私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!20巻 感想~記念すべき20巻目はまるで1本の映画のように(次作への予告編付き)~
9月10日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」20巻が発売されました。
いや~、ついに20巻目ですよ。
10巻のあとがきで「20巻はさすがにないと思いますが」と書いていたのが懐かしく思い出されます。
あれが5年前になりますか。うーん、長かったような短かったような…どちらとも言い難い不思議な感覚ですね。
というわけで、今回は連載10周年&20巻到達記念として、
18巻に引き続いて「特装版」と「通常版」の2種類が用意されています。
もし、普段の鑑賞用の他に保存用もと考えているなら、このように一緒に購入すればそれで事足りるかと思います。
ただ、今回も表紙のカラーやバックの抜粋シーン、それと特殊印刷モチーフ以外は中身はまったく一緒なので、無理して両方買うこともないでしょう。
1冊に絞るなら「特装版」のほうを購入されることを強くオススメします!
というわけで遅くなりましたが、今回も20巻の感想を綴っていきます。よければお付き合いのほどを。
※各話(喪185から喪192)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪185「モテないし自由に席を選ぶ」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-384.html
喪186「モテないしプレゼンする(前編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-389.html
喪186「モテないしプレゼンする(後編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-392.html
喪187「モテないし他人のことは知らない」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-394.html
喪188「モテないしあいつのこと」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-396.html
喪189「モテないしどこかで終わる」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-401.html
喪190「モテないし仲良し?」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-404.html
喪191「モテないし繰り返す」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-406.html
喪192「モテないし文化祭までの毎日(前編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-407.html
喪192「モテないし文化祭までの毎日(後編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-410.html
●特装版と通常版の表紙の違い
さて、いつものようにまずは表紙から見ていくわけですが、南さんが中心になるというのはある意味予想通りでした。
もちろん、もこっち以外のキャラがメインになるというのはわたモテ史上初のことですし、前代未聞なことであることは間違い無いのですが、連載をリアルタイムで追いかけていた身としてはむしろ至極真っ当な表紙かと思うんですね。
逆にこれが南さんがまったく描かれていなかったら、そりゃびっくり仰天ですがw
もしくは「もこっちがいない」表紙とかねw
まあしかし、単行本派の方はさぞかし驚かれたでしょうね。私は前巻の喪184からの流れをずっと見てきたので納得できるわけですが、7ヶ月待った上でのいきなりのキバ子表紙となったら、一体何があったんだと思うことでしょう。おまけにサチノリマキののっぺらトリオまでいるしw
そうそう、単行本派の方はたぶんサチノリマキの扱いの大きさにも驚かれたのではないでしょうか。
そういった方への配慮としてサチの顔が描かれていないのは正しいとは思いますが、考えてみればキャンペーン関連や特典イラスト、バックの抜粋シーンなどですでにこれでもかと言わんばかりに描かれているのであんまり意味がないですね。
ていうか、表紙のバックにサチの“表情”があったら台無しのような気がするんですけどw

左が特装版の帯を取ったところ。右がその通常版。
まあ抜粋シーンというのはその巻を象徴する印象的なシーンを選ぶものなんでしょうから、サチの顔が選ばれるのはある程度はしかたないにせよ、せめて販促帯の下に隠して欲しいものです。
その点、特装版はうまく配置してあります。そういった意味でも、買うならやっぱり「特装版」ですね!
…ていうか、通常版はなんで左上に配置したんだw
のっぺらぼうの後ろだと、サチの生き霊みたいな感じになってるだろw
ちなみに特装版の抜粋シーンはすべて「南さん編」の後半(喪189~191)からになっています。
対して通常版は南さん編以外の喪186や喪192からも選んでいますね。どうせなら、こちらはすべて「南さん編」以外からのチョイスにした方が整合性が取れたんじゃないかと思うのですが。
それと紙版ならばのお楽しみといえば「特殊印刷モチーフ」ですよね。
(※特殊印刷モチーフに関しては19巻や14巻の感想も参照してください)
こちらは
特装版 サチの目、完全食(BVSE BREAD)、缶ジュース
通常版 ENTER、CONINUE?、フィルム
となっていて割と特装版=南さん編、通常版=映画編という構図が見えるだけに、もうちょっとコンセプトをはっきりさせて欲しかったなという気がしました。
それぞれのカラーをはっきり区別化させれば、両方購入するモチベーションもそれだけ上がると思うんですけどね。
●スマホを構えるもこっちから見えてきたもの
むしろ今回の表紙で驚いたのは、もこっちの方でした。これほど大きく扱われるとは思っていなかったのでそちらの方が意外な感じがしましたね。本編の彼女の露出から考えれば、もっと小さく描かれてもおかしくないと思っていました。
構図自体にも意表を突かれたのですが、同時にすごく腑に落ちるものがありました。
スマホを構えながら南さんの方を見つめているもこっちというのは、まさに20巻全体を象徴しているように思えたからです。
というのも、今回全体を読み通してみて「南さん編」がまるで「映画編」の一部のように感じられたんですよ。
つまり、もこっちが撮影する「映画」の中に南さんやサチたちも組み込まれているんじゃないかと、そんな気がしたんです。この表紙はそれを意味しているのかなと。
その印象は、中表紙を見て確信に変わりました。
今回の中表紙は喪192の表紙とリンクする形になっています。具体的には「屋上手前の踊り場で机を引っ張り出すもこっち」が描かれているんですね。つまり、喪192表紙直前の光景なわけです。
そう、この二つの絵に挟まれることで、喪185から喪191までがまるでもこっちの「脚本」の中の出来事かのように思えてくるんですよ。
●20巻そのものがひとつの映画だったのかもしれない
さて、今回も19巻同様「全8話」になっています。しかも、前後編が一つになった喪186をはじめ全話が11ページ以上という長編ばかりの構成になっているので、いつも以上にボリューム感がありますね。
ひょっとして単行本全体のページ数が増えたんじゃないかと思ったくらいw
まあ実際はいつも通り、総ページ数は144ページだったわけですが。
そのせいかわかりませんが、20巻そのものがひとつの映画のようにも感じられました。
喪185はプロローグ。
もこっちの「この席でぼっちで後ろから教室見てみたい」という言葉は、作品内ではなく外から「監督」としてわたモテを俯瞰したいという意味にも取れました。言うなれば、これがクランクインの掛け声だったのかもしれません。「よーい、アクション!」みたいなw
これを表紙絵と合わせると、彼女は「南さん編」の顛末を「監督」として眺めていたのかなという気にさせられましたね。
喪186のプレゼンを経て、いきなり喪187から南さん編が始まる構成もひょっとしたらこれも「映画編」の一部なのでは思わせるものがありました。実は喪187から映画編第1章が始まっていたのではないかと。
そして、喪191を持って第1章が終わり、次の章へと繋げていく形でオムニバス形式の喪192となったのではと感じられましたね。
喪192の表紙は187から191までの「南さん編」をどう構成しようかと思案しているかのようw
●特別編2つを先送りした意味とは
ところで今回、収録されなかった回があります。
それが特別編(クリスマス3年目)と特別編(おわびとお知らせ、会話と話題)の二つです。
どちらも特別編なわけですが、これらを次巻以降に先送りした理由は果たして単なるページ合わせだけなのでしょうか。
話的に本編とまったく流れが違うというのならまだわかります。でも、クリスマス編にせよ会話と話題にせよ、どちらも南さんやサチの話とリンクしていたと思うんですよ。
クリスマス編では喪187で描かれた南さんのゆりちゃんへの複雑な思いの伏線が仄めかされていますし、会話と話題に至ってはサチとゆりちゃんの関係性を考える上で重要なエピソードになり得ます。
本来なら、喪192全体を21巻に回してブランクページやおまけなどでページを埋めることも可能だったと思うんですよ。
それなのに、今回は次巻予告やガンガンオンラインの広告も一切入れてないで喪192を収録することを選んでいます。19巻では新人マンガ賞募集やマンガUP!の広告まで入れていたというのに。
今回、あとがきのページをめくったら、いきなり奥付が出てきたんで面食らいましたよw
つまり、それらを犠牲にしてまでも喪192というオムニバス回を収録したかったということになるんです。
それほどまでに、1巻につき必ずオムニバスを入れるというルール(?)は絶対に外せないのでしょうか?
●喪187と喪188をつなげた意味
ここで、いまや恒例となった「偶数ページと奇数ページ」をチェックしてみましょう。
今回は8話中4話が奇数ページとなっていて全体の構成は以下の通りになっています。
喪185 左終わり(奇数ページ)
喪186 左終わり(奇数ページ) ※11+12P
喪187 偶数 ブランクなしで喪188へ
喪188 偶数
ブランク2P
喪189 左終わり(奇数ページ)
喪190 偶数
ブランク2P
喪191 偶数
ブランク2P
喪192 左終わり(奇数ページ) ※10+15P
こうしてみると、実に興味深いことがわかります。
まず、喪187と喪188の間にブランクをなくし、シームレスに読ませていること。
これは18巻と同じですね。そうすることでなんとか144ページで収めようとしているわけです。
でも、なぜ喪187と喪188の間なんでしょう?どこかで話をつなげなきゃいけないにしても、別に喪188と喪189とか、喪190と喪191とかでもいいじゃないですか。
そしてブランク2Pの入れ方も不思議な印象があります。
ページ数を節約するなら3回も入れる必要があるでしょうか?
それに喪188と喪189はある意味、187と188よりもより密接に話が繋がっているとも言えます。(サチの開眼という意味で188と189は連続している)
もし、ブランクを入れるとするなら、喪187と188の方がふさわしいと考えるのが普通ではないでしょうか。
私はこう考えます。
つまり、南さん編にとって喪189とは、「起承転結」の“転”だったのではないかと。
だからこそ、喪188と喪189の間に一拍入れたかったわけです。起承と転結をはっきり分けるために。
そしてその喪189の余韻を残しつつ、喪190で一度完結を迎えたかったのではないかと思ったんですね。
そう、バスの中で二木さんと和解した時、南さん編は一度完結していたんです。
●喪192を入れたわけは、オムニバスを必ず入れるということではなかった?
喪191は実は後日談というか、エピローグ的な意味合いがあるように思えてなりません。
ほら今回、喪191だけが単独で前後ブランク2Pに挟まれているじゃないですか。ここだけぽっかり浮かんでいるような印象がありませんか?
私にはむしろこの話だけが独立しているようにも思えたんです。
ある意味ではここで南さん編と映画編がクロスしたとも言えるかもしれませんが、それよりも実は喪191だけが単独回だったという見方のほうが自分的にはなんだかしっくりきたんですね。
要するに、185-186までが映画編プロローグ、187-190が南さん編(映画編第1章)、191がその後日談(南さんとサチ編)、そして喪192が次の章に入る前の挿話という構成なのかなと感じたんですよ。
喪192の「文化祭までの毎日」というタイトルもそれを意味しているような気がしましたね。
そう考えると、1巻につき必ずオムニバスは入れるというこだわりよりも、次への橋渡しという意味合いの方が大きかったような気がするんです。
つまり、20巻を喪191で終わらせたくなかったんですよ。南さん編へのエピローグで一区切りをつけるのではなく、「最後の大きな物語」が完結まで続くという意味で、21巻への「ヒキ」をどうしても入れたかった。
そういうことだったのではと、勘繰ってしまうわけです。
●特典はうっちーのために選んだようなものですw
さて、そろそろ各ショップの特典を見ていきましょう。(すでに配布は終了している場合があります)
こちらはデジタル版特典。
こうして見ると、キバ子とサチノリマキが目立ちますね。
アニメイトさんとゲーマーズさんは被っているようにも見えますが、ゲーマーズさんの構図がなんとも面白い。キバ子たちの“内緒話”をゆりもこが見てるというねw
デジタル版も南さんですし、今回はやはり南さんとサチたちが中心だった言えるのではないでしょうか。
メロンブックスさんの特典イラストは実に興味深いですね。なんと本編ではなく小冊子の「もしももこっち3人組」とは。
通常版を買う人はイラストの意味がわかるかなあw
虎の穴さんはかなり意外。というか、風夏はここずっとモチーフに取り上げられていますよね。17巻から4巻連続で選ばれていますよ。谷川さんのお気に入りなんでしょうか。てか、妙にエロいなw
今回もどれにするか悩みに悩みましたが、けっきょく選んだのはこの二つ。
右のゲーマーズさんはやっぱり構図の妙と、ちびキャラに惹かれましたw
ここ最近はゲーマーズさんの特典をゲットすることが多いですね。ただ新宿店がなくなったり、秋葉原店も改装中だったりと、店頭でなかなか買いづらい状況になっているのが気にかかります。
左のメロンブックスさんのは、購入特典としてわたモテ既刊1冊につき
こ〜んなキャラクターカードがもらえるということで、もう必然的に決まっていましたw
しかも絵柄はてっきりランダムかと思いきや、店頭で購入する場合は「選べる」ということですから!
そう、もうおかわりおわかりでしょうが、
こういうことですねw
(※×おかわり→◯おわかり。まただよ…一体何度間違えれば気が済むのかw)
本当は通常版と2冊でもう1枚もらおうかなとも考えたのですが、ゲーマーズさんで通常版を買いましたし、そこはグッと我慢の子でした!
最後は、恒例の単行本のネタチェックですね。
まずは裏表紙。
なんか、現実の世界も本編よりも少し優しい世界になってるw これもある意味「理想」なんじゃないのかw
どちらかというと、「小さい理想」「大きい理想」といった感じがしますね。
三家さんもいくらか話がわかるキャラになってるしw
ていうか、こういう時こそ、「ダイエットしてるから」で回避できるような気がしないでもないw
今回の巻末おまけマンガは「1年の時 小陽ちゃんとの思い出」。
やっぱりページ数的な関係で今回は1本限りでした。
今回はどの回の後日談とか別視点とかではなく、過去に遡ってのエピソードというのが特徴的ですね。まあある意味、喪191表紙の後日談と言えなくもないかも?
なんとなく、5巻おまけの「少しずつ仲が悪くなった理由」の逆バージョンみたいな印象を受けましたね。
内容としてはやっぱり、サチの目の入るタイミングが見どころです。最後のコマの二人の表情とかぞくっとさせられますよ。面白いというか、胸に余韻を残す一編といった感じですね。
「あとがき」は1Pとこれまた少し寂しい感じ。喪192のあおりを受けた形になりましたね。
内容としてはやはり「20巻」のお話。当然10巻のあとがきについても触れています。イッコさんと作画さんの「10年間」のズレが面白いw
カバー裏イラストはむちゃくちゃ切ない…
これ、季節はいつなんだろうなあ。表と裏とで時期が違うようでもあるので、いろんな解釈ができそうですね。
全体を通して見ると、まるまる「映画編」だったような気もします。一つ一つの話が読み応えがありましたし、軽いショート回みたいな話もなかったので、読み終えた時にはまるで一本の映画を観た後のような心地よい疲労感に包まれました。
そして、最後の喪192が次への「予告編」になっているような、そんな気もしたんです。
言い換えれば、次の「第2章」のヒントがそこに隠されているように感じたんですね。
雫ちゃんの通話の相手とかサチと智貴の出会いとか、実に意味深じゃないですか。まさに21巻以降に期待を持たせる構成になっているわけです。
それにしても、映画編第1章としての南さん編は実に不思議な余韻を残します。先程は喪190で完結したのではないかと言いましたが、読む人や読み方によってどこで一区切りするかというのも分かれるところなんじゃないでしょうか。
私も当初は喪189で話は終わったと思っていて、喪190を最初に読んだ時はやっぱり戸惑いましたからね。喪191の時はもっと戸惑いましたけどw
考えてみれば、南さん編の始まりって時間を巻き戻してから始まっているんですよね。つまり、もこっちたちが映画を作ろうという流れと並行して話は進んでいるわけです。
最後のエピソードである喪192は「映画プレゼン翌日」から始まります。
喪186がプレゼンの話ですから、南さん編だけ本編の時間軸から浮いているような印象があるんですよ。それはまるで「作中作」かのようでもありますね。
そういった構図が今回の表紙にも表れているような気がしました。
もこっちは今、窓際の一番後ろの席から教室全体を見つめているのではないでしょうか。
そこで彼女は今回の南さんや二木さんの物語を知った。
南さんが自分のプレゼンを頬杖つきながらつまらなそうに見ている姿にかつての自分を重ねた彼女は、カメラを通してフレームの中に焼き付けようとしているのかもしれません。
そこに映し出される「青春」が疑似であるか本物であるかという問いにどれだけ意味があるのかはわかりませんが、もこっちたちは「映画」を通して何か答えのようなものを見つけるのではないか。
この記念すべき20巻は、そんなことを期待させる「予告編」になっていたと思います。
……そして、すみません!
本来なら、特装版の「小冊子」の感想も同時にアップするはずだったのですが、そちらは間に合いませんでした。今週末にはなんとかお届けできると思いますので、もうしばらくお待ちください。
今回の個人的ベスト3は難しい…客観的な評価と主観的な評価が分離してる感じがあります。主観的には喪190、喪191、喪192と終盤に集中してしまいますね。客観的には喪185とか喪189も外せないとは思うのですが。
余裕がある人は通常版もどうぞ!
いや~、ついに20巻目ですよ。
10巻のあとがきで「20巻はさすがにないと思いますが」と書いていたのが懐かしく思い出されます。
あれが5年前になりますか。うーん、長かったような短かったような…どちらとも言い難い不思議な感覚ですね。
というわけで、今回は連載10周年&20巻到達記念として、
18巻に引き続いて「特装版」と「通常版」の2種類が用意されています。

もし、普段の鑑賞用の他に保存用もと考えているなら、このように一緒に購入すればそれで事足りるかと思います。
ただ、今回も表紙のカラーやバックの抜粋シーン、それと特殊印刷モチーフ以外は中身はまったく一緒なので、無理して両方買うこともないでしょう。
1冊に絞るなら「特装版」のほうを購入されることを強くオススメします!
というわけで遅くなりましたが、今回も20巻の感想を綴っていきます。よければお付き合いのほどを。
※各話(喪185から喪192)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪185「モテないし自由に席を選ぶ」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-384.html
喪186「モテないしプレゼンする(前編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-389.html
喪186「モテないしプレゼンする(後編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-392.html
喪187「モテないし他人のことは知らない」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-394.html
喪188「モテないしあいつのこと」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-396.html
喪189「モテないしどこかで終わる」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-401.html
喪190「モテないし仲良し?」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-404.html
喪191「モテないし繰り返す」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-406.html
喪192「モテないし文化祭までの毎日(前編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-407.html
喪192「モテないし文化祭までの毎日(後編)」
https://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-410.html
●特装版と通常版の表紙の違い

さて、いつものようにまずは表紙から見ていくわけですが、南さんが中心になるというのはある意味予想通りでした。
もちろん、もこっち以外のキャラがメインになるというのはわたモテ史上初のことですし、前代未聞なことであることは間違い無いのですが、連載をリアルタイムで追いかけていた身としてはむしろ至極真っ当な表紙かと思うんですね。
逆にこれが南さんがまったく描かれていなかったら、そりゃびっくり仰天ですがw
もしくは「もこっちがいない」表紙とかねw
まあしかし、単行本派の方はさぞかし驚かれたでしょうね。私は前巻の喪184からの流れをずっと見てきたので納得できるわけですが、7ヶ月待った上でのいきなりのキバ子表紙となったら、一体何があったんだと思うことでしょう。おまけにサチノリマキののっぺらトリオまでいるしw
そうそう、単行本派の方はたぶんサチノリマキの扱いの大きさにも驚かれたのではないでしょうか。
そういった方への配慮としてサチの顔が描かれていないのは正しいとは思いますが、考えてみればキャンペーン関連や特典イラスト、バックの抜粋シーンなどですでにこれでもかと言わんばかりに描かれているのであんまり意味がないですね。
ていうか、表紙のバックにサチの“表情”があったら台無しのような気がするんですけどw


左が特装版の帯を取ったところ。右がその通常版。
まあ抜粋シーンというのはその巻を象徴する印象的なシーンを選ぶものなんでしょうから、サチの顔が選ばれるのはある程度はしかたないにせよ、せめて販促帯の下に隠して欲しいものです。
その点、特装版はうまく配置してあります。そういった意味でも、買うならやっぱり「特装版」ですね!
…ていうか、通常版はなんで左上に配置したんだw
のっぺらぼうの後ろだと、サチの生き霊みたいな感じになってるだろw
ちなみに特装版の抜粋シーンはすべて「南さん編」の後半(喪189~191)からになっています。
対して通常版は南さん編以外の喪186や喪192からも選んでいますね。どうせなら、こちらはすべて「南さん編」以外からのチョイスにした方が整合性が取れたんじゃないかと思うのですが。
それと紙版ならばのお楽しみといえば「特殊印刷モチーフ」ですよね。
(※特殊印刷モチーフに関しては19巻や14巻の感想も参照してください)
こちらは
特装版 サチの目、完全食(BVSE BREAD)、缶ジュース
通常版 ENTER、CONINUE?、フィルム
となっていて割と特装版=南さん編、通常版=映画編という構図が見えるだけに、もうちょっとコンセプトをはっきりさせて欲しかったなという気がしました。
それぞれのカラーをはっきり区別化させれば、両方購入するモチベーションもそれだけ上がると思うんですけどね。
●スマホを構えるもこっちから見えてきたもの
むしろ今回の表紙で驚いたのは、もこっちの方でした。これほど大きく扱われるとは思っていなかったのでそちらの方が意外な感じがしましたね。本編の彼女の露出から考えれば、もっと小さく描かれてもおかしくないと思っていました。
構図自体にも意表を突かれたのですが、同時にすごく腑に落ちるものがありました。
スマホを構えながら南さんの方を見つめているもこっちというのは、まさに20巻全体を象徴しているように思えたからです。
というのも、今回全体を読み通してみて「南さん編」がまるで「映画編」の一部のように感じられたんですよ。
つまり、もこっちが撮影する「映画」の中に南さんやサチたちも組み込まれているんじゃないかと、そんな気がしたんです。この表紙はそれを意味しているのかなと。
その印象は、中表紙を見て確信に変わりました。
今回の中表紙は喪192の表紙とリンクする形になっています。具体的には「屋上手前の踊り場で机を引っ張り出すもこっち」が描かれているんですね。つまり、喪192表紙直前の光景なわけです。
そう、この二つの絵に挟まれることで、喪185から喪191までがまるでもこっちの「脚本」の中の出来事かのように思えてくるんですよ。
●20巻そのものがひとつの映画だったのかもしれない
さて、今回も19巻同様「全8話」になっています。しかも、前後編が一つになった喪186をはじめ全話が11ページ以上という長編ばかりの構成になっているので、いつも以上にボリューム感がありますね。
ひょっとして単行本全体のページ数が増えたんじゃないかと思ったくらいw
まあ実際はいつも通り、総ページ数は144ページだったわけですが。
そのせいかわかりませんが、20巻そのものがひとつの映画のようにも感じられました。
喪185はプロローグ。
もこっちの「この席でぼっちで後ろから教室見てみたい」という言葉は、作品内ではなく外から「監督」としてわたモテを俯瞰したいという意味にも取れました。言うなれば、これがクランクインの掛け声だったのかもしれません。「よーい、アクション!」みたいなw
これを表紙絵と合わせると、彼女は「南さん編」の顛末を「監督」として眺めていたのかなという気にさせられましたね。
喪186のプレゼンを経て、いきなり喪187から南さん編が始まる構成もひょっとしたらこれも「映画編」の一部なのでは思わせるものがありました。実は喪187から映画編第1章が始まっていたのではないかと。
そして、喪191を持って第1章が終わり、次の章へと繋げていく形でオムニバス形式の喪192となったのではと感じられましたね。
喪192の表紙は187から191までの「南さん編」をどう構成しようかと思案しているかのようw
●特別編2つを先送りした意味とは
ところで今回、収録されなかった回があります。
それが特別編(クリスマス3年目)と特別編(おわびとお知らせ、会話と話題)の二つです。
どちらも特別編なわけですが、これらを次巻以降に先送りした理由は果たして単なるページ合わせだけなのでしょうか。
話的に本編とまったく流れが違うというのならまだわかります。でも、クリスマス編にせよ会話と話題にせよ、どちらも南さんやサチの話とリンクしていたと思うんですよ。
クリスマス編では喪187で描かれた南さんのゆりちゃんへの複雑な思いの伏線が仄めかされていますし、会話と話題に至ってはサチとゆりちゃんの関係性を考える上で重要なエピソードになり得ます。
本来なら、喪192全体を21巻に回してブランクページやおまけなどでページを埋めることも可能だったと思うんですよ。
それなのに、今回は次巻予告やガンガンオンラインの広告も一切入れてないで喪192を収録することを選んでいます。19巻では新人マンガ賞募集やマンガUP!の広告まで入れていたというのに。
今回、あとがきのページをめくったら、いきなり奥付が出てきたんで面食らいましたよw
つまり、それらを犠牲にしてまでも喪192というオムニバス回を収録したかったということになるんです。
それほどまでに、1巻につき必ずオムニバスを入れるというルール(?)は絶対に外せないのでしょうか?
●喪187と喪188をつなげた意味
ここで、いまや恒例となった「偶数ページと奇数ページ」をチェックしてみましょう。
今回は8話中4話が奇数ページとなっていて全体の構成は以下の通りになっています。
喪185 左終わり(奇数ページ)
喪186 左終わり(奇数ページ) ※11+12P
喪187 偶数 ブランクなしで喪188へ
喪188 偶数
ブランク2P
喪189 左終わり(奇数ページ)
喪190 偶数
ブランク2P
喪191 偶数
ブランク2P
喪192 左終わり(奇数ページ) ※10+15P
こうしてみると、実に興味深いことがわかります。
まず、喪187と喪188の間にブランクをなくし、シームレスに読ませていること。
これは18巻と同じですね。そうすることでなんとか144ページで収めようとしているわけです。
でも、なぜ喪187と喪188の間なんでしょう?どこかで話をつなげなきゃいけないにしても、別に喪188と喪189とか、喪190と喪191とかでもいいじゃないですか。
そしてブランク2Pの入れ方も不思議な印象があります。
ページ数を節約するなら3回も入れる必要があるでしょうか?
それに喪188と喪189はある意味、187と188よりもより密接に話が繋がっているとも言えます。(サチの開眼という意味で188と189は連続している)
もし、ブランクを入れるとするなら、喪187と188の方がふさわしいと考えるのが普通ではないでしょうか。
私はこう考えます。
つまり、南さん編にとって喪189とは、「起承転結」の“転”だったのではないかと。
だからこそ、喪188と喪189の間に一拍入れたかったわけです。起承と転結をはっきり分けるために。
そしてその喪189の余韻を残しつつ、喪190で一度完結を迎えたかったのではないかと思ったんですね。
そう、バスの中で二木さんと和解した時、南さん編は一度完結していたんです。
●喪192を入れたわけは、オムニバスを必ず入れるということではなかった?
喪191は実は後日談というか、エピローグ的な意味合いがあるように思えてなりません。
ほら今回、喪191だけが単独で前後ブランク2Pに挟まれているじゃないですか。ここだけぽっかり浮かんでいるような印象がありませんか?
私にはむしろこの話だけが独立しているようにも思えたんです。
ある意味ではここで南さん編と映画編がクロスしたとも言えるかもしれませんが、それよりも実は喪191だけが単独回だったという見方のほうが自分的にはなんだかしっくりきたんですね。
要するに、185-186までが映画編プロローグ、187-190が南さん編(映画編第1章)、191がその後日談(南さんとサチ編)、そして喪192が次の章に入る前の挿話という構成なのかなと感じたんですよ。
喪192の「文化祭までの毎日」というタイトルもそれを意味しているような気がしましたね。
そう考えると、1巻につき必ずオムニバスは入れるというこだわりよりも、次への橋渡しという意味合いの方が大きかったような気がするんです。
つまり、20巻を喪191で終わらせたくなかったんですよ。南さん編へのエピローグで一区切りをつけるのではなく、「最後の大きな物語」が完結まで続くという意味で、21巻への「ヒキ」をどうしても入れたかった。
そういうことだったのではと、勘繰ってしまうわけです。
●特典はうっちーのために選んだようなものですw
さて、そろそろ各ショップの特典を見ていきましょう。(すでに配布は終了している場合があります)



こちらはデジタル版特典。
こうして見ると、キバ子とサチノリマキが目立ちますね。
アニメイトさんとゲーマーズさんは被っているようにも見えますが、ゲーマーズさんの構図がなんとも面白い。キバ子たちの“内緒話”をゆりもこが見てるというねw
デジタル版も南さんですし、今回はやはり南さんとサチたちが中心だった言えるのではないでしょうか。
メロンブックスさんの特典イラストは実に興味深いですね。なんと本編ではなく小冊子の「もしももこっち3人組」とは。
通常版を買う人はイラストの意味がわかるかなあw
虎の穴さんはかなり意外。というか、風夏はここずっとモチーフに取り上げられていますよね。17巻から4巻連続で選ばれていますよ。谷川さんのお気に入りなんでしょうか。てか、妙にエロいなw
今回もどれにするか悩みに悩みましたが、けっきょく選んだのはこの二つ。


右のゲーマーズさんはやっぱり構図の妙と、ちびキャラに惹かれましたw
ここ最近はゲーマーズさんの特典をゲットすることが多いですね。ただ新宿店がなくなったり、秋葉原店も改装中だったりと、店頭でなかなか買いづらい状況になっているのが気にかかります。
左のメロンブックスさんのは、購入特典としてわたモテ既刊1冊につき

こ〜んなキャラクターカードがもらえるということで、もう必然的に決まっていましたw
しかも絵柄はてっきりランダムかと思いきや、店頭で購入する場合は「選べる」ということですから!
そう、もう

こういうことですねw
(※×おかわり→◯おわかり。まただよ…一体何度間違えれば気が済むのかw)
本当は通常版と2冊でもう1枚もらおうかなとも考えたのですが、ゲーマーズさんで通常版を買いましたし、そこはグッと我慢の子でした!
最後は、恒例の単行本のネタチェックですね。
まずは裏表紙。

なんか、現実の世界も本編よりも少し優しい世界になってるw これもある意味「理想」なんじゃないのかw
どちらかというと、「小さい理想」「大きい理想」といった感じがしますね。
三家さんもいくらか話がわかるキャラになってるしw
ていうか、こういう時こそ、「ダイエットしてるから」で回避できるような気がしないでもないw
今回の巻末おまけマンガは「1年の時 小陽ちゃんとの思い出」。
やっぱりページ数的な関係で今回は1本限りでした。
今回はどの回の後日談とか別視点とかではなく、過去に遡ってのエピソードというのが特徴的ですね。まあある意味、喪191表紙の後日談と言えなくもないかも?
なんとなく、5巻おまけの「少しずつ仲が悪くなった理由」の逆バージョンみたいな印象を受けましたね。
内容としてはやっぱり、サチの目の入るタイミングが見どころです。最後のコマの二人の表情とかぞくっとさせられますよ。面白いというか、胸に余韻を残す一編といった感じですね。
「あとがき」は1Pとこれまた少し寂しい感じ。喪192のあおりを受けた形になりましたね。
内容としてはやはり「20巻」のお話。当然10巻のあとがきについても触れています。イッコさんと作画さんの「10年間」のズレが面白いw
カバー裏イラストはむちゃくちゃ切ない…
これ、季節はいつなんだろうなあ。表と裏とで時期が違うようでもあるので、いろんな解釈ができそうですね。
全体を通して見ると、まるまる「映画編」だったような気もします。一つ一つの話が読み応えがありましたし、軽いショート回みたいな話もなかったので、読み終えた時にはまるで一本の映画を観た後のような心地よい疲労感に包まれました。
そして、最後の喪192が次への「予告編」になっているような、そんな気もしたんです。
言い換えれば、次の「第2章」のヒントがそこに隠されているように感じたんですね。
雫ちゃんの通話の相手とかサチと智貴の出会いとか、実に意味深じゃないですか。まさに21巻以降に期待を持たせる構成になっているわけです。
それにしても、映画編第1章としての南さん編は実に不思議な余韻を残します。先程は喪190で完結したのではないかと言いましたが、読む人や読み方によってどこで一区切りするかというのも分かれるところなんじゃないでしょうか。
私も当初は喪189で話は終わったと思っていて、喪190を最初に読んだ時はやっぱり戸惑いましたからね。喪191の時はもっと戸惑いましたけどw
考えてみれば、南さん編の始まりって時間を巻き戻してから始まっているんですよね。つまり、もこっちたちが映画を作ろうという流れと並行して話は進んでいるわけです。
最後のエピソードである喪192は「映画プレゼン翌日」から始まります。
喪186がプレゼンの話ですから、南さん編だけ本編の時間軸から浮いているような印象があるんですよ。それはまるで「作中作」かのようでもありますね。
そういった構図が今回の表紙にも表れているような気がしました。
もこっちは今、窓際の一番後ろの席から教室全体を見つめているのではないでしょうか。
そこで彼女は今回の南さんや二木さんの物語を知った。
南さんが自分のプレゼンを頬杖つきながらつまらなそうに見ている姿にかつての自分を重ねた彼女は、カメラを通してフレームの中に焼き付けようとしているのかもしれません。
そこに映し出される「青春」が疑似であるか本物であるかという問いにどれだけ意味があるのかはわかりませんが、もこっちたちは「映画」を通して何か答えのようなものを見つけるのではないか。
この記念すべき20巻は、そんなことを期待させる「予告編」になっていたと思います。
……そして、すみません!
本来なら、特装版の「小冊子」の感想も同時にアップするはずだったのですが、そちらは間に合いませんでした。今週末にはなんとかお届けできると思いますので、もうしばらくお待ちください。
今回の個人的ベスト3は難しい…客観的な評価と主観的な評価が分離してる感じがあります。主観的には喪190、喪191、喪192と終盤に集中してしまいますね。客観的には喪185とか喪189も外せないとは思うのですが。
余裕がある人は通常版もどうぞ!
- 関連記事
-
- 【微ネタバレあり】わたモテ20巻特装版「小冊子」感想~「感想」はうまく言葉になりませんが、とにかく今回もマストアイテム!~
- 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!20巻 感想~記念すべき20巻目はまるで1本の映画のように(次作への予告編付き)~
- 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!喪195~今はいっとき「映画」の事は忘れて素直に笑いましょう~
スポンサーサイト
tag : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!