私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!9巻 感想~なぜ「ぼっち」表紙に戻ったのか。キーワードは「青春」~
3月22日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」9巻が発売されましたね。
喪94の更新までしばらく空きますし、
今回は単行本の感想でも綴ってみようかと思います。
まずはやっぱり、この表紙からいきましょうか。
喪93の感想のときにも触れましたが、最初見たときにあれっと思いましたね。
そう、
5巻から8巻のような「その巻を象徴するキャラたちとのショット」じゃなくなって、
1巻から4巻までの「ぼっち表紙」に戻っているわけです。
この表紙の流れというのは、“一年生”編と“二年生”編との違いというか、世界観の広がりも表わしていたはずなので、そういった意味でもちょっと衝撃的でした。
ていうか、個人的には今回の表紙に井口さんを予想していたんですよね。9巻を象徴するキャラといえば、やっぱり彼女になると思うんで。
内容的には別に「ぼっち回帰展開」ではないんですよ。
むしろ、今回は「わたモテ史上最大の転換期」でもあって、もこっちの周りがかつてないくらいに賑やかになる巻でもあるわけなんです。
それなのに、なぜ、表紙が「ぼっち」に戻ったのか。
まあはっきり言って、実際のところは「4巻ごと」のサイクルで元に戻ったにすぎない、とは思うんですよ。
でも、やっぱりそこはファン心理、どうしても深読みしたくなるじゃないですかw
なので、今回はその辺のことも踏まえながら、改めて全体を見ていきたいと思います。
なお、「わたモテ」9巻の各話(喪78から喪88および特別編5)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪78「モテないし眠れない夜」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-109.html
喪79「モテないし自由行動する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-111.html
喪80「モテないし修学旅行最後の夜」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-117.html
喪81「モテないし秋葉原に寄り道する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-120.html
喪82「モテないし日常に戻る」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-123.html
喪83「モテないし嘘をつく」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-126.html
喪84「モテないしとある秋の一日」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-129.html
喪85「モテないしポンポンする」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-133.html
喪86「モテないし体育祭が始まる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-134.html
喪87「モテないし体育祭の箸休め」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-136.html
喪88「モテないし負ける」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-140.html
特別編5
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-145.html
……ところで、
この販促帯はいいですねw
作中ではかなり小さいカット(喪88参照)でしたが、この大きさで見ると、改めてシュールさが際立ちますw
ていうか、「特技:ちちもみ」てwww それ、騎馬戦に使えるのかw?
あと、「もこっちがさみしそうにこちらをみている」のに「チームにいれない」を選ぼうとしているのがひどすぎますw
●バラエティに富んだ構成
さて、改めて9巻の収録話を見てみると、今回、かなりバラエティに富んでいることに気づきます。
思えば、7巻はほとんど「2年生の夏休み」の話でした。
8巻はこれまたほぼ「修学旅行」編で占められていました。
しかし、今回は単純に「体育祭」編とは言えないと構造になっているんです。
今回の構成を見てみると、喪78から81の4話分が「修学旅行」、喪86から88の3話分が「体育祭」で、それ以外は、まあいわゆる「日常回」的なものになっています。
これだけでも、7巻8巻に比べ、話の方向性が多彩であることがわかるかと思いますが、
各カテゴリー内を見てみても、かなり特徴的な話が多いんですね。
例えば「日常回」では、喪83のように小宮山さんがメインになっている回があったかと思えば、喪85のように初期のようなもこっちの独白オンリー回があったりするわけですよ。
「修学旅行」編でも、喪79のような感動巨編(?)がある一方で、喪81のような修学旅行編とは言えないような(笑)「おまけ」回もあったりしますし、とにかく読んでいて飽きさせない構成になっているんです。
●「修学旅行」と「体育祭」をつなぐもの
さらに読み込んでいくと、「修学旅行」の話から「体育祭」への流れがすごくスムーズなことに気づきます。
まず、修学旅行が終わったあと、帰路途中でもこっちは「寄り道」をします。
で、この「寄り道」回で、“人(男)に求められる”ことを意識するわけです。

そして、次の「日常に戻る」で、
さりげなく、こんな「予告」シーンを挿入しつつ、
「修学旅行」が終わって、いつも通りの毎日が少しずつ変わってきていることを描く。
さらには、ゆうちゃんに修学旅行のお土産を渡す回では井口さんが登場し、新たなドラマの始まりを予感させ、
「とある秋の一日」を描いたオムニバス回では、文字通り前振りとして、「体育祭」の参加競技を決める話があったりするわけですよ。
そしてもちろん、喪85の「モテないしポンポンする」も体育祭のイケメン回への前振りでしょう。
つまり、9巻は「修学旅行」から「体育祭」へ移行する過程というか、
次の新たなドラマが始まるまでのドキュメントという側面もあるような気がするのです。
●キャラが増えたことで笑いも増えた
キャラクターたちがかなり増えたことも大きなポイントですね。
8巻「修学旅行」編からの4班メンバー、田村ゆり、吉田さんはもちろんのこと、
この巻では、うっちーこと、スマイルマークも見事(?)レギュラー化を果たして、「体育祭」編でも大活躍を見せます。
そして、何より井口さん!
彼女の参入はある意味、4班メンバー以上に大きなインパクトを与えました。
さらには、シャカ子(田村さん)と喧嘩をしていた「真子」、小宮山さんの唯一?の友達「伊藤さん」も、単なるモブキャラから脱してきていますし、全体的にすごく賑やかな感じを受けますよね。
その付随というわけでもありませんが、結果として「笑い」のパターンもかなり広がったと思います。
うっちーのびびりネタ。小宮山さんの変態ネタ。井口さんの勘違いネタ。
もこっちだけではなく、他のキャラでも笑いが取れることで、より作品に厚みが出てきた気がしますね。
●悩み始めたもこっち
で今回、なによりも感じたことは、もこっちが意外なほどに「悩んでいる」ということです。
というか、「自己分析」しているといったほうがいいかもしれません。
例えば、
喪79でのこんなシーン。かつての過ちと同じことをしようとしている自分を冷酷なまでに省みています。
喪82の
このシーンでは、自分とは違う生き方をしている人に対して想いを馳せ、
今後の自分のあり方について考えたりもしているわけです。
さらには、喪84で
クラスメイトとの接し方をあれこれ試行錯誤したりしていますし、
喪85では
人の温もり(?)を欲しがったりもしているんですよ。
こうしてみると、やはり「修学旅行」を経て、もこっちの中で何かが変わったように思えますね。
●悩むことが青春だ
ひたすら、賑やかで笑いっぱなしだった印象のある「体育祭」編でも、やはりもこっちは悩んでいます。
修学旅行が終わり、「仲間」と呼べるクラスメイトもできて、以前よりは「ぼっち」じゃなくなっても、
やっぱり悩みは尽きないんですよ。
で、「体育祭」編ってすっごく“青春”しているなあと思ったんです。
ある意味、去年の「文化祭」よりも、「修学旅行」よりも、
もこっちが一番青春していたのは、この「体育祭」編だったのかなあと感じたんですね。
“青春”って何か、と問われれば、やっぱりそれは「悩むこと」だと思うんですよ。
悩んで間違えてまた悩んで、というのは若さの特権ですよね。(じじいには羨ましいです…)
9巻におけるもこっちの悩みというのは、高校時代だからこそ輝くかけがえのないものなんです。
だからこそ、
こんなシーンがさりげなく挿入されているのではないでしょうか。
●なぜ、「ぼっち」表紙なのか
というわけで、なぜ、表紙が「ぼっち」に戻ったのか、という冒頭の話に戻りますと、
それは、「ぼっち」編を経て、「仲間」編を経て、
今まさに「青春」編に突入したことの象徴としての、この表紙なのではないかなと思うわけです。
たとえ、「仲間」を得ても悩みは果てない。そんな高校時代ならばの切なさを表現したのが、この「ぼっち」表紙なのではないでしょうか。
ほら、ひとりでいる“孤独”よりも、他人の輪の中で感じる“孤独”のほうが辛かったりするじゃないですか。(浜崎あゆみの歌でもそんなフレーズがあったような…)
つまり今回、もこっちがひとりなのは、ただ仲間に流されるのではなく彼女なりに自分を見つめ直している証でもあるなのかな、という気がするんですね。
そう考えると、ハチマキを締めているこの仕草にも、なんだか深い意味があるようにも見えてきます。
結果として、この9巻は、青春マンガとしてのわたモテの魅力が詰まったものになったと思います。
それにやっぱり、体育祭ってすっごく青春っぽいですよねw
ところで、今回の9巻発売記念フェアの各特典。
この中では、特にメロンブックスさんのものがいいなということで、
これをゲットしたのですが、
実はもうひとつ、今回の特典の中で気になるものがあったんです。
それがこれ。
これ欲しさに、2冊目を購入してしまいましたw
なぜかこれだけ、「体育祭」が題材じゃないんですよ。
他がすべて、「体育祭」なだけにどうしても気になってしまうんです。
この可憐な猫好きの少女(笑)を特典イラストとして描いた意味はなんなんだろうと。
喪85「モテないしポンポンする」にでてくる猫(オス)かなとも思ったのですが、
ちょっと違う気がします。
でもあのイラストで、9巻に関係することといったら、この猫しかありませんよね?
というわけで、ひょっとすると、喪85って「体育祭」と同じくらい重要な話なのかもしれないとも思った次第なわけです。
まあ、どう重要なのかはよくわからないんですがw
ただ、この特典イラストに、ほのかな「儚さ」というか「寂しさ」みたいなものを感じたのは確かです。
なんとなく、そこに意味があるような気もしますね。
【余談】吉田さんに関する修正がちょっと気になる
余談になりますが、
今回読んでいて、ちょっと気になるところがありました。
それはweb掲載時と今回の単行本との違い。
単行本にまとまる際に、よりよい作品になるように、修正をすることがよくあります。
漫画家さんによっては、話の内容そのものも変えてしまう人もいますが、
わたモテの場合は、それほど大きな修正はありません。
今回も影を追加したり、「体育祭」でのうっちーのメイクを追加したりするくらいがほとんどです。
まあ、8巻では
喪71のこの「ドラゴンヘッド」のノブオが塗り潰されていたりしましたがw
せいぜい、こういう著作権的に修正を余儀なくされることくらいでしょう。
ただ今回、ふたつほどどうしても気になる修正があったんですね。
それが、
喪79の
このシーンと、
喪87の
このシーン。
それぞれ、
という風に修正されているんです。
喪79のほうはわかりやすいですよね。
そう、「でもマジ賢人すきー」「もー別れろよ」「なー」といった、会話がカットされているんです。
このカットの意図がよくわからないんですよね。
強いていうなら、会話が下世話というか「生々しすぎる」ということくらいでしょうか。
でも、わたモテですよ?著作権的なアレならともかく、この程度の毒でどうのこうのということはないと思うんですよ。
喪87のほうはちょっとわかりずらいかもしれません。
右がweb掲載時、左が9巻になります。
そう、吉田さんの表情が変わっているんですよ。
うっちーに挑戦的な笑みを浮かべていた彼女が、なぜか9巻では、憮然とした表情に修正されているんです。
どうでしょう、ふたつとも修正の意図がイマイチよくわからないこともありますが、
どちらも、吉田さんに関わること、というのが気になりませんか?
これは勝手な推測にしか過ぎないのですが、
谷川さんは、吉田さんのパーソナリティを軌道修正しようとしているのではないでしょうか。
喪79の会話は、ちょっと擦れている感じを受けるかもしれません。(個人的には「なー」は無理やり話を合わせている感があって吉田さんらしいなと思いますが)
喪87の表情は、ちょっと性格悪そうに見える、といったところなのでしょうか。(これまた個人的には、凛々しい印象でらしいな、と思うんですけどね)
つまり、吉田さんのキャラをより「ピュア」に見えるよう調整したのかな、とも考えられるわけです。
単行本修正作業をしていた時がちょうど喪92の吉田さん回だったと仮定すると、あながち見当はずれでもないかなと思うのですが、どうでしょう。
いずれにせよ、今後の吉田さんの動向にはますます目が離せません!
さて、恒例の巻末おまけマンガは「体育祭」でのこぼれ話。
ひとつは騎馬戦、もうひとつは本編ではあまり出てこなかった吉田さんのエピソードなんですが、
これがもうサイコーに笑えますwww
特に吉田さんの話については、体育祭での吉田さんの活躍が本編ではほとんど描かれなかったことが、「体育祭」編の唯一の不満といってもいいくらいだったので、これはうれしいおまけでした。
また、作者近況マンガもある意味、「青春」がキーワードになっていて、これまた本編になんとなくリンクしているようにも思えてくるんですよw
これだけでも、単行本を買う意味があると思いますね。
わたモテ史上、もっとも「青春」している9巻は絶賛発売中です。(中表紙がまた“青春”しているので要チェック!)
喪94の更新までしばらく空きますし、
今回は単行本の感想でも綴ってみようかと思います。
まずはやっぱり、この表紙からいきましょうか。

喪93の感想のときにも触れましたが、最初見たときにあれっと思いましたね。
そう、

5巻から8巻のような「その巻を象徴するキャラたちとのショット」じゃなくなって、

1巻から4巻までの「ぼっち表紙」に戻っているわけです。
この表紙の流れというのは、“一年生”編と“二年生”編との違いというか、世界観の広がりも表わしていたはずなので、そういった意味でもちょっと衝撃的でした。
ていうか、個人的には今回の表紙に井口さんを予想していたんですよね。9巻を象徴するキャラといえば、やっぱり彼女になると思うんで。
内容的には別に「ぼっち回帰展開」ではないんですよ。
むしろ、今回は「わたモテ史上最大の転換期」でもあって、もこっちの周りがかつてないくらいに賑やかになる巻でもあるわけなんです。
それなのに、なぜ、表紙が「ぼっち」に戻ったのか。
まあはっきり言って、実際のところは「4巻ごと」のサイクルで元に戻ったにすぎない、とは思うんですよ。
でも、やっぱりそこはファン心理、どうしても深読みしたくなるじゃないですかw
なので、今回はその辺のことも踏まえながら、改めて全体を見ていきたいと思います。
なお、「わたモテ」9巻の各話(喪78から喪88および特別編5)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。
喪78「モテないし眠れない夜」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-109.html
喪79「モテないし自由行動する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-111.html
喪80「モテないし修学旅行最後の夜」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-117.html
喪81「モテないし秋葉原に寄り道する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-120.html
喪82「モテないし日常に戻る」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-123.html
喪83「モテないし嘘をつく」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-126.html
喪84「モテないしとある秋の一日」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-129.html
喪85「モテないしポンポンする」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-133.html
喪86「モテないし体育祭が始まる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-134.html
喪87「モテないし体育祭の箸休め」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-136.html
喪88「モテないし負ける」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-140.html
特別編5
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-145.html
……ところで、

この販促帯はいいですねw
作中ではかなり小さいカット(喪88参照)でしたが、この大きさで見ると、改めてシュールさが際立ちますw
ていうか、「特技:ちちもみ」てwww それ、騎馬戦に使えるのかw?
あと、「もこっちがさみしそうにこちらをみている」のに「チームにいれない」を選ぼうとしているのがひどすぎますw
●バラエティに富んだ構成
さて、改めて9巻の収録話を見てみると、今回、かなりバラエティに富んでいることに気づきます。
思えば、7巻はほとんど「2年生の夏休み」の話でした。
8巻はこれまたほぼ「修学旅行」編で占められていました。
しかし、今回は単純に「体育祭」編とは言えないと構造になっているんです。
今回の構成を見てみると、喪78から81の4話分が「修学旅行」、喪86から88の3話分が「体育祭」で、それ以外は、まあいわゆる「日常回」的なものになっています。
これだけでも、7巻8巻に比べ、話の方向性が多彩であることがわかるかと思いますが、
各カテゴリー内を見てみても、かなり特徴的な話が多いんですね。
例えば「日常回」では、喪83のように小宮山さんがメインになっている回があったかと思えば、喪85のように初期のようなもこっちの独白オンリー回があったりするわけですよ。
「修学旅行」編でも、喪79のような感動巨編(?)がある一方で、喪81のような修学旅行編とは言えないような(笑)「おまけ」回もあったりしますし、とにかく読んでいて飽きさせない構成になっているんです。
●「修学旅行」と「体育祭」をつなぐもの
さらに読み込んでいくと、「修学旅行」の話から「体育祭」への流れがすごくスムーズなことに気づきます。
まず、修学旅行が終わったあと、帰路途中でもこっちは「寄り道」をします。
で、この「寄り道」回で、“人(男)に求められる”ことを意識するわけです。


そして、次の「日常に戻る」で、

さりげなく、こんな「予告」シーンを挿入しつつ、
「修学旅行」が終わって、いつも通りの毎日が少しずつ変わってきていることを描く。
さらには、ゆうちゃんに修学旅行のお土産を渡す回では井口さんが登場し、新たなドラマの始まりを予感させ、
「とある秋の一日」を描いたオムニバス回では、文字通り前振りとして、「体育祭」の参加競技を決める話があったりするわけですよ。
そしてもちろん、喪85の「モテないしポンポンする」も体育祭のイケメン回への前振りでしょう。
つまり、9巻は「修学旅行」から「体育祭」へ移行する過程というか、
次の新たなドラマが始まるまでのドキュメントという側面もあるような気がするのです。
●キャラが増えたことで笑いも増えた
キャラクターたちがかなり増えたことも大きなポイントですね。
8巻「修学旅行」編からの4班メンバー、田村ゆり、吉田さんはもちろんのこと、
この巻では、うっちーこと、スマイルマークも見事(?)レギュラー化を果たして、「体育祭」編でも大活躍を見せます。
そして、何より井口さん!
彼女の参入はある意味、4班メンバー以上に大きなインパクトを与えました。
さらには、シャカ子(田村さん)と喧嘩をしていた「真子」、小宮山さんの唯一?の友達「伊藤さん」も、単なるモブキャラから脱してきていますし、全体的にすごく賑やかな感じを受けますよね。
その付随というわけでもありませんが、結果として「笑い」のパターンもかなり広がったと思います。
うっちーのびびりネタ。小宮山さんの変態ネタ。井口さんの勘違いネタ。
もこっちだけではなく、他のキャラでも笑いが取れることで、より作品に厚みが出てきた気がしますね。
●悩み始めたもこっち
で今回、なによりも感じたことは、もこっちが意外なほどに「悩んでいる」ということです。
というか、「自己分析」しているといったほうがいいかもしれません。
例えば、

喪79でのこんなシーン。かつての過ちと同じことをしようとしている自分を冷酷なまでに省みています。
喪82の

このシーンでは、自分とは違う生き方をしている人に対して想いを馳せ、

今後の自分のあり方について考えたりもしているわけです。
さらには、喪84で

クラスメイトとの接し方をあれこれ試行錯誤したりしていますし、
喪85では

人の温もり(?)を欲しがったりもしているんですよ。
こうしてみると、やはり「修学旅行」を経て、もこっちの中で何かが変わったように思えますね。
●悩むことが青春だ
ひたすら、賑やかで笑いっぱなしだった印象のある「体育祭」編でも、やはりもこっちは悩んでいます。


修学旅行が終わり、「仲間」と呼べるクラスメイトもできて、以前よりは「ぼっち」じゃなくなっても、
やっぱり悩みは尽きないんですよ。
で、「体育祭」編ってすっごく“青春”しているなあと思ったんです。
ある意味、去年の「文化祭」よりも、「修学旅行」よりも、
もこっちが一番青春していたのは、この「体育祭」編だったのかなあと感じたんですね。
“青春”って何か、と問われれば、やっぱりそれは「悩むこと」だと思うんですよ。
悩んで間違えてまた悩んで、というのは若さの特権ですよね。(じじいには羨ましいです…)
9巻におけるもこっちの悩みというのは、高校時代だからこそ輝くかけがえのないものなんです。
だからこそ、

こんなシーンがさりげなく挿入されているのではないでしょうか。
●なぜ、「ぼっち」表紙なのか
というわけで、なぜ、表紙が「ぼっち」に戻ったのか、という冒頭の話に戻りますと、
それは、「ぼっち」編を経て、「仲間」編を経て、
今まさに「青春」編に突入したことの象徴としての、この表紙なのではないかなと思うわけです。
たとえ、「仲間」を得ても悩みは果てない。そんな高校時代ならばの切なさを表現したのが、この「ぼっち」表紙なのではないでしょうか。
ほら、ひとりでいる“孤独”よりも、他人の輪の中で感じる“孤独”のほうが辛かったりするじゃないですか。(浜崎あゆみの歌でもそんなフレーズがあったような…)
つまり今回、もこっちがひとりなのは、ただ仲間に流されるのではなく彼女なりに自分を見つめ直している証でもあるなのかな、という気がするんですね。
そう考えると、ハチマキを締めているこの仕草にも、なんだか深い意味があるようにも見えてきます。
結果として、この9巻は、青春マンガとしてのわたモテの魅力が詰まったものになったと思います。
それにやっぱり、体育祭ってすっごく青春っぽいですよねw
ところで、今回の9巻発売記念フェアの各特典。

この中では、特にメロンブックスさんのものがいいなということで、

これをゲットしたのですが、
実はもうひとつ、今回の特典の中で気になるものがあったんです。
それがこれ。

これ欲しさに、2冊目を購入してしまいましたw
なぜかこれだけ、「体育祭」が題材じゃないんですよ。
他がすべて、「体育祭」なだけにどうしても気になってしまうんです。
この可憐な猫好きの少女(笑)を特典イラストとして描いた意味はなんなんだろうと。
喪85「モテないしポンポンする」にでてくる猫(オス)かなとも思ったのですが、

ちょっと違う気がします。
でもあのイラストで、9巻に関係することといったら、この猫しかありませんよね?
というわけで、ひょっとすると、喪85って「体育祭」と同じくらい重要な話なのかもしれないとも思った次第なわけです。
まあ、どう重要なのかはよくわからないんですがw
ただ、この特典イラストに、ほのかな「儚さ」というか「寂しさ」みたいなものを感じたのは確かです。
なんとなく、そこに意味があるような気もしますね。
【余談】吉田さんに関する修正がちょっと気になる
余談になりますが、
今回読んでいて、ちょっと気になるところがありました。
それはweb掲載時と今回の単行本との違い。
単行本にまとまる際に、よりよい作品になるように、修正をすることがよくあります。
漫画家さんによっては、話の内容そのものも変えてしまう人もいますが、
わたモテの場合は、それほど大きな修正はありません。
今回も影を追加したり、「体育祭」でのうっちーのメイクを追加したりするくらいがほとんどです。
まあ、8巻では

喪71のこの「ドラゴンヘッド」のノブオが塗り潰されていたりしましたがw
せいぜい、こういう著作権的に修正を余儀なくされることくらいでしょう。
ただ今回、ふたつほどどうしても気になる修正があったんですね。
それが、
喪79の

このシーンと、
喪87の

このシーン。
それぞれ、


という風に修正されているんです。
喪79のほうはわかりやすいですよね。
そう、「でもマジ賢人すきー」「もー別れろよ」「なー」といった、会話がカットされているんです。
このカットの意図がよくわからないんですよね。
強いていうなら、会話が下世話というか「生々しすぎる」ということくらいでしょうか。
でも、わたモテですよ?著作権的なアレならともかく、この程度の毒でどうのこうのということはないと思うんですよ。
喪87のほうはちょっとわかりずらいかもしれません。

右がweb掲載時、左が9巻になります。
そう、吉田さんの表情が変わっているんですよ。
うっちーに挑戦的な笑みを浮かべていた彼女が、なぜか9巻では、憮然とした表情に修正されているんです。
どうでしょう、ふたつとも修正の意図がイマイチよくわからないこともありますが、
どちらも、吉田さんに関わること、というのが気になりませんか?
これは勝手な推測にしか過ぎないのですが、
谷川さんは、吉田さんのパーソナリティを軌道修正しようとしているのではないでしょうか。
喪79の会話は、ちょっと擦れている感じを受けるかもしれません。(個人的には「なー」は無理やり話を合わせている感があって吉田さんらしいなと思いますが)
喪87の表情は、ちょっと性格悪そうに見える、といったところなのでしょうか。(これまた個人的には、凛々しい印象でらしいな、と思うんですけどね)
つまり、吉田さんのキャラをより「ピュア」に見えるよう調整したのかな、とも考えられるわけです。
単行本修正作業をしていた時がちょうど喪92の吉田さん回だったと仮定すると、あながち見当はずれでもないかなと思うのですが、どうでしょう。
いずれにせよ、今後の吉田さんの動向にはますます目が離せません!
さて、恒例の巻末おまけマンガは「体育祭」でのこぼれ話。
ひとつは騎馬戦、もうひとつは本編ではあまり出てこなかった吉田さんのエピソードなんですが、
これがもうサイコーに笑えますwww
特に吉田さんの話については、体育祭での吉田さんの活躍が本編ではほとんど描かれなかったことが、「体育祭」編の唯一の不満といってもいいくらいだったので、これはうれしいおまけでした。
また、作者近況マンガもある意味、「青春」がキーワードになっていて、これまた本編になんとなくリンクしているようにも思えてくるんですよw
これだけでも、単行本を買う意味があると思いますね。
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