新TVアニメ「うる星やつら」第20話の別々の視点から見てみたライト&ヘビーのハイブリッド感想
※このたび36年ぶりに新しくTVアニメ化された「うる星やつら」。自他共に認める高橋留美子主義者である私なりそこないが、これから毎週視聴した感想をざっくり語っていこうと思います。アニメの感想は慣れていないのであまり深堀はしません。基本原作ガチ勢ですw
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
今回は4話のクラマ姫以来の30分1本ものでした。
でも、まったく間延びした印象はなく、非常にテンポのよい内容になっていたと思います。
それもそのはず、原作の「失われたモノを求めて」は3話に渡る話なんです。
むしろ、1本でやるのが当然と言えるでしょう。
元々原作1話分を15分パートでまとめるのは少し長いような気はしていました。
14話の「トLOVEル・レター」や17話の「あこがれを胸に!!」なんかは、実質2話分を15分でうまくまとめていましたからね。少し詰め気味なほうがちょうどいいのかもしれません。
そういった意味で、3話を30分ものとして構成した今回はまさに理想的なバランスだったように感じました。
点数としては9.5点ぐらいにしようかな。
ほぼ満点と言ってもいいくらいに面白かったんですけど、一部デザイン変更を余儀なくされた部分が気になって減点せざるを得ませんでしたw
今回はいわゆる「幼なじみ回」ですね。
意外にも、弁天とおユキさんは2クール目初登場だったりします。
11話の「面倒邸新年怪」は顔見せみたいなものでしたし、がっつり話に関わるのは初登場だった6話以来になりますでしょうか。
特に弁天は大活躍でしたね。
実は原作でもラムの幼なじみである彼女たちが主役を張る話は中期以降だったりするんですよ。それまで宇宙人たちだけで終始する話というのはほとんどなかったんです。
この「失われたモノを求めて」は、まさにその「幼なじみ回」のはしりといってもいいでしょう。うる星やつらという作品がいろんな意味で変わりつつあった時期を象徴する回でもありました。
というわけで、まずは「うる星やつら」第20話のライト仕様感想からスタート!
●ライト仕様
アバンはいきなり弁天が鎖を奪われるところから始まりましたが、原作では途中に挟まる回想シーンでした。
そう、海王星のおユキさんの部屋でラムたちに語るところですね。
正直、最初はえ?と思いましたが、話の導入部分としては構成的にこの方がわかりやすいのかもしれません。
アバンというのは視聴者の興味を惹きつける意味があるわけで、まず最初に鎖の紛失騒動を見せた方が話に入っていきやすいですから。
桃色キノコの森は美しくも怪しい雰囲気が出ていたと思います。BGMもなかなかサスペンス感があってよかったですね。
ここでは本編に入ってからのあほらしさとのギャップを見せておいた方がいいので、とことんシリアスなムードでいく方がより効果的でしょう。
ただ、じんじゃあが鎖に手を掛けるところはいらなかったような気がしましたね。
あそこは死んだままだと思わせておいた方が、その後の馬鹿馬鹿しさとのギャップが生きてくると思うんだけどなあ。
さて、Aパート。
ラムがおユキさんと連絡を取っていましたが、原作はここから始まります。
ラムの使ってる受話器がトラジマ模様になっていましたねw あれは鬼星仕様なんだろうかw しかもやたらでかいしw
なお、原作では普通のトランシーバーみたいなものを装着していました。
ここのやり取りはけっこう重要なポイントな気がしています。
おユキさんが弁天と連絡がつかないとなると、「ラムのところで遊んでるかと思った」と言っているところからしてもわかるように、実は普段から一緒に遊んだり気軽に電話を掛けたりしている仲なんですよ。
ラムも「このまえ電話した時もいなかったし」なんて言ってましたよね。
友引町の中だけの騒動ばかりが目立つうる星ですが、実はラムたちだけのネットワークが別にあったりするわけです。
それにしても、弁天は諸星家をラムの家だと勘違いしてるんでしょうかw 勝手知ったるじゃないですけど、ちょっと非常識過ぎやしないかとw
ていうか、勝手に風呂借りたってあたるの母親は知ってるんだろうかw
まあでも、湯上りの弁天様は色っぽかったですね。髪をとかす仕草なんて、普通に女の子っぽい感じでしたよ。
髪を下ろしていたほうがかわいく見えると思うんですけど、たぶんだからこそあえてアップにまとめてるのかもしれませんね。舐められないようにw
ていうか、あの鎖の髪留めはどういう仕組みになっているのかw
あと、こたつねこの視線がやらしいw これは原作の時から思っていたことですけどw
あいつ、何気にずっと弁天の着替えを食い入るように見てるんだよなw
鎧のビキニを装着するシーンがまたエロかったですね。簡単につけていましたけど、腕とかつったりしないんだろうか…てか、あれはヌーブラ的な感じなのかな?
タイトルが出てからのおユキさんの家にパーンしていく演出はうまかったですね。
弁天の回想シーンでは「1週間前のことだ!」「桃色キノコの森の上をとおりかかったと思いねえ!」というべらんめえ調が好きだったんですけど、やはりわかりづらいということでなのか、普通の言葉に変えられていたのはちょっと残念でした。
差出人不明の荷物に「不在」と貼ってあるのはアニオリ。
原作だとそのままビデオテープを手渡しでしたw
ていうか、ビデオメールをそのままやるとはw
ビデオテープとか見たことが無い人が大半なんじゃなかろうか…
でも、正直DVDとかに改変されるかと思っていたのですが、そのままやってくれてよかったですよ。
令和の今、ディスクも時代遅れですからね。そういう中途半端なことをするくらいなら、とことん昭和の時代にこだわったほうがいいでしょう。宇宙全体含めてみんな「昭和」な世界というのも面白いじゃないですかw
ていうか、海王星にも普通にあるビデオデッキw あれはいったいどこのメーカーなんだw
映像の内容ですけど、アニオリの演出がなかなかよかったなと感じましたね。
砂嵐から始まるところなんてビデオテープぽさが出ていましたし、なぜかいきなり富士山から始まるというw
なんで惑星中学のスケ番グループが冒頭に富士山のイメージ映像を入れてくるのかw お前ら、日本大好き外国人かw
ちゃんとビデオテープならではの画質の悪さになっているのもポイント高かったです。
仏のじんじゃあ、七色のじゅがあ、毒ヘビのぺっぱあは原作や旧アニメよりもなんだかかわいくなっていたなあ…
もうちょっと微妙にかわいくない感じの方が、逆に彼女たちの魅力になっていたと思うんですけどね。
でもまあクソガキ度はまったく変わってなかったですし、良しとしますか。決めポーズもダサかったしw
きんきゅーとーろんかいを4畳半の上でやっているの好きw
原作だとコンロのあるキッチンだけが昭和感を出していましたが、あれはいいアレンジだと思いましたね。
せんべーらしきお茶菓子もおばあちゃんちっぽくていいw
なお、きんきゅーとーろんかいのBGMが何気に「朝まで生テレビ」ぽい感じでしたが、原作が連載していた頃はまだ「朝まで生テレビ」は放映されていません。
ぺっぱあが「先代グループ」の絵を出した瞬間におユキさんが一旦一時停止するのも好きw
おユキさんは自分の事になると途端に目の色が変わりますw
ていうか、ビデオだとああやってノイズが走るんだよなあw
おユキさんとラムが自分をスケ番グループだと思っていないのもいいですよねw
でもやってることは弁天以上にえげつなかったりするというw
弁天のケンカにラムが一緒についていこうとするところでカニの先生がやってきますが、あれはアニオリです。
あの先生は「カニ道楽先生」と言って、原作コミックス32巻PART2「思い出は時限爆弾」に登場する中学時代の彼女たちの担任の先生だったりするのですが、ここで登場させるということはあの話はやらないということなのかもしれません。
うーん、いろんな意味でハートウォーミング(笑)な話なだけに残念w
おユキさんが食べているカツアゲした弁当が「カツ揚げ」になってるのはアニオリかなw 原作だと小さくて何がなんだかわからないんですよね。
まあくだらないダジャレですけど、こういう遊びは嫌いではないです。
そもそも、カツアゲとか今時わからんだろーなあw
ていうか、あれはおユキさんの「たかり」なのかw 一番ひどいぞw
でも、このエピソードは三人三様の悪さが出ていて好きなシーンですね。
弁天はある意味わかりやすいワルなんですけど、ラムとおユキさんの本人的にまったく自覚のない悪さ加減がたまらなく魅力的だったりしますw
プロジェクターが壊れるところは中々リアルでしたね。そして、しゅがあの笑顔に食い込むビデオデッキw
弁天がバイクで駆け出すところのBGMはなかなか緊迫感があってよかったです。要所要所で締めることでメリハリが生まれますよね。
おユキさんのあとをつけたスケベエ先輩は原作だと「あとをつけて襲おうとした」んですけど、そこはやっぱりヤバいのかw
ていうか、あとをつけただけで氷漬けされてしまう先輩がかわいそうw
それにしても噂がまったく誇張されてなくて、完全に事実そのままなのがすごいw
コンピュータそると1号のデザインは、原作の「かわいいコックさん」からメカっぽいものに変えられていました。
旧アニメではしっかり再現されていたはずなので一体何でと思ったのですが、どうやらこれは登録商標の関係のようですね。
残念ですが仕方ない処置といえるでしょう。
それでも脱力感というかあほらしさは健在だったので、許容範囲ではあるかなとは思います。
「これは私の問題でもあるのよ!」「だまってみすごせるとでも思って?」
「おユキ…おまえってやつは…」「冷たい女だと思っていたけど……根はあったけえやつだったんだな……」
が最高に好きだったりしますw
ていうか、冷たい女(物理)でもあるしw
請求書が原作通りで笑うw ご丁寧に金額まで同じとかw(あれは“ひとよひとよにひとみごろ”の語呂合わせだったりするのだw)
てか、あれはドル単位なんでしょうかw
「破損せしビデオデッキ及びプロジェクター代」w なんで日本語なのかはあえて突っ込まないでおこうw
弁天どの、も地味に笑えますねw
決闘の場所「スペースベクトルaho」が荒れ果てた岩場みたいなイメージになっていたのはアニオリです。
あの演出も馬鹿馬鹿しさを増幅させてよかったですね。
原作だと、喫茶店の自動ドアが壊れていて風がぴゅーぴゅー吹き込んでいる状態だったんですけど、今考えると不自然ですしね。
荒野のイメージ映像からパッと喫茶店に切り替わるタイミングもぴったりでした。
スイーツにかぶりつくスケ番3人組が間抜けながらもかわいいw
あとそうそう、喫茶店が珍しく「喫茶けたぐり」じゃなかったですねw
原作通り「Silky Way」になっていました。
まあお店の雰囲気は、今風のこんじまりとしたおしゃれな感じにはなっていましたが。
で、ここで一旦アイキャッチが入ります。
Bパート
ぺっぱあの食べ方が汚すぎるw なんだあのべろんべろんはw 舌を回転させるなw
電車ごっこをしながら逃げるところは
「運転手はきっみっだ!車掌はぼくだ!」がカットされていました。まあ今の時代にわかるわけがないので別にいいかw しゅっぽしゅっぽだけでもアホだしw
どうかなと思っていた、「お客さんお勘定~!」もやってくれました!
6人とも普通に無銭飲食というねw(でも計画的犯行ではない)
ラムの電撃は普通に迷惑w
町を破壊してんじゃねーw
しゅがあの能力がテレポーテーションかサイコキネシスかと思いきや、単なる保護色というw
他の二人もそうですけど、まったく攻撃には役に立たない能力なのが面白い。
全部逃げるためだけの能力なんですよね。それで喧嘩を売ろうとしてるんだからw
仏のじんじゃあの死んだふりはいつ見ても最高w
「仏の」って、そっちの仏かよw
こいつの能力だけは本当に意味がないw
しゅがあの弁天に対してのセリフ、「少しくらいちちがでかいからっていばるなよ!」もちゃんとやってくれました!
照れる弁天がかわいいw
うる星の場合、乱暴に見える子こそが女の子らしかったりするのが面白いですね。
たっくるやずるんちょは、声があってもその面白さはまったく損なわれていませんでしたね。なんだか感動すら覚えましたよw
語感がそもそも面白いのであの演出もアリだったりするわけです。
そして、ぺっぱあを追いかける過程で誤って鎖を壊してしまうラムw
彼女はああいう場合、必ずといっていいほど保身に走るんですよねw さらには隠ぺい工作を行おうとするわけです。
でも根が素直だから、ああやって犬が後ろ足で砂をかけるようなことしかやれないというw
もう本当、15話の「思い出危機一発…」の頃からまったく変わっていません。
ずるいんですけど、悪賢くないのでどこか許せちゃう可愛さがあるんですよね。良くも悪くも狡猾さがないんです。
実はラムの一番の魅力なんじゃないかと私は思っています。
で、おユキさんのセリフに必死になってうなずくラムはアニオリw
ほんっと、こいつはw
弁天の恋人の想像シーンはすごく壮大な光景になっていましたねw
夕陽と朝日が同時に拝める星なんて、ちょっとロマンチックかも。太陽が二つある惑星なんでしょうか。
恋人の形見だと思うと、とたんに顔を青ざめるラムがまたいいw こういう思いやり?の心があるのもまた彼女の良さなんです。
そると1号が友引町の空に舞い降りたときの町の人のセリフはそるとのデザインが変わってしまったこともあって、
「ラクガキが空飛んどる」から「ゆるいコックさんが空飛んでる」になっていました。
ゆるいコックさんってw
でもやっぱり、そると1号はラクガキなのが面白いんだよなあ…
足に「こっぺぱん」と書いてあったりするのが最高に笑えるのにw
商標の問題なのでしかたないですけど、もうちょっと何かやりようがなかったかなとは思ってしまいますね。
ラムが勝手な想像をして「友達と鎖とどっちが大切だっちゃ!」と逆切れするのもラムらしくて好きw
なんで鎖とお前のダーリンが同価値だと思うのかw
でも、こういう自己チューな性格こそがラムのラムたるゆえんなんですね。
なお、原作でもあたるはこのラムの想像でしか登場しません。
実はこの話以降、あたるがまったく登場しない回が何度か出てくるようになるんですよね。
うる星やつらの作品内におけるパワーバランスが、少しずつ変わりつつある時期でもありました。
そると1号のエネルギーが「サラダ油一斗缶」なのも原作通りにやってくれてよかったw
「おお、地球でも売っていたか」は何度聞いても笑うw
あれは宇宙共通のエネルギーなのかw
そのエネルギーを得て作動した宇宙最大のコンピューター・そると1号が出した秘策が「鎖だらけ」なのはアホらしくて好きなんですけど、
それを受けての「コンピューター?」「さっきのが?」はやっぱり原作通り「あのラクガキが…?」じゃないと締まりませんね。
コンピュータのデザインが「ラクガキ」だというところがキモなはずで、そこができなくなってしまったのはつくづく残念です。
ラムとおユキさんを式神かポケモンのような扱いで命令する弁天w
連載当時はポケモンもない時代でしたけど、今見ると面白いですねw
でも、やれやれとしながらも言う通りに冷凍してくれるおユキさんがよかったです。なんだかんだいっても、それなりに友達甲斐を感じてる子でもあるんですよね。
本物の鎖に自分の事のように喜ぶラムがまたいいw
一時はどうなることかと思ったっちゃ!がそのまんまの意味だったりしてw
こういう憎めなさというか、天真爛漫さは狙ってできるようなものじゃありませんよね。
本当にその時の素直な感情のままで生きているんだなあと改めて思ってしまいます。
これまでずっとツッコミ役だった弁天が、最後のオチでボケになるのも好きなところですね。
しかも二段オチになってますしw
最終的にラムがツッコミ役に変わるのもうる星の締めとして美しい。
全体的に幼なじみ三人それぞれのキャラの魅力にあふれる話だったと思います。
弁天を中心としてラムとおユキさんとの掛け合いがまるでトリオ漫才のようでもありましたよね。
ただ、ラムもおユキさんもいわゆる小ボケに過ぎないのがポイントでしょうか。
大ボケはどう考えても、あの現役スケ番3人娘ですからw
彼女たちの無謀ともいえる挑戦がラムたちの面白さを引き出してくれたわけです。
さて、次回は
「惑星教師CAO-2」「あな恐ろしや、ワラ人形」
ですね。
「惑星教師CAO-2」は今回に引き続きの「幼なじみ回」になります。ランちゃんも加わっての小学生時代の思い出話に花が咲きますが、そこで今回をさらに上回る悪行が明らかに……
あ、でも、ランちゃんだけは無実ですよ。彼女は純粋たる被害者ですw
「あな恐ろしや、ワラ人形」は了子回ですね。こちらも視聴者がドン引きするようなエグいエピソードになることしょうw
あ、でもどちらかというと面あた回かなw 一部の人たちにはたまらない内容かもしれないですw
それでは、また来週!
●ヘビー仕様
今回は弁天を中心とした「幼なじみ回」だったわけですが、別の視点から見ると「ラムの救済処置」という意味合いもあったんじゃないかと私は考えてます。
すでに何度も言及しているように、ラムというのは元々はゲストキャラでしかありませんでした。主人公のあたるとヒロインであるしのぶが毎回色んなモンスターと巡り合って騒動を起こすギャグストーリーの、その第一話目の相手に過ぎなかったんですね。
ところがこのラム、作者の思惑を遥かに超える存在だったようで、たちまち「うる星やつら」という作品そのものを“侵略”してしまうことになります。
本来は「ただのドタバタSF」を描くつもりだったはずが、あれよあれよと言う間に「三角関係を中心とした恋愛ドタバタ劇」に変えられてしまったわけです。
ここで、作者である高橋留美子の興味深い言葉があります。少し長いですが引用してみましょう。
「ラムは“うる星”の中では、一番理解できないキャラでもあるんです。どちらかというと、私は、ひねくれていたり、コンプレックスを持ったキャラのほうが理解できるので、ラムのように、奔放でまっすぐなキャラって、私からは、一番遠い存在だったりします。まんがの作品の中には、自分に重ならないキャラもいるんだと教えてくれたのも、またラムでした。」(新装版「うる星やつら」第1巻巻末企画「My Lum 01/34 高橋留美子」より引用)
どうです。まさにラムというキャラは作者の頭の外からやってきた侵略者だったということの証左ではないでしょうか。
実際、初期のラムはただあたるを盲目的に追いかける鬼のような存在でした。そのこと自体が「トラブル」の象徴だったんですね。
何を考えているかわからないキャラを動かすには、それがもっともやりやすい形だったのでしょう。
少なくとも、「ラムとあたるとしのぶの三角関係を中心にしたドタバタ劇」だった時代ではそれでうまく回ったんだと思います。
ところが次第にあたるは単なる「巻き込まれキャラ」から「自ら喜んでトラブルに飛び込んでいく主人公」へと変貌していきます。同時にしのぶもヒロインの座から降りて一歩引いた立ち位置へと変わっていくにつれ、ラムというキャラもただあたるを追いかける“トラブルメーカー”ではいられないようになっていくんですね。
外から動かすだけではなく、ちゃんと物語の中に入ってもらう必要が出てきたわけです。
そこで高橋留美子は考えます。ラムを友引高校に転入させてみたり、幼なじみのランちゃんを登場させてみたり、なんとか自らの意志で動いてもらおうとあれこれ色々と試みるんですね。
でも彼女はあたる以外のこととなると、とたんに傍観者的な感じになってしまうんです。彼女は元々あたるに意味もなく惚れこむというところから始まっているので、他には何もないんですよ。まさに「まっすぐなキャラ」だったわけです。
あたるとの関係も落ち着いていくにつれ、次第に彼女も落ち着いていきます。あたるとの追いかけっこも、もはや日々のスキンシップみたいなものですからねw
で、周りには強烈なキャラたちがわんさかいるわけです。まともなやつらが一切いない中で、相対的に一番常識人的なポジションになっていくのは自然な流れでもありました。
でも、それではうる星やつらを大人気作品に押し上げてくれた功労者に対してあまりにもひどい仕打ちではないですか。やっぱりギャグマンガのメインキャラとしてもっと輝いて欲しいと思うのが人情というものでしょう。
では、ラムをもう一度目立たせるためにはどうしたらいいか。
あたるとは関係ないところで、彼女ならではのキャラを見せていくしかありません。
そのためには同じ宇宙人同士で暴れてもらうのが一番手っ取り早いですよね。何よりお互い気心の知れた仲じゃないですか。地球人には理解できない微妙な阿吽の呼吸もあるでしょう。そこをうまく引き出すためにも、「幼なじみ」の彼女たちが適任だったわけです。
実は今回の「失われたモノを求めて」(コミックス19巻)よりも以前に、「惑星教師CAO-2」(コミックス18巻)で「幼なじみ回」を試みています。
こちらは次回の話でもあるのですが、終始「思い出話」に徹している内容なんですね。いうなれば、15話Bパートの「思い出危機一髪…」の拡張版みたいな感じでしょうか。
それはそれで面白いんですけど、やっぱり昔話をしてるだけでは今一つパンチがないんですよ。今のラムのはっちゃけぶりを見せないと本当の意味で彼女のキャラが輝いたとは言えないんです。
そこで、あの三人娘の登場ですよ。
あのどこまでもポンコツでアホな、現役のスケ番グループ。
しょうもない能力しかないのに、無謀にも最強最悪と言われた先代グループに喧嘩を売るクソガキども。
何度も痛い目に遭いながらも決してあきらめようとしない、彼女たちの馬鹿馬鹿しくも愛おしい奮闘ぶりが、ラムたちの素の面白さを引き出してくれるんです。
それはたぶん、あの3人の写し鏡でもあるのでしょう。
彼女たちのアホっぷりに呆れながらも、その実同じレベルで争っている“幼なじみ”3人もまたアホだったりするのですからw
これは私の勝手な推測なのですが、
実は、あの惑星中学スケ番3人娘は、高橋留美子自身と当時のアシスタントであった中野まき子氏とさいとう邦子氏本人なんじゃないかと思っています。
リーダー的存在である七色のしゅがあが高橋留美子、仏のじんじゃあがさいとう邦子氏、そして毒ヘビのぺっぱあが中野まき子氏ですね。
なぜなら、当時不定期連載だったエッセイマンガ「けもこびるの日記」に出てくるお三方のキャラが、あのスケ番3人組にそっくりなんですw
つまり、あまりに動かないラムたちに業を煮やした作者自身が自ら戦いを挑んだ話が今回だったのではないかとw
そして、彼女たちが教えを乞うコンピューター「そると1号」は当時の担当編集者・ありと~こと、有藤智文氏がモデルですねw
有藤氏は高橋留美子と二人三脚でいろんなアイデアを出していたということですし、そういうメタ的な構造も内包していた話だったと考えると、また違った面白さが見えてくるような気がします。
ちなみに、原作のそると1号は
こんな感じでしたw
棒が一本あったとさ はっぱかな はっぱじゃないよ かえるだよ♪
で有名な「絵描きうた」ですね。
(ちなみに上のは私なりそこないが描きました。まさか初のイラスト披露がこんなものになるとは…w)
旧アニメでもこの「かわいいコックさん」だったのにかかわらず、なんで今回デザインが変更になったのかと思いきや、1997年にある会社が商標登録しているようですね。その関係でどうやらNGとなったようです。
ともかく、「ラクガキ」がラムたちの魅力を引き出したと考えると、なんだか痛快ですね。
そういう脱力感も含めて、うる星やつらという作品がまた一つ新たな魅力を獲得した記念すべき回だったんじゃないかと思っています。
なお、スケ番3人娘はこの後も何度かラムたちに戦いを挑みます。
「逆襲!三人組」(コミックス22巻 PART6)、「スケ番グループ色気大作戦」(コミックス24巻 PART4)、「スケ番三人娘、動物作戦」(コミックス27巻 PART6)といった具合ですね。
どれも最高にバカで面白いので、是非アニメでもやって欲しいところです。
特に、「逆襲!三人組」は個人的にすごく好きな一編。弁天やおユキさんには敵わないと見た三人が「一番“軽い”感じがする」ラムに照準を合わせてせこい罠ばかり仕掛けるさまは、馬鹿馬鹿しさを越えてなんだかいじらしくも思えてきますよw
さて、次回は
「惑星教師CAO-2」「あな恐ろしや、ワラ人形」
になります。
「惑星教師CAO-2」は先ほども触れましたが、「幼なじみ回」のプロトタイプみたいな話ですね。「思い出危機一発…」と今回の「失われたモノを求めて」を繋ぐ一編になります。
正直、彼女たちの小学校時代の悪たれぶりにはかなりドン引きするむきも出てくるかと思いますw
どうか、彼女たちは私たち地球人とは違う倫理観の元で生きているんだということを念頭に置きながら楽しんでくださいね。
「あな恐ろしや、ワラ人形」はまたいろんな意味でエグい話w
こちらは地球人の狂気に溢れていますね。まあ事の始まりがあの面堂了子なのですから、言わずもがなという感じですがw
言ってみれば、宇宙人と地球人のドン引き悪行回の競演といったところでしょうか。
でも決して殺伐とはしていないと思うので、14話のトンちゃん回を問題なく楽しめたなら大丈夫だと思います!
……たぶん。
それでは、また来週!
(コックさんは別に描く必要なかったんじゃないかと、今さらながら後悔していますw)
ブルーレイBOX第1巻は3月15日発売!もうすぐですね。
現在放映中の2クール目は第2巻にまとめて入る予定で、6月28日発売!
「失われたモノを求めて;前編」「失われたモノを求めて;激闘3VS3」「失われたモノを求めて;完結編」は19巻に収録されています!
BOXセットが4巻揃って発売中!
ぜひ、原作の深遠なギャグワールドを堪能してください!
新TVアニメ「うる星やつら」のOP/EDテーマ4曲とさらに新曲2曲を加えたCDが3月15日に発売!限定盤にはノンクレジットOP/ED2クール分を収録したBlu-rayが付きます。
3月1日に新TVアニメ「うる星やつら」オリジナルサウンドトラックが発売されました!曲タイトルが興味深いものが多いですね。「君待てども…」で流れたあの印象的な曲も入っています。
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
今回は4話のクラマ姫以来の30分1本ものでした。
でも、まったく間延びした印象はなく、非常にテンポのよい内容になっていたと思います。
それもそのはず、原作の「失われたモノを求めて」は3話に渡る話なんです。
むしろ、1本でやるのが当然と言えるでしょう。
元々原作1話分を15分パートでまとめるのは少し長いような気はしていました。
14話の「トLOVEル・レター」や17話の「あこがれを胸に!!」なんかは、実質2話分を15分でうまくまとめていましたからね。少し詰め気味なほうがちょうどいいのかもしれません。
そういった意味で、3話を30分ものとして構成した今回はまさに理想的なバランスだったように感じました。
点数としては9.5点ぐらいにしようかな。
ほぼ満点と言ってもいいくらいに面白かったんですけど、一部デザイン変更を余儀なくされた部分が気になって減点せざるを得ませんでしたw
今回はいわゆる「幼なじみ回」ですね。
意外にも、弁天とおユキさんは2クール目初登場だったりします。
11話の「面倒邸新年怪」は顔見せみたいなものでしたし、がっつり話に関わるのは初登場だった6話以来になりますでしょうか。
特に弁天は大活躍でしたね。
実は原作でもラムの幼なじみである彼女たちが主役を張る話は中期以降だったりするんですよ。それまで宇宙人たちだけで終始する話というのはほとんどなかったんです。
この「失われたモノを求めて」は、まさにその「幼なじみ回」のはしりといってもいいでしょう。うる星やつらという作品がいろんな意味で変わりつつあった時期を象徴する回でもありました。
というわけで、まずは「うる星やつら」第20話のライト仕様感想からスタート!
●ライト仕様
アバンはいきなり弁天が鎖を奪われるところから始まりましたが、原作では途中に挟まる回想シーンでした。
そう、海王星のおユキさんの部屋でラムたちに語るところですね。
正直、最初はえ?と思いましたが、話の導入部分としては構成的にこの方がわかりやすいのかもしれません。
アバンというのは視聴者の興味を惹きつける意味があるわけで、まず最初に鎖の紛失騒動を見せた方が話に入っていきやすいですから。
桃色キノコの森は美しくも怪しい雰囲気が出ていたと思います。BGMもなかなかサスペンス感があってよかったですね。
ここでは本編に入ってからのあほらしさとのギャップを見せておいた方がいいので、とことんシリアスなムードでいく方がより効果的でしょう。
ただ、じんじゃあが鎖に手を掛けるところはいらなかったような気がしましたね。
あそこは死んだままだと思わせておいた方が、その後の馬鹿馬鹿しさとのギャップが生きてくると思うんだけどなあ。
さて、Aパート。
ラムがおユキさんと連絡を取っていましたが、原作はここから始まります。
ラムの使ってる受話器がトラジマ模様になっていましたねw あれは鬼星仕様なんだろうかw しかもやたらでかいしw
なお、原作では普通のトランシーバーみたいなものを装着していました。
ここのやり取りはけっこう重要なポイントな気がしています。
おユキさんが弁天と連絡がつかないとなると、「ラムのところで遊んでるかと思った」と言っているところからしてもわかるように、実は普段から一緒に遊んだり気軽に電話を掛けたりしている仲なんですよ。
ラムも「このまえ電話した時もいなかったし」なんて言ってましたよね。
友引町の中だけの騒動ばかりが目立つうる星ですが、実はラムたちだけのネットワークが別にあったりするわけです。
それにしても、弁天は諸星家をラムの家だと勘違いしてるんでしょうかw 勝手知ったるじゃないですけど、ちょっと非常識過ぎやしないかとw
ていうか、勝手に風呂借りたってあたるの母親は知ってるんだろうかw
まあでも、湯上りの弁天様は色っぽかったですね。髪をとかす仕草なんて、普通に女の子っぽい感じでしたよ。
髪を下ろしていたほうがかわいく見えると思うんですけど、たぶんだからこそあえてアップにまとめてるのかもしれませんね。舐められないようにw
ていうか、あの鎖の髪留めはどういう仕組みになっているのかw
あと、こたつねこの視線がやらしいw これは原作の時から思っていたことですけどw
あいつ、何気にずっと弁天の着替えを食い入るように見てるんだよなw
鎧のビキニを装着するシーンがまたエロかったですね。簡単につけていましたけど、腕とかつったりしないんだろうか…てか、あれはヌーブラ的な感じなのかな?
タイトルが出てからのおユキさんの家にパーンしていく演出はうまかったですね。
弁天の回想シーンでは「1週間前のことだ!」「桃色キノコの森の上をとおりかかったと思いねえ!」というべらんめえ調が好きだったんですけど、やはりわかりづらいということでなのか、普通の言葉に変えられていたのはちょっと残念でした。
差出人不明の荷物に「不在」と貼ってあるのはアニオリ。
原作だとそのままビデオテープを手渡しでしたw
ていうか、ビデオメールをそのままやるとはw
ビデオテープとか見たことが無い人が大半なんじゃなかろうか…
でも、正直DVDとかに改変されるかと思っていたのですが、そのままやってくれてよかったですよ。
令和の今、ディスクも時代遅れですからね。そういう中途半端なことをするくらいなら、とことん昭和の時代にこだわったほうがいいでしょう。宇宙全体含めてみんな「昭和」な世界というのも面白いじゃないですかw
ていうか、海王星にも普通にあるビデオデッキw あれはいったいどこのメーカーなんだw
映像の内容ですけど、アニオリの演出がなかなかよかったなと感じましたね。
砂嵐から始まるところなんてビデオテープぽさが出ていましたし、なぜかいきなり富士山から始まるというw
なんで惑星中学のスケ番グループが冒頭に富士山のイメージ映像を入れてくるのかw お前ら、日本大好き外国人かw
ちゃんとビデオテープならではの画質の悪さになっているのもポイント高かったです。
仏のじんじゃあ、七色のじゅがあ、毒ヘビのぺっぱあは原作や旧アニメよりもなんだかかわいくなっていたなあ…
もうちょっと微妙にかわいくない感じの方が、逆に彼女たちの魅力になっていたと思うんですけどね。
でもまあクソガキ度はまったく変わってなかったですし、良しとしますか。決めポーズもダサかったしw
きんきゅーとーろんかいを4畳半の上でやっているの好きw
原作だとコンロのあるキッチンだけが昭和感を出していましたが、あれはいいアレンジだと思いましたね。
せんべーらしきお茶菓子もおばあちゃんちっぽくていいw
なお、きんきゅーとーろんかいのBGMが何気に「朝まで生テレビ」ぽい感じでしたが、原作が連載していた頃はまだ「朝まで生テレビ」は放映されていません。
ぺっぱあが「先代グループ」の絵を出した瞬間におユキさんが一旦一時停止するのも好きw
おユキさんは自分の事になると途端に目の色が変わりますw
ていうか、ビデオだとああやってノイズが走るんだよなあw
おユキさんとラムが自分をスケ番グループだと思っていないのもいいですよねw
でもやってることは弁天以上にえげつなかったりするというw
弁天のケンカにラムが一緒についていこうとするところでカニの先生がやってきますが、あれはアニオリです。
あの先生は「カニ道楽先生」と言って、原作コミックス32巻PART2「思い出は時限爆弾」に登場する中学時代の彼女たちの担任の先生だったりするのですが、ここで登場させるということはあの話はやらないということなのかもしれません。
うーん、いろんな意味でハートウォーミング(笑)な話なだけに残念w
おユキさんが食べているカツアゲした弁当が「カツ揚げ」になってるのはアニオリかなw 原作だと小さくて何がなんだかわからないんですよね。
まあくだらないダジャレですけど、こういう遊びは嫌いではないです。
そもそも、カツアゲとか今時わからんだろーなあw
ていうか、あれはおユキさんの「たかり」なのかw 一番ひどいぞw
でも、このエピソードは三人三様の悪さが出ていて好きなシーンですね。
弁天はある意味わかりやすいワルなんですけど、ラムとおユキさんの本人的にまったく自覚のない悪さ加減がたまらなく魅力的だったりしますw
プロジェクターが壊れるところは中々リアルでしたね。そして、しゅがあの笑顔に食い込むビデオデッキw
弁天がバイクで駆け出すところのBGMはなかなか緊迫感があってよかったです。要所要所で締めることでメリハリが生まれますよね。
おユキさんのあとをつけたスケベエ先輩は原作だと「あとをつけて襲おうとした」んですけど、そこはやっぱりヤバいのかw
ていうか、あとをつけただけで氷漬けされてしまう先輩がかわいそうw
それにしても噂がまったく誇張されてなくて、完全に事実そのままなのがすごいw
コンピュータそると1号のデザインは、原作の「かわいいコックさん」からメカっぽいものに変えられていました。
旧アニメではしっかり再現されていたはずなので一体何でと思ったのですが、どうやらこれは登録商標の関係のようですね。
残念ですが仕方ない処置といえるでしょう。
それでも脱力感というかあほらしさは健在だったので、許容範囲ではあるかなとは思います。
「これは私の問題でもあるのよ!」「だまってみすごせるとでも思って?」
「おユキ…おまえってやつは…」「冷たい女だと思っていたけど……根はあったけえやつだったんだな……」
が最高に好きだったりしますw
ていうか、冷たい女(物理)でもあるしw
請求書が原作通りで笑うw ご丁寧に金額まで同じとかw(あれは“ひとよひとよにひとみごろ”の語呂合わせだったりするのだw)
てか、あれはドル単位なんでしょうかw
「破損せしビデオデッキ及びプロジェクター代」w なんで日本語なのかはあえて突っ込まないでおこうw
弁天どの、も地味に笑えますねw
決闘の場所「スペースベクトルaho」が荒れ果てた岩場みたいなイメージになっていたのはアニオリです。
あの演出も馬鹿馬鹿しさを増幅させてよかったですね。
原作だと、喫茶店の自動ドアが壊れていて風がぴゅーぴゅー吹き込んでいる状態だったんですけど、今考えると不自然ですしね。
荒野のイメージ映像からパッと喫茶店に切り替わるタイミングもぴったりでした。
スイーツにかぶりつくスケ番3人組が間抜けながらもかわいいw
あとそうそう、喫茶店が珍しく「喫茶けたぐり」じゃなかったですねw
原作通り「Silky Way」になっていました。
まあお店の雰囲気は、今風のこんじまりとしたおしゃれな感じにはなっていましたが。
で、ここで一旦アイキャッチが入ります。
Bパート
ぺっぱあの食べ方が汚すぎるw なんだあのべろんべろんはw 舌を回転させるなw
電車ごっこをしながら逃げるところは
「運転手はきっみっだ!車掌はぼくだ!」がカットされていました。まあ今の時代にわかるわけがないので別にいいかw しゅっぽしゅっぽだけでもアホだしw
どうかなと思っていた、「お客さんお勘定~!」もやってくれました!
6人とも普通に無銭飲食というねw(でも計画的犯行ではない)
ラムの電撃は普通に迷惑w
町を破壊してんじゃねーw
しゅがあの能力がテレポーテーションかサイコキネシスかと思いきや、単なる保護色というw
他の二人もそうですけど、まったく攻撃には役に立たない能力なのが面白い。
全部逃げるためだけの能力なんですよね。それで喧嘩を売ろうとしてるんだからw
仏のじんじゃあの死んだふりはいつ見ても最高w
「仏の」って、そっちの仏かよw
こいつの能力だけは本当に意味がないw
しゅがあの弁天に対してのセリフ、「少しくらいちちがでかいからっていばるなよ!」もちゃんとやってくれました!
照れる弁天がかわいいw
うる星の場合、乱暴に見える子こそが女の子らしかったりするのが面白いですね。
たっくるやずるんちょは、声があってもその面白さはまったく損なわれていませんでしたね。なんだか感動すら覚えましたよw
語感がそもそも面白いのであの演出もアリだったりするわけです。
そして、ぺっぱあを追いかける過程で誤って鎖を壊してしまうラムw
彼女はああいう場合、必ずといっていいほど保身に走るんですよねw さらには隠ぺい工作を行おうとするわけです。
でも根が素直だから、ああやって犬が後ろ足で砂をかけるようなことしかやれないというw
もう本当、15話の「思い出危機一発…」の頃からまったく変わっていません。
ずるいんですけど、悪賢くないのでどこか許せちゃう可愛さがあるんですよね。良くも悪くも狡猾さがないんです。
実はラムの一番の魅力なんじゃないかと私は思っています。
で、おユキさんのセリフに必死になってうなずくラムはアニオリw
ほんっと、こいつはw
弁天の恋人の想像シーンはすごく壮大な光景になっていましたねw
夕陽と朝日が同時に拝める星なんて、ちょっとロマンチックかも。太陽が二つある惑星なんでしょうか。
恋人の形見だと思うと、とたんに顔を青ざめるラムがまたいいw こういう思いやり?の心があるのもまた彼女の良さなんです。
そると1号が友引町の空に舞い降りたときの町の人のセリフはそるとのデザインが変わってしまったこともあって、
「ラクガキが空飛んどる」から「ゆるいコックさんが空飛んでる」になっていました。
ゆるいコックさんってw
でもやっぱり、そると1号はラクガキなのが面白いんだよなあ…
足に「こっぺぱん」と書いてあったりするのが最高に笑えるのにw
商標の問題なのでしかたないですけど、もうちょっと何かやりようがなかったかなとは思ってしまいますね。
ラムが勝手な想像をして「友達と鎖とどっちが大切だっちゃ!」と逆切れするのもラムらしくて好きw
なんで鎖とお前のダーリンが同価値だと思うのかw
でも、こういう自己チューな性格こそがラムのラムたるゆえんなんですね。
なお、原作でもあたるはこのラムの想像でしか登場しません。
実はこの話以降、あたるがまったく登場しない回が何度か出てくるようになるんですよね。
うる星やつらの作品内におけるパワーバランスが、少しずつ変わりつつある時期でもありました。
そると1号のエネルギーが「サラダ油一斗缶」なのも原作通りにやってくれてよかったw
「おお、地球でも売っていたか」は何度聞いても笑うw
あれは宇宙共通のエネルギーなのかw
そのエネルギーを得て作動した宇宙最大のコンピューター・そると1号が出した秘策が「鎖だらけ」なのはアホらしくて好きなんですけど、
それを受けての「コンピューター?」「さっきのが?」はやっぱり原作通り「あのラクガキが…?」じゃないと締まりませんね。
コンピュータのデザインが「ラクガキ」だというところがキモなはずで、そこができなくなってしまったのはつくづく残念です。
ラムとおユキさんを式神かポケモンのような扱いで命令する弁天w
連載当時はポケモンもない時代でしたけど、今見ると面白いですねw
でも、やれやれとしながらも言う通りに冷凍してくれるおユキさんがよかったです。なんだかんだいっても、それなりに友達甲斐を感じてる子でもあるんですよね。
本物の鎖に自分の事のように喜ぶラムがまたいいw
一時はどうなることかと思ったっちゃ!がそのまんまの意味だったりしてw
こういう憎めなさというか、天真爛漫さは狙ってできるようなものじゃありませんよね。
本当にその時の素直な感情のままで生きているんだなあと改めて思ってしまいます。
これまでずっとツッコミ役だった弁天が、最後のオチでボケになるのも好きなところですね。
しかも二段オチになってますしw
最終的にラムがツッコミ役に変わるのもうる星の締めとして美しい。
全体的に幼なじみ三人それぞれのキャラの魅力にあふれる話だったと思います。
弁天を中心としてラムとおユキさんとの掛け合いがまるでトリオ漫才のようでもありましたよね。
ただ、ラムもおユキさんもいわゆる小ボケに過ぎないのがポイントでしょうか。
大ボケはどう考えても、あの現役スケ番3人娘ですからw
彼女たちの無謀ともいえる挑戦がラムたちの面白さを引き出してくれたわけです。
さて、次回は
「惑星教師CAO-2」「あな恐ろしや、ワラ人形」
ですね。
「惑星教師CAO-2」は今回に引き続きの「幼なじみ回」になります。ランちゃんも加わっての小学生時代の思い出話に花が咲きますが、そこで今回をさらに上回る悪行が明らかに……
あ、でも、ランちゃんだけは無実ですよ。彼女は純粋たる被害者ですw
「あな恐ろしや、ワラ人形」は了子回ですね。こちらも視聴者がドン引きするようなエグいエピソードになることしょうw
あ、でもどちらかというと面あた回かなw 一部の人たちにはたまらない内容かもしれないですw
それでは、また来週!
●ヘビー仕様
今回は弁天を中心とした「幼なじみ回」だったわけですが、別の視点から見ると「ラムの救済処置」という意味合いもあったんじゃないかと私は考えてます。
すでに何度も言及しているように、ラムというのは元々はゲストキャラでしかありませんでした。主人公のあたるとヒロインであるしのぶが毎回色んなモンスターと巡り合って騒動を起こすギャグストーリーの、その第一話目の相手に過ぎなかったんですね。
ところがこのラム、作者の思惑を遥かに超える存在だったようで、たちまち「うる星やつら」という作品そのものを“侵略”してしまうことになります。
本来は「ただのドタバタSF」を描くつもりだったはずが、あれよあれよと言う間に「三角関係を中心とした恋愛ドタバタ劇」に変えられてしまったわけです。
ここで、作者である高橋留美子の興味深い言葉があります。少し長いですが引用してみましょう。
「ラムは“うる星”の中では、一番理解できないキャラでもあるんです。どちらかというと、私は、ひねくれていたり、コンプレックスを持ったキャラのほうが理解できるので、ラムのように、奔放でまっすぐなキャラって、私からは、一番遠い存在だったりします。まんがの作品の中には、自分に重ならないキャラもいるんだと教えてくれたのも、またラムでした。」(新装版「うる星やつら」第1巻巻末企画「My Lum 01/34 高橋留美子」より引用)
どうです。まさにラムというキャラは作者の頭の外からやってきた侵略者だったということの証左ではないでしょうか。
実際、初期のラムはただあたるを盲目的に追いかける鬼のような存在でした。そのこと自体が「トラブル」の象徴だったんですね。
何を考えているかわからないキャラを動かすには、それがもっともやりやすい形だったのでしょう。
少なくとも、「ラムとあたるとしのぶの三角関係を中心にしたドタバタ劇」だった時代ではそれでうまく回ったんだと思います。
ところが次第にあたるは単なる「巻き込まれキャラ」から「自ら喜んでトラブルに飛び込んでいく主人公」へと変貌していきます。同時にしのぶもヒロインの座から降りて一歩引いた立ち位置へと変わっていくにつれ、ラムというキャラもただあたるを追いかける“トラブルメーカー”ではいられないようになっていくんですね。
外から動かすだけではなく、ちゃんと物語の中に入ってもらう必要が出てきたわけです。
そこで高橋留美子は考えます。ラムを友引高校に転入させてみたり、幼なじみのランちゃんを登場させてみたり、なんとか自らの意志で動いてもらおうとあれこれ色々と試みるんですね。
でも彼女はあたる以外のこととなると、とたんに傍観者的な感じになってしまうんです。彼女は元々あたるに意味もなく惚れこむというところから始まっているので、他には何もないんですよ。まさに「まっすぐなキャラ」だったわけです。
あたるとの関係も落ち着いていくにつれ、次第に彼女も落ち着いていきます。あたるとの追いかけっこも、もはや日々のスキンシップみたいなものですからねw
で、周りには強烈なキャラたちがわんさかいるわけです。まともなやつらが一切いない中で、相対的に一番常識人的なポジションになっていくのは自然な流れでもありました。
でも、それではうる星やつらを大人気作品に押し上げてくれた功労者に対してあまりにもひどい仕打ちではないですか。やっぱりギャグマンガのメインキャラとしてもっと輝いて欲しいと思うのが人情というものでしょう。
では、ラムをもう一度目立たせるためにはどうしたらいいか。
あたるとは関係ないところで、彼女ならではのキャラを見せていくしかありません。
そのためには同じ宇宙人同士で暴れてもらうのが一番手っ取り早いですよね。何よりお互い気心の知れた仲じゃないですか。地球人には理解できない微妙な阿吽の呼吸もあるでしょう。そこをうまく引き出すためにも、「幼なじみ」の彼女たちが適任だったわけです。
実は今回の「失われたモノを求めて」(コミックス19巻)よりも以前に、「惑星教師CAO-2」(コミックス18巻)で「幼なじみ回」を試みています。
こちらは次回の話でもあるのですが、終始「思い出話」に徹している内容なんですね。いうなれば、15話Bパートの「思い出危機一髪…」の拡張版みたいな感じでしょうか。
それはそれで面白いんですけど、やっぱり昔話をしてるだけでは今一つパンチがないんですよ。今のラムのはっちゃけぶりを見せないと本当の意味で彼女のキャラが輝いたとは言えないんです。
そこで、あの三人娘の登場ですよ。
あのどこまでもポンコツでアホな、現役のスケ番グループ。
しょうもない能力しかないのに、無謀にも最強最悪と言われた先代グループに喧嘩を売るクソガキども。
何度も痛い目に遭いながらも決してあきらめようとしない、彼女たちの馬鹿馬鹿しくも愛おしい奮闘ぶりが、ラムたちの素の面白さを引き出してくれるんです。
それはたぶん、あの3人の写し鏡でもあるのでしょう。
彼女たちのアホっぷりに呆れながらも、その実同じレベルで争っている“幼なじみ”3人もまたアホだったりするのですからw
これは私の勝手な推測なのですが、
実は、あの惑星中学スケ番3人娘は、高橋留美子自身と当時のアシスタントであった中野まき子氏とさいとう邦子氏本人なんじゃないかと思っています。
リーダー的存在である七色のしゅがあが高橋留美子、仏のじんじゃあがさいとう邦子氏、そして毒ヘビのぺっぱあが中野まき子氏ですね。
なぜなら、当時不定期連載だったエッセイマンガ「けもこびるの日記」に出てくるお三方のキャラが、あのスケ番3人組にそっくりなんですw
つまり、あまりに動かないラムたちに業を煮やした作者自身が自ら戦いを挑んだ話が今回だったのではないかとw
そして、彼女たちが教えを乞うコンピューター「そると1号」は当時の担当編集者・ありと~こと、有藤智文氏がモデルですねw
有藤氏は高橋留美子と二人三脚でいろんなアイデアを出していたということですし、そういうメタ的な構造も内包していた話だったと考えると、また違った面白さが見えてくるような気がします。
ちなみに、原作のそると1号は

こんな感じでしたw
棒が一本あったとさ はっぱかな はっぱじゃないよ かえるだよ♪
で有名な「絵描きうた」ですね。
(ちなみに上のは私なりそこないが描きました。まさか初のイラスト披露がこんなものになるとは…w)
旧アニメでもこの「かわいいコックさん」だったのにかかわらず、なんで今回デザインが変更になったのかと思いきや、1997年にある会社が商標登録しているようですね。その関係でどうやらNGとなったようです。
ともかく、「ラクガキ」がラムたちの魅力を引き出したと考えると、なんだか痛快ですね。
そういう脱力感も含めて、うる星やつらという作品がまた一つ新たな魅力を獲得した記念すべき回だったんじゃないかと思っています。
なお、スケ番3人娘はこの後も何度かラムたちに戦いを挑みます。
「逆襲!三人組」(コミックス22巻 PART6)、「スケ番グループ色気大作戦」(コミックス24巻 PART4)、「スケ番三人娘、動物作戦」(コミックス27巻 PART6)といった具合ですね。
どれも最高にバカで面白いので、是非アニメでもやって欲しいところです。
特に、「逆襲!三人組」は個人的にすごく好きな一編。弁天やおユキさんには敵わないと見た三人が「一番“軽い”感じがする」ラムに照準を合わせてせこい罠ばかり仕掛けるさまは、馬鹿馬鹿しさを越えてなんだかいじらしくも思えてきますよw
さて、次回は
「惑星教師CAO-2」「あな恐ろしや、ワラ人形」
になります。
「惑星教師CAO-2」は先ほども触れましたが、「幼なじみ回」のプロトタイプみたいな話ですね。「思い出危機一発…」と今回の「失われたモノを求めて」を繋ぐ一編になります。
正直、彼女たちの小学校時代の悪たれぶりにはかなりドン引きするむきも出てくるかと思いますw
どうか、彼女たちは私たち地球人とは違う倫理観の元で生きているんだということを念頭に置きながら楽しんでくださいね。
「あな恐ろしや、ワラ人形」はまたいろんな意味でエグい話w
こちらは地球人の狂気に溢れていますね。まあ事の始まりがあの面堂了子なのですから、言わずもがなという感じですがw
言ってみれば、宇宙人と地球人のドン引き悪行回の競演といったところでしょうか。
でも決して殺伐とはしていないと思うので、14話のトンちゃん回を問題なく楽しめたなら大丈夫だと思います!
……たぶん。
それでは、また来週!
(コックさんは別に描く必要なかったんじゃないかと、今さらながら後悔していますw)
ブルーレイBOX第1巻は3月15日発売!もうすぐですね。
現在放映中の2クール目は第2巻にまとめて入る予定で、6月28日発売!
「失われたモノを求めて;前編」「失われたモノを求めて;激闘3VS3」「失われたモノを求めて;完結編」は19巻に収録されています!
BOXセットが4巻揃って発売中!
ぜひ、原作の深遠なギャグワールドを堪能してください!
新TVアニメ「うる星やつら」のOP/EDテーマ4曲とさらに新曲2曲を加えたCDが3月15日に発売!限定盤にはノンクレジットOP/ED2クール分を収録したBlu-rayが付きます。
3月1日に新TVアニメ「うる星やつら」オリジナルサウンドトラックが発売されました!曲タイトルが興味深いものが多いですね。「君待てども…」で流れたあの印象的な曲も入っています。
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