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私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!「喪62」~優しさゆえの残酷さ~

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」が喪62「モテないし家に帰る」に更新されました。

「きーちゃん回-2年生夏編-」もいよいよクライマックス、きーちゃんとの日々も最終日となります。
いやー、よかったですね。3回のシリーズの中でも屈指の名作ではないでしょうか。

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まず、表紙がいい!田舎の縁側でツーショットというのは本当に絵になりますよね。(アイスを買って帰ってきたシーンでしょうか)

今回のきーちゃんを見て感じたのは、とにかく、もこっちの奇行に対して彼女は決して“ひかない”ことですね。
高2にもなって自転車にも乗れなくても(私もびっくりしましたが、4巻喪36の誕生日の話で「自転車すら乗れない」とあったんですね。まさかここでこんな伏線回収があるとは……)、「特殊なAV」ネタとかぶちかましても、ちょーしこいて変なメールを送ってきても、最後、母親に連れ戻されてバレバレの言い訳をしても、彼女はすべて受け入れているわけです。


大丈夫だよ お姉ちゃん
だってまたすぐ会えるもん


このシーンはきーちゃんが既にもこっちの本質を把握しきっていることを表しています。いやー感動ですね!
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他にも
「ゴミみたいな嘘やめてね」「うんわかった」「フリとかじゃなくやったら2度と乗らないからね」「うんわかった」
「きーちゃんつかんでる?放してないよね」「つかんでないよもう放してるよ」「嘘とか本当とかどうでもいいからとりあえず放さないでもらっていい?」「うんわかった」
のくだりとか最高ですね。きーちゃんの無垢なんだか上から目線なんだかよくわからないうざい魅力があふれています。

そしてやっぱりもこっちのゲスな魅力は本当に素晴らしい。

「また余計なお世話がでた」→「軽く引いてやる」→「乗れる!?」「ちょっとそこら辺走ってきていい?」→「やっぱり私には一般人と違う何かがある」→「あれは自転車が悪いよね」

このあまりな人間臭さ!
そんなもこっちのゲスさをすべて理解したうえで、きーちゃんはこう思うのです。
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いやー、怖いですねぇ。この優しさがさらにもこっちを苦しめるのです……。

きーちゃんの回はもこっちの人間性が容赦なく炙り出されるので、好き嫌いが分かれやすい話だとは思います。
ただ、わたモテの根幹的な部分である点も確かです。

年下のいとこに自分の見栄っ張りな部分や孤独感を諭されてしまうつらさ。切なさ。情けなさ。
わたモテとはそんな、ダメ人間にとって一番辛い部分こそを笑ってしまう残酷さと優しさを内包している作品なのです。

わたモテという作品は周りの人間はみな善人、という設定がありますが、実はこの設定も「優しい」反面、「残酷」でもあるんですよね。

ダメな人間というのはダメなくせに変なプライドだけは一人前にあります。そのプライドだけでなんとか生きている面があります。そこに周りの人が優しく接してくるとなんだか、自分が惨めに思えてくるんですね。唯一、自分を守ってきた“プライド”さえも奪われた気になってしまうんです。

もちろん、だからといって「優しさ」を恨むことは間違っています。そんなことはもこっちも百も承知ですよ。でもだからこそ、やるせない。やり場のない怒りや悲しみに囚われてしまう。性格がさらに歪んでしまう。

それこそ、「また余計なお世話がでた……」になるわけです。
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「優しさ」はもちろん、うれしい。ありがたい。でも悔しい。むかつく。この矛盾こそがもこっちの愛すべき人間性です。
だからこそ、周りの人たちは「優しく」なくてはならないのです。

で、きーちゃんは“もこっちを慕う年下のいとこ”という絶好の設定なので、
どうしても子供ならばの“無垢ゆえの残酷さ”を描きやすいんですね。

周りがみな「優しい」ゆえにもこっちは辛い、
というわたモテのキモを一番象徴しているのが、「きーちゃん」なのではないでしょうか。
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tag : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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