新TVアニメ「うる星やつら」第14話の帰ってきたライト&ヘビーのハイブリッド感想
※このたび36年ぶりに新しくTVアニメ化された「うる星やつら」。自他共に認める高橋留美子主義者である私なりそこないが、これから毎週視聴した感想をざっくり語っていこうと思います。アニメの感想は慣れていないのであまり深堀はしません。基本原作ガチ勢ですw
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
今回はAパートBパートともに、二つの話を一つにまとめています。
それはもう前回の予告からわかっていたことでした。
だからまあ、ぶっちゃけ不安な気持ちもあったんです。相当詰め込んだ上で、さらにおいしいネタを端折ったりしていないかと。
でも、蓋を開けてみればまったくの杞憂でしたね。むしろこのくらいの話の消化率の方が間延びせずに楽しめるんじゃないかと感じました。
基本どちらのパートもほぼ原作通りと言っていいでしょう。
Aパート「水乃小路家の男」は「校内賭博球技大会」(コミックス14巻PART6)をベースに、「白球にかけた青春」(5巻PART4)を上手く絡めていましたし、Bパート「トLOVEル・レター」は前編後編の話をテンポよく15分内で収めることに成功しています。
点数はAパート「水乃小路家の男」が9点、Bパート「トLOVEル・レター」が9.5点かな。
4話や11話同様、原作に思い入れがない話だとかえって素直に楽しめる感じです。
逆に原作がすごく好きだった前回は少し辛めだったりするから面白いですね。
今回はドタバタをも超えた過激な暴力ギャグでもあるので、人を選ぶかと思います。まあトンちゃんや了子の話はどうしてもそうなる宿命なんですけどw
でもそこを度外視すればこんなに楽しい世界は他にないとも言えます。うる星やつらの中でも最北端にあるギャグの極致を思う存分味わってくださいw
というわけで、さっそく「うる星やつら」第14話のライト仕様感想から行ってみましょう!
●ライト仕様
テンポのよさはアバンにも表れていましたね。
トンちゃんの熱血アホキャラが一発でわかる演出になっていました。
仰々しいBGMもハマっていましたし、そこに重なる下駄のSEがまた雰囲気を盛り上げます。
声も無駄にイケメンボイスで、ポンコツぶりとのギャップがより面白く感じられたのではないでしょうか。
サブタイトルがすぐ出てそのままOPに行く感じもよかったですし、メリハリのよく効いた導入部分だったと思います。
さてAパート。
ベースとなっているのはトンちゃん再登場回である「校内賭博球技大会」(14巻PART6)でしたね。
彼の初登場回である「白球にかけた青春」は5巻とかなり初期の話ですし、まだラムも友引高校に入学してない頃ですから、これは当然の判断でしょう。話的にも了子と絡めた方が面白いですし。
しかし「友引高校校内球技大会」はいいとして、◯◯年度 第××回ってなんだよw テンプレートをそのまま掲げるなw
ネタでやってるのか素なのかわかりませんが、初っ端からツッコまざるを得ませんでしたw(原作では単に友引高校校内球技大会のみ)
それと、これは原作通りなんですけど、あたるとコースケの会話がむちゃくちゃ説明口調じゃありませんでした?
マンガだとそんなに気にならないんですけど、やっぱり声が入ると若干違和感がありますね。
でもまあ、あれがないと話が始まりませんしそこは仕方ないのかもしれません。この回の肝はあたるたちが「八百長試合」を目論んでいるところにありますから。
トンちゃんがボールを食べたり器用に吐き出すシーンは「白球にかけた青春」(5巻PART4)から。
その後の山から下りてきたとか子供の頃の一連の思い出もそこからになります。
ここは見ていて継ぎ接ぎをしていたことに気付かなかったくらいに自然でしたね。実にスムーズな流れだったと思います。
ただ、了子登場時のかっぽんかっぽんはいらんだろwうるさいわw
あと、なんで面堂とあたるはトンちゃんを殴ったw
原作では「…にしようと心に決めたおかた」のセリフで寸止めするんですよ。
ていうか、面堂に至っては真剣持ってるしw(原作では二人ともバット)
でも、一応刃の向きは峰打ちになっていましたね。そこはさすがに躊躇したんでしょうかw
あたるがトンちゃんの入団テストをする下りはアニオリ。
アニメではここが彼らの初対面なのだから当然の改変と言えますね。
(原作に於いてあたるは、すでに過去の試合でトンちゃんの実力を知っている)
面堂との対決でトンちゃんが一回空振りするところ、そしてラムとあたるの「ダーリンなんで喜んでるっちゃ?」「喜んでるわけないだろう」といったやりとりもアニオリになります。
ここで一拍置くことで、黒子の反則(?)がより生きてきますよね。
まあしかし、その後の展開は茶番の一言w
面堂も含めてあれに本気で焦ってるのが笑えますw 「やばい!」じゃねーってのw
それにしても、明らかに八百長していたのはあたるとコースケの二人だけだったようですね。
他のメンバーはその辺の事情を知らなかったように見えました。
一応後から原作を確認してみたのですが、そこでは彼らの他にあと二人絡んでいるだけで、大会に参加しているほとんどの生徒は知らなかったようです。うーん、40年たって初めて知る事実w
最初のオチである落とし穴は原作よりも大掛かりになっていました。(原作だとホームベースの部分だけ)
ていうか、いつの間にあんなに掘れたんだw 黒子は肩で息してるしw
最後のトンちゃんがボールをパチンコ大当たりのように大量に吐き出すのは、「白球にかけた青春」(5巻PART4)からですね。
初期の初登場回と中期の彼の復活回をうまくミックスさせていたのが実に印象的でした。
あと、ラムの「絶対負けないっちゃ!」というセリフがなんだかいいなあと思いました。
彼女がこの中で一番試合を楽しんでる様がなんとも微笑ましいです。
感覚は普通じゃないんですけど、この中では相対的にまともに見えるのが面白いですね。
そう、本来なら八百長をやっているあたるたちが一番狂ってるというかダメなんですよ。
でも、そこにトンちゃんや了子が入り込むことによってそんな常識的な善悪がおかしくなってくるんですよね。もっと次元の違うヤバさに浸食されるんでw
結果的にラムが常識側に見えてきてしまうねじれた構造がこの回の肝だったんだと思います。
Bパート。
こちらはほぼ原作通りでした。前後編の話をカットなしだったのはすごい!
テンポもAパート以上によくて、小気味よさを感じましたね。
朝の散歩のタコの鳴き声は可愛かったw
あれはチュウチュウって鳴いてるんでしょうか。それともキュウキュウ?ちょっと聞き取れませんでしたね。てかタコって鳴くのか?
セメント責めをそのままやるかあ~w まあいいけどw
あれはもう、こういうことが普通に受け入れられる世界なんだと思ってもらうしかないネタですね。
ある意味、踏み絵ですよ。あれがダメなら、了子というキャラ自体もダメでしょう。
日曜日の諸星家の朝は、原作だとAM10:00だったんですけど、なんで11時にしたんだかw
こういうわけのわからん改変は逆にちょっと面白いですね。10時だと「ゆったりした日曜日」のイメージじゃないと思ったんでしょうかw
朝の食卓には10話「君去りし後」に続いて、またしても鮭が。あれが諸星家の定番なんでしょうか。
あの時は学校がある日だったのでラムも制服でしたが、今回は休日ということで普段のビキニ姿でしたね。なんだかシュールw(まあ原作通りなんですけど)
あと、あたるは食べ盛りなのか、ご飯が超大盛りになっていましたw
黒子が持ってきた電話は、なんか公衆電話みたいな色していましたね。黒子に黒電話だとわかりづらいからという配慮からでしょうか。
でも、本来ならもっとスタイリッシュな電話でもいいと思うんですよね、面堂財閥からの連絡なんですから。そこをあえて家電話というのが了子のキャラっぽさが出ているなあと思います。
そういえば黒子たちのカゴは原作だと一応ちゃんと玄関から出ていくんですけど、ここでは割ったガラス窓からそのまま出ていきましたねw
原作の帰りだけ礼儀正しい感じもおかしかったのですが、あれはあれで面白いかもw
その後のあすれちっくらんどでのあれこれは全部原作通りと言っていいでしょう。
まあラムがトンちゃんを手助けするシーンは原作以上にひどい扱いだったけどw
「男の子が女の子を好きになるのは恥ずかしいことじゃないっちゃ!」は名言w
ここのラムのアップが今回一番のハイライトかも。てか、顔が近いw
ああいう無自覚な天真爛漫さは彼女の罪な部分ですよね。
(実は私が「2クール目でやりそうな原作予想」の次点で挙げた「トンちゃんの駆け落ち!」ではラムとトンちゃんの仲を疑うレアな了子の姿も見られるのだ!ああアニメで見たかった…)
オチも含めて、ここまでほぼ原作そのままだったのは初めてだったような気がします。
元が2話に渡っているのに、なんだか不思議ですね。
それはある意味、原作が普通に1話でやれる内容を水増しして前編後編に分けていたという見方もできるわけで、少し複雑でもあります。
もしかすると、当時それほど好きではなかったのはそういう部分を感じ取っていたからなのかもしれません。
ただ、内容自体はかなり面白かったので、それが再確認できただけでもよかったなと思います。
そういった意味では、原作を超えた回でしたよ。
さて、次回予告ですけど、これがまた二重三重に驚くことばかりで…
「あんこ悲しや、恋の味!?」「思い出危機一髪…」「薬口害」
まさか6話に続いて、再び3本立てが来るとは思いませんでしたよ。
あれはCパートの「あたるの引退」が番外編みたいなものでしたから成り立ったわけで、やっぱり例外的な処置だったと思うんですよね。
普通の回ではそんなぞんざいな扱いをして欲しくはないんです。
ていうか、なんでランちゃんの話の時に限ってこんな扱いなんだ!
しかももう一つの「薬口害」も私のイチオシの話だし!
…でもまあ、今回のようにかえってタイトにテンポよく構成した方がいい作品になるのかもしれません。
なるべくカットせずに原作の面白さをより膨らませる形になっていることを望むばかりですね。
それでは、また来週!
ここからはヘビー仕様になります。
●ヘビー仕様
前回の予告編のところでちらっと触れましたが、実はトンちゃんのキャラは少し苦手でした。
十字マークが入る目もなんだか気色悪いし、スポ根もののパロキャラというのもなんだかうる星やつらの世界観に合っていないような気がしていたんですよね。
決してつまらないわけじゃないんですけど、どこか居心地の悪さみたいなものを感じていたのは事実です。
例えば今回のAパートにも出てきたボールを食べちゃうとか、また吐き出すとか、叩けばパチンコの大フィーバーよろしく大量に吐き出すギャグは、シュールを越えてナンセンスギャグだと思うんですよね。
私が好きなるーみっくギャグはもっとセンスのあるスマートな笑いだと思っていたので、そこに微妙な齟齬を感じていたわけです。
あと、キャラデザもなんだか苦手でした。ファンの間では「シイタケ」と言われていた、白い十字が目の中心に入っているやつですね。
あれは巨人の星とかに代表される1970年代のスポ根ものへのイジリなんでしょうけど、当時1980年代を生きていた私にとってはなんか古いセンスのように思えたんです。
話自体の馬鹿馬鹿しさは好きだっただけに、よけいにその気持ち悪さが気になっていました。
けっきょく彼はその後「ビキニを奪え」(5巻PART8)という回以降登場しなくなるのですが、私の中ではその時限りのゲストキャラという認識でしたね。
そんな中、長い沈黙を破って14巻の「校内賭博球技大会」で彼が復活した時には正直戸惑いました。
その少し前に「クラマ復活」もあっただけに、再登場ということに過敏になっていたのでしょう。なんだか古い亡霊ばかり甦ってくるような気がして……
ところが、蓋を開けてみれば「校内賭博球技大会」はむちゃくちゃ面白かったんです。あれ、トンちゃんってこんなに面白かったっけと首をかしげるくらいw
それはなんでだろうと考えてみるに、了子という存在にぶち当たるわけですよ。
そう、彼女がトンちゃんの垢抜けなさを見事に払しょくしてくれたんです。
了子はうる星の中でも最も狂ったキャラです。そこに一切の人間性は存在しません。
でも、だからこそ、自由に過激というか倫理観に反したギャグを繰り広げられるわけです。
ただ、その強烈さゆえに、どうしても他のキャラの影が薄くなってしまうきらいがあります。
それはラムやあたるも例外ではありません。あの面堂終太郎でさえ、彼女の手にかかれば常識人となってしまいますから。
了子が繰り出すギャグワールドはうる星やつらの極北なんです。
そこでトンちゃんですよ。彼の熱血アホさぶりがそこに実にうまくマッチするんですね。
彼女には恋心もない代わりに悪意もありません。
別にトンちゃんをいたぶろうとしてるわけでもないんです。
単にいたずらの延長というか、すべては自分が楽しければそれでいいという純粋な衝動。
ある意味、すごくピュアな存在でもあるんですよ。
そのピュアさが彼と絡むときにもっとも輝くことに気が付いたわけです。
その相性の良さはBパートの「トLOVEル・レター」でより鮮明になります。
鉄球やバーベル、あと手りゅう弾w
どう考えてもやばいを通り越して戦慄を覚えるレベルでしょう。
でも了子に悪意は一切ないんです。普通のバイオレンスギャグだと、そこに策略だったり相手を攻撃しようとする意志があるものですが、彼女にはそれがない。純粋そのものなんですね。
そこが彼女の面白さでもあるんです。
その面白さを体で受け止めて笑いにできるのはトンちゃんだけです。
どんなひどい目に遭っても次のシーンでは元通りというギャグ不文律が根底にある世界なのですから。
それはたぶん、一話完結型のギャグマンガであることに根差しているからなんだろうとも思いますね。
一話ごとにリセット可能な世界だからこそ成り立つ世界なわけです。その辺、めぞん一刻やらんま1/2とも違いますね。
まあそういったわけで、今回の話で改めてトンちゃんと了子の相性の良さを再認識した次第です。
そういえば余談になりますけど、ラムも了子ほどではないにせよ時々ピュアなヤバさが顔を出しますよね。
今回でいえば、トンちゃんを降ろすのを手伝うシーンとかむちゃくちゃなことになっていましたよw
あと、あたるの首を掴んで宙に浮いてるシーンw
彼女も了子ほどは狂っていませんが、やっぱり無自覚な天然鬼畜ぶりがあるんです。
あれも別に殺意とかがあるわけではないんですよ。まあだからこそやばいんですけどw
そういった意味でも、彼女の相手ができるのはやっぱりあたるしかいないのでしょう。
ラムの天然鬼畜さは、次回のランちゃんの話やその後の小学校時代の話でも描かれるはずです。
ただラムは一方ですごく優しい心も持っているわけですが、了子は純粋に狂気しかないという点で異彩を放っていますね。
さて、次回は
「あんこ悲しや、恋の味!?」「思い出危機一髪…」「薬口害」
ですよ。
分かって選んでいるんじゃないかと思うくらいに私の好きな話ばかりを集めておいて、3本立てとは!
いったいどんな嫌がらせですかw
「あんこ悲しや、恋の味!?」(17巻 PART3)はランちゃんとレイの甘~い(?)お話です。
これだけでも悶絶ものなのに、「思い出危機一髪…」(7巻 PART1)ですからね。
ランちゃんがラムを恨むようになったわけが明らかになるこの話は涙なしでは語れませんよ。これを短くカットなんて絶対に許されない!
で、最後の「薬口害」(11巻 PART1)。これがまた地味だけど面白いんですよ。深いようで深くない、それでいて裏を読みたくなるような絶妙なバランスの元に立っている話なんですね。
決してCパートでおまけ的な扱いを受けるようないわれはないんです。
本当勘弁してもらいたい。
ただ逆にいえば、今回くらいのテンポでしっかりまとめてくれればかえってよくなるかもしれませんね。ていうかそうでも思わなきゃやってられないw
個人的に6話もすごく評価していますし、その辺に期待をしたいところです。
あと考えてみればこれで30分1話ものがもう一枠生まれるわけで、前回言及した「失われたモノを求めて」なんかは1本でじっくり見せてくれる可能性が出てきましたね。そこはよかったかな。
まあとにかく、次回の3本は特に私の思い入れが強いものばかりなので、今回とは逆に辛めな評価になるかもしれませんね。
それでは、また来週!
(なんか最後は愚痴っぽくなってしまったが…)
ブルーレイBOX第1巻は3月15日発売!
2クール分は第2巻にまとめて入る予定。6月28日発売です!
「水乃小路家の男」の元になる「校内賭博球技大会」は14巻、「トLOVEル・レター」は20巻に収録されています!
BOXセットがついに4巻揃い踏み!Vol.4に付いてくるミニ原画集はすごいですよ。私も初めて見る原画がありました。これだけでも単独で発売してもいい出来だと思います。
うる星やつら 令和版ラブセレクション (上巻) (下巻) も絶賛発売中!
うる星ハンターである私もさっそく手に入れましたが…上巻のセレクトがかなり謎だったw
3月1日に新TVアニメ「うる星やつら」オリジナルサウンドトラックが発売決定!全 92 曲収録とのことです。
(私の新アニメ「うる星やつら」への思いはこちらとこちらで。)
今回はAパートBパートともに、二つの話を一つにまとめています。
それはもう前回の予告からわかっていたことでした。
だからまあ、ぶっちゃけ不安な気持ちもあったんです。相当詰め込んだ上で、さらにおいしいネタを端折ったりしていないかと。
でも、蓋を開けてみればまったくの杞憂でしたね。むしろこのくらいの話の消化率の方が間延びせずに楽しめるんじゃないかと感じました。
基本どちらのパートもほぼ原作通りと言っていいでしょう。
Aパート「水乃小路家の男」は「校内賭博球技大会」(コミックス14巻PART6)をベースに、「白球にかけた青春」(5巻PART4)を上手く絡めていましたし、Bパート「トLOVEル・レター」は前編後編の話をテンポよく15分内で収めることに成功しています。
点数はAパート「水乃小路家の男」が9点、Bパート「トLOVEル・レター」が9.5点かな。
4話や11話同様、原作に思い入れがない話だとかえって素直に楽しめる感じです。
逆に原作がすごく好きだった前回は少し辛めだったりするから面白いですね。
今回はドタバタをも超えた過激な暴力ギャグでもあるので、人を選ぶかと思います。まあトンちゃんや了子の話はどうしてもそうなる宿命なんですけどw
でもそこを度外視すればこんなに楽しい世界は他にないとも言えます。うる星やつらの中でも最北端にあるギャグの極致を思う存分味わってくださいw
というわけで、さっそく「うる星やつら」第14話のライト仕様感想から行ってみましょう!
●ライト仕様
テンポのよさはアバンにも表れていましたね。
トンちゃんの熱血アホキャラが一発でわかる演出になっていました。
仰々しいBGMもハマっていましたし、そこに重なる下駄のSEがまた雰囲気を盛り上げます。
声も無駄にイケメンボイスで、ポンコツぶりとのギャップがより面白く感じられたのではないでしょうか。
サブタイトルがすぐ出てそのままOPに行く感じもよかったですし、メリハリのよく効いた導入部分だったと思います。
さてAパート。
ベースとなっているのはトンちゃん再登場回である「校内賭博球技大会」(14巻PART6)でしたね。
彼の初登場回である「白球にかけた青春」は5巻とかなり初期の話ですし、まだラムも友引高校に入学してない頃ですから、これは当然の判断でしょう。話的にも了子と絡めた方が面白いですし。
しかし「友引高校校内球技大会」はいいとして、◯◯年度 第××回ってなんだよw テンプレートをそのまま掲げるなw
ネタでやってるのか素なのかわかりませんが、初っ端からツッコまざるを得ませんでしたw(原作では単に友引高校校内球技大会のみ)
それと、これは原作通りなんですけど、あたるとコースケの会話がむちゃくちゃ説明口調じゃありませんでした?
マンガだとそんなに気にならないんですけど、やっぱり声が入ると若干違和感がありますね。
でもまあ、あれがないと話が始まりませんしそこは仕方ないのかもしれません。この回の肝はあたるたちが「八百長試合」を目論んでいるところにありますから。
トンちゃんがボールを食べたり器用に吐き出すシーンは「白球にかけた青春」(5巻PART4)から。
その後の山から下りてきたとか子供の頃の一連の思い出もそこからになります。
ここは見ていて継ぎ接ぎをしていたことに気付かなかったくらいに自然でしたね。実にスムーズな流れだったと思います。
ただ、了子登場時のかっぽんかっぽんはいらんだろwうるさいわw
あと、なんで面堂とあたるはトンちゃんを殴ったw
原作では「…にしようと心に決めたおかた」のセリフで寸止めするんですよ。
ていうか、面堂に至っては真剣持ってるしw(原作では二人ともバット)
でも、一応刃の向きは峰打ちになっていましたね。そこはさすがに躊躇したんでしょうかw
あたるがトンちゃんの入団テストをする下りはアニオリ。
アニメではここが彼らの初対面なのだから当然の改変と言えますね。
(原作に於いてあたるは、すでに過去の試合でトンちゃんの実力を知っている)
面堂との対決でトンちゃんが一回空振りするところ、そしてラムとあたるの「ダーリンなんで喜んでるっちゃ?」「喜んでるわけないだろう」といったやりとりもアニオリになります。
ここで一拍置くことで、黒子の反則(?)がより生きてきますよね。
まあしかし、その後の展開は茶番の一言w
面堂も含めてあれに本気で焦ってるのが笑えますw 「やばい!」じゃねーってのw
それにしても、明らかに八百長していたのはあたるとコースケの二人だけだったようですね。
他のメンバーはその辺の事情を知らなかったように見えました。
一応後から原作を確認してみたのですが、そこでは彼らの他にあと二人絡んでいるだけで、大会に参加しているほとんどの生徒は知らなかったようです。うーん、40年たって初めて知る事実w
最初のオチである落とし穴は原作よりも大掛かりになっていました。(原作だとホームベースの部分だけ)
ていうか、いつの間にあんなに掘れたんだw 黒子は肩で息してるしw
最後のトンちゃんがボールをパチンコ大当たりのように大量に吐き出すのは、「白球にかけた青春」(5巻PART4)からですね。
初期の初登場回と中期の彼の復活回をうまくミックスさせていたのが実に印象的でした。
あと、ラムの「絶対負けないっちゃ!」というセリフがなんだかいいなあと思いました。
彼女がこの中で一番試合を楽しんでる様がなんとも微笑ましいです。
感覚は普通じゃないんですけど、この中では相対的にまともに見えるのが面白いですね。
そう、本来なら八百長をやっているあたるたちが一番狂ってるというかダメなんですよ。
でも、そこにトンちゃんや了子が入り込むことによってそんな常識的な善悪がおかしくなってくるんですよね。もっと次元の違うヤバさに浸食されるんでw
結果的にラムが常識側に見えてきてしまうねじれた構造がこの回の肝だったんだと思います。
Bパート。
こちらはほぼ原作通りでした。前後編の話をカットなしだったのはすごい!
テンポもAパート以上によくて、小気味よさを感じましたね。
朝の散歩のタコの鳴き声は可愛かったw
あれはチュウチュウって鳴いてるんでしょうか。それともキュウキュウ?ちょっと聞き取れませんでしたね。てかタコって鳴くのか?
セメント責めをそのままやるかあ~w まあいいけどw
あれはもう、こういうことが普通に受け入れられる世界なんだと思ってもらうしかないネタですね。
ある意味、踏み絵ですよ。あれがダメなら、了子というキャラ自体もダメでしょう。
日曜日の諸星家の朝は、原作だとAM10:00だったんですけど、なんで11時にしたんだかw
こういうわけのわからん改変は逆にちょっと面白いですね。10時だと「ゆったりした日曜日」のイメージじゃないと思ったんでしょうかw
朝の食卓には10話「君去りし後」に続いて、またしても鮭が。あれが諸星家の定番なんでしょうか。
あの時は学校がある日だったのでラムも制服でしたが、今回は休日ということで普段のビキニ姿でしたね。なんだかシュールw(まあ原作通りなんですけど)
あと、あたるは食べ盛りなのか、ご飯が超大盛りになっていましたw
黒子が持ってきた電話は、なんか公衆電話みたいな色していましたね。黒子に黒電話だとわかりづらいからという配慮からでしょうか。
でも、本来ならもっとスタイリッシュな電話でもいいと思うんですよね、面堂財閥からの連絡なんですから。そこをあえて家電話というのが了子のキャラっぽさが出ているなあと思います。
そういえば黒子たちのカゴは原作だと一応ちゃんと玄関から出ていくんですけど、ここでは割ったガラス窓からそのまま出ていきましたねw
原作の帰りだけ礼儀正しい感じもおかしかったのですが、あれはあれで面白いかもw
その後のあすれちっくらんどでのあれこれは全部原作通りと言っていいでしょう。
まあラムがトンちゃんを手助けするシーンは原作以上にひどい扱いだったけどw
「男の子が女の子を好きになるのは恥ずかしいことじゃないっちゃ!」は名言w
ここのラムのアップが今回一番のハイライトかも。てか、顔が近いw
ああいう無自覚な天真爛漫さは彼女の罪な部分ですよね。
(実は私が「2クール目でやりそうな原作予想」の次点で挙げた「トンちゃんの駆け落ち!」ではラムとトンちゃんの仲を疑うレアな了子の姿も見られるのだ!ああアニメで見たかった…)
オチも含めて、ここまでほぼ原作そのままだったのは初めてだったような気がします。
元が2話に渡っているのに、なんだか不思議ですね。
それはある意味、原作が普通に1話でやれる内容を水増しして前編後編に分けていたという見方もできるわけで、少し複雑でもあります。
もしかすると、当時それほど好きではなかったのはそういう部分を感じ取っていたからなのかもしれません。
ただ、内容自体はかなり面白かったので、それが再確認できただけでもよかったなと思います。
そういった意味では、原作を超えた回でしたよ。
さて、次回予告ですけど、これがまた二重三重に驚くことばかりで…
「あんこ悲しや、恋の味!?」「思い出危機一髪…」「薬口害」
まさか6話に続いて、再び3本立てが来るとは思いませんでしたよ。
あれはCパートの「あたるの引退」が番外編みたいなものでしたから成り立ったわけで、やっぱり例外的な処置だったと思うんですよね。
普通の回ではそんなぞんざいな扱いをして欲しくはないんです。
ていうか、なんでランちゃんの話の時に限ってこんな扱いなんだ!
しかももう一つの「薬口害」も私のイチオシの話だし!
…でもまあ、今回のようにかえってタイトにテンポよく構成した方がいい作品になるのかもしれません。
なるべくカットせずに原作の面白さをより膨らませる形になっていることを望むばかりですね。
それでは、また来週!
ここからはヘビー仕様になります。
●ヘビー仕様
前回の予告編のところでちらっと触れましたが、実はトンちゃんのキャラは少し苦手でした。
十字マークが入る目もなんだか気色悪いし、スポ根もののパロキャラというのもなんだかうる星やつらの世界観に合っていないような気がしていたんですよね。
決してつまらないわけじゃないんですけど、どこか居心地の悪さみたいなものを感じていたのは事実です。
例えば今回のAパートにも出てきたボールを食べちゃうとか、また吐き出すとか、叩けばパチンコの大フィーバーよろしく大量に吐き出すギャグは、シュールを越えてナンセンスギャグだと思うんですよね。
私が好きなるーみっくギャグはもっとセンスのあるスマートな笑いだと思っていたので、そこに微妙な齟齬を感じていたわけです。
あと、キャラデザもなんだか苦手でした。ファンの間では「シイタケ」と言われていた、白い十字が目の中心に入っているやつですね。
あれは巨人の星とかに代表される1970年代のスポ根ものへのイジリなんでしょうけど、当時1980年代を生きていた私にとってはなんか古いセンスのように思えたんです。
話自体の馬鹿馬鹿しさは好きだっただけに、よけいにその気持ち悪さが気になっていました。
けっきょく彼はその後「ビキニを奪え」(5巻PART8)という回以降登場しなくなるのですが、私の中ではその時限りのゲストキャラという認識でしたね。
そんな中、長い沈黙を破って14巻の「校内賭博球技大会」で彼が復活した時には正直戸惑いました。
その少し前に「クラマ復活」もあっただけに、再登場ということに過敏になっていたのでしょう。なんだか古い亡霊ばかり甦ってくるような気がして……
ところが、蓋を開けてみれば「校内賭博球技大会」はむちゃくちゃ面白かったんです。あれ、トンちゃんってこんなに面白かったっけと首をかしげるくらいw
それはなんでだろうと考えてみるに、了子という存在にぶち当たるわけですよ。
そう、彼女がトンちゃんの垢抜けなさを見事に払しょくしてくれたんです。
了子はうる星の中でも最も狂ったキャラです。そこに一切の人間性は存在しません。
でも、だからこそ、自由に過激というか倫理観に反したギャグを繰り広げられるわけです。
ただ、その強烈さゆえに、どうしても他のキャラの影が薄くなってしまうきらいがあります。
それはラムやあたるも例外ではありません。あの面堂終太郎でさえ、彼女の手にかかれば常識人となってしまいますから。
了子が繰り出すギャグワールドはうる星やつらの極北なんです。
そこでトンちゃんですよ。彼の熱血アホさぶりがそこに実にうまくマッチするんですね。
彼女には恋心もない代わりに悪意もありません。
別にトンちゃんをいたぶろうとしてるわけでもないんです。
単にいたずらの延長というか、すべては自分が楽しければそれでいいという純粋な衝動。
ある意味、すごくピュアな存在でもあるんですよ。
そのピュアさが彼と絡むときにもっとも輝くことに気が付いたわけです。
その相性の良さはBパートの「トLOVEル・レター」でより鮮明になります。
鉄球やバーベル、あと手りゅう弾w
どう考えてもやばいを通り越して戦慄を覚えるレベルでしょう。
でも了子に悪意は一切ないんです。普通のバイオレンスギャグだと、そこに策略だったり相手を攻撃しようとする意志があるものですが、彼女にはそれがない。純粋そのものなんですね。
そこが彼女の面白さでもあるんです。
その面白さを体で受け止めて笑いにできるのはトンちゃんだけです。
どんなひどい目に遭っても次のシーンでは元通りというギャグ不文律が根底にある世界なのですから。
それはたぶん、一話完結型のギャグマンガであることに根差しているからなんだろうとも思いますね。
一話ごとにリセット可能な世界だからこそ成り立つ世界なわけです。その辺、めぞん一刻やらんま1/2とも違いますね。
まあそういったわけで、今回の話で改めてトンちゃんと了子の相性の良さを再認識した次第です。
そういえば余談になりますけど、ラムも了子ほどではないにせよ時々ピュアなヤバさが顔を出しますよね。
今回でいえば、トンちゃんを降ろすのを手伝うシーンとかむちゃくちゃなことになっていましたよw
あと、あたるの首を掴んで宙に浮いてるシーンw
彼女も了子ほどは狂っていませんが、やっぱり無自覚な天然鬼畜ぶりがあるんです。
あれも別に殺意とかがあるわけではないんですよ。まあだからこそやばいんですけどw
そういった意味でも、彼女の相手ができるのはやっぱりあたるしかいないのでしょう。
ラムの天然鬼畜さは、次回のランちゃんの話やその後の小学校時代の話でも描かれるはずです。
ただラムは一方ですごく優しい心も持っているわけですが、了子は純粋に狂気しかないという点で異彩を放っていますね。
さて、次回は
「あんこ悲しや、恋の味!?」「思い出危機一髪…」「薬口害」
ですよ。
分かって選んでいるんじゃないかと思うくらいに私の好きな話ばかりを集めておいて、3本立てとは!
いったいどんな嫌がらせですかw
「あんこ悲しや、恋の味!?」(17巻 PART3)はランちゃんとレイの甘~い(?)お話です。
これだけでも悶絶ものなのに、「思い出危機一髪…」(7巻 PART1)ですからね。
ランちゃんがラムを恨むようになったわけが明らかになるこの話は涙なしでは語れませんよ。これを短くカットなんて絶対に許されない!
で、最後の「薬口害」(11巻 PART1)。これがまた地味だけど面白いんですよ。深いようで深くない、それでいて裏を読みたくなるような絶妙なバランスの元に立っている話なんですね。
決してCパートでおまけ的な扱いを受けるようないわれはないんです。
本当勘弁してもらいたい。
ただ逆にいえば、今回くらいのテンポでしっかりまとめてくれればかえってよくなるかもしれませんね。ていうかそうでも思わなきゃやってられないw
個人的に6話もすごく評価していますし、その辺に期待をしたいところです。
あと考えてみればこれで30分1話ものがもう一枠生まれるわけで、前回言及した「失われたモノを求めて」なんかは1本でじっくり見せてくれる可能性が出てきましたね。そこはよかったかな。
まあとにかく、次回の3本は特に私の思い入れが強いものばかりなので、今回とは逆に辛めな評価になるかもしれませんね。
それでは、また来週!
(なんか最後は愚痴っぽくなってしまったが…)
ブルーレイBOX第1巻は3月15日発売!
2クール分は第2巻にまとめて入る予定。6月28日発売です!
「水乃小路家の男」の元になる「校内賭博球技大会」は14巻、「トLOVEル・レター」は20巻に収録されています!
BOXセットがついに4巻揃い踏み!Vol.4に付いてくるミニ原画集はすごいですよ。私も初めて見る原画がありました。これだけでも単独で発売してもいい出来だと思います。
うる星やつら 令和版ラブセレクション (上巻) (下巻) も絶賛発売中!
うる星ハンターである私もさっそく手に入れましたが…上巻のセレクトがかなり謎だったw
3月1日に新TVアニメ「うる星やつら」オリジナルサウンドトラックが発売決定!全 92 曲収録とのことです。
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