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「ふたりモノローグ」1巻発売~国が保護すべき(?)尊い「狂気」~

少し前にコメント欄で教えてもらった「ふたりモノローグ」。
そのあまりの衝撃的な面白さに、私はいっぺんに夢中になってしまったのですが、その単行本第一巻がついに発売となりました。

futarimono-hyoushi.jpg 
この表紙イラストや「ネクラとギャルのすれ違いJKライフ」というキャッチから、
右の根暗な子が左のギャルっ子を勘違いから慕うようになり、ギャルはそれを少し疎ましく思いながらもまんざらでもないような感じで少しずつ心を通わせていく……みたいな、ちょっと百合テイストな友情コメディのように見えるかもしれません。

まず、はっきり言っておきましょう。
全っ然違います!

もうね。まったく、そんなゆるふわニヤニヤ百合マンガではありませんから!
もっとこう、ぶっ飛んだ世界というか、読んでいると精神汚染の危険性すらあるというか……でも、どこか懐かしくなるというか……大切な何かを思い出させてくれるというか……
……とにかくそんな、とんでもない作品なんです!

この中表紙のイラスト(サイコミ公開上では第1話の表紙)がこの作品の構図を見事に表しています。
futarimono-naka.jpg 



今でこそ、左の子・ひなたはネクラな感じですけど、小学校時代は活発で男勝りなタイプ(今でいう陽キャ?)でした。
一方、右の子・みかげはギャルぽいように見えますが、実は小学校時代は気難しくって付き合いが悪いタイプ(今でいう陰キャ?)。
つまり、今とはキャラがまったく逆だったのですね。

二人は「一生親友でいようね!!」と誓ったにもかかわらず、徐々にひなたは別の子とつるむようになってしまいます。
で、仲直りする機会を失ったまま、みかげはどこかに転校してしまうんですね。

で時は経ち、10年後。二人は再会するわけですが、
ひなたはみかげを裏切ったことへの後ろめたさからか、かつてのような元気はなく、ネクラな子になっていて、
みかげは、「もっとおしゃれでかっこいい女子」を目指してギャルっぽくなっていました。
二人はお互い「また仲良くなりたい」と思っていますが、果たして……

まあ、おおよそのあらすじはこんな感じですが、一見は百間にしかず。
まずは「第1話 隣の席の元・親友」だけでも読んでみてください。(サイコミ上でいまでも全話無料公開中です)
これだけでもだいたいどんな話なのかわかりますから。

このマンガの面白さは、
二人の思惑、というかモノローグのすれ違いから生まれる笑いや「サイコレズ」といった要素ももちろんあります。
でもよく読んでみると、それだけじゃないんです。

ひとつひとつの「モノローグ」はすごくリアルな感情なんですね。
勝手に期待して、勝手に勘違いして、勝手に失望して……といった心の流れはだれもが経験する思春期のきらめきです。

futarimono02_01.png 
このシーンなんか特に大好きですね。
敬語かタメ口かでこんなに一喜一憂できる二人がむしろ羨ましいです。

ネクラが「ひなた」でギャルが「みかげ」という、一見すると反転しているかのようなこのネーミングも実にうまいですね。
ひなたもみかげも小学校のときから本質は変わっていないんですよ。
ネクラにも「ひなた」はいるし、ギャルにも「みかげ」がいる。この構図がふたりのモノローグに深みを与えているんですね。
だから最終的にとんでもない方向にいってしまっても素直に笑うことができるんです。

futarimono18_01.png 
こんなのとか、
futarimono21_01.png 
とか最高でしょw
日野日出志かよwww

ひなたもかわいいけど、やっぱりみかげの愛ゆえの暴走がたまらなくぞくぞくしますね。
だれもが持つ、ちょっとした猜疑心や自己嫌悪、抑えきれない激情(笑)をなんとも独特のタッチで表現するのですが、
それがもう、人間離れ…というか、まあはっきりいって、怪物と化してしまうわけですよw
そこがまた、このマンガを魅力的にしている要因のひとつなんですね。

futarimono17_01.png 
wwwこれだけ見ればもはやホラーマンガですよw
でも根本には「仲良くなりたい!」を拗らせているだけ、というのがはっきりしているから、
描写がどんどんエスカレートしていっても引くことなく笑えるんですね。
ふたりの「モノローグ」が安全弁の役割にもなっているわけです。

なんていうか、作中のみかげの言葉を借りるなら
「いつまでも鑑賞していたい尊い」狂気でしょうかw
futarimono11_01.png 
モノローグの内容は間違いなく狂気としか言いようがないんですが、それでもすごく「尊い」ものなんですよ。
(それにしても「尊い!!尊いよ〜!!」というワードセンスはすごいなあ…)

当初はひなたとひかげみかげだけの「ふたりモノローグ」でしたが、
回を重ねるにつれて、だんだんキャラクターも増えていきます。

ひなたの中学時代の友達、佐呂間由依。
みかげのかつてのクラスメイト、蓮茂台洸。
どちらも強烈なキャラクターですが、特に佐呂間はヤバイですね。
ある意味、もっともゆがんでいるキャラですw
佐呂間の暴想モノローグはひかげみかげを陵駕していますよ、いろんな意味でw

futarimono-ura.jpg 
ちなみにピンクのおさげが佐呂間で、髪がはねているほうが蓮茂台です。
蓮茂台は今のところ、裏表(モノローグ)がない健全なキャラなので貴重ですね。
周りの友達に毒されずになんとかこのまま、真っ直ぐに行ってほしいものですw

あと帯になんか「実写ドラマ化」とあるようですが、
現時点でまだ先行第1話を見ていないので、これについてはノーコメント。

ただ、ただいま公開されている最新40話のおまけ「実写ドラマ第1話公開記念!レポートマンガ」によると、
作者であるツナミノユウ氏はかなり気に入っているようですので、期待できるかもしれませんね。
(まあキャスティングのお二人に魅了されただけの可能性もありますがw)

第1話から最新話までサイコミ上で無料で読めますので、あえて単行本を買う必要は希薄かもしれません。
でもそれはそれ、web発の作品がコミックス化する際には必ず付きものの「おまけマンガ」が読めますし、
各話の幕間にはアフターシーンともいえるラフカットもあります。
こういうのは例えばわたモテもそうですけど、コミックスを購入した人だけが楽しむことができる嬉しいご褒美ですよね。

なにより、「書籍」という形でまとめて読めるというのは大きな魅力です。
なんというか、ひとつの「作品」を読んでいるという実感を得ることができますからね。

2巻以降に収録される話では、ひなたに惚れている男子やひかげみかげの先輩なんかも登場してますます賑やかになっていきます。
今ならまだ、それほど時間を取らずに最新話まで追いかけられますし、今のうちに注目しておいたほうがいいと思いますよ。




※すみません、ヒロインの名前が間違っていました。ひかげではなく、「みかげ」です。改めて記事内で訂正いたしました。(ご指摘いただいた方、本当にありがとうございました)
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tag : ふたりモノローグ

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comment

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佐呂間氏ほんとヤバくて魅力的ですよねぇ〜語彙力が無い感じになってしまいますが、とにかくヤバくて大好きです。

Re: タイトルなし

>はるさん、コメントどうもありがとうございます。その節はお世話になりました(笑)

佐呂間は本当にヤバいですよねwていうか、こちらの語彙力も奪ってしまうヤバさですよ。
読んでいると本当に精神が汚染されていくような、マゾ的な恍惚感を味わえるヤバさですね。

No title

じじいさんこんにちはー
いまはもはやこちらのブログ、超人気わたモテブログとなってますねw
ツッコミ入れながらもキャラ愛や思いやりが伝わってくるので、見てて心地いいんですよね~w
そりゃ皆さんも話題振りたくなると思いますヨw

んで!なーんでこの記事にそんなこと書いたかと言いますと!
自分もこの記事見てからふたモノ買っちゃった♪超面白いじゃないっすかこれw
思春期のせつなさってのも、よっく伝わってきてギャグ全部リじゃないのがイイ!
気付かないと思うけど、おススメしてくれた人ほんと超ありがとう!!!

それでじじいさんには、ぜひこの作品もレビューしちゃってくれないかな!と思ったしだいですよ!
じじいさんの思いやり&ツッコミが合わさればきっとイケますよ!
どう?どう?だめー?ダメならこんな名作紹介した責任とってよ!
個人的にはロリみかげちゃんが最萌(聞いてない)

Re: No title

>たくろうさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

超人気は言い過ぎでしょうwまあ以前に比べれば、来てくださる方はそれなりに増えましたけど、内容はまだまだです。他の感想ブログを読むたびに落ち込む日々ですね。
ただ、長く続けてきたことだけは自負しています。今ほど盛り上がっていなかった4年前からわたモテを追い続けていたことだけが誇りですね。
これからも、見ていて気持ちのよい記事を心がけますので、どうぞよろしくお願いします!

おお、私の記事がきっかけでふたモノに買ってくださったのですか!それはうれしいですね。
ノリはむちゃくちゃなギャグなんですけど、その土台となるキャラクターの思いがしっかりしているから、ぶれることがないんですよね。本当にお勧めのマンガですよ。

レビューの件はごめんなさい。
正直今、リアルタイムで追いかけられるのはわたモテだけで精いっぱいなんです。
他にも書きたいものもあるのですが、書く書くと言ったまま放置状態のものが増える一方で…

ふたモノもせめてコミックスの感想はやっていきたいなあと思いつつ、いつの間にか先月にはもう3巻が出ていますからね。
書こうと思っても今更一か月もすぎてレビューもないよなあと考えてしまうんです。

でも、考えてみれば、当ブログの方針として、その時の旬ではなく自分の中でその時盛り上がっているものを扱うと宣言しているんですよね。
ここらで初心に帰らないといけないのかもしれません。

今もわたモテの記事作成でわたわたしている状態(笑)ですけど、
少し落ち着いたら、せめてコミックスの記事くらいは書きたいと思っています。それで勘弁してもらえませんでしょうかw
(でもさすがに、連載は追いかけられません。何しろふたモノは毎週更新だし)
早くしないと5月にはもう4巻が出るらしいのですが、もう世間のスピードなんて考えないことにしますw

個人的には顔面二分割みかげが最高です!

No title

じじいさんこんにちはー
週刊連載とは知らなかったごめんなさいw
薦めてくれた人、はるさんっていうんですか
もしどこかでコメントしてたら、まんまと布教成功してたよって伝えていただけるでしょうか?
めんどくさいかな?ごめんなさいw
コミックレビューも楽しみにしてますよー嘘ついたらおでこコッツンコすっぞ!
追伸・トップの妖精ちゃんがうっちーに見える病発症
最新話のうっちー、可愛かったスねwほいじゃ!

Re: No title

>たくろうさん、こんにちは

週刊連載と知らなかったのですか。
記事の最初の「ふたりモノローグ」という赤文字から跳べますので、できればリアルタイムで読んでくださいよ。
わたモテと違って、第一話から最新話まですべて読めますので、今からでも追いつけますよ!

はるさんが薦めてくれたコメントはこれまた記事の最初のリンク(「コメント欄」)から跳べますので、みてください。
今でも時々、わたモテの感想記事にコメントを残してくれますよ。
まあ、もし次にコメントを頂くことがあったら一応伝えておきましょうかw
ただ、いきなりそんなことを言われても、はるさんも面食らうんじゃないかなあ。別に布教してくださいとお願いされたわけでもないですし。

コミックレビューはいつまでとは約束できませんが、まあそのうち書きますよ。おでこコッツンされたくないですしw
少なくとも、次の単行本が発売する前までにはなんとかします。
まあ、ご期待に添えるような感想になるかはわかりませんけど…。

それはそうと、トップの妖精、たくろうさんのコメント読んだらうっちーにしか見えなくなってしまいましたよ!どうしてくれるんですかw
でもまあ、遠足編ラストのうっちーに免じてよしとしましょう!確かに可愛かったですし。

そして新たなる狂気へ

Re: そして新たなる狂気へ

>コミ・ヤーマ図書館さん

> 前置き
ふむこれは興味深い。自分ももしかしたらそうとは自覚していないだけで百合好きなのかもしれないな。要は恋愛とか性的なことより、何より「関係性」に萌えるということならすごく共感できます。


> 本編
なんだこいつらwww ダメだ、こういう歪で狂った関係が無茶苦茶ツボすぐるw
これは確かに保護すべき尊さですね。

初心者向けライト狂気

https://seiga.nicovideo.jp/comic/49333
「サウナと水風呂を何度も繰り返してから休憩するとトランス状態になって」
https://comic-action.com/episode/13933686331668792391
(https://news.ameba.jp/entry/20150804-166)
「無意識に腰振ってたわ」
https://www.nicovideo.jp/watch/sm714899
「何してるの?」←加藤感。
https://comic-action.com/episode/13933686331682344506
「何がどうなんだ?」
https://comic-action.com/episode/13933686331624274209
「風夏天然だからね-」
https://seiga.nicovideo.jp/comic/37171
(まこ肉(https://twitter.com/B_106840923/status/1132956549045821442)っぽい朝食・・・プロだな・・・)
https://comic-action.com/episode/13933686331613282916

Re: 初心者向けライト狂気

>コミ・ヤーマ図書館さん

> 初心者向けライト狂気
なるほど、これは初心者にやさしい狂気だw タイトルが妙にまともと言うか、なんかオシャレな感じなのもじわるw

> 「サウナと水風呂を何度も繰り返してから休憩するとトランス状態になって」
最初は今ひとつピンときませんでしたけど、読んでるとなんだかくせになりますね。
田舎の夏風景って、それだけでなんとも言えないインビさを感じてしまいます。
フィンランドの件は知らなかったなあ。ということは、彼女たちのやってることもあながちおかしくはないのかw

> 「無意識に腰振ってたわ」
www無意識じゃねーだろwwwていうか、レイはいったい…w

> 「何してるの?」←加藤感。
本当だ、ちょっと加藤さんぽいかも。まだ1話のみだけど、結構面白くなりそう。

> 「何がどうなんだ?」
ちゃんと意味を説明してくれるんだw なんて親切な漫画なんだろうw

> 「風夏天然だからね-」
ちょっと変則的なキャッキャウフフものかと思いきや、むちゃくちゃダークでへヴィじゃないですか…

> (まこ肉(https://twitter.com/B_106840923/status/1132956549045821442)っぽい朝食・・・プロだな・・・)
おお福満さん、エッセイ(ていうか、あれは「福満サーガ」というのかw)以外にまたストーリーものを始めたんだ。相変わらずのセンスでなんか安心wこれは月一連載なのかな。単行本にまとまるまでにはまだまだかかりそうだなあ。

まこ肉のことは全く気づかなかった……言われてみると、もうそうとしか見えなくなってしまったw
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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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