ナンバーガール最終巻、購入。〜生きることは変化していくこと〜
「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」9巻が店頭に平積みされ、華々しく発売記念フェアなどを繰り広げている中、
3月26日に「ナンバーガール」の最終巻がこっそり発売されました。
(※「ナンバーガール」を知らない人は、一応、1年前に2巻のレビューをやっていますので、そちらをどうぞ)
いやあ、相変わらず、表紙のセンスが抜群ですね。
無個性だった「クローン」が“キャラ性”を獲得していくまでの「進化」を、うまく表していると思います。
さて、かんじんの中身はというと、基本1巻2巻とテイストは変わっていません。
なので、これまでのノリが好きな人には間違いなくオススメできますね。
個人的には、“13”と“16”の「姉妹ごっこ」と、「5の部」のエピソードが特にお気に入りですw
(あのてるてる坊主の最期にはちょっと悲しいものがありました…)
もはや完全に別人格といってもいいくらいに、それぞれのクローンたちに「個体差」が生まれてきていることに不思議な感動すら覚えますね。
ところで今回、ひとつ驚いた「事実」がありました。(微妙にネタバレかも)
なんと、彼女らクローンには「オリジナル」が存在しないというのですよ。
つまり、エヴァンゲリオンの綾波レイにおける「碇ユイ」がいないのです。(あ、これもネタバレか)
コピー元の「生命(いのち)」がなく、ゼロから作られた彼女らは、もはや「クローン」というより「人工知能」に近いんじゃないでしょうか。
そう考えると、ちょっと怖い気もしますね。
最近、「人工知能」(AI)の話題が多いじゃないですか。
「アルファ碁」とか、マクロソフトが開発した「Tay」とか、はたまた、星新一賞で、AIの創作作品が第一審査を通過したとか。
碁なんて、ちょっと前までは人間を超えるまでにあと30年かかると言われていたはずなのに、このスピードですから、「人工知能」の脅威を恐れる意見が出てきてもおかしくありません。
(ホーキング博士でしたっけ、「人類の終焉を意味するかもしれない」といってましたよね…)
ただ、今の時点ではまだまだ、「人工知能」とは思えない部分もあるような気がします。
ディープラーニングだなんだといっても、けっきょくはまだ「自我」がないじゃないですか。
自ら考えるというところまでは、いっていないと思うんですよ。
星新一賞応募作もイチからAIが考えた作品ではなく、設定などをプロジェクトチームがあらかじめインプットしたものだという話ですし。
まあ、ヘイトスピーチを始めたと話題になった「Tay」の件は、確かに怖いですけどね。
あれが、単なる悪意ある人間の「鏡」として、おうむ返しを繰り返していただけならいいんですけど、
それが彼自身の「思想」になったら……とは思います。
いずれにせよ、まだ、「個体差」というか、「個性」がないと思うんです。
同じことを教えても、それぞれが違った答えや解釈を出さない限りは、まだ「人工知能」とは呼べない気がするんですよ。
「ナンバーガール」1巻の10ページに先生のこんなセリフがあります。
「生きることは変化していくことです」
「見た目 考え方が全く一緒でも きっとみんなも少しずつ変わっていくことでしょう」
はじめは、まったく同じキャラ造形16体が、徐々に変化してゆき、
それぞれ「自分」というものを獲得していったこの物語を読み返してみると、
改めて、彼女らと人間との違いってなんだろうと、思わされるわけですよ。
人間がプログラミングしたのではなく、
彼ら自身の変化によって、“2”のように頭の悪いAIや、“9”のような厨二病的なAIが出てきたら、
そのときこそ、「人工知能」は“生きている”ことになるのではないでしょうか。
そのとき、我々人類は、彼らとどういう関係を築いていくべきなのか…
「人工知能」たちが彼女らと同じように「個性」を手に入れたとするなら、
それこそ、彼らの“人権”とか“著作権”も、
SFなんかではなく、現実問題として議論していかなければならないような気がしてくるわけです。
そんなことを考えさせられもした、「ナンバーガール」最終巻でした。
……あれ?
……いかん、疲れているせいか、おかしな方向になってきているぞ(汗
いや、実際はそんな深い哲学的な漫画でもないんですよ。
あとがきにもあるとおり、あくまで「萌え4コマ描いて暮らしたい」が出発点の漫画ですからw
終わり方もあっさりしているようで、余韻のあるものでしたし、
(“後輩”が登場するシーンはちょっとぐっときますw)
ほのかなペーソスが滲みつつも、変に身構えることなく気軽に笑える作品なんですよ。
結果として、「個性って何だろう」「彼女らと自分たちとは何が違うんだろう」と考えるきっかけになったとしても、
あくまでそれは、ギャグマンガとしてより笑えるための(そしてちょっぴりの切なさのための)スパイスに過ぎません!
わたモテしか知らない人にもぜひ一度読んでほしい、谷川ニコの代表作だと思います。
3月26日に「ナンバーガール」の最終巻がこっそり発売されました。
(※「ナンバーガール」を知らない人は、一応、1年前に2巻のレビューをやっていますので、そちらをどうぞ)


いやあ、相変わらず、表紙のセンスが抜群ですね。
無個性だった「クローン」が“キャラ性”を獲得していくまでの「進化」を、うまく表していると思います。
さて、かんじんの中身はというと、基本1巻2巻とテイストは変わっていません。
なので、これまでのノリが好きな人には間違いなくオススメできますね。
個人的には、“13”と“16”の「姉妹ごっこ」と、「5の部」のエピソードが特にお気に入りですw
(あのてるてる坊主の最期にはちょっと悲しいものがありました…)
もはや完全に別人格といってもいいくらいに、それぞれのクローンたちに「個体差」が生まれてきていることに不思議な感動すら覚えますね。
ところで今回、ひとつ驚いた「事実」がありました。(微妙にネタバレかも)
なんと、彼女らクローンには「オリジナル」が存在しないというのですよ。
つまり、エヴァンゲリオンの綾波レイにおける「碇ユイ」がいないのです。(あ、これもネタバレか)
コピー元の「生命(いのち)」がなく、ゼロから作られた彼女らは、もはや「クローン」というより「人工知能」に近いんじゃないでしょうか。
そう考えると、ちょっと怖い気もしますね。
最近、「人工知能」(AI)の話題が多いじゃないですか。
「アルファ碁」とか、マクロソフトが開発した「Tay」とか、はたまた、星新一賞で、AIの創作作品が第一審査を通過したとか。
碁なんて、ちょっと前までは人間を超えるまでにあと30年かかると言われていたはずなのに、このスピードですから、「人工知能」の脅威を恐れる意見が出てきてもおかしくありません。
(ホーキング博士でしたっけ、「人類の終焉を意味するかもしれない」といってましたよね…)
ただ、今の時点ではまだまだ、「人工知能」とは思えない部分もあるような気がします。
ディープラーニングだなんだといっても、けっきょくはまだ「自我」がないじゃないですか。
自ら考えるというところまでは、いっていないと思うんですよ。
星新一賞応募作もイチからAIが考えた作品ではなく、設定などをプロジェクトチームがあらかじめインプットしたものだという話ですし。
まあ、ヘイトスピーチを始めたと話題になった「Tay」の件は、確かに怖いですけどね。
あれが、単なる悪意ある人間の「鏡」として、おうむ返しを繰り返していただけならいいんですけど、
それが彼自身の「思想」になったら……とは思います。
いずれにせよ、まだ、「個体差」というか、「個性」がないと思うんです。
同じことを教えても、それぞれが違った答えや解釈を出さない限りは、まだ「人工知能」とは呼べない気がするんですよ。
「ナンバーガール」1巻の10ページに先生のこんなセリフがあります。
「生きることは変化していくことです」
「見た目 考え方が全く一緒でも きっとみんなも少しずつ変わっていくことでしょう」
はじめは、まったく同じキャラ造形16体が、徐々に変化してゆき、
それぞれ「自分」というものを獲得していったこの物語を読み返してみると、
改めて、彼女らと人間との違いってなんだろうと、思わされるわけですよ。
人間がプログラミングしたのではなく、
彼ら自身の変化によって、“2”のように頭の悪いAIや、“9”のような厨二病的なAIが出てきたら、
そのときこそ、「人工知能」は“生きている”ことになるのではないでしょうか。
そのとき、我々人類は、彼らとどういう関係を築いていくべきなのか…
「人工知能」たちが彼女らと同じように「個性」を手に入れたとするなら、
それこそ、彼らの“人権”とか“著作権”も、
SFなんかではなく、現実問題として議論していかなければならないような気がしてくるわけです。
そんなことを考えさせられもした、「ナンバーガール」最終巻でした。
……あれ?
……いかん、疲れているせいか、おかしな方向になってきているぞ(汗
いや、実際はそんな深い哲学的な漫画でもないんですよ。
あとがきにもあるとおり、あくまで「萌え4コマ描いて暮らしたい」が出発点の漫画ですからw
終わり方もあっさりしているようで、余韻のあるものでしたし、
(“後輩”が登場するシーンはちょっとぐっときますw)
ほのかなペーソスが滲みつつも、変に身構えることなく気軽に笑える作品なんですよ。
結果として、「個性って何だろう」「彼女らと自分たちとは何が違うんだろう」と考えるきっかけになったとしても、
あくまでそれは、ギャグマンガとしてより笑えるための(そしてちょっぴりの切なさのための)スパイスに過ぎません!
わたモテしか知らない人にもぜひ一度読んでほしい、谷川ニコの代表作だと思います。
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