「サクラダリセット」再起動~新たなる「サクラダリセット」の世界~
「サクラダリセット」実写2部作が2017年公開
>ライトノベル「サクラダリセット」シリーズが前後編の2部作として実写映画化され、野村周平と黒島結菜が出演することがわかった。
>さらに原作のテレビアニメ化企画も進行中。
えー、今更なのは重々承知ですが、やはりこの話題には触れないわけにはまいりません。
なんと、「サクラダリセット」がなんと実写映画化&テレビアニメ化されるというのです。
(※「サクラダリセット」とは、ちょうど2年前に当ブログでも紹介した「いなくなれ、群青」の作者、河野裕氏のデビュー作になる作品です。)
すでに9月22日には情報が公開されていたらしいのですが、
私が知ったのはちょうど一週間前。
三連休最後の10月10日、いつものように都内大型書店をブラブラしていて、
ふと目にした平積み台の中に、

こんな販促帯を見つけたんですね。
一瞬え?と我が目を疑ってしまいましたよ。
だって、「サクラダリセット」というシリーズは、2012年の春にすでに完結していた作品だったのですから。
正直、このニュースを知ってまず思ったのは「なんで今ごろ?」でした。
だって完結してから、もう4年半経っているわけですよ。
今の時代のアニメ化って、はっきり言って「売りたい原作の販促ツール」にしか過ぎない感じがあるじゃないですか。
だから映像化があるとしても、現在進行形である「いなくなれ、群青」から始まる「階段島」シリーズのほうだと思い込んでいたんです。
まさか「サクラダリセット」のほうとはねえ……
まあ、「寄生獣」や「うしおととら」などの例もありますし、最近は良質なタマが不足気味で、
過去の名作にも手を出さなきゃならない状況になっているのかもしれませんね。
……というより、やっぱりKADOKAWAの力も大きいのかな?
考えてみれば「階段島」シリーズは新潮社ですからねえ。メディアミックスにはそれほど前向きでもないでしょうし。
まあそれはさておき、今、角川が急に「サクラダリセット」を押し出してきたのは、
「いなくなれ、群青」のヒットも大きく影響しているような気がしますね。
(※「いなくなれ、群青」は第8回大学読書人大賞も受賞していて、特に学生さんには高い人気があるようです)
だって、“「いなくなれ、群青」河野裕の最高傑作”ですよ?
対抗意識バリバリじゃないですかw こっちのほうがすごいんだぞ、というw
ただ、前から実写化の話はあったようですね。
「サクラダリセット」 野村周平主演の2部作で奇跡の映像化!
>パズルのように緻密なストーリーが人気を博し、何社もが実写化に動いたが「特殊能力が入り乱れるルールの複雑さ」や「中盤の大どんでん返し」に行き詰まり、断念してきた“問題作”でもある。
なるほど、「階段島」シリーズもそうですけど、確かに河野裕の作品は映像化がかなり難しい世界ではありますね。
ていうか、本当に物語構造や設定がややこしいんですよ。
ゲームデザイナーでもある作家さんだからか、すごくそういう「ルール作り」が緻密なんですよね。
前もっての予備知識がけっこう必要な世界観なので、いきなり「映像」で魅せるのがかなり難しい作風なんです。
うーん、シリーズ刊行中は、こんなに面白いし人気もあるようなのになんでアニメ化しないのかなあと不思議だったのですが、そういうことだったんですね。
さて、その気になる実写映画ですが、
さっそく映画の特報とビジュアルが公開されていました。
野村周平×黒島結菜「サクラダリセット」ミステリアスな特報が解禁
正直、これだけではまだなんとも言いようがありませんが、まあ悪くはないんじゃないでしょうか。
原作7巻分をどこまでどう描くのかにもよりますけど、
変に詰め込み過ぎずに、メリハリをきちんとつけてくれれば絶対に面白いものになるはずなんで、頑張って欲しいですね。
ただ、出演が若い方ばかりなので、単なるアイドル映画にならないかが若干心配ではありますが……(学園ものなので当たり前なんですけどね)
あと2部作というのがねー。最近の流行りのようですが、あまりいいイメージがないので一抹の不安がよぎりますね。
(「寄生獣」も後編でこけた感がありますし、「進撃の巨人」にいたっては……)
まあ、何はともあれ、こうして再び脚光をあびるというのはファンとしてもうれしいことです。
来春公開予定の実写映画やアニメを見るかどうかは、まだ保留にしておきたいところですが、
それにともない、原作も新装版として、改めて角川文庫より刊行されることになったわけですからね。
これで、新たに「サクラダリセット」の世界に触れる読者が増えてくれればいいなあと心から思います。
それに、今回の新装版、単にライトノベルレーベルから一般レーベルに移行しただけではなく、
大幅な加筆修正されているというのですから、買わない手はありません。
角川の思惑にまんまと乗ってしまうのはちょっと悔しくもありますが(笑)、
これから毎月25日には書店の文庫コーナーに足を運ぶことになりそうです。
せっかくなので、新旧の表紙を並べてみました。

いかにも一般エンタメっぽい色合いになっていますよね。
「サクラダリセット」というシリーズ名より、「猫と幽霊と日曜日の革命」というタイトルを大きく扱うなど、
全体的に「文学」を意識したデザインになっています。
しかも、今回の新装版は装いだけではなく、中身もかなりのモデルチェンジをしているんです。
ちょっとした言葉の言い回しや、情景描写の修正だけにとどまらず、
キャラクターの言動や、ときには構成さえも変わっています。
もちろん、ストーリー自体が変わっているわけではありませんが、
たとえば、主人公にある情報を教える人物がライトノベル版とは変わっていたりもするんですよ。
ところどころ、そういうプロット自体の変更もあったりするので、
スニーカー文庫版ですでに読まれている方にも新鮮な気持ちで読み進められるはずです。
そう、まるで、リセットされた世界で同じ日々を送っているのにもかかわらず、
以前の世界とは微妙に違っていることに気づいてしまう主人公・浅井ケイを追体験しているかのごとく、
また新たな「サクラダリセット」の世界を堪能できると思いますよ。
こちらの最新インタビューで、今回の加筆修正についての河野氏自身の解説が読めます。
http://www.groupsne.co.jp/user/interview/2016/10/01.html
猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセット1
10月25日には新装版2巻目が発売されます。
魔女と思い出と赤い目をした女の子 サクラダリセット2
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