろんのこと、ギャグの演出やキャラの見せ方一つとっても1クール目に比べて良くなってきている印象ですね。
やっぱり今思うと、1クール目は新キャラ登場(紹介)に徹していた感があったんですよ。
1話がラム、2話がサクラ、3話が面堂、4話がクラマ姫、6話が弁天&おユキ、8話がランちゃん、9話がレイ、11話が面堂了子といった具合に。5話と7話、そして10話以外はすべて新キャラ回なんです。
これらのレギュラーキャラが揃ってからが本格的に「うる星やつら」が始まるわけですからね。
本番は2クール目からと、スタッフもある程度開き直っていた部分もあったのではないでしょうか。
そういった意味で、1クール目はちょっと駆け足だったかもしれません。こうも次から次へと新キャラが登場してくると、アニメからうる星を知った人は付いていくのが精一杯だったでしょう。
元々は新規ファンを開拓する意味でも、原作の流れよりキャラを軸にシリーズ構成をしたはずでしたが、それも良し悪しだったのかもしれませんね。
ただ、360話以上もある原作です。それを4クールでやろうというのですから、どうであろうと駆け足になってしまうのは当然とも言えます。そもそも9年続いた連載を1年で全部やろうということ自体、土台無理な話なんですからw
アニメスタッフは与えられた条件の中で精一杯の仕事をしていたと思います。
その中でも、基本30分2話構成でAパートとBパートが独立している形を採用したのは特にいい判断でしたね。いわゆる「サザエさん」「ドラえもん」スタイルでしょうか。
あれにより、多少なりともより多くの原作をピックアップできるようになりました。4クール48回として、単純計算で96話分やれるわけですからね。原作の約1/4をアニメ化できるとなれば、単なる「ダイジェスト」にはならずに済みます。
1クール目を2クール目以降の土台作りと割り切ったおかげで、かえって原作の選び方にも幅が出たような気がします。
願わくば、2期目もこの形式は守り通して行ってほしいですね。
2クール目からテンポが良くなったような気がするのも、1クール目での試行錯誤がうまく花開いたからなのかもしれません。
14話Bパートの「トLOVEル・レター」は15分で2話、20話の「失われたモノを求めて」は30分で3話分をうまく消化していましたが、その辺は9話Aパートの「愛で殺したい」や、4話の「口づけと共に契らん!!」での経験が活きているように感じましたよ。
ていうか、なんなら話によっては30分3話形式でもいいんですよね。6話や15話を見ても全然駆け足になっていませんでしたし。
まあだから、話のテンポとしては4話や20話のように3話分を30分1本にまとめる形が一番いいのかもしれませんね。
あと、全体的に2クール目はいわゆる「ドタバタ系」が多かったのも功を奏したような気がします。
キャラの心情とかを見せるよりも、多少駆け足でもテンポ良く見せた方が面白くなる話が多かった印象です。
さてこの辺で、前回(1クール目終了記念総括)に引き続き、今回も私的ランキングを発表していきましょう。
第1位 18話 「き・え・な・いルージュマジック!!」「必殺!ヤミナベ」
第2位 21話 「惑星教師CAO-2」「あな恐ろしや、ワラ人形」
第3位 7話 「住めば都」「生ゴミ、海へ」
第4位 23話 「決戦!!友1クイーンコンテスト」
第5位 10話 「戦慄の参観日」「君去りし後」
第6位 20話 「失われたモノを求めて」
第7位 14話 「水乃小路家の男」「トLOVEル・レター」
第8位 12話 「テンちゃんがきた」「二人だけのデート」
第9位 16話 「激闘、父子鷹!!」「セーラー服よ、こんにちは!!」
第10位 19話 「魔境!戦慄の密林」「酔っぱらいブギ」
とりあえず、ベスト10はこんな感じですね。見てお分かりのように、ほぼ2クール目以降で占められています。
そういった中で、1クール勢で7話と10話だけがランクインしているのが目を惹きますね。
この二つはいわゆる「新キャラ回」ではなかったわけで、ある意味2クール目以降のテイストを感じたのかもしれません。
ついでですから、11位以下も選んでみましょうか。
第11位 22話 「大ビン小ビン」「愛がふれあうとき」
第12位 6話 「いい日旅立ち」「お雪」「あたるの引退」
第13位 13話 「買い食い大戦争」「テンからの贈り物!!」
第14位 2話 「あなたにあげる」「幸せの黄色いリボン」
第15位 8話 「転入生危機一髪…」「お別れパーティ危機一髪…」
第16位 5話 「愛と闘魂のグローブ」「君待てども…」
第17位 17話 「あこがれを胸に!!」「星に願いを」
第18位 15話 「あんこ悲しや、恋の味!?」「思い出危機一髪…」「薬口害」
第19位 9話 「愛で殺したい」「自習騒動」
第20位 3話 「トラブルは舞い降りた!!」「迷路でメロメロ」
第21位 4話 「口づけと共に契らん!!」
第22位 11話 「面堂兄妹!!」「面倒邸新年怪」
第23位 1話 「かけめぐる青春」「絶体絶命」
といったところかな。1クール目総括で上位に挙げていた2話や6話も、トータルではかなり低くせざるを得ませんでした。そのくらい2クール目が圧倒的に面白かったということですね。
個人的には原作で特に好きな話だと比較的評価が厳しくなる一方、あまり思い入れのない話は逆に原作以上に面白く感じる傾向があったような気がします。
けっきょく自分は「原作」ありきで評価するんですよね。好きな話だとあのシーンがカットされただの、あそこの微妙なニュアンスが台無しになっていたとかになってしまうわけです。
アニメで評価が上がったのは、18話の「き・え・な・いルージュマジック!!」「必殺!ヤミナベ」や、19話Aの「魔境!戦慄の密林」あたりがその典型的な回でしたね。
他にも23話の「決戦!!友1クイーンコンテスト」や、14話Bの「トLOVEル・レター」が挙げられるでしょうか。
逆に13話Aの「買い食い大戦争」や19話Bの「酔っぱらいブギ」はどこか物足りなさを感じました。あと、ランちゃん回はどうしても厳しい目で見てしまうw
この辺は原作厨の性(さが)かなあという気もします。
たぶん原作未読の人とは、そこが見方の変わってくるところなのかもしれません。
評価が難しかったのは、なんといっても3話と9話。あと17話かな。
どれも内容そのものというより、シリーズ構成によりキャラの立ち位置や関係性に齟齬が出てしまう問題が大きく影響しました。
その中でも9話の問題は別格ですね。あれをどう考えるかが私の中で最重要課題といってもいいかもw
(逆に今思うと、22話の「大ビン小ビン」問題はそこまでではなかったような気がしています。もちろん無視はできない問題ですけど、それで話の評価が左右されるかと言えばそうでもなかったですね)
ていうか、それらの「問題」って、今回のアニメで初めて気付かされた面が大きいんですよね。
「君待てども…以降のレイ登場」問題や、「大ビン小ビン」問題はこれまで意識したことはありませんでしたから。
それもそのはず、原作読む分には話の流れ通りですからね。たとえ3巻から1巻、26巻から18巻に読み返したとしても、うる星の世界が逆流することはないわけです。
今回のアニメでは、4クールで一つの作品を最初から最後までパッケージングするという観点から見てしまうので、そういう「世界観」のブレみたいなものがどうしても気にかかってしまうのでしょう。
あと、ネタ的にどれが今も通用してどれが通用しないのかも興味深かったですね。
竜之介関連とか今思うと笑えないものもあったりして、私自身、新たな発見をしたような気がします。
その他、コンプラ的に意外に感じるものも多かったですね。
15話の「せっかん」とか「ノイローゼ」がダメな一方、「生むんじゃなかった」とか「土曜日の夜には子どもを作るっちゃー!!」(1話)はOKなんですよね。あと、「おさわりバー」(2話)もそのままだったりw
スカートめくりや焚き火がダメというのもよくわからなかったなあ。
そんな中、12話の「二人だけのデート」をほぼ原作のまんまやってくれたことは特筆に値しますね。
ある意味感動的ですらありましたよ。ちゃんと面白かったですし。
それと、「ポン引」「トウがたってる」とかコンプラ案件とは関係なく、そもそも今の時代では意味が通じないワードがあるというのも私にとっては衝撃でしたw
もはや何が通用するのかよくわからなくなってきていますw
さて、最後にちょっとヘビーな戯言を。
今回のアニメ化は、リメイクとかリブートではないと思っています。
なので、私はこれまで再アニメ化とかリメイクといった言葉は使っていません。あくまで新TVアニメ、もしくは令和版うる星やつらといった言い回しをしているはずです。
アニメ化が決まった最初の記事の際に
> 「うる星やつら」に関しても昭和のアニメのリバイバルという形ではなく、令和の新作アニメとして期待したいと思います。
と書いたのはそういう意味も込めてのことでした。
まあしかし、改めて思いますけど4クールじゃ全然足りませんね。本当、今からでもなんとかせめて6クールくらいにならないかと思うくらいw
なにしろ原作は366話あるわけで、1回につき2話、もしくは3話消化するしても150週から160週くらいは費やさないと無理な計算です。つまり、詰めに詰めても12クールは必要なわけでw
だからこそ、「選び抜かれた原作エピソード」と銘打っているのでしょう。
それは逆に、アニメオリジナル回は入れないという意思表示でもあるわけです。
つまり、旧アニメとは一線を画するということに他なりません。
あくまで「原作」の世界観をなるべくそのままアニメ化するというのが、今回のコンセプトなんだと思います。
漫画の書き文字や擬音をそのままアニメの中に落とし込む演出も、そういう意図があるような気がしますね。
そういった意味で、私は旧アニメと比較しての批判は傾聴に値しないと思っています。
純粋に若い人の「つまらない」という意見は甘受しないといけませんが、
やれ「昭和の頃にあったなんでもありの熱量がない」とか「今のは綺麗だけどそれだけ」とか、はたまた「メガネがいない」とかなんて、まったくもってナンセンスの一言です。
昭和版のリメイクをしたいならそれこそ押井守を呼んでこいって話ですよ。
彼の関知しないところであの頃の「うる星」を蘇らせようというのは、それこそ筋が通りません。
でも、彼はもう二度とうる星やつらは作らないと思います。
映画「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」は、押井氏のうる星への決別の思いをこめた映画でした。
私は当時もその意志に対して感銘を受けましたし、また尊重したいと思っています。あれは「うる星やつら作品」以上に、押井氏による「うる星やつら批評」でもありました。
あそこで彼は、もう「うる星」についてはこれ以上語ることはないんだと宣言したんです。少なくとも「作品」としては。
今後、パトレイバーや攻殻機動隊はもう一度作ることがあったとしても、うる星だけは二度とやらないはずです。
そこは信じていますね。
今回のアニメ化は、あくまで「原作」を4クールという制約の中で一つの作品として今の時代に合わせたものを見せたいというのが基本コンセプトです。
どこで終わらせるか決まっていない中で好き勝手にできた旧アニメとは、最初の前提からして違います。
それでも所々旧アニメへのリスペクトは感じられましたし、スタッフの「うる星」愛が本物であるのは明らかでしょう。
そこを見ようともしない上での批判は、一切聞く必要がないと私は思っています。
というわけで、ここまで令和版新「うる星やつら」の第1期を総括してみたわけですが、いかがだったでしょうか。
私としてはいくつかの不満点はあるものの、トータルとしては出来過ぎなくらいに素晴らしいシリーズだったと思います。
特に当初懸念していた「ラブコメ色」をあまり強調せずに、うる星らしい「ドタバタギャグ色」を前面に出していたのには感心させられました。最後の最後まで、喧騒と混乱のまま貫きましたからね。
うる星がうる星のままで、今の時代に新たな姿を見せてくれたことが何よりうれしかったです。
いやもう本当、今が一番「うる星やつら」に夢中になってますよ。40年前以上にファン熱が燃え上がっていますね。
この勢いのまま、第2期まで突っ走ってやろうと思っています!
冒頭でも言いましたが、これから次の「第2期」が始まるまで月1から月2くらいで「うる星やつら」の記事を発信していくつもりです。
どんな内容にするかはまだ未定ですが、基本的には肩の力を抜いたものにしたいですね。簡単なコラム的な感じがいいかな。毎回テーマを決めてざっくばらんに語っていけたらいいなと思っています。……でもまあ、時々は暴走してしまうでしょうけどw
あとはもちろん、第2期の内容を予想する記事は絶対にやります。1クール目終了時でも、2クール目を予想するのがむちゃくちゃ楽しかったですから。
ただ、あまり早い時点でやるとなんだか興ざめな気もするので、タイミングを見計らってやりたいですね。
というわけで、ぜひこれからも一緒に「うる星やつら」を楽しんでもらえたらうれしいです。
それでは、また近いうちに!
1クール全11話を収録したブルーレイBOX第1巻が絶賛発売中!2クール目を収録した第2巻は6月28日発売予定。
BOXセットの紹介記事なんかもいいかな。コミックス1巻ごとにうる星やつらの歴史を見ていくのも面白そう。
新TVアニメ「うる星やつら」のOP/EDテーマ4曲を収録したCDが発売中!限定盤にはノンクレジットOP/EDを収録したBlu-ray付き。新曲の「トラエノヒメ」「もういいもん」がまたいいんですよ。本当、「うる星やつら」は音楽にも恵まれているなあと改めて感じます。
新TVアニメ「うる星やつら」オリジナルサウンドトラックが絶賛発売中!次の第2期まで、これを聴いて思いを馳せるのもまた一興かと。
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