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私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!10巻 感想~ゆったりと季節は流れていく~

 
10月22日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」10巻が発売されました。

ほら、だから言ったじゃん、わたモテは今が一番面白いんだって!

思わずそう叫びたい衝動に駆られてしまうくらい、笑いあり涙ありおちんちんありの素晴らしい巻でしたね。
いやほんと、掛け値なしに現時点でのわたモテ最高傑作といってもいいんじゃないでしょうか。

というわけで今回は、ついに大台にのったわたモテ10巻目の感想をざっと綴っていこうと思います。

※各話(喪89から喪98および特別編6)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。

喪89「モテないし忘れ物する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-143.html

喪90「モテないし将来について考える」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-151.html

喪91「モテないし邂逅する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-155.html

喪92「モテないし突然ゲームに巻きこまれる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-160.html

喪93「モテないしプレゼントを渡す」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-161.html

喪94「モテないし弟はサッカーやってる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-168.html

喪95「モテないし秋の終わり」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-171.html

喪96「モテないしテスト勉強する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-172.html

喪97「モテないし学食で食べる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-175.html

喪98「モテないし冬の雨」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-178.html

特別編6
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-163.html


●表紙の「奥行き」と「相関図

まずは表紙について。

1巻から4巻までの「もこっちのぼっちショット」
5巻から8巻までの「もこっちとその巻を象徴するキャラたちとのショット」
そして前巻では再び「ぼっち」表紙と、ワタモテの表紙は、常に作品世界の変遷とリンクしてきました。
なので、次はいったいどういう表紙になるのか、すごく気になっていたんですね。

で、今回の表紙がこれ。
watamote_10kan_hyoushi.jpg 
(あ、バックの「ちんちん」だの「チンコ」だのはいったん忘れてくださいw)

再びキャラが増えていて、
一瞬、「もこっちとその巻を象徴するキャラたちとのショット」のパターンにまた戻ったかと思いますよね?
でも、5巻から8巻の頃と比べて、何かが変わっていると思いませんか?

そう、キャラ達の関係性が新たな次元に進んでいるんですよ。
今までのようなフラットな構図ではなく、奥行きが生まれているんですね。
つまり手前の黒木姉弟の関係性と、その後方の変態姉妹の関係性がクロスしているわけです。
単純に関わるキャラが増えていった8巻までとはまた違う、
より深い複雑な段階に入ったのだといえるのではないでしょうか。

で、その複雑な人間関係を一番象徴していたのが、喪91「モテないし邂逅する」だったりするわけですよ。
たとえバックを飾る作中シーンがすべて「ちんちん」をはじめとする“変態ネタ”で埋め尽くされようとも、
「修学旅行」編「体育祭」編を経て特別大きなイベントもないこの10巻にふさわしい表紙は、
やっぱり、この4人しかなかったんだと思います。

watamote_10kan_obi.jpg 
販促帯がよりにもよって(笑)、こんなシーンをピックアップしたのにもそういう意図があったんですよ。
決して、インパクトだけで勝負しているわけではないんです。

帯表面にもあるように、帯の裏面には“詳しい人物相関”が載っています。
watamote_10kan_obi-ura.jpg 
みてください、この中心にいるのは、あの「もこっち」です。
連載当初、いったいだれがこんな複雑な相関図を想像できました?

1~2巻のころだったら、
智貴←姉弟→智子
で終わりですよw
そう考えると10巻という大台は、単に数字を重ねただけの節目ではないんだということに、改めて気付かされるわけです。

……とはいっても、「守れ!智貴のオチンチン!!」「オチンチンの行方は!?」には、さすがに調子乗りすぎだろと言わざるを得ませんがw
ていうか、「オチンチンの行方は!?」ってどういう煽り文句だよ!
だれがそんなことに興味そそられてレジまで持っていくというんだw

まあ、いずれにせよ、「相関図」が生まれたというのは、やはりすごく感慨深いものがありますね。


●どこをとっても死角なしの名作集

さて、肝心の中身のほうはというと、これがもうひたすら圧倒されますね。
揃いも揃って、こんなにも超弩級の名作ばかりが続いていたのかと、改めて驚愕せざるをえない自分がいます。

なにしろ、小宮山さん覚醒(笑)喪89「モテないし忘れ物する」から始まって、
荻野の「バチン」が強烈な喪90「モテないし将来について考える」に、変態シスターズ結成喪91「モテないし邂逅する」と、
いきなりとんでもない作品が3つも続くんですよ?

そして、最後には
「や」喪97「モテないし学食で食べる」と、「あなたが待ってくれるからいいかな」喪98「モテないし冬の雨」って、
もうどこをみても死角なしって感じじゃないですか。完璧すぎますよ。


●秋が終わり、冬が始まる

しかも、改めて通して読んでみると、驚くほどに「統一感」があるんです。
これはweb更新のときには気づかなかったのですが、
一見、その時々のノリで思いついたネタをただ連ねているだけにみえても、
全体的にはひとつの大きな流れを構成しているんですね。

例えば、喪89の小宮山さんは喪91の井口さんへの続いていきますし、
喪90の三者面談はもちろん、喪97のネモの話につながっています。

そして、喪92の吉田さんがなければ喪98の冬の雨はなかったでしょうし、
喪93の大オチにも喪89が前フリとしてあったりもします。
さらに喪94の弟サッカーや喪95のさやかは、喪91の流れが元となっているわけです。

ただ、この大きな流れがまた実にゆるやかなんですね。
よく注意しないと気づかないくらいのスピードでゆったりと、されど確実に進んでいるんです。

その流れを実感できる回があります。そう、喪95「モテないし秋の終わり」です。
秋が終わり冬が始まるかのごとく、今のわたモテが少しずつ変わっていっていることを、
このオムニバス回で私たちは知ることができるんですね。

そして、オムニバスの最後のタイトルは「冬の気配」
その後、期末テストの話を挟んで、
もこっちは闇と光の狭間でネモと邂逅し、今江さんから羽ばたいていく……

なんとも象徴的な構成だと思いませんか?


●やはり10巻を象徴する話はこのふたつ

さて、今回も各ショップで10巻発売記念キャンペーンを行っています。
watamote_comics10_tokuten-sample.png
 
この中で、私は
watamote10tokuten_tora.jpg 
これと、

watamote10tokuten_game.jpg 
これを選びました。(今回も2冊購入してしまいました…)

なぜか、井口さん関連の特典イラストがなかったのがちょっと意外ではありましたが、
やっぱり、このふたつのエピソードは特別なんでしょう。

ていうか、表紙であれだけ「ちんちん」押しをしてしまったので、
さすがにちょっと……というだけなのかもしれませんがw

でも、10巻の締めとなる話(特別編6は除く)がこのネモと今江さんというのも、
なんだかはじめから予定されていたかのように思えてきて不思議な気持ちになりますね。



恒例の巻末おまけマンガは喪89喪91の後日談。
どちらも小宮山さんがボケというかオチ担当なのが、今のわたモテを象徴しているかのようで面白いですw
小宮山さんが主人公のスピンオフとか読みたくなりますね。

あとがきマンガがまたひどい…いや、すごいですね。
ほぼ、巻末の「特別編6」(ロッテとのコラボマンガ)のウラ話なのですが、
もうネガティブパワー全開の自虐ネタが炸裂していますw

意外と、吾妻ひでお西原理恵子のような本音暴露エッセイ的なものもいけるんじゃないでしょうかね?
もしくは、自伝的な「漫画家マンガ」とか。
福満しげゆきとか施川ユウキとか、ネガティブや鬱テイストを売りにした「漫画家マンガ」も色々ありますが、
谷川さんなら彼らとはまた違った味が出せそうな気がします。

現段階でのわたモテ最高傑作、10巻は絶賛発売中です!


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tag : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

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comment

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更新お疲れ様です。
私もわたモテは昔のぼっちだった頃より関わる相手が多くなった今の方が面白いんじゃないかと思います。
昔の孤軍奮闘していた頃のもこっちの残念っぷりも面白かったですけどね。今のもこっちは作中で出てきた似非ぼっち感が強くて残念な感じがあまりしません。
今回地味にツボったのが智貴の部屋の電灯にもこっちのプリクラの残骸が残っていた事ですね。普通もう少し綺麗に取るんじゃないかと思いました。
あとがきのもう一つのわたモテの意味はよく分かりませんでした。似たような作品があるんですかね。
アニメ化からもう3年も経つんですね。早いですねー。EDの「夜の帳よさようなら」で絶笑していたのがついこの間の事のようです。

Re: タイトルなし

>ふちささん、コメントありがとうございます

>関わる相手が多くなった今の方が面白い
ていうか、初期のわたモテがあってこその今の面白さだと思います。
それこそ、ゆっくりと時間をかけてここまで来たからこそ花開いたんですよ。

すでに4巻のころからネタ切れだと自虐ネタにしていたわけですが、
あのころ、いきなり今のように新キャラを大量投入して状況を打破していたら、
絶対に空回りしてつまらないものになっていたと思うんですね。
焦って方向転換せずに、もこっちという特異なキャラをじっくりと見つめ直していったからこそ
今の全盛期を迎えられたのではないでしょうか。

喪97に「一年の時は羨んだり恨んだりしてきたが、今はこいつらみたくなりたいとは思わないし憎むこともできない」という、すごく印象的な言葉がありますが、
これだって、あの一年時のもこっちの残念ぶりがあってこその趣きなんですよね。

>プリクラの残骸
喪89、小宮山さんへの「お礼」のシーンですか。なるほど、よく見てますね~w
わたモテは、こういう地味で見逃してしまいそうなネタが本当に多いですよねw
全部拾っていったらそれこそキリがないんですが、
そういう地味なところにわたモテの醍醐味というか本質が隠れていたりもするので、
レビューしていると神経を使うというか正直疲れる部分もありますね。

>もう一つのわたモテの意味
「私がモテてどうすんだ」という少女漫画があって、今秋からアニメ化されているそうです。
なんでも「モテるほうのわたモテ」とか言われているそうですよw
これで本家のわたモテも注目されればいいですけどね。

「夜の帳よさようなら」なつかしいですね~
わたモテのアニメは音楽面でも色々とネタを仕掛けていて、
当時はいいスタッフに恵まれたなと感心したものです。

No title

基本的にギャグ漫画って10巻くらいになるとネタ切れを起こしてグダグダになりがちなイメージがありますが、10巻にして全盛期を迎えるというのも珍しいなと思います。わたモテの場合はギャグというよりキャラの成長や内面を眺める面白さがあるのがクオリティを保てている要因なのかなと

といってもギャグに関しても小宮山さんや荻野先生の変人っぷりが本当に面白いwもこっちが人間的に成長しているだけにこの二人の暴走が余計目立つ気がします

No title

更新お疲れ様です
ただ楽しんで読んでいるだけの身ながら、
10巻、なんだか感慨深いです

>ただ、この大きな流れがまた実にゆるやかなんですね。
そうなんですよね
二週間に一回の更新を楽しみに読んでいるときよりも、
なぜかコミックスで一気に読んだときのほうが、
ゆっくりとした時間の流れを感じました

更新時には、ちょっと急ぎすぎに感じた流れも、
コミックスで読むとちょうど良い加減でびっくりしました
話的には良い意味で本当にくだらない話ばかりなのに、
なんだか秋っぽい切なさのある巻だったなあとw

Re: No title

>Ooさん、コメントありがとうございます。

>なぜかコミックスで一気に読んだときのほうが、ゆっくりとした時間の流れを感じました
わかります。でも考えてみると不思議ですよね。
普通なら一話一話読んでいたほうが、一気に読むよりゆっくりした時間を感じられそうなのに。

思うに、今回のゆるやかな流れは、
わたモテというマンガのここまでの歩みともリンクしているのかなあという気もします。
つまり、1~3巻くらいが「春」で、4~7巻が「夏」、
で、8~10巻の「秋」を経て、ちょうど今「冬」に差し掛かっているのではないかと。
その作品としての秋から冬のゆるやかな変化とちょうどリンクしているからこそ、
この10巻という節目の巻に、特別な思いを馳せてしまうのではないでしょうか。

これは指摘していいかどうかちょっと迷う部分もあるのですが、
やっぱり、今のわたモテは「季節の終わり」をそこはかとなく感じさせる段階に入っていると思うんですね。
もちろん、このまま終わって欲しくないですし、きっと新たな「春」が始まるはずと信じているわけですが。

いずれにせよ、今回は単行本というまとまった形だからこそ感じられる、味わい深さだった気がします。

Re: No title

>3番目のコメントの方、どうもありがとうございます。

>10巻にして全盛期を迎えるというのも珍しい
そうですね。それもやはり、4巻のころネタ切れだと自虐しながらも焦って方向転換せずに、
我慢しつつもキャラへの洞察を怠らなかったおかげだと思いますね。

このブログを始めたころ確か私は「連載マンガはネタ切れから本番」だと述べた記憶があるのですが、
要するに、ネタが切れてからこそ、その作家の真価が問われると思うんです。
連載モノをヒットさせるくらいのマンガ家はだいたいみんなそのくらいの才能は元々あるんです。
でもネタが切れた後にどうするかで、本物かどうかが決まるんですよ。

で、谷川ニコというマンガ家は、結果、本物だったわけです。
今回の10巻はまさにその証左といえるでしょう。

確かに、今回の小宮山さんそして荻野はホント強烈でしたねーw
でもそれも、彼女らがこれまでもこっちとちゃんと付き合ってきた部分があるからこそ、爆発力があるんだと思うんですよ。
いきなり変なキャラを出しただけではきっとあそこまでは見事にハマりません。

「ばちん」にせよ、「いっぱい使わせてもらうよ」にせよ、そこにはもこっちの今の姿があってのこそですよね。
つまり、影でもこっちのゆるやかな変化を描いてきたからこそ、笑えるネタにもなっていたわけです。
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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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