私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!13巻 感想~「これまで」と「これから」がぶつかる合流地点~
7月21日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」13巻が発売されました。
12巻では、「最終巻」であると同時に「第1巻」でもあると位置づけましたが、今回の13巻はけっこう難しいですね。
まあ、前回に習えば、13巻は「第1巻」であると同時に「第2巻」でもあるということになるわけですが、これだと何が言いたいのかよくわからなくなりますからw 言葉遊びにもなりません。
ただ、ここから始まった流れもある一方、前巻からの継続という流れもあったかなとは感じました。
そういった意味では、新しい空気とこれまでの空気が渾然一体となった巻だったとは言えるかもしれません。
というわけで、発売日からけっこう間が空いてしまいましたが(気が付けば一か月近く…)、13巻の感想をざっと綴っていこうと思います。
※各話(喪123から喪132)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪123「モテないし弟が3-5にくる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-243.html
喪124「モテないし友達の関係」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-244.html
喪125「モテないし遠足がはじまる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-246.html
喪126「モテないしあだ名で呼ばれる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-247.html
喪127「モテないしのる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-249.html
喪128「モテないし回る」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-252.html
喪129「モテないし教えてあげる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-254.html
喪130「モテないし遠足が終わる(上)」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-255.html
喪130「モテないし遠足が終わる(下)」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-257.html
喪131「帰るまでが遠足」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-258.html
喪132「モテないし先輩後輩の関係」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-259.html
●「これまで」と「これから」の合流地点
まずはいつものように表紙から見ていきましょう。

ここ最近の個人的な注目点として「もこっちの目線」というのがあるのですが、前回初めて前を向いたもこっちが今回もしっかり正面を向いているのがまず目に付きますね。
この辺は12巻からもこっちの姿勢は変わっていないと言えるのではないでしょうか。
ただ、13巻はいままでにないくらいにぎやかになりました。登場しているキャラも総勢6人!今までの最高記録が4人でしたから、ここで一気に1.5倍に膨れ上がったことになります。(そういう問題なのか…)
ここは、これまでとは違ったわたモテを象徴しているような気がします。
面白いのは、もこっちの周りがそれぞれバラバラの方向を向けているということですね。もこっち以外、誰一人前を向いていないんです。(あ、誰かさんの頭の後ろをずっと凝視しているキャラは約一名ほどいらっしゃるようですけどw)
かつてはもこっちがそうであったように、今は周りのキャラがそうなっている構図が興味深いですね。
いつか彼女たちが揃って前を向く時が来るなら、その時こそ、わたモテが幕を下ろすときなのかもしれません。……でも、みんながみんな、前を向いているというのもなんだからしくないですよね。
今のようにそれぞれが思い思いの方向を向いているこの構図のままのほうがわたモテかなという気もします。
それにしても、今回の販促帯もなんかテキトーな感じですねw
まあ、12巻の「モテ出した!?」を引き継いでの「モテ出した!!」なんでしょうけど、ある意味これも、前巻から流れは続いていることを象徴しているような気もします。
「これまで」と、「これから」。
それらが交じり合った合流地点的な性格を今回の表紙からは感じました。
●「遠足編」と「修学旅行編」は似ているようでやっぱり違う
今回はまるまる「遠足編」です。
12巻の時も、全体的に統一感があって「まるでコンセプトアルバム」と書きましたが、今回はもう正真正銘の「長編」でしたね。
最初の「弟が3-5にくる」にせよ、次の「友達の関係」にせよ、もうあからさまに遠足編のプロローグ的な話ですから。
これら2話は、ある意味「キャラクター紹介」ですよね。もしくは「これまでのあらすじ」でしょうかw
今思うと、智貴の「やべー奴この組に集めたのか!?」や「ゆりドン」も、遠足編で繰り広げられるドラマの前フリとしか思えません。
そしてもちろん、最後の「先輩後輩の関係」は「後日談」的な意味合いを持っています。
冒頭の南さんもそうですが、それぞれの「お昼事情」の変化が遠足を経てから大きく変わったことが示唆されていますよね。
さて、ここまで振り返ってみて思いだすのはあの「修学旅行編」オンリーだった8巻のことです。
あの時も直接は関係のない最初の2話を含めて、「オール修学旅行」巻でした。
ただ、あれとはやっぱり違うんですね。
「修学旅行編」はライブ感覚というか、作者自身もどこに行きつくかわからないようなスリリングさがありましたが、今回の「遠足編」は用意周到にコントロールされた精密さを感じさせるんです。
そもそも「修学旅行編」は当初3回程度の予定だったそうです。シリーズが始まる直前に一回原稿を落としていることからしても、行き当たりばったりというか、展開についてかなり試行錯誤だったことがうかがえます。
それが、作者も思いもしない形で大長編になり、結果としてわたモテの大きなターニングポイントとなったわけです。
「修学旅行編」が8巻では完結せずに9巻まで食い込んだのは、その証左な気がしますね。どこまで単行本に収録されるか、そういった計算なしで話が作られているんです。
ところが、今回の「遠足編」は違います。13巻でひとつの話になるようにきちんと調整された上での構成になっています。最初の弟がくる話から最後の中庭の話まで、全10話構成になるようにページ数まであらかじめ決まっていたような気すらしますね。
それは裏返せば、これからの展開にもう迷いがないということです。
谷川ニコが今後どういうわたモテを想定しているかはわかりませんが、この計算性からすると、すでに彼の中で何らかの答えが出ているのかもしれませんね。
●すべてはネモから始まった
さて、今回の「遠足編」。
いったい主役は誰だったのでしょう?
まあもちろん、もこっちであることは間違いないのですが、表紙が示している通り、すでにわたモテは「黒木智子とゆかいな仲間たち」と化しているわけです。
もこっちはさておき、この遠足編は結局誰の物語だったのかという論点はあっていいでしょう。
これにはいろんな意見があると思います。
ゆりちゃんだという人も多いでしょうし、南さんをあげるひともいるでしょう。最後においしいところを持っていった加藤さんという声もあるかもしれません。
でも私はやっぱり、「ネモ」だったと思うんです。
遠足で繰り広げられる様々な問題。それらはどれも、彼女がきっかけで引き起こしたことのように感じたんですね。
12巻の最後で彼女はみんなの前で「宣言」をします。(あれは「告白」というよりやはり宣言でしょう)
あれにより、ネモと岡田の関係がこじれることになります。
南さんも加藤さんもそこに巻き込まれていくわけです。
ネモの「宣言」によって、ゆりちゃんも変わります。彼女の変化にはいろいろ賛否がありますが、そのきっかけのひとつがネモであることは明らかですね。「ネモの物語」に話がシフトしていく中で、彼女自身も自分の存在意義に考え始めたのがこの「遠足編」の意味でもあったように感じました。
物語はネモと岡田が仲直りしたことで、なんとなくすべては丸く収まったかのように見えます。
こんなシーンを見ていると、なんだか映画のエンディングを見ているかのようです。
でも、実はまだ何も解決していません。
ネモが蒔いた種はそこらかしこに散らばっているのです。
「後日談」である喪132を見てもその辺は明らかですよね。
ネモが残した波紋。
それがどう広がっていくのかは、これからの14巻、15巻を見ていくしかないようです。
●たったひとつの馬鹿なやり方
さて、単行本という形になる上で、どうしてもWeb公開時と違う部分が出てきます。
ちょっとした作画ミスを修正したり、セリフを分かりやすく訂正したりなど、作品としての体裁を整えることは当然のことですし、それはむしろあってしかるべきことでしょう。
でも中には、作者の意向とは関係ないところで、変な施しを求められることもあります。
「ガチレズさん」が「ガチ●ズさん」になるのもそのいい例かと思いますが、まあその程度のことなら許容範囲とは言えます。内容の面白さには支障がないわけですし。
ただ、今回のこのシーンへの「修正」はさすがにどうかと思いました。
ここはしらっと伏字を外している点も最高の爆笑ポイントなのですが、
まあそれはあえて置いておきましょう。
少なくとも「し●ちゃん」ならそれほどダメージはないはずです。
しかしなんですか、今回の「修正」は!
いやいやホント、「何言ってんの!?」ですよ。
もはやギャグとして滑ってる感があるじゃないですか。
編集がギャグを殺してどうするんですか。
いやまあ、いろいろあるのはわかりますよ。
しかもあのアニメに関して言えば、喪129のあとに声優さんが変わったりもしたので、事実と異なるといった野暮なツッコミを恐れたのかもしれません。
実際問題、裏取りとか先方に話を通すということもしてなかったんでしょうし。(スクエニはまた色々問題を起こしたことがありましたよね…)
それにしても、こういうおざなりな「修正」だけはしてほしくなかったですね。
ていうか、もこっちの
この渾身のギャグが
これじゃあ、わたモテの本質にかかわってくる問題ですよ。
われらがもこっちは、こんなぬるい言い方をするようなキャラじゃなかったはずです。
そもそもなんだよ「あの有名アニメ」って。
これ逆にあれとかあれとか、まったく関係のないアニメがとばっちりを受けかねないじゃないですか。もし、「●●エさん」とか「●●●もん」とか、はたまた「●子ちゃん」とかからクレームが来たらどうするつもりなんでしょう。
まったく、筋の通っていないその場限りのごまかしとしか言いようがありません。
こんなことをするくらいなら、最初から単行本にする際の処理の仕方を作者も含めて取り決めていればよかったんじゃないかとすら思います。まあ、谷川さん的にはその時のリアルなネタ感を潰したくないからこそ、こういう形をとったんでしょうけど……
せめて「●●●●ちゃん」とかオール伏字、もしくは単に「あのアニメも~」という感じにするわけにはいかなかったんでしょうかね?
「あの有名アニメ」というフレーズ自体にもう「検閲」的な匂いを感じて冷めてしまうんですよ。(変に思われるかもしれませんが、伏字ならまだOKなんですよね、個人的に)
要するにもこっちや岡田のセリフに“言わされている感”があるのが嫌なんです。
こういうところこそ、編集の腕の見せ所だと思うのですが。
●「遠足が終わる」は延長戦だった?
あと一つ気になったのは、喪130「遠足が終わる」。
12巻の「二年目の卒業式」同様、この話もWEB掲載時の(上)(下)から一つの話としてまとまっていたのですが、これについても若干の違和感を禁じえませんでした。
「二年目の卒業式」の(前編)(後編)は分ける意味もありましたし、単行本になる際にまとまるのも本来の形に戻ったような感じがしたのですが、この「遠足が終わる」に関しては、分けた意味が最後までピンときませんでしたね。
(下)の感想時には「小説の上巻下巻を意識したのかも」と書きましたが、改めて通して読んでみても「長くなるから分割した」以上の意味を見つけることができませんでした。
これ、実際問題、ページ内で話がまとまり切れなかったから、次回に引き延ばしただけだったんじゃないかなあ……異例の1週間での更新も「1週間!あと1週間くれれば、遠足編を終わらせることができるから!」と担当者に泣きついた結果だったりしてw
まあ、これに関して言えば、どうでもいいことなんですけどね。
ただ、ネモと岡田が仲直りした後の締めの話がこういう形になったというのは、ちょっと何かを象徴しているようにも感じました。
ひょっとすると、谷川さんの中では喪129でいったん話は終わっていたのかなという気もしましたね。
●特典からもうかがえるモチーフの豊富さ
そろそろいつものように、各ショップの特典をおさらいしておきましょうか。(もうとっくに配布は終了しているでしょうが…)
今回の賑やかな雰囲気そのままのラインナップですね。
キャラで選ぶもよし、シチュエーションで選ぶのもよし、もちろん全制覇を狙うのもよしといった感じでしょうか。
さらに今回はこれとは別に、あの物議を呼んだ「選手権」の主催者であるBOOK☆WALERでのデジタル購入特典として
このゆりちゃんが用意されていたようです。
で、私が今回選んだのはこのふたつ。
左のメロンさんは、私が選ばないわけがありませんよねw
なにしろうっちーがいるんですから!
まあそれは置いても、やっぱりSDキャラは押さえておきたいところです。
右のアニメイトさんを選んだ理由はただひとつ。
南さんが「何を食べているか」ですw
いやあまさか、ネットでの「パンケーキVSステーキ論争」をネタにしてくるとは思いませんでしたよw
まあどうみても、これはパンケーキだと思うのですが、チョコソース?的なものがいかにもステーキソースぽく描かれているところを見ると、谷川さん的にもその辺はぼかしているんでしょうねw「争え…もっと、争え」みたいなw
(しかしこうしてみると、12巻の時の選び方とまったく同じだな…我ながら分かりやす過ぎる…)
それぞれのモチーフは、喪128の南さん、喪131ラストの加藤さんともこっち、喪126のスプラッシュマウンテンでしょうか。デジタル特典のほうは、喪130のゆりネモかな。
岡田ともこっちのだけはちょっと特殊ですね。これは後日談といってもいいのかな。おまけマンガの「その後…」の没ネタだったりしてw
それにしても、「遠足編」というひとつの物語の中にこれだけのモチーフがあったとは改めて驚かされますね。
贅沢を言わせてもらえれば、これでもまだ足りませんから。できれば吉田さんとケントスキー、そして麗奈のショットも欲しかったところです。
さて、単行本でしか見れない恒例のネタも毎度の楽しみなわけですが、
前巻で内容に方向転換(またはネタギレとも言うw)があったために、13巻ではその辺がどうなっているのかいつも以上に気になっていた人も多かったと思います。
まずは気になる裏表紙の「理想と現実」ですが、
なんと今回は南さん!
12巻はうっちーだったわけですが、どうやら毎回キャラを変えていく方向のようです。
こうなると、次の14巻はだれの「理想と現実」になるか、それを予想する楽しみも増えましたね。
12巻での巻末おまけマンガはかなり毛色が変わっていたというか、笑いがかなり薄められていたように感じたのですが、今回のおまけに関しては、二つとも比較的11巻までのテイストに戻っていたようです。
ただ、どちらもなぜか不思議な余韻があるんですよね。
それは何かと考えていたら、ふと気付いたことがあります。
今回は喪129と喪130の「その後…」になるわけですが、どちらももこっちグループを後にしたキャラたちの話なんです。ふたつとも彼女たちのお茶目でいじらしい部分が笑いとして昇華されていて、実にいい味わいがあるのですが、そこにはもはや完全にもこっちの姿がないんですね。
12巻の巻末でさえ、辛うじて最初の一コマには顔を出していた彼女がどちらのおまけにも登場していないんです。
まあ、いっても「おまけ」なんですから、主役がいなくてもいいといえばそうです。今までも10巻巻末の「喪91その後…」のような小宮山さんと井口さんオンリーのおまけもありましたし。
でも10巻ではもう一つの「喪89その後…」に、ちゃんともこっちがいたんですよ。今回のようにおまけマンガにまったく登場しないというのは今までになかったことなんです。
流れが戻ったかのように見えて、実は大きく変わろうとしている。
それほど深く考えることではないかもしれませんが、遠足編の「大団円」をなぜか思いだしてしまいましたね。
それと、カバー裏も見逃してはいけないところですね。
どうやら、今後は「ネタ」ではない路線でいくようです。
これから彼女たちの「裏」の素顔が見れると思うと、また楽しみが増えたような気がします。
ただ、あとがきマンガだけは通常運転で、妙な安心感がありますねw
ここだけは変わらずにいてほしいものです。
最後に気になったのは14巻の予告。
2019年新春発売予定というのはあくまで予定ですので、そこはまあいいのですが、
注目したいのはそこでのキャッチコピー。
高校3年生になって、ようやく青春ものっぽくなってきた……?
乙女たちは、反発し、ぶつかり、つながっていく――。
正直、単行本派の人たちに喪133のオチまんまを見せてどうすんだとも思いましたが、まあそれくらい「つながっていく」というフレーズが今後の展開を象徴しているんでしょうね。
これまでのものとこれからのもの。
続いていくものと始まっていくもの。
それらが反発し、ぶつかり合いつつも、最後にはつながっていく。
13巻はまさにその衝突の始まりだったのかもしれません。
今回も即重版決定!わたモテの快進撃は続いていきます!
12巻では、「最終巻」であると同時に「第1巻」でもあると位置づけましたが、今回の13巻はけっこう難しいですね。
まあ、前回に習えば、13巻は「第1巻」であると同時に「第2巻」でもあるということになるわけですが、これだと何が言いたいのかよくわからなくなりますからw 言葉遊びにもなりません。
ただ、ここから始まった流れもある一方、前巻からの継続という流れもあったかなとは感じました。
そういった意味では、新しい空気とこれまでの空気が渾然一体となった巻だったとは言えるかもしれません。
というわけで、発売日からけっこう間が空いてしまいましたが(気が付けば一か月近く…)、13巻の感想をざっと綴っていこうと思います。
※各話(喪123から喪132)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪123「モテないし弟が3-5にくる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-243.html
喪124「モテないし友達の関係」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-244.html
喪125「モテないし遠足がはじまる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-246.html
喪126「モテないしあだ名で呼ばれる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-247.html
喪127「モテないしのる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-249.html
喪128「モテないし回る」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-252.html
喪129「モテないし教えてあげる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-254.html
喪130「モテないし遠足が終わる(上)」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-255.html
喪130「モテないし遠足が終わる(下)」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-257.html
喪131「帰るまでが遠足」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-258.html
喪132「モテないし先輩後輩の関係」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-259.html
●「これまで」と「これから」の合流地点
まずはいつものように表紙から見ていきましょう。

ここ最近の個人的な注目点として「もこっちの目線」というのがあるのですが、前回初めて前を向いたもこっちが今回もしっかり正面を向いているのがまず目に付きますね。
この辺は12巻からもこっちの姿勢は変わっていないと言えるのではないでしょうか。
ただ、13巻はいままでにないくらいにぎやかになりました。登場しているキャラも総勢6人!今までの最高記録が4人でしたから、ここで一気に1.5倍に膨れ上がったことになります。(そういう問題なのか…)
ここは、これまでとは違ったわたモテを象徴しているような気がします。
面白いのは、もこっちの周りがそれぞれバラバラの方向を向けているということですね。もこっち以外、誰一人前を向いていないんです。(あ、誰かさんの頭の後ろをずっと凝視しているキャラは約一名ほどいらっしゃるようですけどw)
かつてはもこっちがそうであったように、今は周りのキャラがそうなっている構図が興味深いですね。
いつか彼女たちが揃って前を向く時が来るなら、その時こそ、わたモテが幕を下ろすときなのかもしれません。……でも、みんながみんな、前を向いているというのもなんだからしくないですよね。
今のようにそれぞれが思い思いの方向を向いているこの構図のままのほうがわたモテかなという気もします。
それにしても、今回の販促帯もなんかテキトーな感じですねw
まあ、12巻の「モテ出した!?」を引き継いでの「モテ出した!!」なんでしょうけど、ある意味これも、前巻から流れは続いていることを象徴しているような気もします。
「これまで」と、「これから」。
それらが交じり合った合流地点的な性格を今回の表紙からは感じました。
●「遠足編」と「修学旅行編」は似ているようでやっぱり違う
今回はまるまる「遠足編」です。
12巻の時も、全体的に統一感があって「まるでコンセプトアルバム」と書きましたが、今回はもう正真正銘の「長編」でしたね。
最初の「弟が3-5にくる」にせよ、次の「友達の関係」にせよ、もうあからさまに遠足編のプロローグ的な話ですから。
これら2話は、ある意味「キャラクター紹介」ですよね。もしくは「これまでのあらすじ」でしょうかw
今思うと、智貴の「やべー奴この組に集めたのか!?」や「ゆりドン」も、遠足編で繰り広げられるドラマの前フリとしか思えません。
そしてもちろん、最後の「先輩後輩の関係」は「後日談」的な意味合いを持っています。
冒頭の南さんもそうですが、それぞれの「お昼事情」の変化が遠足を経てから大きく変わったことが示唆されていますよね。
さて、ここまで振り返ってみて思いだすのはあの「修学旅行編」オンリーだった8巻のことです。
あの時も直接は関係のない最初の2話を含めて、「オール修学旅行」巻でした。
ただ、あれとはやっぱり違うんですね。
「修学旅行編」はライブ感覚というか、作者自身もどこに行きつくかわからないようなスリリングさがありましたが、今回の「遠足編」は用意周到にコントロールされた精密さを感じさせるんです。
そもそも「修学旅行編」は当初3回程度の予定だったそうです。シリーズが始まる直前に一回原稿を落としていることからしても、行き当たりばったりというか、展開についてかなり試行錯誤だったことがうかがえます。
それが、作者も思いもしない形で大長編になり、結果としてわたモテの大きなターニングポイントとなったわけです。
「修学旅行編」が8巻では完結せずに9巻まで食い込んだのは、その証左な気がしますね。どこまで単行本に収録されるか、そういった計算なしで話が作られているんです。
ところが、今回の「遠足編」は違います。13巻でひとつの話になるようにきちんと調整された上での構成になっています。最初の弟がくる話から最後の中庭の話まで、全10話構成になるようにページ数まであらかじめ決まっていたような気すらしますね。
それは裏返せば、これからの展開にもう迷いがないということです。
谷川ニコが今後どういうわたモテを想定しているかはわかりませんが、この計算性からすると、すでに彼の中で何らかの答えが出ているのかもしれませんね。
●すべてはネモから始まった
さて、今回の「遠足編」。
いったい主役は誰だったのでしょう?
まあもちろん、もこっちであることは間違いないのですが、表紙が示している通り、すでにわたモテは「黒木智子とゆかいな仲間たち」と化しているわけです。
もこっちはさておき、この遠足編は結局誰の物語だったのかという論点はあっていいでしょう。
これにはいろんな意見があると思います。
ゆりちゃんだという人も多いでしょうし、南さんをあげるひともいるでしょう。最後においしいところを持っていった加藤さんという声もあるかもしれません。
でも私はやっぱり、「ネモ」だったと思うんです。
遠足で繰り広げられる様々な問題。それらはどれも、彼女がきっかけで引き起こしたことのように感じたんですね。
12巻の最後で彼女はみんなの前で「宣言」をします。(あれは「告白」というよりやはり宣言でしょう)
あれにより、ネモと岡田の関係がこじれることになります。
南さんも加藤さんもそこに巻き込まれていくわけです。
ネモの「宣言」によって、ゆりちゃんも変わります。彼女の変化にはいろいろ賛否がありますが、そのきっかけのひとつがネモであることは明らかですね。「ネモの物語」に話がシフトしていく中で、彼女自身も自分の存在意義に考え始めたのがこの「遠足編」の意味でもあったように感じました。
物語はネモと岡田が仲直りしたことで、なんとなくすべては丸く収まったかのように見えます。

こんなシーンを見ていると、なんだか映画のエンディングを見ているかのようです。
でも、実はまだ何も解決していません。
ネモが蒔いた種はそこらかしこに散らばっているのです。
「後日談」である喪132を見てもその辺は明らかですよね。
ネモが残した波紋。
それがどう広がっていくのかは、これからの14巻、15巻を見ていくしかないようです。
●たったひとつの馬鹿なやり方
さて、単行本という形になる上で、どうしてもWeb公開時と違う部分が出てきます。
ちょっとした作画ミスを修正したり、セリフを分かりやすく訂正したりなど、作品としての体裁を整えることは当然のことですし、それはむしろあってしかるべきことでしょう。
でも中には、作者の意向とは関係ないところで、変な施しを求められることもあります。
「ガチレズさん」が「ガチ●ズさん」になるのもそのいい例かと思いますが、まあその程度のことなら許容範囲とは言えます。内容の面白さには支障がないわけですし。
ただ、今回のこのシーンへの「修正」はさすがにどうかと思いました。

ここはしらっと伏字を外している点も最高の爆笑ポイントなのですが、
まあそれはあえて置いておきましょう。
少なくとも「し●ちゃん」ならそれほどダメージはないはずです。
しかしなんですか、今回の「修正」は!

いやいやホント、「何言ってんの!?」ですよ。
もはやギャグとして滑ってる感があるじゃないですか。
編集がギャグを殺してどうするんですか。
いやまあ、いろいろあるのはわかりますよ。
しかもあのアニメに関して言えば、喪129のあとに声優さんが変わったりもしたので、事実と異なるといった野暮なツッコミを恐れたのかもしれません。
実際問題、裏取りとか先方に話を通すということもしてなかったんでしょうし。(スクエニはまた色々問題を起こしたことがありましたよね…)
それにしても、こういうおざなりな「修正」だけはしてほしくなかったですね。
ていうか、もこっちの

この渾身のギャグが

これじゃあ、わたモテの本質にかかわってくる問題ですよ。
われらがもこっちは、こんなぬるい言い方をするようなキャラじゃなかったはずです。
そもそもなんだよ「あの有名アニメ」って。
これ逆にあれとかあれとか、まったく関係のないアニメがとばっちりを受けかねないじゃないですか。もし、「●●エさん」とか「●●●もん」とか、はたまた「●子ちゃん」とかからクレームが来たらどうするつもりなんでしょう。
まったく、筋の通っていないその場限りのごまかしとしか言いようがありません。
こんなことをするくらいなら、最初から単行本にする際の処理の仕方を作者も含めて取り決めていればよかったんじゃないかとすら思います。まあ、谷川さん的にはその時のリアルなネタ感を潰したくないからこそ、こういう形をとったんでしょうけど……
せめて「●●●●ちゃん」とかオール伏字、もしくは単に「あのアニメも~」という感じにするわけにはいかなかったんでしょうかね?
「あの有名アニメ」というフレーズ自体にもう「検閲」的な匂いを感じて冷めてしまうんですよ。(変に思われるかもしれませんが、伏字ならまだOKなんですよね、個人的に)
要するにもこっちや岡田のセリフに“言わされている感”があるのが嫌なんです。
こういうところこそ、編集の腕の見せ所だと思うのですが。
●「遠足が終わる」は延長戦だった?
あと一つ気になったのは、喪130「遠足が終わる」。
12巻の「二年目の卒業式」同様、この話もWEB掲載時の(上)(下)から一つの話としてまとまっていたのですが、これについても若干の違和感を禁じえませんでした。
「二年目の卒業式」の(前編)(後編)は分ける意味もありましたし、単行本になる際にまとまるのも本来の形に戻ったような感じがしたのですが、この「遠足が終わる」に関しては、分けた意味が最後までピンときませんでしたね。
(下)の感想時には「小説の上巻下巻を意識したのかも」と書きましたが、改めて通して読んでみても「長くなるから分割した」以上の意味を見つけることができませんでした。
これ、実際問題、ページ内で話がまとまり切れなかったから、次回に引き延ばしただけだったんじゃないかなあ……異例の1週間での更新も「1週間!あと1週間くれれば、遠足編を終わらせることができるから!」と担当者に泣きついた結果だったりしてw
まあ、これに関して言えば、どうでもいいことなんですけどね。
ただ、ネモと岡田が仲直りした後の締めの話がこういう形になったというのは、ちょっと何かを象徴しているようにも感じました。
ひょっとすると、谷川さんの中では喪129でいったん話は終わっていたのかなという気もしましたね。
●特典からもうかがえるモチーフの豊富さ
そろそろいつものように、各ショップの特典をおさらいしておきましょうか。(もうとっくに配布は終了しているでしょうが…)

今回の賑やかな雰囲気そのままのラインナップですね。
キャラで選ぶもよし、シチュエーションで選ぶのもよし、もちろん全制覇を狙うのもよしといった感じでしょうか。
さらに今回はこれとは別に、あの物議を呼んだ「選手権」の主催者であるBOOK☆WALERでのデジタル購入特典として

このゆりちゃんが用意されていたようです。
で、私が今回選んだのはこのふたつ。


左のメロンさんは、私が選ばないわけがありませんよねw
なにしろうっちーがいるんですから!
まあそれは置いても、やっぱりSDキャラは押さえておきたいところです。
右のアニメイトさんを選んだ理由はただひとつ。
南さんが「何を食べているか」ですw
いやあまさか、ネットでの「パンケーキVSステーキ論争」をネタにしてくるとは思いませんでしたよw
まあどうみても、これはパンケーキだと思うのですが、チョコソース?的なものがいかにもステーキソースぽく描かれているところを見ると、谷川さん的にもその辺はぼかしているんでしょうねw「争え…もっと、争え」みたいなw
(しかしこうしてみると、12巻の時の選び方とまったく同じだな…我ながら分かりやす過ぎる…)
それぞれのモチーフは、喪128の南さん、喪131ラストの加藤さんともこっち、喪126のスプラッシュマウンテンでしょうか。デジタル特典のほうは、喪130のゆりネモかな。
岡田ともこっちのだけはちょっと特殊ですね。これは後日談といってもいいのかな。おまけマンガの「その後…」の没ネタだったりしてw
それにしても、「遠足編」というひとつの物語の中にこれだけのモチーフがあったとは改めて驚かされますね。
贅沢を言わせてもらえれば、これでもまだ足りませんから。できれば吉田さんとケントスキー、そして麗奈のショットも欲しかったところです。
さて、単行本でしか見れない恒例のネタも毎度の楽しみなわけですが、
前巻で内容に方向転換(またはネタギレとも言うw)があったために、13巻ではその辺がどうなっているのかいつも以上に気になっていた人も多かったと思います。
まずは気になる裏表紙の「理想と現実」ですが、

なんと今回は南さん!
12巻はうっちーだったわけですが、どうやら毎回キャラを変えていく方向のようです。
こうなると、次の14巻はだれの「理想と現実」になるか、それを予想する楽しみも増えましたね。
12巻での巻末おまけマンガはかなり毛色が変わっていたというか、笑いがかなり薄められていたように感じたのですが、今回のおまけに関しては、二つとも比較的11巻までのテイストに戻っていたようです。
ただ、どちらもなぜか不思議な余韻があるんですよね。
それは何かと考えていたら、ふと気付いたことがあります。
今回は喪129と喪130の「その後…」になるわけですが、どちらももこっちグループを後にしたキャラたちの話なんです。ふたつとも彼女たちのお茶目でいじらしい部分が笑いとして昇華されていて、実にいい味わいがあるのですが、そこにはもはや完全にもこっちの姿がないんですね。
12巻の巻末でさえ、辛うじて最初の一コマには顔を出していた彼女がどちらのおまけにも登場していないんです。
まあ、いっても「おまけ」なんですから、主役がいなくてもいいといえばそうです。今までも10巻巻末の「喪91その後…」のような小宮山さんと井口さんオンリーのおまけもありましたし。
でも10巻ではもう一つの「喪89その後…」に、ちゃんともこっちがいたんですよ。今回のようにおまけマンガにまったく登場しないというのは今までになかったことなんです。
流れが戻ったかのように見えて、実は大きく変わろうとしている。
それほど深く考えることではないかもしれませんが、遠足編の「大団円」をなぜか思いだしてしまいましたね。
それと、カバー裏も見逃してはいけないところですね。
どうやら、今後は「ネタ」ではない路線でいくようです。
これから彼女たちの「裏」の素顔が見れると思うと、また楽しみが増えたような気がします。
ただ、あとがきマンガだけは通常運転で、妙な安心感がありますねw
ここだけは変わらずにいてほしいものです。
最後に気になったのは14巻の予告。
2019年新春発売予定というのはあくまで予定ですので、そこはまあいいのですが、
注目したいのはそこでのキャッチコピー。
高校3年生になって、ようやく青春ものっぽくなってきた……?
乙女たちは、反発し、ぶつかり、つながっていく――。
正直、単行本派の人たちに喪133のオチまんまを見せてどうすんだとも思いましたが、まあそれくらい「つながっていく」というフレーズが今後の展開を象徴しているんでしょうね。
これまでのものとこれからのもの。
続いていくものと始まっていくもの。
それらが反発し、ぶつかり合いつつも、最後にはつながっていく。
13巻はまさにその衝突の始まりだったのかもしれません。
今回も即重版決定!わたモテの快進撃は続いていきます!
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