私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!21巻 感想~ここから先、「予告編」はありません~
3月11日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」21巻が発売されました。
10巻を一つの区切りということでワン・ディケイドと考えるなら、ついに第三の時代に突入したという感慨深さがありますね。これだけ巻数を重ねると、なんだか有名人気漫画の一員になったような気がしますw
まあ、10巻のあとがきじゃないですけどさすがに30巻はないとは思いますが、新たな時代の幕開けということで感想を書く方としてもなんだか身の引き締まる思いがしますね。
というわけで遅くなりましたが、今回も21巻の感想を綴っていきます。よければお付き合いのほどを。
※各話(喪193から喪199+特別編)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪193「モテないしラーメンでも食っていく」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-412.html
喪194「モテないしそんな日はない」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-416.html
喪195「モテないし個性」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-419.html
喪196「モテないし映画作りは進まない」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-422.html
喪197「モテないし少し進行する」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-424.html
喪198「モテないし優ちゃんの学校に行く」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-427.html
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-429.html
喪199「モテないし3年秋」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-431.html
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-432.html
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-435.html
特別編11
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-387.html
特別編12
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-438.html
●友モテ3人の記念写真(?)から見えてくるもの
まずはいつものように表紙から見ていきましょう。
6巻以来の友モテトリオ揃い踏みとなるわけですが、ゆうちゃんの文化祭に行く話が今巻の“核”になるのは間違い無いので、これ自体は王道なチョイスですね。
注目すべきは位置関係と制服。
位置関係ではまずもこっちが久々にセンター正面に入っているのがポイントになります。ソロ表紙だった18巻を除けば14巻以来になりますでしょうか。正面も向きつつも目線は下を見ているのが印象的ですね。
一見すると3人の記念写真のように見える構図ですが、制服が冬服であることを考えると本郷高校の文化祭時ではないことは明らかです。ひょっとすると、これから行われるはずの原幕高校の文化祭での一枚でしょうか?
でも3人ともお揃いでゆうちゃんの学校の制服を着てるわけで、そこには時系列的にねじれが生じますよね。
最近本編でも時系列を入れ替えたりして、その辺をあえてぼかす手法が目立っているように思いますが、表紙でもそういった演出を取り入れているような気がします。
この構図も具体的な場面を想定したものではなく、3人の「今」を象徴するようなものなのではないでしょうか。
夏服だと、本編との直接的なつながりを意識してしまうところが出てきますからね。ここはあくまで抽象的な意味での絵を見せたかったのかなと。三人が同じ高校に進学したパラレルワールド的なニュアンスもそこにはあるかもしれません。
それぞれの手の置き方も面白いですよね。
もこっちは恥ずかしそうにハート形を作ってるし、小宮山さんは片方をポケットに入れて片方でポーズ?を取っています。(これは向かって右にいることも含めて6巻と酷似してるのが面白い)
そしてゆうちゃんは素直にピースサイン。それぞれの照れ具合というか、中学以来続くトリオへの距離感みたいなものを感じられます。
販促帯の「変わる世界で変わらぬ関係。」というコピーは非常に印象的で秀逸だとは思いますが、個人的にはこの表紙を見ていると3人の関係性も6巻の頃と比べて少し変わったように思えますね。
また、コピー以上に背景のイラストのチョイスが素晴らしいなと感じました。
他にも3人が揃っているシーンはあったかと思うのですが、本編では割と小さめに描かれていたところですよね。表紙との対比という意味もあるかとは思いますが、あえて3人の表情を見せないことで、逆にそれぞれの背中がいろんなことを物語っているような気がします。
センスあふれる、いいデザインですよね。
●中表紙も今回はなんだか抽象的
具体的な場面がはっきりしないといえば、ページをめくって最初に目に飛び込んでくる「中表紙」もそうですよね。
いったいこれはどういうシチュエーションなんだろうとすごく気になります。
ベランダから教室に戻る構図というと、むしろ20巻収録の喪192「モテないし文化祭までの毎日」のエピソード「ブラック」に近いように思うんですけど、どうなんでしょう。
深読みするなら、休憩時間(モラトリアム)は終わって本番(教室)に戻るという意味でしょうか。といっても、21巻はむしろずっとベランダで休憩してる内容だった気もしますがw
まあ、20巻の「中表紙」が喪192の表紙の直前の光景だったことを考えると、今回は20巻のラストと21巻をつなげる意味があるのかもしれません。
ベタ塗りをせずに鉛筆画のようなタッチになっているのも、そういう抽象画的な意味合いを持たせる意図があったのではないでしょうか。
と同時に、もこっちの精神世界でもあるのかな。なぜかカル◯スソーダを持っているところも何かの暗喩なのかとw
まあそれはともかく、元々中表紙は昔から抒情性あふれるテイストでしたが、ここ最近はそれに加えて何かを示唆するような意味深なものになりつつありますね。
●実は収録話数はかなり多かったりします
今回は全9話。ただし、アプリ・WEBでの掲載話数は12話分となっています。
実はこれ、12巻(14話分)以来の多さなんですね。12巻ではバレンタインと卒業式が初掲載時では3分割されていたことが大きかったわけですが、今回も喪199の前中後編が影響したと思われます。
また、特別編が2つも入っていることも特筆すべきことでしょう。
喪198が26P、喪199が27Pと、わたモテ史上最長回が揃ったのにもかかわらず意外なほどにさらっと読めたのは、実質的な収録話数が多かったことも影響してるような気がします。
特にオムニバス長編ともいえる喪199は、ある意味「ショートフィルム集」のような印象を受けましたね。
もしかすると喪197でショートフィルムを撮ろうとなったのは、ここへの布石だったのかもしれないw
それはさておき、今回意外と10P未満のショート回が多かったりするんですよね。
喪194が6Pですし、特別編11も6Pです。その他、喪195と196が9P、喪199(前編)(中編)がそれぞれ8P・9Pと、実に半分がショート回なんです。
20巻の初出時10話分がすべて10P以上だったことを考えると、この構成は今回の特徴と言えると思います。
一方、特別編12が17P、喪198が12P+14Pで計26Pと、長編もしっかり収録されています。
しかもどちらもかなりの読み応えがある内容になっていますよね。
要はメリハリがあるんですよ。
短い話と長い話がバランスよく配置されていて、飽きさせない構成になっているなと思いましたね。
●屋台骨としての喪198
ここで恒例の「偶数ページと奇数ページ」をチェックしてみましょう。
9話中5話が奇数ページとなっていて全体の構成は以下の通りになっています。
喪193 左終わり(奇数ページ)
ブランク2P
喪194 偶数
ブランク2P
喪195 左終わり(奇数ページ)
喪196 左終わり(奇数ページ)
喪197 偶数
ブランク2P
喪198 偶数 ※12+14P
ブランク2P
喪199 左終わり(奇数ページ) ※8+9+10P
特別編11 偶数 ブランクなしで特別編12へ
特別編12 左終わり(奇数ページ)
いやあ、面白いですね。
21巻は全体を通して、映画本番までの「モラトリアム」といった意味合いがある巻だったと思うのですが、その流れの中で、喪194と喪198だけがぽっかりと浮かんでいるかのような構成になっています。
まるで喪194のキバ子回と喪198のゆうちゃんとの文化祭回だけ独立しているかのようじゃないですか。
むしろ、巻末に収録された特別編の方が本編の流れに組み込まれているかのようw
そのくらい、喪194と喪198は21巻の中でも異彩を放っているように感じましたね。
喪194は南さんが主役ですからまあ独立しているのはわかりますが、喪198に関してはまさに21巻の中心を担う形になっています。
あえて他の話とは切り離して単独で読ませることを意図した構成ですよね。
ゆうちゃんの文化祭に行く話はそのくらい重要な意味を持つということなのでしょう。
今読むと、喪193は文化祭編の一編としても読めるんですよね。ていうか、ここでもこっちが感じたことは映画の話につながっているような気がするんです。
要するに、喪198への道標になっているように見えるんですよ。冒頭からそこを目指して歩いているというか。
喪195から197も21巻の流れで読むと、これ自体が「ちょうどいい感じのトラブル」のようにも思えてきます。
それもこれも、喪198が真ん中でどっしり腰を据えているからなのではないでしょうか。
それはある意味、屋台骨の役割を果たしているように見えましたね。
●「最後の大きな物語」への「ヒキ」がついにストップ?
もう一つポイントになるのが、喪199が締めにならずにそのまま2つのクリスマス特別編になだれ込む構成になっていることですね。
もし喪199で終わっていたら、17巻以降ずっと言い続けていた「最後の物語」を続けるために次巻への「引き」がいまだに続いていると思ったことでしょう。
でも、最後に特別編が入り込むことで随分印象が変わりました。
これが特別編11までだったら「続き」感は保たれていたでしょうが、ある意味わたモテにおけるクリスマス編の完結編ともいえる特別編12まで収録したことで、「大きな物語」に区切りがついたような印象を受けたんですよ。
しかも、特別編11から12へはシームレスにつながるんですよね。ブランクページを挟まずに一気に読ませるんです。
これがよけいに「区切り」感を駆り立てるんですね。
何しろ、これまでのことがすべて報われたみたいな雰囲気なのですから。まさにクリスマス編の集大成なわけです。
変な言い方ですけど、これが最終巻と言われても不思議では無いくらいですよw
そう言った意味では、今回で「大きな物語」に一段落がついて、22巻からは新たなステージが始まるようなそんな期待感も持ちましたね。
ここからのわたモテはまだ誰も見たことのない、シン・わたモテが始まるのかもしれませんよ?w
●幻の特別編?
ところで、20巻の時に「特別編2つを先送りにした意味」ことについて語りましたが、あの時言及したもう一つの特別編については今回も収録されませんでしたよね。
クリスマス編ではありませんよ?
そう、去年の3月に公開された3Pの特別編(おわびとお知らせ、会話と話題)のことです。
今回も見送られたということは、ひょっとするとこれは単行本には収録するつもりはないのかもしれません。
というのも、あれは元々没になった作品を特別にお蔵出しという形で公開したものだったじゃないですか。
あくまでお休みしたお詫びとして「特別」に公開したものであって、本来なら日の目を見るような作品ではないという考えもありうるわけです。
よく、亡くなったミュージシャンの没作品やデモが「レアトラック集」みたいな形で発売されたりしますが、あれも実は本人的には表に出したくないものだったかもしれないじゃないですか。
また漫画で例えばドラえもんでも単行本未収録作品があったりしますが、あれも藤子F先生が自分の基準に達してないからという理由であえて作品集に残さないという決断をしたのかもしれませんよね。
アーティストにはそういう「幻の作品」というものが存在することがあります。
ひょっとすると、谷川さんもあの特別編をわたモテとしてのクオリティに達してないと判断して収録を見送った可能性はないでしょうか。
だとするなら、あれは「幻の回」ということになりそうですね。なんだかもったいない気もしますが、もし谷川先生がそう判断したのなら、それもしかたないかなという気もします。
ただいつの日か、わたモテお蔵出し/未発表作集という形でもいいので、どこかでまた読める日がくるといいなとは思いますね。
●今回初めて発覚した、なりそこないの特典チョイスの傾向w
さて、そろそろ各ショップの特典を見ていきましょう。(すでに配布は終了している場合があります)

虎の穴さんのサチキバとゲーマーズさんのゆうかとは、収録話からの順当なモチーフですね。
ゲーマーズさんの組み合わせはちょっと意外ではありますが、友モテ3人を表紙で抜擢したのであえてそこを避けたのかも。できればネモや伊藤さんも入れてほしかったですね。
メロンブックスさんは最近のサチ人気を踏まえてのショップからのリクエストなんでしょうかw
季節外れのエロさも媚びてる感じが逆に清々しいw 単にスク水より透明のシーツを羽織ってるとよりエロさが増しますw
アニメイトさんの題材はちょっと異色ですね。これはいわば「ねもっち」とでもいうのだろうかw
今回もどれも魅力的で、なかなか選ぶのに苦労するわけですが、最終的に私が選んだのはこの2つでした。

…こうしてみると、なんか似たようなものを選んだ感がありますね。いかん、失敗したかなw
でもまず、虎の穴さんのサチキバは確定だったんですよ。喪199の中でも最高のエピソードでしたからね。21巻を代表するモチーフとして、これを見逃すわけにはいかなかったんです。
そうなると、サチが被ってしまうのでメロンさんは今回は見送るじゃないですか。やっぱりなるべくみんなを愛したいですからw あまり一人だけを贔屓にしたくないんです。
で、21巻を代表するいったら、なんといっても喪198のゆうちゃんの文化祭ですよね。そうなるとやっぱりゲーマーズさんを選んでしまうという…
ていうか、私が選ぶこれまでの特典履歴って、ゲーマーズ率高いんですよね。
8巻からブログ上でこれまで私が選んだ特典を公開していますが、なんと14回中9回も選んでいます!(9巻、10巻、12巻、15巻、16巻、17巻、19巻、20巻、21巻)
特にここ最近は3巻連続で選んでいますね。ていうか、その前も3巻連続ですから、もし18巻の時も選んでいたら7巻連続ということに……
今回調べてみるまで自分でもまったく意識していませんでしたが、ゲーマーズさんとはどこか波長が合うのでしょうかw(別にゲーマーズさんの回し者じゃありませんよ、念の為)
まあしかし、今回のハイライトはなんといってもデジタル版の特典ですね。
この5人が勢揃いって一体どういうシチュエーションなんだというw
しかも中心にいるのが南さんとゆりちゃんですからね。その二人を囲むかのようにみんなでのスナップ写真! 校庭の芝生かなんかでの記念の一枚みたいな?
今江さんがこの中に入ってるのもすごいし、今江さんの視線が南さんに向いてるのもすごい!
今江さんと南さんなんて、接点どころかお互い存在すら知らないはずですからね。…まったくどこの世界線かと思うくらいですよw
もこっちがまた、一歩引いたところからみんなをまとめてる存在っぽくカメラ目線を送ってるのが謎すぎるw
今回はこれまでのように単体一枚ものデジタルデータとしてダウンロードするのではなく、電子書籍の巻末に単行本とセットという形で収録されているので管理も簡単です。
これはもう、即ゲットするしかないですね。(もちろん私も購入しました)
さて、最後は恒例の単行本のネタチェックをしていきましょう。
まずは裏表紙。
どちらも青春してますねw “現実”もある意味“理想”の青春なんじゃないかなあ。こっちの方がリアルな青春という感じがして、笑えるというよりなんだか懐かしい思いに駆られてしまいます。
ていうか、“理想”のほうはもこっちが監督なのかw
ネモが主役で岡田は相手役かな。
二木さんが撮影監督なのは当然として、加藤さんがメイク係w で、なぜかゆりちゃんが照明w
うーん、どうしても“理想”の方が笑ってしまうw
その辺の逆転の構造が面白いですね。
今回の巻末おまけマンガは「喪198おまけ」。
これがもうおまけ史上もっともエモいといっても過言ではないくらいなんですよ。ていうか、これまでで一番好きかも。
21巻全体に流れていた甘酸っぱい過去への郷愁がここではもっともさりげなく、かつシンプルに描かれているんですよね。
いろんな受け止め方ができますし、またそのように意図して描かれた一編だとは思いますが、私は彼女もまた「全然変わってないね」と言いたかったんだと捉えています。
それをネモがちゃんと理解した上で受け止めているのがたまらなく好きですね。
あと、さくらももこ感も好きw
なお、このおまけには一部誤植があったようです。
第21巻のお詫びと訂正
https://www.ganganonline.com/event/913
名前の間違いなのですが、これはむしろなんでそういうことになったのかが気になる案件ですね…
どこか別のところで使うはずの名前だったとか?
まあそれはそれとして、今の初版はレアものになるかもしれませんね。
こうなると、ファン心理としては第2刷もゲットしておきたいところです。(電子書籍の場合はどうなるんだろ…ダウンロードし直すのかな?)
あとがきは1Pが2本立て。どちらも去年Twitterの方でも報告のあった作画さんの骨折についてのネタになります。(こちらの記事も参考→https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-423.html)
20巻では原作さんの骨折のことを振り返っていましたが、何もそんなところまで合わせることないのにw
まあネタにできる程度でよかったですw でも本当気をつけて欲しいですよね。別にマーティンを見習えとは言いませんけどw
カバー裏イラストは表と裏とで対比になっている感じでしたね。
転生学校本郷におけるメイド班とラーメン班の揃い踏みと、ゆうちゃんの彼氏の後ろ姿。
これもまた、別の意味での「理想」と「現実」なのかなと思いましたね。
全体的な印象としてはノスタルジックというか、過去を振り返ったり思い出に浸ったりする話が目立ちました。
しかも2年時よりもっと前、1年や中学時代を思い出す場面が多かったような気がします。
喪193では喪26「モテないし部活を作る」(コミックス3巻)、喪198は1年時の文化祭(喪21「モテないし文化祭に参加する」(コミックス3巻))、そして中学時代。
特別編11では2年次のクリスマス、そして特別編12では1年のクリスマス。
そんな感じで、最終回前の「まとめ感」みたいなものがなんとなく全体を覆っていて、ああ本当に終わりが近づいてきてるんだないう思いが込み上げてくるようでした。
ただ、特別編が最後に二つまとめて入ることで全体が引き締まったというか、ここでいったん気持ちをリセットして次へ向かおうという気持ちが湧いてきたんですよ。
ここずっと続いていた「To Be Continued」ぽさが今回で途切れたような気がしたんです。
ある意味、未来図であるクリスマスの話が最後を飾ることで、一度ピリオドが打たれたように感じたんですね。
内容自体は「映画本番」までの“つなぎ”というか先延ばしの巻というイメージは否めなかっただけに、なんだか面白いなと思いました。
あと一つ気になったのは、今回も次巻への予告が入らなかったことです。
20巻の時は単純にギリギリまで本編を入れるためにカットしたのだろうとしか思わなかったのですが、こう続くとなんだか別の意図があるようにも思えてきます。
もしかすると今後はもう「予告」はやめることにしたのではないでしょうか。
つまりここから先は読者も編集部もそして作者さえもわからない、まったく未知なる「わたモテ」が始まるぞという谷川さんなりのサインなのではと。
自分も含めて先の展開をあえて知らないまま一緒にわたモテの行先を最後まで楽しむつもりだからみんな覚悟しておけよ!みたいなw
もちろん作者が予告編を見て次の展開を考えるなんてことはありませんけど、気持ちとしてはこれからの展開を読者と一緒にワクワクしながら楽しんでいくという意思表明のように感じました。
そう考えると、今回の「まとめ感」も腑に落ちるんですよね。
俺が知ってるわたモテはここまでだ、みたいな印象を受けるのは私だけでしょうか。(あ、やっぱり私だけですか)
まあそれなら前巻からないのはどうなんだというツッコミもあるでしょうし、我ながら穴だらけの考察だとは思いますw
でも半分は冗談みたいな感じですけど、半ば本気でもあります。
21巻における“停滞感”も、谷川先生自身が先の見えなさを楽しんでいるかのように思えたんですよね。
いったいどんな結末を迎えるのか。
谷川さんと一緒に、私たちもワクワクドキドキしながら最後まで楽しんでいきたいと思います。
今回の個人的ベスト3は喪194が10馬身差をつけての1位、つづいて喪198、喪199かな。あと意外と喪193がよかったですね。初見では箸休めとか言ってましたが、なんのなんの読めば読むほど味が出てきますよ。
21巻と6巻を並べてみるのも、なんだか感慨深いものがありますよね。
10巻を一つの区切りということでワン・ディケイドと考えるなら、ついに第三の時代に突入したという感慨深さがありますね。これだけ巻数を重ねると、なんだか有名人気漫画の一員になったような気がしますw
まあ、10巻のあとがきじゃないですけどさすがに30巻はないとは思いますが、新たな時代の幕開けということで感想を書く方としてもなんだか身の引き締まる思いがしますね。
というわけで遅くなりましたが、今回も21巻の感想を綴っていきます。よければお付き合いのほどを。
※各話(喪193から喪199+特別編)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪193「モテないしラーメンでも食っていく」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-412.html
喪194「モテないしそんな日はない」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-416.html
喪195「モテないし個性」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-419.html
喪196「モテないし映画作りは進まない」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-422.html
喪197「モテないし少し進行する」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-424.html
喪198「モテないし優ちゃんの学校に行く」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-427.html
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-429.html
喪199「モテないし3年秋」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-431.html
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-432.html
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-435.html
特別編11
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-387.html
特別編12
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-438.html
●友モテ3人の記念写真(?)から見えてくるもの
まずはいつものように表紙から見ていきましょう。

6巻以来の友モテトリオ揃い踏みとなるわけですが、ゆうちゃんの文化祭に行く話が今巻の“核”になるのは間違い無いので、これ自体は王道なチョイスですね。
注目すべきは位置関係と制服。
位置関係ではまずもこっちが久々にセンター正面に入っているのがポイントになります。ソロ表紙だった18巻を除けば14巻以来になりますでしょうか。正面も向きつつも目線は下を見ているのが印象的ですね。
一見すると3人の記念写真のように見える構図ですが、制服が冬服であることを考えると本郷高校の文化祭時ではないことは明らかです。ひょっとすると、これから行われるはずの原幕高校の文化祭での一枚でしょうか?
でも3人ともお揃いでゆうちゃんの学校の制服を着てるわけで、そこには時系列的にねじれが生じますよね。
最近本編でも時系列を入れ替えたりして、その辺をあえてぼかす手法が目立っているように思いますが、表紙でもそういった演出を取り入れているような気がします。
この構図も具体的な場面を想定したものではなく、3人の「今」を象徴するようなものなのではないでしょうか。
夏服だと、本編との直接的なつながりを意識してしまうところが出てきますからね。ここはあくまで抽象的な意味での絵を見せたかったのかなと。三人が同じ高校に進学したパラレルワールド的なニュアンスもそこにはあるかもしれません。
それぞれの手の置き方も面白いですよね。
もこっちは恥ずかしそうにハート形を作ってるし、小宮山さんは片方をポケットに入れて片方でポーズ?を取っています。(これは向かって右にいることも含めて6巻と酷似してるのが面白い)
そしてゆうちゃんは素直にピースサイン。それぞれの照れ具合というか、中学以来続くトリオへの距離感みたいなものを感じられます。
販促帯の「変わる世界で変わらぬ関係。」というコピーは非常に印象的で秀逸だとは思いますが、個人的にはこの表紙を見ていると3人の関係性も6巻の頃と比べて少し変わったように思えますね。
また、コピー以上に背景のイラストのチョイスが素晴らしいなと感じました。
他にも3人が揃っているシーンはあったかと思うのですが、本編では割と小さめに描かれていたところですよね。表紙との対比という意味もあるかとは思いますが、あえて3人の表情を見せないことで、逆にそれぞれの背中がいろんなことを物語っているような気がします。
センスあふれる、いいデザインですよね。
●中表紙も今回はなんだか抽象的
具体的な場面がはっきりしないといえば、ページをめくって最初に目に飛び込んでくる「中表紙」もそうですよね。
いったいこれはどういうシチュエーションなんだろうとすごく気になります。
ベランダから教室に戻る構図というと、むしろ20巻収録の喪192「モテないし文化祭までの毎日」のエピソード「ブラック」に近いように思うんですけど、どうなんでしょう。
深読みするなら、休憩時間(モラトリアム)は終わって本番(教室)に戻るという意味でしょうか。といっても、21巻はむしろずっとベランダで休憩してる内容だった気もしますがw
まあ、20巻の「中表紙」が喪192の表紙の直前の光景だったことを考えると、今回は20巻のラストと21巻をつなげる意味があるのかもしれません。
ベタ塗りをせずに鉛筆画のようなタッチになっているのも、そういう抽象画的な意味合いを持たせる意図があったのではないでしょうか。
と同時に、もこっちの精神世界でもあるのかな。なぜかカル◯スソーダを持っているところも何かの暗喩なのかとw
まあそれはともかく、元々中表紙は昔から抒情性あふれるテイストでしたが、ここ最近はそれに加えて何かを示唆するような意味深なものになりつつありますね。
●実は収録話数はかなり多かったりします
今回は全9話。ただし、アプリ・WEBでの掲載話数は12話分となっています。
実はこれ、12巻(14話分)以来の多さなんですね。12巻ではバレンタインと卒業式が初掲載時では3分割されていたことが大きかったわけですが、今回も喪199の前中後編が影響したと思われます。
また、特別編が2つも入っていることも特筆すべきことでしょう。
喪198が26P、喪199が27Pと、わたモテ史上最長回が揃ったのにもかかわらず意外なほどにさらっと読めたのは、実質的な収録話数が多かったことも影響してるような気がします。
特にオムニバス長編ともいえる喪199は、ある意味「ショートフィルム集」のような印象を受けましたね。
もしかすると喪197でショートフィルムを撮ろうとなったのは、ここへの布石だったのかもしれないw
それはさておき、今回意外と10P未満のショート回が多かったりするんですよね。
喪194が6Pですし、特別編11も6Pです。その他、喪195と196が9P、喪199(前編)(中編)がそれぞれ8P・9Pと、実に半分がショート回なんです。
20巻の初出時10話分がすべて10P以上だったことを考えると、この構成は今回の特徴と言えると思います。
一方、特別編12が17P、喪198が12P+14Pで計26Pと、長編もしっかり収録されています。
しかもどちらもかなりの読み応えがある内容になっていますよね。
要はメリハリがあるんですよ。
短い話と長い話がバランスよく配置されていて、飽きさせない構成になっているなと思いましたね。
●屋台骨としての喪198
ここで恒例の「偶数ページと奇数ページ」をチェックしてみましょう。
9話中5話が奇数ページとなっていて全体の構成は以下の通りになっています。
喪193 左終わり(奇数ページ)
ブランク2P
喪194 偶数
ブランク2P
喪195 左終わり(奇数ページ)
喪196 左終わり(奇数ページ)
喪197 偶数
ブランク2P
喪198 偶数 ※12+14P
ブランク2P
喪199 左終わり(奇数ページ) ※8+9+10P
特別編11 偶数 ブランクなしで特別編12へ
特別編12 左終わり(奇数ページ)
いやあ、面白いですね。
21巻は全体を通して、映画本番までの「モラトリアム」といった意味合いがある巻だったと思うのですが、その流れの中で、喪194と喪198だけがぽっかりと浮かんでいるかのような構成になっています。
まるで喪194のキバ子回と喪198のゆうちゃんとの文化祭回だけ独立しているかのようじゃないですか。
むしろ、巻末に収録された特別編の方が本編の流れに組み込まれているかのようw
そのくらい、喪194と喪198は21巻の中でも異彩を放っているように感じましたね。
喪194は南さんが主役ですからまあ独立しているのはわかりますが、喪198に関してはまさに21巻の中心を担う形になっています。
あえて他の話とは切り離して単独で読ませることを意図した構成ですよね。
ゆうちゃんの文化祭に行く話はそのくらい重要な意味を持つということなのでしょう。
今読むと、喪193は文化祭編の一編としても読めるんですよね。ていうか、ここでもこっちが感じたことは映画の話につながっているような気がするんです。
要するに、喪198への道標になっているように見えるんですよ。冒頭からそこを目指して歩いているというか。
喪195から197も21巻の流れで読むと、これ自体が「ちょうどいい感じのトラブル」のようにも思えてきます。
それもこれも、喪198が真ん中でどっしり腰を据えているからなのではないでしょうか。
それはある意味、屋台骨の役割を果たしているように見えましたね。
●「最後の大きな物語」への「ヒキ」がついにストップ?
もう一つポイントになるのが、喪199が締めにならずにそのまま2つのクリスマス特別編になだれ込む構成になっていることですね。
もし喪199で終わっていたら、17巻以降ずっと言い続けていた「最後の物語」を続けるために次巻への「引き」がいまだに続いていると思ったことでしょう。
でも、最後に特別編が入り込むことで随分印象が変わりました。
これが特別編11までだったら「続き」感は保たれていたでしょうが、ある意味わたモテにおけるクリスマス編の完結編ともいえる特別編12まで収録したことで、「大きな物語」に区切りがついたような印象を受けたんですよ。
しかも、特別編11から12へはシームレスにつながるんですよね。ブランクページを挟まずに一気に読ませるんです。
これがよけいに「区切り」感を駆り立てるんですね。
何しろ、これまでのことがすべて報われたみたいな雰囲気なのですから。まさにクリスマス編の集大成なわけです。
変な言い方ですけど、これが最終巻と言われても不思議では無いくらいですよw
そう言った意味では、今回で「大きな物語」に一段落がついて、22巻からは新たなステージが始まるようなそんな期待感も持ちましたね。
ここからのわたモテはまだ誰も見たことのない、シン・わたモテが始まるのかもしれませんよ?w
●幻の特別編?
ところで、20巻の時に「特別編2つを先送りにした意味」ことについて語りましたが、あの時言及したもう一つの特別編については今回も収録されませんでしたよね。
クリスマス編ではありませんよ?
そう、去年の3月に公開された3Pの特別編(おわびとお知らせ、会話と話題)のことです。
今回も見送られたということは、ひょっとするとこれは単行本には収録するつもりはないのかもしれません。
というのも、あれは元々没になった作品を特別にお蔵出しという形で公開したものだったじゃないですか。
あくまでお休みしたお詫びとして「特別」に公開したものであって、本来なら日の目を見るような作品ではないという考えもありうるわけです。
よく、亡くなったミュージシャンの没作品やデモが「レアトラック集」みたいな形で発売されたりしますが、あれも実は本人的には表に出したくないものだったかもしれないじゃないですか。
また漫画で例えばドラえもんでも単行本未収録作品があったりしますが、あれも藤子F先生が自分の基準に達してないからという理由であえて作品集に残さないという決断をしたのかもしれませんよね。
アーティストにはそういう「幻の作品」というものが存在することがあります。
ひょっとすると、谷川さんもあの特別編をわたモテとしてのクオリティに達してないと判断して収録を見送った可能性はないでしょうか。
だとするなら、あれは「幻の回」ということになりそうですね。なんだかもったいない気もしますが、もし谷川先生がそう判断したのなら、それもしかたないかなという気もします。
ただいつの日か、わたモテお蔵出し/未発表作集という形でもいいので、どこかでまた読める日がくるといいなとは思いますね。
●今回初めて発覚した、なりそこないの特典チョイスの傾向w
さて、そろそろ各ショップの特典を見ていきましょう。(すでに配布は終了している場合があります)


虎の穴さんのサチキバとゲーマーズさんのゆうかとは、収録話からの順当なモチーフですね。
ゲーマーズさんの組み合わせはちょっと意外ではありますが、友モテ3人を表紙で抜擢したのであえてそこを避けたのかも。できればネモや伊藤さんも入れてほしかったですね。
メロンブックスさんは最近のサチ人気を踏まえてのショップからのリクエストなんでしょうかw
季節外れのエロさも媚びてる感じが逆に清々しいw 単にスク水より透明のシーツを羽織ってるとよりエロさが増しますw
アニメイトさんの題材はちょっと異色ですね。これはいわば「ねもっち」とでもいうのだろうかw
今回もどれも魅力的で、なかなか選ぶのに苦労するわけですが、最終的に私が選んだのはこの2つでした。


…こうしてみると、なんか似たようなものを選んだ感がありますね。いかん、失敗したかなw
でもまず、虎の穴さんのサチキバは確定だったんですよ。喪199の中でも最高のエピソードでしたからね。21巻を代表するモチーフとして、これを見逃すわけにはいかなかったんです。
そうなると、サチが被ってしまうのでメロンさんは今回は見送るじゃないですか。やっぱりなるべくみんなを愛したいですからw あまり一人だけを贔屓にしたくないんです。
で、21巻を代表するいったら、なんといっても喪198のゆうちゃんの文化祭ですよね。そうなるとやっぱりゲーマーズさんを選んでしまうという…
ていうか、私が選ぶこれまでの特典履歴って、ゲーマーズ率高いんですよね。
8巻からブログ上でこれまで私が選んだ特典を公開していますが、なんと14回中9回も選んでいます!(9巻、10巻、12巻、15巻、16巻、17巻、19巻、20巻、21巻)
特にここ最近は3巻連続で選んでいますね。ていうか、その前も3巻連続ですから、もし18巻の時も選んでいたら7巻連続ということに……
今回調べてみるまで自分でもまったく意識していませんでしたが、ゲーマーズさんとはどこか波長が合うのでしょうかw(別にゲーマーズさんの回し者じゃありませんよ、念の為)
まあしかし、今回のハイライトはなんといってもデジタル版の特典ですね。

この5人が勢揃いって一体どういうシチュエーションなんだというw
しかも中心にいるのが南さんとゆりちゃんですからね。その二人を囲むかのようにみんなでのスナップ写真! 校庭の芝生かなんかでの記念の一枚みたいな?
今江さんがこの中に入ってるのもすごいし、今江さんの視線が南さんに向いてるのもすごい!
今江さんと南さんなんて、接点どころかお互い存在すら知らないはずですからね。…まったくどこの世界線かと思うくらいですよw
もこっちがまた、一歩引いたところからみんなをまとめてる存在っぽくカメラ目線を送ってるのが謎すぎるw
今回はこれまでのように単体一枚ものデジタルデータとしてダウンロードするのではなく、電子書籍の巻末に単行本とセットという形で収録されているので管理も簡単です。
これはもう、即ゲットするしかないですね。(もちろん私も購入しました)
さて、最後は恒例の単行本のネタチェックをしていきましょう。
まずは裏表紙。

どちらも青春してますねw “現実”もある意味“理想”の青春なんじゃないかなあ。こっちの方がリアルな青春という感じがして、笑えるというよりなんだか懐かしい思いに駆られてしまいます。
ていうか、“理想”のほうはもこっちが監督なのかw
ネモが主役で岡田は相手役かな。
二木さんが撮影監督なのは当然として、加藤さんがメイク係w で、なぜかゆりちゃんが照明w
うーん、どうしても“理想”の方が笑ってしまうw
その辺の逆転の構造が面白いですね。
今回の巻末おまけマンガは「喪198おまけ」。
これがもうおまけ史上もっともエモいといっても過言ではないくらいなんですよ。ていうか、これまでで一番好きかも。
21巻全体に流れていた甘酸っぱい過去への郷愁がここではもっともさりげなく、かつシンプルに描かれているんですよね。
いろんな受け止め方ができますし、またそのように意図して描かれた一編だとは思いますが、私は彼女もまた「全然変わってないね」と言いたかったんだと捉えています。
それをネモがちゃんと理解した上で受け止めているのがたまらなく好きですね。
あと、さくらももこ感も好きw
なお、このおまけには一部誤植があったようです。
第21巻のお詫びと訂正
https://www.ganganonline.com/event/913
名前の間違いなのですが、これはむしろなんでそういうことになったのかが気になる案件ですね…
どこか別のところで使うはずの名前だったとか?
まあそれはそれとして、今の初版はレアものになるかもしれませんね。
こうなると、ファン心理としては第2刷もゲットしておきたいところです。(電子書籍の場合はどうなるんだろ…ダウンロードし直すのかな?)
あとがきは1Pが2本立て。どちらも去年Twitterの方でも報告のあった作画さんの骨折についてのネタになります。(こちらの記事も参考→https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-423.html)
20巻では原作さんの骨折のことを振り返っていましたが、何もそんなところまで合わせることないのにw
まあネタにできる程度でよかったですw でも本当気をつけて欲しいですよね。別にマーティンを見習えとは言いませんけどw
カバー裏イラストは表と裏とで対比になっている感じでしたね。
転生学校本郷におけるメイド班とラーメン班の揃い踏みと、ゆうちゃんの彼氏の後ろ姿。
これもまた、別の意味での「理想」と「現実」なのかなと思いましたね。
全体的な印象としてはノスタルジックというか、過去を振り返ったり思い出に浸ったりする話が目立ちました。
しかも2年時よりもっと前、1年や中学時代を思い出す場面が多かったような気がします。
喪193では喪26「モテないし部活を作る」(コミックス3巻)、喪198は1年時の文化祭(喪21「モテないし文化祭に参加する」(コミックス3巻))、そして中学時代。
特別編11では2年次のクリスマス、そして特別編12では1年のクリスマス。
そんな感じで、最終回前の「まとめ感」みたいなものがなんとなく全体を覆っていて、ああ本当に終わりが近づいてきてるんだないう思いが込み上げてくるようでした。
ただ、特別編が最後に二つまとめて入ることで全体が引き締まったというか、ここでいったん気持ちをリセットして次へ向かおうという気持ちが湧いてきたんですよ。
ここずっと続いていた「To Be Continued」ぽさが今回で途切れたような気がしたんです。
ある意味、未来図であるクリスマスの話が最後を飾ることで、一度ピリオドが打たれたように感じたんですね。
内容自体は「映画本番」までの“つなぎ”というか先延ばしの巻というイメージは否めなかっただけに、なんだか面白いなと思いました。
あと一つ気になったのは、今回も次巻への予告が入らなかったことです。
20巻の時は単純にギリギリまで本編を入れるためにカットしたのだろうとしか思わなかったのですが、こう続くとなんだか別の意図があるようにも思えてきます。
もしかすると今後はもう「予告」はやめることにしたのではないでしょうか。
つまりここから先は読者も編集部もそして作者さえもわからない、まったく未知なる「わたモテ」が始まるぞという谷川さんなりのサインなのではと。
自分も含めて先の展開をあえて知らないまま一緒にわたモテの行先を最後まで楽しむつもりだからみんな覚悟しておけよ!みたいなw
もちろん作者が予告編を見て次の展開を考えるなんてことはありませんけど、気持ちとしてはこれからの展開を読者と一緒にワクワクしながら楽しんでいくという意思表明のように感じました。
そう考えると、今回の「まとめ感」も腑に落ちるんですよね。
俺が知ってるわたモテはここまでだ、みたいな印象を受けるのは私だけでしょうか。(あ、やっぱり私だけですか)
まあそれなら前巻からないのはどうなんだというツッコミもあるでしょうし、我ながら穴だらけの考察だとは思いますw
でも半分は冗談みたいな感じですけど、半ば本気でもあります。
21巻における“停滞感”も、谷川先生自身が先の見えなさを楽しんでいるかのように思えたんですよね。
いったいどんな結末を迎えるのか。
谷川さんと一緒に、私たちもワクワクドキドキしながら最後まで楽しんでいきたいと思います。
今回の個人的ベスト3は喪194が10馬身差をつけての1位、つづいて喪198、喪199かな。あと意外と喪193がよかったですね。初見では箸休めとか言ってましたが、なんのなんの読めば読むほど味が出てきますよ。
21巻と6巻を並べてみるのも、なんだか感慨深いものがありますよね。
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