【わたモテ温故知新】私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!喪005~彼女がまだ、それに気づいていなかった頃~
※【わたモテ温故知新】とは
うちのブログが始まる前の「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」の話、具体的には喪1から喪55(単行本1巻から6巻まで)の感想を綴っていく企画です。
喪5が個人的にすごく思い入れが強い回だということは、これまでも述べてきました。
でも、なぜそこまで魅かれるのかということを言葉にしようとすると、はたと手が止まってしまうんですよね。
自分の中の思いを客観的に見つめることがなかなかできないんです。
というか、そもそもこの回を読んだ途端に電流が走った!みたいな思い入れとは違うんですよ。
後から振り返ってみるといつの間にか喪5のことばかりが考えている、みたいな感じなんですw
なので、我ながらよくわかっていない面も多分にあるんですね。
実は私は意外とこういうケースが多々あります。
むしろ思い入れが強ければ強いほど、その傾向がありますね。
温故知新の第一回でも言いましたが、わたモテという作品自体が「いつの間にか気付かないうちに」ハマっていたわけですし。その理由を言語化するのはかなり至難の技なんです。
でももちろん、こうして記事にするからにはわからないでは通りません。
今一度振り返りながら、私自身がその答えらしきものを探っていくしかなさそうです。
それではさっそく見てまいりましょう!
WWW冒頭からいきなり「恥ずかしいあるある」w
「んぐふっ!」の声がこもるところがなんともリアルw
出すつもりじゃなかったのに思わず出てしまった感がハンパないw
コンビニで立ち読みに限らず、公共の場で思わず笑ってしまって恥ずかしい思いをしたというのはおそらく誰でも一度は経験したことがありますよね。
かく言う私も、電車の中でわたモテを読んでて思わず吹き出してしまったことが何度かありますw(当ブログのアーカイブを辿っていけばそんなエピを語ってる記事があるはず)
というわけで、今回は「モテないし宿る」。
これまでのわかりやすいものとは打って変わって、ちょっと不思議な印象のタイトルですね。
直接的な意味としては読めばすぐに合点がいきますが、それ以上にいろいろな意味が隠されていそうです。
語呂もいい感じですよね。ふと声に出したくなりますw
WWWこれは絶対見られてるやつw
実にわかりやすいフリですよねwページをめくるまでもないw
「マーフィーの法則」をちょっと思い出しましたよ。
「雑誌を立ち読みしている最中に吹き出すとそれを必ず誰かが見ている」みたいなw
最初の1ページ目として、これ以上ない始まり方と言っていいでしょう!
WWWWW
この店員の表情wもうすっごく胸に刺さりますね。
苦笑いとかもしくは蔑んだ感じならまだいいですけど、こういう「あ俺が見ていたことを知られちゃったか」みたいな表情をされるとよけいに「うわわあああ!」ってなるんですよw
しかもすぐに何もなかったかのように振舞われるのが、またよけいにキツイんですよねw
おいおいこっちの恥ずかしさをほったらかしにしてお前だけ日常に戻っていくのかよ!みたいなw
一緒にこの気まずい空気をしばらく共有してくれよという気持ちになってしまうんです。共犯者を求めてる感覚なんでしょうかね?もちろん、向こうにとっては知ったことかでしょうけどw
もこっちの表情を見せずに片側だけ少し見切れる感じでフェードアウトしていく演出は、いつ見ても痺れますね。
ここまで一切のセリフなしw
この淡々とした雰囲気がかえってじわじわ来ますねw
で、この後もちょっとヘタ打ったなみたいな感じで「もうあのコンビニはしばらく行けない」とくるわけですw
普段あれだけ恥ずかしがったりキョドったりしている彼女のリアクションが、ここまで淡白だと逆に印象に残りますよね。
普通のギャグマンガなら、もっと大げさに「あああああ!店員に見られちゃったよー」とかやるところだと思いますよ。
でも、ここはあくまで“まくら”みたいなものなんですよね。本当の「恥ずかしい」はこの後が本番なのですから、この段階で必要以上に「共感性羞恥」を刺激したらダメなんです。
このコンビニのシーンは「オチ」への伏線でもあったわけですが、それとは別に、強弱をつけてより読者の奥底に訴えかけるという意味で重要な役割を果たしていたんだなと今さらながら思いますね。
WWWWWなんじゃそりゃWWW一体どんなネタだWWWWW
そもそも何がそんなに最高なのかもよくわからんwww
ていうか、もこっちが立ち読みしてたのって「マンガコラク」なんですよねwもろ「週刊漫画ゴラク」みたいなw
あれ、たぶん女子高生が一人コンビニで読むような雑誌じゃないと思うんだがwww
ひょっとしてこれ元ネタのマンガでもあるのかと思ったんですけど、今のところそういう話は聞かないんですよね。ネット特定班で何か知っている方がいらっしゃいましたら、こっそり教えていただけると幸いですw
突然の雨に急遽駆け込んだのは、公園の東屋。
どうでもいいけど、あんなことがあった後で果たして傘を買えるものなのかw
自分だったら絶対無理w
それはさておき、ここでもあえて顔を見せないところが印象的ですね。
この回は、もこっちの後ろ姿が効果的に使われている場面が目立つような気がします。
さて、これが小坂君の初登場シーンになるわけですが、今考えるとけっこう運命的な出会いですね。
雨宿りしてたらイケメンとたまたま一緒になるとか、恋愛小説なら間違いなく恋に発展するパターンw
ただ、この場合は男二人というのがポイントですよね。
一人でも持て余してしまうのに、もこっちのメンタルキャパシティ的に二人は到底無理ですからw
このシチュエーションによって、そんな甘い展開が入る余地を一切なくしているわけです。
それにしても、この黒髪に「!?」が乗っかる演出がスゴすぎません?もう天才としか言いようがないんですけど。
黒と白のコントラストがより緊張感を際立たせて、見ているこちらもなんだかドキドキさせられますよね。
読者ともこっちの気持ちが自然にシンクロしやすいように工夫されているんです。
WWWWWいやいや、別の所ってw緊急事態にそんな余裕ないってのw
つーか、無我夢中で雨宿りしに来たのに「あ先客いるからやめとこ」とかなるかwww
しかし、この右手で左腕を掴んでるところが痛々しいほどにリアルで、見ていてたまらない気持ちになりますね。
(心理学的には不安やストレスを落ち着かせるための仕草だそうです)
いるいる、こういう奴w
どんな状況だろうと誰だろうと、なんのためらいもなくフランクに話しかけてくる奴w
特に他意はないんでしょうけど、言われた方はビビりますよね。
まあ彼の目を見る限り、ちょっかい出すとか相手の反応を見て楽しもうという意図はなさそうなので、ごく普通に受け答えをしておけばもしかしたら、ちょっとしたロマンスに発展していた可能性もなきにしもあらず、かもしれませんがw
WWW
でもまあ、これはしかたないw
いきなりイケメン2人と一緒になっただけでも緊張しまくりのところに、突然話しかけられたら頭の中が真っ白になりますよね。
おまけに短髪のほうって、喪2のコンビニ店員にちょっと似ているじゃないですか。
たぶん、もこっちの好みのタイプでもあるんですよ。そんな彼に優しい目で声を掛けられたら、言葉を失ってしまうのも無理はないでしょう。
前髪が表情に影を落としている描写がより緊迫感を高めますね。
なんで、と言われても特に理由なんてないんですけどねw
相手の心を必要以上に読み取ろうとするのは、ぼっちの悪い癖かも。
でも「駄目!!」という言い方はちょっとかわいいですねw
小坂君が短髪君を嗜めてくれてますが、これはこれでいたたまれないというか、逆に恥ずかしいものなんですよね。ああ困ってるように思われてる…とか、そう認識してしまうだけでよけいにどうしていいかわからなくなってしまうんです。
小坂君はすごくいい人なんですけど、むしろそれゆえに気を回し過ぎなところがありますね。変に先回りされるとよけいにぎくしゃくしてしまうものなんですけど、そういうコミュ症ならばの感覚は彼には今ひとつわからないようです。
一方の短髪は逆にもう少し気を回せと言いたくなりますけどw
WWWWW本当は明るくて面白い子wwwww
ここのフレーズは何度見ても笑ってしまうw
しかし改めて見ると、小坂君のフォローがむしろ彼女をさらに窮地に追いやってしまった感があります。ぼっちにとって「大人しい」は、「暗い」「陰気」と同義語ですからね。
それにしても「もしかして無視されちゃった俺?」の言いぐさは本当に辛い……
これたぶん、短髪君にとっては別にイヤミでもなんでもないんですよ。
場を繋げるためにあえて自分が道化役を背負ったみたいな感覚なんですね。
“普通の”大人しい子だったら、うつむきながら「あ、そんなつもりじゃ…す、すみません…」と消え入りそうな声で応えるところでしょう。
もしくは、いっそのことひたすら黙り込んで時が過ぎるのを待つだけかもしれませんね。
でも、もこっちはそんじょそこらの女の子とはわけが違います。
彼女の表情を見てください。まるで「ここで大人しい子烙印を押されてしまったら私はもう破滅だ」とでも言いたそうな顔をしてるじゃないですかw
で、そんな彼女が脚をがくがくさせながらも必死で紡いだ言葉が……
WWWWWこれはこれである意味面白いwww
でもそれはたぶん、もこっちをずっと見てきたわたモテ読者だからなんでしょうねw
もはや笑いのツボが変わってきてるのかもw
ていうか、愛想笑いのつもりなんだろうけど「えへへへ」はやめろw
WWWまあこれが普通の反応だわなw
二人の引き具合の差が面白いですね。
これは受け取り方の違いでしょうか。
小坂君はマジで心配していただけに、予想外の反応に戸惑ってる感があるw
短髪君は単に「あ、これは関わんない方がいいパターン」と認識を改めたのかもw
こうしてみる分には、このシチュエーションになんだか興奮(笑)しているみたいでちょっと面白いw(ほら、彼女ちょっとM入ってるしw)
でもこれが自分だったらと思うと、むちゃくちゃきついですよね。
さすがにあれから話を続ける勇気はないでしょうし、ただ時が過ぎるのを待つだけというのはかなり辛いと思いますよ。
下手すると過呼吸で気を失いかねない状況です。
WWWWWこの状況下でセルフつっこみwww
さすがはもこっちですねw確かにこんな「大人しい子」はそうはいないw
ていうか、普通はこんな余裕なんてないですよね。
自分の状態すら省みれないケースの方が多いんじゃないでしょうか。
どんな場合でも「つっこみ精神」を忘れないところに、もこっちの強さの源を感じざるを得ません。
WWWいや、言うほど面白いかあ?w
ていうか、例えつっこみって、自分でやると寒いですよねw
あれは誰かとの掛け合いの中でやるから面白いんであって、自分で答えを言っちゃったらかえって白けますよw
まさに「自分で言うのもなんだが」なんです。
まったく、「ふふふ…」じゃないってのw
もこっち、もこっち、見られてるw
一人にやにやしてるのを引き気味に見られてるってw
「面白い女子だと思ってくれるかも」とか言ってますけど、この時点ですでに詰んでるんですよね。
二人の表情がそれを証明しています。
短髪君に至っては「やばい奴と関わってしまった」みたいな顔をしてるしw
ていうか、「面白い女子」である必要もないんですけどねw
普通に会話さえできればそれでいいはずなんです。
なんで、ここでウケを狙わなきゃならないのかw
まあ正直、悲しい承認欲求だなあという感想を持ちますね。
WWWWWこれはひどいwww
セルフ例えつっこみそのものが寒いのに、そのセリフ自体もちゃんと言えてないしw
音声がなくても棒読みなのがまるわかりですよねw
それでも本人的にはうまくいったつもりなのか、「ちら」とうかがう感じがなんともかわいいw
ていうか、むしろいじらしいw(今回の個人的ベストもこっち!)
ここで次頁をめくらせる構成がまた見事。
本当にこの回はページ構成自体がよく考えられています。
WWWもうやめてあげて!もこっちのライフはとっくにゼロよ!www
短髪君の八の字眉毛とか、もう見てられないw
まあでも、ここは彼らを責められません。こんなの誰でも「?」となりますよ。
むしろ、ここで爆笑するような奴はそれこそやばいw
WWWWWあぐぬwww
よくわからんが、なんかわかるwww
このシーンは左右の目のバランスが絶妙ですよね。このくらい誇張したほうがかえってリアルな恥ずかしさが伝わるんです。
“かあぁぁ”と顔が染まっていく様がまるでアニメを見ているかのように伝わってきます。
うわあああ!
きついきついwwwさすがに2回目はきついってwww
まさに恥の上塗りだってw
つーか、聞こえてないわけないだろw むしろ聞かなかったことにしようとしてくれてたんだよw
いやもうホント、ここは時間を止めてでも無理やり阻止したいw
せめて、さっきでやめておけばまだ傷は浅かったはずなのに…
ていうか、語尾の間延びした「~」は何なんだw
言うならはっきり言えw
短髪お前……言ってはならんことを……
さすがに小坂君はその辺のことをわかっているようですけど、これは人見知りにとっては「死刑宣告」みたいなものなんですよ。
要はお前の言ってることは会話になってないぞということですからね。
WWWホントですよねw
こんなの、ひと思いにグサッとやってくれたほうがなんぼかマシですよw
真っ赤に腫れあがっている目で天を仰ぐ様は見ていてなんとも痛ましいものですが、それでもどこか笑ってしまうのは、彼女がまさに「面白い女子」だということの証明なのかもしれませんw
WWWWWいや、そんなにレベルは高くねーだろwww
ていうかお前だって、下ネタやネットで見たことの真似ごとだろうがw
でも考えてみると、ここの負け惜しみはけっこう重要なポイントが隠されているようにも感じます。
彼らがもこっちを「大人しい子」と決めつけたのと同様、彼女もまたイメージだけで「つまらない人たち」と勝手に決めつけているわけですよね。
それこそが、彼女を追い詰めているものの正体のような気がするんですよ。
もこっちが恐れ、なんとか取り繕うとしている相手は、実はもこっちの中のイメージ像に過ぎないのかもしれない。
そんな風にも感じましたね。
…まあそれはともかく、「なんだよ もう」の言い方はむちゃくちゃかわいいw
あれだけ心の中で毒づいていても、これですからねwホント憎めない子です。
なんていうか、「泣いてもいいんだよ」(byももいろクローバーZ)と声を掛けてあげたくなりますw
でもまあ、彼女のプライドとしてそれは絶対にできないことなんでしょうね。
小坂君ってば……
その優しさがかえってもこっちの逃げ道をふさぐことになるのをわかっているんだろうか…
ここは見ていて歯がゆいですね。
短髪君が「もうやめとけばいいのに」みたいな目線を送っていますが、ちょっとわかりますw
ぶっちゃけ、ここはもう「はい、家も近いんでもう帰ります」とでも言って走り去ったほうがよかったんじゃないかとも思うんですけどね。
でも、我らがもこっちは決してそんな敗北を選んだりはしません。
「泣いてるのがバレる 面白いこと言わないと!!」
この発想ですよ。これがもこっちなんですね。
この、あくまで人から弱く見られたくないと必死で強がるのが彼女なんです。
もっとも、理屈そのものはいまだによくわかりませんけどねw
泣いてるところを見られたくないのはいいとして、なんでそれが「面白いこと言わないと」につながるんだかw
野グソ的なものwwwww
「的な」ってなんだよwww
ていうか、トイレでするんなら野グソじゃねーだろw
それにしてもすごいですねw
ネタのクオリティはともかく(笑)、とっさにこれを言えるのがすごいw
ちょっとラップ調ではあるけどw
「へへ」というゲスな笑いを付け足すことでネタのエグみを緩和させるところなんかは、さすがのセンスw
WWWWWこれは小坂君が悪いwww
渾身のネタを謝罪で返すとかwww
ギャグをマジに取られるのが一番きついんだってwww
これじゃ、もこっちもギャグそのものを無に帰すしかなくなりますよね。
「お お おしっこ…」とかwww
なんでこんな、いらんことを言わされなきゃならないのかw
というわけで、今回一番笑ったシーンはここになります!
「野グソ」ネタそのものよりも、そのギャグに「ごめん」と返されたことにむちゃくちゃ笑いましたねw
「ギャグなのに!!下ネタにしたのに!!」という心の叫びがなんともむなしく響きますw
ここで舞台は一転します。
それと同時に、話を取り巻く空気も一気に重くなります。
トイレの洗面台の前で立っていることすらできずにしゃがみ込んでしまう姿は、とても笑えるような気分にはなりませんよね。
かろうじて台のふちに掌を引っ掛けている様は、まるで何かにすがるかのようです。
それは逆に、こんな状況下でも必死で自分の足で立とうとしているかのようにも見えて、ある種感動的ですらあります。
いったい、どれだけ泣いたことでしょう。
ここまで真っ赤になるなんてよっぽどですよね。(怪異に魂を蝕まれて妖怪化が始まってるレベルw)
本当だったら、立ち上がることさえしんどい状態なのではないでしょうか。
でも、彼女は立ち上がります。
決して勝ち目のないあの場所に、たった一人で再び戻ろうとします。
その理由はただひとつ。
「本当にウンコだと思われる」から。
こんなくだらない理由なのに、どうしようもなくバカバカしい話なのに、なんでこんなに泣きそうな気持ちにさせられるんでしょう。彼女から目を離せなくなってしまうんでしょう。
私たちがわたモテという作品から感じる、切なくて痛くて愛おしい「笑い」。
その“生”の感触が、ここには詰まっているように思えてなりません。
今回の個人的ベストシーン。
間違いなくここがハイライトだと思いますね。
本当だったら危機(?)を逃れたのですから、むしろホッとするような場面なんですよ。
それなのに、この寂寥感はなんでしょう。
どうしてこんなに胸が締め付けられるのでしょう。
パースの入った構図が彼女の心の空白を象徴しているかのようです。
力が抜けたかのようにベンチに座り込むもこっち。
もう明るくて面白い女の子でいる必要はありません。
雨がやむまでただひたすら待てばいい。
そんな彼女を、今度は引いた視点でカメラは映し続けます。
まるでそこには最初から彼女しかいなかったかのように。
夢か現実か、はたまた過去か未来か。
依然として雨が降りしきる中、彼らの会話だけが響き渡ります。
もちろんこれは現実の出来事です。
そのセリフが伝えるように、もこっちが眠りに落ちている間に二人は戻ってきていたのです。
でもここはあえて黒のバックを敷くことで、まるでもこっちの夢の中かのような演出をしているんですね。
セリフだけで彼らの姿を描かないのもそういう効果を狙ったものなのでしょう。
それはわたモテの基本構造である「周りはいい人ばかりなのに、もこっちはそのことに気づけない」ということをそのまま具現化しているかのようでもあります。
目を覚ました時には、すでに彼らは過ぎ去った後。
たった今、彼女のそばで起こった出来事をもこっちは知る由もありません。
それでもなんとなく、何かを感じたような気持ちだけが残っている。
この彼女の長い沈黙は、そんな不思議な感触から来ているのかもしれませんね。
あれが確かに現実だった証拠は、すぐそばに残されていました。
それがこの「コンビニの傘」。
彼女が求めていた“それ”は、こんなにも近くにあったのですね。
でも彼女は傘の存在には気づいても、肝心なことにはまだ気づけないでいるのです。
WWWこの期におよんで、借りパクを気にするもこっちwww
罠じゃないことを確認するかのようにきょろきょろする様は、健気にすら感じますね。
どれだけ虚勢を張っても、こういうところに本来の真面目さが出てしまうわけです。
何度見ても、不思議な「オチ」だと思います。
喪4の「オチ」の感じにもちょっと似ていますが、でもやっぱり違うんですね。
あちらは笑いとしてのオチではなく叙情的な余韻を残すためのものだったのに対して、こちらはある意味「笑い」の要素があるんですよ。
考えようによっては、「いや、たった今優しくされたからw」というツッコミ待ちのオチでもあるんです。つまり、笑おうと思えば別に笑えるオチなんですね。
というか、谷川さん的には笑ってもらうつもりもあったのではないでしょうか。
ただ、私はやっぱりこの「オチ」で笑うことはできません。
それは笑いとしての質の問題ではなく、もっと本質的な問題だと思います。
わたモテという作品は、本来笑いのネタにはしないようなものをあえてネタにするようなところがあります。
それは人間としての危ない部分だったり悲しい部分だったり、はたまた社会の残酷性だったり様々ですが、いずれにせよ、単に「明るくて面白い」漫画ではないんですね。
もちろん、そういう「負」の側面を笑いにする作品は他にもいくらでもあります。
ただ、わたモテがすごいのは、時々加工せずに「原石」の状態のままで出してしまうことがあるということなんです。
つまり、「笑い」という形に必ずしもこだわっていないように感じるんですよ。
笑わせるという目的以上に、笑いの「素」みたいなものを読者の心に植え付けたいという欲求の方が強い人なのかなという気がするんです。
このオチはその笑いになる前の「笑い」だと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、他にはない独特な読後感が残るのかなという気がしましたね。
私の思い入れは果たしてどこから来るのか。
こうして振り返った今でも、まだはっきりしたことはわかりません。
ただ、ひとつ見えてきたことがあります。
それは、この回がわたモテの「本質的な構造」を目に見える形で表現した最初のエピソードだったということ。
単なる「ぼっちあるある」漫画でも「痛い喪女の痛さを笑う」漫画でもなく、自分と世界とのおかしくも切ない関係性を笑う漫画なんだということを教えてくれたのが、この喪5だったんじゃないかと思えたんですね。
自分と世界との関係。
それは言い換えれば、「私」と「外」の関係といってもいいでしょう。
もこっちはいつも他人の目や評価を気にして、「私は面白い子なんだ」とあがきます。必死ではいつくばります。
でも彼女自身がその「他者」を「つまらない奴ら」と決めつけているところはないでしょうか?
それゆえに、他人をちゃんと見ようとしていないのではと感じたんですよね。
彼女が恐れているのは、けっきょく「自分」自身なのではないかと。
今回の「周りの優しさにもこっちは気づけない」という構造は、そのままこの漫画のタイトルにも表れているような気がします。
「私」がモテないのはどう考えても「お前ら」が悪い。
そう、この場合の「お前ら」とは、実はもこっちの中にあるイメージとしての「お前ら」なのかもしれないんです。
それはあまりに悲しい思い違い。でもどこか滑稽でおかしくもあります。
そんな思春期ならばの肥大化した自意識を多少の皮肉と感傷を交えて笑ってしまうのがわたモテの基本構造なんじゃないかと思ったんですね。
この「モテないし宿る」という話は、それを一番わかりやすい形で見せてくれたのではないでしょうか。
この時のもこっちは、自分の外にある「優しさ」にまだ気づけていません。
むしろ気づけないからこそ、わたモテという作品は成り立っていたのかもしれません。
彼女がそれに気づくのはこの雨宿りした日からおよそ1年半後。
そう、あの卒業式の後です。
彼女はその時、心の中でこうつぶやきました。
「……いつも気づくのが遅い」
それは確かに遅すぎたのかもしれません。
でも気づいてしまったら、もう元には戻れません。
あの瞬間、わたモテという作品は全てがひっくり返ったのではないか。
私は今、そんな風に考えています。
喪5は1巻のど真ん中!やはり最初期のわたモテの根幹を担う回といっていいでしょう!
小坂君とは夏に早くも再会を果たすんですけど、これがあの……回なんですねえ…
まさか、3年の夏でも再会できるとは思わなかったなあ…
アニメでは「モテないし悪天候」などと再構成をして第3話として放映されました。
これに関しては、なんといっても「本当は明るくて面白い子なんだ」のシーンに注目!
もこっちの考える“面白い子”像が笑えますw
うちのブログが始まる前の「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」の話、具体的には喪1から喪55(単行本1巻から6巻まで)の感想を綴っていく企画です。
喪5が個人的にすごく思い入れが強い回だということは、これまでも述べてきました。
でも、なぜそこまで魅かれるのかということを言葉にしようとすると、はたと手が止まってしまうんですよね。
自分の中の思いを客観的に見つめることがなかなかできないんです。
というか、そもそもこの回を読んだ途端に電流が走った!みたいな思い入れとは違うんですよ。
後から振り返ってみるといつの間にか喪5のことばかりが考えている、みたいな感じなんですw
なので、我ながらよくわかっていない面も多分にあるんですね。
実は私は意外とこういうケースが多々あります。
むしろ思い入れが強ければ強いほど、その傾向がありますね。
温故知新の第一回でも言いましたが、わたモテという作品自体が「いつの間にか気付かないうちに」ハマっていたわけですし。その理由を言語化するのはかなり至難の技なんです。
でももちろん、こうして記事にするからにはわからないでは通りません。
今一度振り返りながら、私自身がその答えらしきものを探っていくしかなさそうです。
それではさっそく見てまいりましょう!

WWW冒頭からいきなり「恥ずかしいあるある」w
「んぐふっ!」の声がこもるところがなんともリアルw
出すつもりじゃなかったのに思わず出てしまった感がハンパないw
コンビニで立ち読みに限らず、公共の場で思わず笑ってしまって恥ずかしい思いをしたというのはおそらく誰でも一度は経験したことがありますよね。
かく言う私も、電車の中でわたモテを読んでて思わず吹き出してしまったことが何度かありますw(当ブログのアーカイブを辿っていけばそんなエピを語ってる記事があるはず)
というわけで、今回は「モテないし宿る」。
これまでのわかりやすいものとは打って変わって、ちょっと不思議な印象のタイトルですね。
直接的な意味としては読めばすぐに合点がいきますが、それ以上にいろいろな意味が隠されていそうです。
語呂もいい感じですよね。ふと声に出したくなりますw

WWWこれは絶対見られてるやつw
実にわかりやすいフリですよねwページをめくるまでもないw
「マーフィーの法則」をちょっと思い出しましたよ。
「雑誌を立ち読みしている最中に吹き出すとそれを必ず誰かが見ている」みたいなw
最初の1ページ目として、これ以上ない始まり方と言っていいでしょう!

WWWWW
この店員の表情wもうすっごく胸に刺さりますね。
苦笑いとかもしくは蔑んだ感じならまだいいですけど、こういう「あ俺が見ていたことを知られちゃったか」みたいな表情をされるとよけいに「うわわあああ!」ってなるんですよw
しかもすぐに何もなかったかのように振舞われるのが、またよけいにキツイんですよねw
おいおいこっちの恥ずかしさをほったらかしにしてお前だけ日常に戻っていくのかよ!みたいなw
一緒にこの気まずい空気をしばらく共有してくれよという気持ちになってしまうんです。共犯者を求めてる感覚なんでしょうかね?もちろん、向こうにとっては知ったことかでしょうけどw
もこっちの表情を見せずに片側だけ少し見切れる感じでフェードアウトしていく演出は、いつ見ても痺れますね。

ここまで一切のセリフなしw
この淡々とした雰囲気がかえってじわじわ来ますねw
で、この後もちょっとヘタ打ったなみたいな感じで「もうあのコンビニはしばらく行けない」とくるわけですw
普段あれだけ恥ずかしがったりキョドったりしている彼女のリアクションが、ここまで淡白だと逆に印象に残りますよね。
普通のギャグマンガなら、もっと大げさに「あああああ!店員に見られちゃったよー」とかやるところだと思いますよ。
でも、ここはあくまで“まくら”みたいなものなんですよね。本当の「恥ずかしい」はこの後が本番なのですから、この段階で必要以上に「共感性羞恥」を刺激したらダメなんです。
このコンビニのシーンは「オチ」への伏線でもあったわけですが、それとは別に、強弱をつけてより読者の奥底に訴えかけるという意味で重要な役割を果たしていたんだなと今さらながら思いますね。

WWWWWなんじゃそりゃWWW一体どんなネタだWWWWW
そもそも何がそんなに最高なのかもよくわからんwww
ていうか、もこっちが立ち読みしてたのって「マンガコラク」なんですよねwもろ「週刊漫画ゴラク」みたいなw
あれ、たぶん女子高生が一人コンビニで読むような雑誌じゃないと思うんだがwww
ひょっとしてこれ元ネタのマンガでもあるのかと思ったんですけど、今のところそういう話は聞かないんですよね。ネット特定班で何か知っている方がいらっしゃいましたら、こっそり教えていただけると幸いですw

突然の雨に急遽駆け込んだのは、公園の東屋。
どうでもいいけど、あんなことがあった後で果たして傘を買えるものなのかw
自分だったら絶対無理w
それはさておき、ここでもあえて顔を見せないところが印象的ですね。
この回は、もこっちの後ろ姿が効果的に使われている場面が目立つような気がします。

さて、これが小坂君の初登場シーンになるわけですが、今考えるとけっこう運命的な出会いですね。
雨宿りしてたらイケメンとたまたま一緒になるとか、恋愛小説なら間違いなく恋に発展するパターンw
ただ、この場合は男二人というのがポイントですよね。
一人でも持て余してしまうのに、もこっちのメンタルキャパシティ的に二人は到底無理ですからw
このシチュエーションによって、そんな甘い展開が入る余地を一切なくしているわけです。
それにしても、この黒髪に「!?」が乗っかる演出がスゴすぎません?もう天才としか言いようがないんですけど。
黒と白のコントラストがより緊張感を際立たせて、見ているこちらもなんだかドキドキさせられますよね。
読者ともこっちの気持ちが自然にシンクロしやすいように工夫されているんです。

WWWWWいやいや、別の所ってw緊急事態にそんな余裕ないってのw
つーか、無我夢中で雨宿りしに来たのに「あ先客いるからやめとこ」とかなるかwww
しかし、この右手で左腕を掴んでるところが痛々しいほどにリアルで、見ていてたまらない気持ちになりますね。
(心理学的には不安やストレスを落ち着かせるための仕草だそうです)

いるいる、こういう奴w
どんな状況だろうと誰だろうと、なんのためらいもなくフランクに話しかけてくる奴w
特に他意はないんでしょうけど、言われた方はビビりますよね。
まあ彼の目を見る限り、ちょっかい出すとか相手の反応を見て楽しもうという意図はなさそうなので、ごく普通に受け答えをしておけばもしかしたら、ちょっとしたロマンスに発展していた可能性もなきにしもあらず、かもしれませんがw

WWW
でもまあ、これはしかたないw
いきなりイケメン2人と一緒になっただけでも緊張しまくりのところに、突然話しかけられたら頭の中が真っ白になりますよね。
おまけに短髪のほうって、喪2のコンビニ店員にちょっと似ているじゃないですか。
たぶん、もこっちの好みのタイプでもあるんですよ。そんな彼に優しい目で声を掛けられたら、言葉を失ってしまうのも無理はないでしょう。
前髪が表情に影を落としている描写がより緊迫感を高めますね。

なんで、と言われても特に理由なんてないんですけどねw
相手の心を必要以上に読み取ろうとするのは、ぼっちの悪い癖かも。
でも「駄目!!」という言い方はちょっとかわいいですねw
小坂君が短髪君を嗜めてくれてますが、これはこれでいたたまれないというか、逆に恥ずかしいものなんですよね。ああ困ってるように思われてる…とか、そう認識してしまうだけでよけいにどうしていいかわからなくなってしまうんです。
小坂君はすごくいい人なんですけど、むしろそれゆえに気を回し過ぎなところがありますね。変に先回りされるとよけいにぎくしゃくしてしまうものなんですけど、そういうコミュ症ならばの感覚は彼には今ひとつわからないようです。
一方の短髪は逆にもう少し気を回せと言いたくなりますけどw

WWWWW本当は明るくて面白い子wwwww
ここのフレーズは何度見ても笑ってしまうw
しかし改めて見ると、小坂君のフォローがむしろ彼女をさらに窮地に追いやってしまった感があります。ぼっちにとって「大人しい」は、「暗い」「陰気」と同義語ですからね。
それにしても「もしかして無視されちゃった俺?」の言いぐさは本当に辛い……
これたぶん、短髪君にとっては別にイヤミでもなんでもないんですよ。
場を繋げるためにあえて自分が道化役を背負ったみたいな感覚なんですね。
“普通の”大人しい子だったら、うつむきながら「あ、そんなつもりじゃ…す、すみません…」と消え入りそうな声で応えるところでしょう。
もしくは、いっそのことひたすら黙り込んで時が過ぎるのを待つだけかもしれませんね。
でも、もこっちはそんじょそこらの女の子とはわけが違います。
彼女の表情を見てください。まるで「ここで大人しい子烙印を押されてしまったら私はもう破滅だ」とでも言いたそうな顔をしてるじゃないですかw
で、そんな彼女が脚をがくがくさせながらも必死で紡いだ言葉が……

WWWWWこれはこれである意味面白いwww
でもそれはたぶん、もこっちをずっと見てきたわたモテ読者だからなんでしょうねw
もはや笑いのツボが変わってきてるのかもw
ていうか、愛想笑いのつもりなんだろうけど「えへへへ」はやめろw

WWWまあこれが普通の反応だわなw
二人の引き具合の差が面白いですね。
これは受け取り方の違いでしょうか。
小坂君はマジで心配していただけに、予想外の反応に戸惑ってる感があるw
短髪君は単に「あ、これは関わんない方がいいパターン」と認識を改めたのかもw

こうしてみる分には、このシチュエーションになんだか興奮(笑)しているみたいでちょっと面白いw(ほら、彼女ちょっとM入ってるしw)
でもこれが自分だったらと思うと、むちゃくちゃきついですよね。
さすがにあれから話を続ける勇気はないでしょうし、ただ時が過ぎるのを待つだけというのはかなり辛いと思いますよ。
下手すると過呼吸で気を失いかねない状況です。

WWWWWこの状況下でセルフつっこみwww
さすがはもこっちですねw確かにこんな「大人しい子」はそうはいないw
ていうか、普通はこんな余裕なんてないですよね。
自分の状態すら省みれないケースの方が多いんじゃないでしょうか。
どんな場合でも「つっこみ精神」を忘れないところに、もこっちの強さの源を感じざるを得ません。

WWWいや、言うほど面白いかあ?w
ていうか、例えつっこみって、自分でやると寒いですよねw
あれは誰かとの掛け合いの中でやるから面白いんであって、自分で答えを言っちゃったらかえって白けますよw
まさに「自分で言うのもなんだが」なんです。
まったく、「ふふふ…」じゃないってのw

もこっち、もこっち、見られてるw
一人にやにやしてるのを引き気味に見られてるってw
「面白い女子だと思ってくれるかも」とか言ってますけど、この時点ですでに詰んでるんですよね。
二人の表情がそれを証明しています。
短髪君に至っては「やばい奴と関わってしまった」みたいな顔をしてるしw
ていうか、「面白い女子」である必要もないんですけどねw
普通に会話さえできればそれでいいはずなんです。
なんで、ここでウケを狙わなきゃならないのかw
まあ正直、悲しい承認欲求だなあという感想を持ちますね。

WWWWWこれはひどいwww
セルフ例えつっこみそのものが寒いのに、そのセリフ自体もちゃんと言えてないしw
音声がなくても棒読みなのがまるわかりですよねw
それでも本人的にはうまくいったつもりなのか、「ちら」とうかがう感じがなんともかわいいw
ていうか、むしろいじらしいw(今回の個人的ベストもこっち!)
ここで次頁をめくらせる構成がまた見事。
本当にこの回はページ構成自体がよく考えられています。

WWWもうやめてあげて!もこっちのライフはとっくにゼロよ!www
短髪君の八の字眉毛とか、もう見てられないw
まあでも、ここは彼らを責められません。こんなの誰でも「?」となりますよ。
むしろ、ここで爆笑するような奴はそれこそやばいw

WWWWWあぐぬwww
よくわからんが、なんかわかるwww
このシーンは左右の目のバランスが絶妙ですよね。このくらい誇張したほうがかえってリアルな恥ずかしさが伝わるんです。
“かあぁぁ”と顔が染まっていく様がまるでアニメを見ているかのように伝わってきます。

うわあああ!
きついきついwwwさすがに2回目はきついってwww
まさに恥の上塗りだってw
つーか、聞こえてないわけないだろw むしろ聞かなかったことにしようとしてくれてたんだよw
いやもうホント、ここは時間を止めてでも無理やり阻止したいw
せめて、さっきでやめておけばまだ傷は浅かったはずなのに…
ていうか、語尾の間延びした「~」は何なんだw
言うならはっきり言えw

短髪お前……言ってはならんことを……
さすがに小坂君はその辺のことをわかっているようですけど、これは人見知りにとっては「死刑宣告」みたいなものなんですよ。
要はお前の言ってることは会話になってないぞということですからね。

WWWホントですよねw
こんなの、ひと思いにグサッとやってくれたほうがなんぼかマシですよw
真っ赤に腫れあがっている目で天を仰ぐ様は見ていてなんとも痛ましいものですが、それでもどこか笑ってしまうのは、彼女がまさに「面白い女子」だということの証明なのかもしれませんw

WWWWWいや、そんなにレベルは高くねーだろwww
ていうかお前だって、下ネタやネットで見たことの真似ごとだろうがw
でも考えてみると、ここの負け惜しみはけっこう重要なポイントが隠されているようにも感じます。
彼らがもこっちを「大人しい子」と決めつけたのと同様、彼女もまたイメージだけで「つまらない人たち」と勝手に決めつけているわけですよね。
それこそが、彼女を追い詰めているものの正体のような気がするんですよ。
もこっちが恐れ、なんとか取り繕うとしている相手は、実はもこっちの中のイメージ像に過ぎないのかもしれない。
そんな風にも感じましたね。
…まあそれはともかく、「なんだよ もう」の言い方はむちゃくちゃかわいいw

あれだけ心の中で毒づいていても、これですからねwホント憎めない子です。
なんていうか、「泣いてもいいんだよ」(byももいろクローバーZ)と声を掛けてあげたくなりますw
でもまあ、彼女のプライドとしてそれは絶対にできないことなんでしょうね。

小坂君ってば……
その優しさがかえってもこっちの逃げ道をふさぐことになるのをわかっているんだろうか…
ここは見ていて歯がゆいですね。
短髪君が「もうやめとけばいいのに」みたいな目線を送っていますが、ちょっとわかりますw
ぶっちゃけ、ここはもう「はい、家も近いんでもう帰ります」とでも言って走り去ったほうがよかったんじゃないかとも思うんですけどね。
でも、我らがもこっちは決してそんな敗北を選んだりはしません。
「泣いてるのがバレる 面白いこと言わないと!!」
この発想ですよ。これがもこっちなんですね。
この、あくまで人から弱く見られたくないと必死で強がるのが彼女なんです。
もっとも、理屈そのものはいまだによくわかりませんけどねw
泣いてるところを見られたくないのはいいとして、なんでそれが「面白いこと言わないと」につながるんだかw

野グソ的なものwwwww
「的な」ってなんだよwww
ていうか、トイレでするんなら野グソじゃねーだろw
それにしてもすごいですねw
ネタのクオリティはともかく(笑)、とっさにこれを言えるのがすごいw
ちょっとラップ調ではあるけどw
「へへ」というゲスな笑いを付け足すことでネタのエグみを緩和させるところなんかは、さすがのセンスw

WWWWWこれは小坂君が悪いwww
渾身のネタを謝罪で返すとかwww
ギャグをマジに取られるのが一番きついんだってwww
これじゃ、もこっちもギャグそのものを無に帰すしかなくなりますよね。
「お お おしっこ…」とかwww
なんでこんな、いらんことを言わされなきゃならないのかw
というわけで、今回一番笑ったシーンはここになります!
「野グソ」ネタそのものよりも、そのギャグに「ごめん」と返されたことにむちゃくちゃ笑いましたねw
「ギャグなのに!!下ネタにしたのに!!」という心の叫びがなんともむなしく響きますw

ここで舞台は一転します。
それと同時に、話を取り巻く空気も一気に重くなります。
トイレの洗面台の前で立っていることすらできずにしゃがみ込んでしまう姿は、とても笑えるような気分にはなりませんよね。
かろうじて台のふちに掌を引っ掛けている様は、まるで何かにすがるかのようです。
それは逆に、こんな状況下でも必死で自分の足で立とうとしているかのようにも見えて、ある種感動的ですらあります。

いったい、どれだけ泣いたことでしょう。
ここまで真っ赤になるなんてよっぽどですよね。(怪異に魂を蝕まれて妖怪化が始まってるレベルw)
本当だったら、立ち上がることさえしんどい状態なのではないでしょうか。
でも、彼女は立ち上がります。
決して勝ち目のないあの場所に、たった一人で再び戻ろうとします。
その理由はただひとつ。
「本当にウンコだと思われる」から。
こんなくだらない理由なのに、どうしようもなくバカバカしい話なのに、なんでこんなに泣きそうな気持ちにさせられるんでしょう。彼女から目を離せなくなってしまうんでしょう。
私たちがわたモテという作品から感じる、切なくて痛くて愛おしい「笑い」。
その“生”の感触が、ここには詰まっているように思えてなりません。

今回の個人的ベストシーン。
間違いなくここがハイライトだと思いますね。
本当だったら危機(?)を逃れたのですから、むしろホッとするような場面なんですよ。
それなのに、この寂寥感はなんでしょう。
どうしてこんなに胸が締め付けられるのでしょう。
パースの入った構図が彼女の心の空白を象徴しているかのようです。

力が抜けたかのようにベンチに座り込むもこっち。
もう明るくて面白い女の子でいる必要はありません。
雨がやむまでただひたすら待てばいい。
そんな彼女を、今度は引いた視点でカメラは映し続けます。
まるでそこには最初から彼女しかいなかったかのように。

夢か現実か、はたまた過去か未来か。
依然として雨が降りしきる中、彼らの会話だけが響き渡ります。
もちろんこれは現実の出来事です。
そのセリフが伝えるように、もこっちが眠りに落ちている間に二人は戻ってきていたのです。
でもここはあえて黒のバックを敷くことで、まるでもこっちの夢の中かのような演出をしているんですね。
セリフだけで彼らの姿を描かないのもそういう効果を狙ったものなのでしょう。
それはわたモテの基本構造である「周りはいい人ばかりなのに、もこっちはそのことに気づけない」ということをそのまま具現化しているかのようでもあります。

目を覚ました時には、すでに彼らは過ぎ去った後。
たった今、彼女のそばで起こった出来事をもこっちは知る由もありません。
それでもなんとなく、何かを感じたような気持ちだけが残っている。
この彼女の長い沈黙は、そんな不思議な感触から来ているのかもしれませんね。

あれが確かに現実だった証拠は、すぐそばに残されていました。
それがこの「コンビニの傘」。
彼女が求めていた“それ”は、こんなにも近くにあったのですね。
でも彼女は傘の存在には気づいても、肝心なことにはまだ気づけないでいるのです。

WWWこの期におよんで、借りパクを気にするもこっちwww
罠じゃないことを確認するかのようにきょろきょろする様は、健気にすら感じますね。
どれだけ虚勢を張っても、こういうところに本来の真面目さが出てしまうわけです。

何度見ても、不思議な「オチ」だと思います。
喪4の「オチ」の感じにもちょっと似ていますが、でもやっぱり違うんですね。
あちらは笑いとしてのオチではなく叙情的な余韻を残すためのものだったのに対して、こちらはある意味「笑い」の要素があるんですよ。
考えようによっては、「いや、たった今優しくされたからw」というツッコミ待ちのオチでもあるんです。つまり、笑おうと思えば別に笑えるオチなんですね。
というか、谷川さん的には笑ってもらうつもりもあったのではないでしょうか。
ただ、私はやっぱりこの「オチ」で笑うことはできません。
それは笑いとしての質の問題ではなく、もっと本質的な問題だと思います。
わたモテという作品は、本来笑いのネタにはしないようなものをあえてネタにするようなところがあります。
それは人間としての危ない部分だったり悲しい部分だったり、はたまた社会の残酷性だったり様々ですが、いずれにせよ、単に「明るくて面白い」漫画ではないんですね。
もちろん、そういう「負」の側面を笑いにする作品は他にもいくらでもあります。
ただ、わたモテがすごいのは、時々加工せずに「原石」の状態のままで出してしまうことがあるということなんです。
つまり、「笑い」という形に必ずしもこだわっていないように感じるんですよ。
笑わせるという目的以上に、笑いの「素」みたいなものを読者の心に植え付けたいという欲求の方が強い人なのかなという気がするんです。
このオチはその笑いになる前の「笑い」だと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、他にはない独特な読後感が残るのかなという気がしましたね。
私の思い入れは果たしてどこから来るのか。
こうして振り返った今でも、まだはっきりしたことはわかりません。
ただ、ひとつ見えてきたことがあります。
それは、この回がわたモテの「本質的な構造」を目に見える形で表現した最初のエピソードだったということ。
単なる「ぼっちあるある」漫画でも「痛い喪女の痛さを笑う」漫画でもなく、自分と世界とのおかしくも切ない関係性を笑う漫画なんだということを教えてくれたのが、この喪5だったんじゃないかと思えたんですね。
自分と世界との関係。
それは言い換えれば、「私」と「外」の関係といってもいいでしょう。
もこっちはいつも他人の目や評価を気にして、「私は面白い子なんだ」とあがきます。必死ではいつくばります。
でも彼女自身がその「他者」を「つまらない奴ら」と決めつけているところはないでしょうか?
それゆえに、他人をちゃんと見ようとしていないのではと感じたんですよね。
彼女が恐れているのは、けっきょく「自分」自身なのではないかと。
今回の「周りの優しさにもこっちは気づけない」という構造は、そのままこの漫画のタイトルにも表れているような気がします。
「私」がモテないのはどう考えても「お前ら」が悪い。
そう、この場合の「お前ら」とは、実はもこっちの中にあるイメージとしての「お前ら」なのかもしれないんです。
それはあまりに悲しい思い違い。でもどこか滑稽でおかしくもあります。
そんな思春期ならばの肥大化した自意識を多少の皮肉と感傷を交えて笑ってしまうのがわたモテの基本構造なんじゃないかと思ったんですね。
この「モテないし宿る」という話は、それを一番わかりやすい形で見せてくれたのではないでしょうか。
この時のもこっちは、自分の外にある「優しさ」にまだ気づけていません。
むしろ気づけないからこそ、わたモテという作品は成り立っていたのかもしれません。
彼女がそれに気づくのはこの雨宿りした日からおよそ1年半後。
そう、あの卒業式の後です。
彼女はその時、心の中でこうつぶやきました。
「……いつも気づくのが遅い」
それは確かに遅すぎたのかもしれません。
でも気づいてしまったら、もう元には戻れません。
あの瞬間、わたモテという作品は全てがひっくり返ったのではないか。
私は今、そんな風に考えています。
喪5は1巻のど真ん中!やはり最初期のわたモテの根幹を担う回といっていいでしょう!
小坂君とは夏に早くも再会を果たすんですけど、これがあの……回なんですねえ…
まさか、3年の夏でも再会できるとは思わなかったなあ…
アニメでは「モテないし悪天候」などと再構成をして第3話として放映されました。
これに関しては、なんといっても「本当は明るくて面白い子なんだ」のシーンに注目!
もこっちの考える“面白い子”像が笑えますw
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