私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!15巻 感想~「変化」はいまだ進行中~
5月11日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」15巻が発売されました。
今年の1月22日に14巻が出てから、まだ3か月半。これだけ短いスパンでの発売はたぶん初めてですよね。これまでは基本5か月から7か月くらいのペースだったはずです。11巻から12巻の間なんて、ほぼ1年(!)空いてましたから。今回の刊行の早さはかなり際立っています。
まあ、それもそのはず、今回収録されているのは9話分なんです。
つまり、理由は簡単で、以前より各話のページ数が増えたため単行本分溜まるのが早まったということなんでしょう。おそらく、これからはこのくらいのペースが標準となってくるのではないでしょうか。
そしてそのせいかどうかはわかりませんが、今回web掲載時と単行本とではあまり印象が変わらなかったような気がしました。いつもだったら、まとめて読むことで感じ方も変わったりすることがあったのですが……
最後の喪150なんてついこの間読んだばかりのように思えますよw そのときの印象がまだ頭の中に残っているんですね。
そういった意味では、いつもの更新を読む感覚に近かったようにも思います。
ただ、何度か読み直す中で、いくつか見えてきたこともありました。
その辺のことを踏まえつつ、今回も15巻の感想を綴っていきたいと思います。
※各話(喪143から喪150)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪143「モテないし3人で勉強する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-277.html
喪144「モテないし名前を呼び合う」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-279.html
特別編8
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-280.html
喪145「モテないし3年のある日」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-282.html
喪146「モテないし雨がやむまで」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-284.html
喪147「モテないし一人(ぼっち)で寄り道」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-286.html
喪148「モテないし短くする」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-288.html
喪149「モテないし先輩になる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-289.html
喪150「モテないし栄冠を捧げる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-292.html
●なにが15巻を象徴していたか
まずはいつものように表紙から見ていきます。

今回は平沢雫ちゃんともこっちのツーショット(+二木さんの勇姿w)
これは少し意外でしたね。
というのも、15巻ってこれという「核」になる話がないじゃないですか。
ほら、14巻は「GW編」がありましたし、13巻は「遠足編」ですよね。
12巻ならもちろん、誰もが「卒業式」を思い浮かべるでしょう。ここ最近の傾向として、わりと素直にその巻を象徴する構図が選ばれていたと思うんです。
ところが今回の15巻では、そういった全体を代表するような話は見当たりません。冒頭の話はいきなり「GW編」の最後の話ですし、次のシリーズである「球技大会編」もまだ始まったばかりで、本格的に白熱(?)するのは次の16巻でしょう。
言うなれば、「GW編」と「球技大会編」の狭間にある巻なわけです。
なので、15巻がどんな表紙になるのかかなり気になっていました。
これはという目玉がないということは、逆に言えばどの話が選ばれてもおかしくないということですからね。どれが選ばれるかによって、作者の狙いが少しでも見えてくるのではないかと思っていたんです。
そんな中、谷川さんは選んだモチーフは、雫ちゃんともこっちの二人でした。
ベンチに腰掛けている感じ、雫ちゃんの視線、そしてもこっちの思わず天を仰ぐかのような目線。
どう見ても、

喪149のこの表紙を正面からとらえたかのような構図ですよね。
正直、最初は「球技大会」をテーマにするなら次の16巻のほうがよかったんじゃないの?と思いました。
そうでなくっても、各シリーズが途中で分断されていてコンセプトがはっきりしない巻だなと感じていただけに、このチョイスの意図がよくわかりませんでした。
しかし、本編を読み終えてみると、この表紙に込められた意味が見えてきたんです。そう、やっぱり喪149「モテないし先輩になる」こそが、この15巻の「核」となるエピソードだったのだと。
でもそれは、「球技大会」とは関係ありません。

今回、もこっちは誰かのためにいろんなことをします。そして、考えます。
それは、今までにはない大きな「気づき」でした。
「GW」を経て「球技大会」に至るまでに、もこっちの中で起こった「変化」。
今回はもこっちにいろんな「変化」が見られますが、その最たるものとして、雫ちゃんに「本当のぼっち」であったことを打ち明けるシーンがあげられると思うんですよ。
かつてのぼっち生活に思いを馳せ、スカートを短くした後に語られるこの「先輩エピソード」。
これこそが、15巻を象徴する出来事だったように感じたんです。
今ではもう、この表紙以外考えられませんね。
後ろの二木さんもまるでその後の結果を象徴しているかのようです。
順調に「青春」しているように見えて、それでいて何やら前途多難な予感もさせる、実に味わい深い構図になっているとは思いませんか?
●喪149は球技大会編ではなかった?
さて、14巻で言及した「偶数と奇数」。
今回も面白いことになっています。
なんと、9話中4話が「偶数」ページなんです。「右ページ終わり」がまた全体の半分近くまで盛り返しているんですよ。
これはけっこう意外でした。ずっと左終わりが続いていたような気がしていたので。これは単行本でなければ気づきませんでしたね。
しかも、「右ページ終わり」が入るタイミングが実に興味深いんです。
まず、GW編の最後である喪143が「右終わり」。
ここで14巻からの「GW編」の流れは、いったん途切れるわけですね。
そして、名前を呼び合う喪144、「ネモ特別編」が続くわけですが、この特別編がまた「右終わり」なんですね。これがまた不思議な印象を残すんです。
もこっちが初めて「ゆりちゃん」と呼んだ日。それを後押ししたのはあのネモでした。そして次に明かされるネモの過去。ここまでひとくくりとして読めるような構成になっているんです。なんだか喪144のスピンオフとして「特別編」があるような印象さえ受けましたね。
次に、オムニバスの喪145と初めての自習室の喪146。
ここでまた「右終わり」が入るんですね。GW明けの席替えの喧騒もつかの間、進路問題という現実が重くのしかかってくるような読後感を味わいます。
もこっちの「中間テストか…5月も終わりか…」という独白が強く胸に残りますね。
で、まるで雨の景色から暗転するかのような2ページのブランクを経て、喪147で中間試験です。そこから一気に、スカートを短くする喪148、本当の意味で雫ちゃんの先輩になる喪149まで続くんですね。この3つはなんだか3部作のようにも思えましたよ。
で、ここでまたブランク2ページを挟んで最後に喪150となるわけです。
つまり構成的には、球技大会扱いになっていないんです、喪149は。
感じとしては、中間試験の最中ひとりだった頃に思いを馳せつつ、スカートを短くした結果が「先輩になる」に繋がったように思えるんですよ。
冒頭、雫ちゃんに会いに行くもこっちの短いスカート姿が、よけいにそれを強く印象付けましたね。
まるで本当の「球技大会編」は、喪150から始まるかのような構成になっていたのではないでしょうか。
●GWと球技大会の間に起こったさまざまな「変化」
それにしても、GWと球技大会のわずかの間に、実に様々な変化が起こったものです。
もこっちがゆうちゃんに学校のことを話せるようになったこと。
席替え。
ゆりちゃんが「智子」と呼び、そしてもこっちが「ゆりちゃん」と呼ぶようになったこと。
初めての自習室。
ハンバーガーを「もぐもぐ」と食べるようになったこと。
二木さんの意外な一面を知ったこと。
ぼっち生活で手に入れたものを失いそうなことに気が付いたこと。
スカートを短くしたこと。
そして、本当の意味で「先輩」になろうとしたこと。
大きなシリーズ物に挟まれ一見すると地味な印象がある15巻ですが、実はこんなにもダイナミックな変動が起こっていたのですね。もこっちがセンチメンタルな気持ちになってしまうのもわかります。
高校に行けば自然とモテると思っていた黒木智子……。(1巻参照)
2年になって色々と様変わりする環境下で智子はどう生き抜くのか……!?(5巻参照)
高校3年生、5月――黒木智子、友人、進路と色々青春しています!!
このキャッチコピーを見たときは、なんで今更1巻と5巻のコピーを引っ張り出してきたのかわからなかったのですが、今はなんとなくわかります。
「青春」とは何かを得る代わりに何かを失う、その変化の過程を指す言葉でもあったのですから。
●喪145は喪156エピソード0?
あとひとつ気になった回といえば、喪145「モテないし3年のある日」。
いわゆるオムニバス回ですね。
この話が、現時点での最新話である喪156と妙にリンクするんですよ。
ある意味、web掲載と単行本との印象があまり変わらなかったのは、実はこの話が影響しているんじゃないかという気がしたんです。
(ここから、喪156の若干のネタバレがあり)
宮崎さんともこっちのことに疑心暗鬼になるうっちー。
サチ達のことを気にする南さん。
紗弥加が流す“噂”。
そして、休み時間どこかに行ってる智貴。(これはまあ、厳密に言えば「おまけ」マンガですけど)
これらがすべて今公開している話とつながっているわけです。
なんだか喪156の前日譚(エピソード0?)を読んでいるような錯覚さえ感じましたね。
この話が最新話に直結するため、よけい単行本らしさが薄まったということは考えられないでしょうか。
もしかしたら、これは意図的に狙ったものなのかもしれません。
ほら、今リアルタイムも5月半ばじゃないですか。作中のGWと球技大会に挟まれたこの期間と奇遇にも一致するんです。
今進行中の最新話と、わたモテ世界における5月なかばの日常回をリンクさせることによって、読者も「変化」を肌に感じることができるわけです。
そういった仕掛けが隠れているような気もしましたね。
●ちょっと捻ったモチーフが目立った特典イラスト
さて、いつものように各ショップの特典をおさらいしておきましょう。(すでに配布は終了している場合があります)

左のふたつはわかりやすいですけど、右のふたつは少し捻った感じですね。
直接的なシーンをモチーフにしたわけではないようです。
今回の電子書籍版の特典は2種類。

左のゆりちゃんがBOOK☆WALKER、それ以外の主要ストアがネモ(中学生?)となっているようです。
一応、キャラが被らないようになっているんですね。
で、私が選んだのはこのふたつ。


左のアニメイトさんはいつものパターンですよねw もう、ちびキャラというだけで選んでしまいます。
二木さんがいるのもポイント高い!(ちびキャラでもほとんどデザインが変わらないのがまたいいw)
右のゲーマーズさんはちょっと不思議なモチーフですよね。喪143の勉強会とも喪150の球技大会ともつかない感じですけど、この二人の空気感が15巻のどこかに息づいていたんだと思うとなんだかうれしい気持ちにさせられます。夏服を着ているところからすると、球技大会が始まる前にどの競技にするかの相談かな?
…それにしても、小宮山さんはやっぱり筆入れもロッテなんだなあw
その他、加藤さんは喪146、ネモは特別編8というのはわかりますけど、
BOOK☆WALKERのゆりちゃんはちょっとわかりづらいですね。もしかすると、喪144での通学シーンなのでしょうか。
ゆうちゃんのは、喪143の勉強会に持参したケーキを選んでいるところなんでしょうね。(けっきょく真ん中のケーキを選んだのかな?w)
今回唯一不満だったのは、うっちーの特典がなかったということですね。
もし、喪144冒頭のゆりちゃんとうっちーのショットがあったなら、BOOK☆WALKER版も買うところだったのに!
最後に、単行本恒例のネタをチェックしていきましょう。

「理想と現実」はゆりちゃん!
彼女らしいびみょ~な表情だけで見せますねw 「理想」でのゆりちゃんがむちゃくちゃかわいい!
にしても、「現実」はちょっとひどいw ネモは別にいいだろw
そういえば、ここも喪156の「ぬかよろこび」と微妙にリンクしているように思えます。
巻末おまけマンガは“その後…”が3つ。
おまけが3ページというのは今までもありましたが、3話分というのは初めてなのではないでしょうか。なんだか少し得した気分ですね。
その中で、もっとも話題を呼んだのはなんといっても「喪145その後」でしょう。
ここまで本編とリンクした「おまけ」は今までありませんでしたね。しかもある意味、最新話の続きみたいなものですからw
“…”がついていないところがまた意味深ですよね。
おそらくこれは、他の「その後…」と差別化する意味もあるのでしょう。今後本編で「その後」の「その後」が語られる時もくるのではないでしょうか。
他の2つは、「喪150その後…」と「特別編その後…」。
こちらは特に深い意味もなく、素直に笑えるものになっています。
岡さんの何も考えていないかのような笑顔とか、ネモの「まあそうだけど!!」とかw
あと、どちらも岡田がいい味出していましたね。
カバー裏はやっぱり「ネタじゃない」路線。
14巻のあれが実際に喪152へと繋がっていっただけに、特に今回の表表紙裏はかなり気になります。果たして彼女は何を思って誰を見つめていたんでしょうね…
逆に裏表紙裏にはすごく和みました。まさにギャグマンガの「裏側」を垣間見たような新鮮な驚きがありましたね。
あと、16巻の予告がひどくて笑いましたw
まあ、さすがに単行本派の人でもあれには騙されないとは思いますがw
でも次が秋頃だとすると、今年は年に3冊出ることになりそうですね。
そういえば、「あとがき」で「前回の単行本から4か月しか空いてなくてネタがない」と言っていましたね。
4か月あって何もないってのもどうなのかとは思いますがw
でも次の16巻では原画展のネタに事欠かないでしょうから、今から楽しみですw
(ツイッターにあがっていましたが、メッセージを「貼らずに持ち帰ってしまった」には笑ったw これ、16巻のネタとして残しておけばよかったのにw)
後そうそう、喪144の「和田さん」と喪147の「春奈さん」は、やっぱり誤植だったんですね、普通に直ってましたw
ていうか、「和田さん」に関しては谷川さん自身ツイッターで言及していましたね。「和田さんはちょっと面白かった」ってw 何ひとごとのように…と思いつつ笑いましたw こういうゆるさも谷川ニコのいいところですよね。
こうして振り返ってみると実にいろんな「変化」があった巻でした。この間、わずか1か月弱ですからね。まったく、「4か月しか空いてなくてネタがない」谷川さんとはえらい違いですw
しかも、それらの「変化」は現在進行形なんですよね。進路問題もそうですが、もこっちを取り巻く人間模様も様々な変容を見せています。
喪145のうっちーと宮崎さんや智貴の置かれた状況、喪147でのもこっちとヤンキー3人組や二木さんとの交流。これらはすべて、今以って継続中なわけです。
今は1話あたりのページ数が増えてきていますから、これからも単行本の刊行ペースは早まるでしょう。
同時に、web連載と単行本とのタイムラグも縮まってくるわけです。
なんだか現実とわたモテ世界がシンクロし始めたかのような、そんな不思議な感覚に陥った15巻でした。
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喪156感想の最後で、原画展を15巻の感想記事の中で紹介するかもと書いた件ですが、すみません。まだちょっと整理がつかない状態です。
一応、後日、撮った写真を交えて詳しくレポートする予定ですが、まだ先になりそうです。
それまで待ちきれないという方は、ほとんど中身がないレポートですが、
【わたモテ】原画展に行ってきた!!
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-300.html
こちらで軽く紹介していますのでどうぞ。
ただまあ、画像自体はツイッターを始めとしていろんなところであがっているようですけどね。
個人的には喪144と喪149がベスト2かも。
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