私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!12巻 感想~「最終巻」でもあり、「第1巻」でもある12巻~
2月22日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」12巻が発売されました。
いや〜、なんか、ものすごいことになっていましたね。
私も発売当日の昼に都内某所に買いに走りましたけど、平積みが本当にあとわずかになっていました。
これまでの新刊発売では見たこともなかった光景でしたよ。
当初は仕事終わりに寄るつもりでしたが、その場合は間違いなく売り切れだったでしょうね。
あれからまだ1週間ほどですけど、もう都内書店ではほとんど売り切れ状態のようです。(谷川さんのTwitterによりますと、すでに重版が決まったとのこと。めでたい!)
正直、ここまですごい盛り上がりを見せるとは思っていなかったので、なんだかよけいにうれしいですね。
というわけで、少し遅くなりましたが、12巻の感想をざっと綴っていこうと思います。
※各話(喪110から喪122)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪110「モテないし受験者を応援する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-209.html
喪111「モテないし周回プレーする」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-212.html
喪112「モテないしバレンタインデーを送る1」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-213.html
喪113「モテないしバレンタインデーを送る②」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-218.html
喪114「モテないしバレンタインデーを送る③」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-220.html
喪115「モテないし二年目の卒業式(前編)」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-223.html
喪115「モテないし二年目の卒業式(後編)」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-224.html
喪116「モテないし二年目の卒業式(裏側)」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-227.html
喪117「モテないし2年生の終わり」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
喪118「モテないしオラつく」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-231.html
喪119「モテないし打ち上げに行く」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-236.html
喪120「モテないし打ち上げる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-238.html
喪121「モテないし父親と出かける」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-240.html
喪122「モテないし3年生になる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-241.html
●しっかり真正面を向いたもこっち
まずはいつものように表紙から。

12巻の表紙を飾るのは今江さんというのは、誰でも想像つきます。
でも、こんなにも心の奥底に焼き付けられる渾身のショットになるとは、誰が予想できたでしょう。
少なくとも、私はできませんでしたね。
ここ最近の表紙の傾向から、キャラの関係性を暗示したものになると考えていましたので、
例えば、手を振って去っていく今江さんを泣きそうな顔で見送るもこっちとか、そういう感じのものを想定していたんです。
ところが、実際の表紙はこちらの想像をはるかに上回るものでした。
なんて、麗しいんでしょう。なんて、輝いているのでしょう。
まるで一瞬の時を閉じ込めたかのような奇跡のショットを、こんな形で拝めるとは思ってもいませんでした。
何より二人ともすっごく笑顔なのがいいですよね。(もこっちはちょっと硬い表情ですけどw)
変に湿っぽく見せずに、この2年間の学校生活をこんなにまぶしいものとして描いてくれたことに、まず感謝です。
また、もこっちが真正面にこちらを向いていることがすごく印象的です。
まあ、これは「記念写真」なのですから、当たり前ではあるんですけど、
ただ、今までわたモテの表紙において、もこっちがしっかり前を向いていることってなかったんですよね。
上を向いていたり、うつむいていたり、はたまた横を向いていたりで、体も目線もちゃんと前を向いていたことは一度もなかったんです。
それが

高校2年生編がクライマックスを迎えたと同時に、まるで読者にそのことを報告するかのように、体も目線もしっかりこちらを向いてポーズですから。
まるでこれで終わりかのようだ、という声もチラホラ見ましたが、
実際、これはある意味「最終巻」なんだと思います。
裏表紙のキャッチにも「出会いと別れの2年生編が完結。」とありますしね。
谷川さんも、これが最後くらいの気持ちで今回の絵を描いたのでしょう。
その結果、わたモテの表紙の中でも最高の一枚といえるものになったのではないでしょうか。
もちろん、実際は「最終巻」なんかじゃありません。
わたモテはここからまた、新たな始まりを迎えるわけですから。
もこっちは今江さんの卒業を見届けると同時に、自分自身としっかり向き合ったんです。
そして彼女は、ある「結論」を出します。
それが、次巻以降の大きなテーマとなっていくわけです。
●「3年生になる」までが2年生完結編
今回の内容を見て、驚いたことがふたつあります。
そのひとつが、喪122「モテないし3年生になる」まで収録していたこと。
表紙やキャッチコピーで「2年生編完結!」と謳っているからには、てっきり「打ち上げ会」まで、もしくは春休みの「父親と出かける」までだと思い込んでいたんです。
正直、目次を見て、全体の構成が崩れないかなと心配な気持ちになったのは事実です。「2年生編」完結にこだわるなら、そこもきちんと貫くべきなんじゃないかと。
でも、実際に通して読んでみたら、まったくの杞憂でしたね。
というか、「3年生になる」まで入れてこそ、「2年生編完結」と銘打てたんだとさえ感じました。
まあ、本当のところは単純にページ数の問題だとは思います。
今巻に限ってページ数が増えているわけでもなく、これまでと同じくらいのボリュームでしたし。(考えてみれば、このころは短い話がやたら多かったです)
ただ、それとは別に、「3年生になる」でこの巻を締めることにすごく意味があるように思えたんです。
「打ち上げ」のあの夜のホームやグズグズの魚で締めると、それこそなんだか「最終巻」ぽくなりすぎてしまいます。
単行本派の人にとってみたら、なんだか不安な気持ちを抱いたまま13巻を持つことになるわけですよ。
そういう人たちに対しての配慮という側面もあるような気がしましたね。
何より、
3年生スタート
この言葉で終わる方が、読んでいる方も気持ちがいいですよね。
やっぱり、最後は明るく読み終えたいですから。
この巻に収録されている話にページ数が少ないものが多いのも、
ひょっとすると、最後の話が「3年生になる」になるように調整していたのかもしれませんね。
だとすると、当初から単行本の構成を考えつつ、毎回更新していたわけで、
その作品に対するこだわりには感服するしかありません。
●12巻というひとつの物語
構成といえば、いつも以上に全体的に統一感がありましたね。
それこそ、12巻でひとつの大きな話としても読めるような、まるでコンセプトアルバムのような感触を受けました。
何しろ最初が「入試」の話ですからね。しかもそこで、ネモともこっちが最初に出会ったエピソードが語られるわけです。
それはもちろん、「3年生になる」のネモの決断の話につながるわけで、最初から伏線が張られていたんですよ。
そこから考えてもやっぱり、喪122まで収録しなければ12巻として成立しないことは明らかだったんです。
2話目の「周回プレー」もそう考えると、「3年生になる」の自己紹介への前フリという性格を持ちますし、
「バレンタイン3部作」のゆりちゃんがあってこそ、「打ち上げ回」のラストが私たちの胸を打つわけです。
喪110から122まで、ずっと話は続いているんですよ。どれをとっても省いたり、前後したりしてはいけないんです。
13話すべてが、12巻という物語を構成しているひとつの要素になっていて、
ある意味、ひとつのテーマに基づいた「連作短編集」にもなっているような印象を受けましたね。
●本来の姿に戻った「二年目の卒業式」
驚いたふたつ目は、喪115「二年目の卒業式」のこと。
WEB掲載時には、(前編)(後編)と分かれていた「卒業式」がひとつの話としてまとまっていたのです。
もともと最初から、どちらも「喪115」としていたわけですから、むしろ当然とも言えるのですが、やっぱり驚きましたよ。
わたモテの歴史の中でもこういったことは初めてでしたから。
ただ、ギャグもあった(前編)と、あえてギャグを入れなかった(後編)を一緒にしたことによって、むしろメリハリのある話になったなと感じました。
ひとつの話として読むことによって、より後半の感動が引き立つんですよね。
当初は、ギャグなしの「卒業式」を見せるために、変則的な分話にしたわけですが、
改めて読んでみると、やっぱりこちらの形の方が本来のあるべき姿なんだと確信しましたよ。
オンライン上で、一度「ギャグマンガ」でないわたモテを描き切ったことで、憑き物が落ちたんでしょうね。
これでまた、新たなわたモテを描いていけると判断したのでしょう。
「2年生編」が終わり「3年生編」が始まった、この節目の12巻にふさわしい一編になっていたと思います。
●これからは加藤さんに注目?
さて、それでは、いつものように発売記念各ショップ特典をおさらいしておきましょう。

個人的には、うっちーがいないのが少し残念ですが(笑)、
どれをとっても捨てがたいものばかりですよね。
今回は全特典制覇を狙った人も多かったのではないでしょうか。
(もっとも、今回は早い段階で品切れとなったようですので、手に入れられなかった人も多いかも)
で、私は、自分ルールとして「特典はふたつまで!」と決めているので、断腸の思いでこのふたつをチョイス。


左のゲーマーズさんは、もう即決でしたね。
こういうチビキャラは本当に大好きなんです。それと、キャラ単体よりもキャラの関係性が見えるイラストがいいなあと思ったので、まずこれにしました。(「ネモ…」が最高w)
右のアニメイトさん特典を選んだわけは、加藤さんがどういう仕草をしているか知りたかったんですよね。webのサンプルだと、小さくてよくわからなかったもので…w
それぞれのモチーフは、
喪112「バレンタインデーを送る1」のゆりまこ、喪110「受験者を応援する」の高校入試の思い出、喪118「オラつく」の吉田さんでしょうか。
加藤さんだけは、ちょっと微妙ですよね。喪122「3年生になる」の自己紹介から来ているかも?
考えてみれば、加藤さんが特典になるのも初めてですよね。
今でこそ、メインキャラになりつつある感じですけど、
12巻の段階ではまだそれほど活躍していたわけでもない彼女が特典として選ばれたというのは、ちょっと面白いなあと思います。
まあ、単に今の加藤さん人気に便乗しただけなのかもしれませんけど、
3年生編のわたモテを占うキーパーソンになりうるだけのポテンシャルを持っている彼女だけに、今後も要注目ですね。
そういえば、今回は恒例のネタもいつもとは違っていましたね。
まあ、前巻のカバー裏ネタにもあったように、
はっきり言ってしまえば、「ネタギレ」ということなんだと思いますが、
それがまた、「2年生編完結」「3年生編スタート」と相まって、なかなか興味深い感じになっていたと思います。

裏表紙の「理想と現実」なんか、うっちーのそれですからねw
巻末おまけマンガもいつもとはテイストが変わっています。
ひとつは「喪117」の後日談ですが、もうひとつは「喪119」の“別視点”。
そう、あの「打ち上げ」にいく時のゆりちゃんと吉田さんの会話。
あの時はあえて内容が伏せられていて、これは想像に任せるということなのか、はたまた今後の伏線なのか、気になるところだったのですが、まさか、おまけマンガへの伏線だったとはw
しかも、これがまた、なんとも味わい深いというか、「笑い」よりも「叙情的」な方向にウェイトを置いたものになっているんです。
まさに、わたモテを別視点から見るという趣向になっていて、すごく面白いなあと感じましたね。
それと、「喪117その後…」に関しては、あるキャラの興味深い一面が垣間見れます。
うーん、やっぱり、あのシーンはそういうことだったのか…と思わせる話になっていますよ。
これまた、「笑い」よりも「毒」強めで、いろいろ論議を呼びそうな感じですね。
今後の展開にも影響がありそうです。
あと、今回のカバー裏ネタには意表を突かれました。
これはもう、買って見てもらうしかないですね。必見ですよ!
本当に、多くの要素が一新されていて、すごく新鮮な気持ちで楽しめました。
と、同時に、13巻からはどうするつもりなんだろうとちょっと心配にすらなりましたね。
(でも、目次の「ミミズなら〜」だけはなぜかそのままなのが、笑えましたがw)
……………………………………………………………………………………………………………………
それにしても、今回の盛り上がりぶりは本当にすごかったですね。
Amazonでは一時ランキング1位にもなったようですし。
私も22日当日、家に帰ってからAmazonをチェックして驚きましたよ。
夜10時過ぎくらいで、まだ発売1日も経っていないのにレビューが70超えてましたからね。しかもすべて評価5!
なんだか、歴史的な瞬間に立ち会えたような興奮を覚えました。
今では(28日夜現在)、レビュー227件となっています。
1巻のレビュー数をはるかに超えてしまっていますからねw
はたから見たらいったいなんだと思われますよ。
ていうか、逆に今まではなんだったんだという気もしますよ。
なんで、11巻のレビュー数が37で、10巻が23なんだと。
私に言われせば、10巻なんてわたモテ最高レベルですよ。(当時の私の感想記事のテンションをご覧くださいw)
1巻から11巻までのわたモテがあっての12巻なんです。
12巻からわたモテにハマった人はもちろん大歓迎ですけど、そのことは忘れて欲しくないなあと切に思いますね。
ただまあ、わたモテは12巻で、また新たに始まったとも言えるのかもしれません。
「最終巻」であると同時に、「第1巻」でもある。
そんな、記念すべき巻でもあったような気がします。
重版も決定!この歴史的名作を見逃す手はありません!
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