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私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!9巻 感想~なぜ「ぼっち」表紙に戻ったのか。キーワードは「青春」~

3月22日に「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!9巻が発売されましたね。
喪94の更新までしばらく空きますし、
今回は単行本の感想でも綴ってみようかと思います。

まずはやっぱり、この表紙からいきましょうか。

watamote_09kan.jpg 
喪93の感想のときにも触れましたが、最初見たときにあれっと思いましたね。

そう、
watamote_05-08.jpg 
5巻から8巻のような「その巻を象徴するキャラたちとのショット」じゃなくなって、

watamote_01-04.jpg 
1巻から4巻までの「ぼっち表紙」に戻っているわけです。

この表紙の流れというのは、“一年生”編と“二年生”編との違いというか、世界観の広がりも表わしていたはずなので、そういった意味でもちょっと衝撃的でした。
ていうか、個人的には今回の表紙に井口さんを予想していたんですよね。9巻を象徴するキャラといえば、やっぱり彼女になると思うんで。

内容的には別に「ぼっち回帰展開」ではないんですよ。
むしろ、今回は「わたモテ史上最大の転換期」でもあって、もこっちの周りがかつてないくらいに賑やかになる巻でもあるわけなんです。
それなのに、なぜ、表紙が「ぼっち」に戻ったのか。




まあはっきり言って、実際のところは「4巻ごと」のサイクルで元に戻ったにすぎない、とは思うんですよ。
でも、やっぱりそこはファン心理、どうしても深読みしたくなるじゃないですかw
なので、今回はその辺のことも踏まえながら、改めて全体を見ていきたいと思います。


なお、「わたモテ」9巻の各話(喪78から喪88および特別編5)の感想は、以下の各エントリーを参照してください。

喪78「モテないし眠れない夜」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-109.html

喪79「モテないし自由行動する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-111.html

喪80「モテないし修学旅行最後の夜」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-117.html

喪81「モテないし秋葉原に寄り道する」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-120.html

喪82「モテないし日常に戻る」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-123.html

喪83「モテないし嘘をつく」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-126.html

喪84「モテないしとある秋の一日」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-129.html

喪85「モテないしポンポンする」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-133.html

喪86「モテないし体育祭が始まる」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-134.html

喪87「モテないし体育祭の箸休め」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-136.html

喪88「モテないし負ける」
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-140.html

特別編5
http://horobijiji.blog.fc2.com/blog-entry-145.html

……ところで、
watamote_09kan_obi.jpg 
この販促帯はいいですねw
作中ではかなり小さいカット(喪88参照)でしたが、この大きさで見ると、改めてシュールさが際立ちますw
ていうか、「特技:ちちもみ」てwww それ、騎馬戦に使えるのかw?

あと、「もこっちがさみしそうにこちらをみている」のに「チームにいれない」を選ぼうとしているのがひどすぎますw

●バラエティに富んだ構成

さて、改めて9巻の収録話を見てみると、今回、かなりバラエティに富んでいることに気づきます。
思えば、7巻はほとんど「2年生の夏休み」の話でした。
8巻はこれまたほぼ「修学旅行」編で占められていました。
しかし、今回は単純に「体育祭」編とは言えないと構造になっているんです。

今回の構成を見てみると、喪78から81の4話分が「修学旅行」、喪86から88の3話分が「体育祭」で、それ以外は、まあいわゆる「日常回」的なものになっています。
これだけでも、7巻8巻に比べ、話の方向性が多彩であることがわかるかと思いますが、
各カテゴリー内を見てみても、かなり特徴的な話が多いんですね。

例えば「日常回」では、喪83のように小宮山さんがメインになっている回があったかと思えば、喪85のように初期のようなもこっちの独白オンリー回があったりするわけですよ。
「修学旅行」編でも、喪79のような感動巨編(?)がある一方で、喪81のような修学旅行編とは言えないような(笑)「おまけ」回もあったりしますし、とにかく読んでいて飽きさせない構成になっているんです。

●「修学旅行」と「体育祭」をつなぐもの

さらに読み込んでいくと、「修学旅行」の話から「体育祭」への流れがすごくスムーズなことに気づきます。

まず、修学旅行が終わったあと、帰路途中でもこっちは「寄り道」をします。
で、この「寄り道」回で、“人(男)に求められる”ことを意識するわけです。
mo81-10.png mo81-12.png

そして、次の「日常に戻る」で、
mo82-mako.png 
さりげなく、こんな「予告」シーンを挿入しつつ、
「修学旅行」が終わって、いつも通りの毎日が少しずつ変わってきていることを描く。

さらには、ゆうちゃんに修学旅行のお土産を渡す回では井口さんが登場し、新たなドラマの始まりを予感させ、
「とある秋の一日」を描いたオムニバス回では、文字通り前振りとして、「体育祭」の参加競技を決める話があったりするわけですよ。

そしてもちろん、喪85の「モテないしポンポンする」も体育祭のイケメン回への前振りでしょう。

つまり、9巻は「修学旅行」から「体育祭」へ移行する過程というか、
次の新たなドラマが始まるまでのドキュメントという側面もあるような気がするのです。

●キャラが増えたことで笑いも増えた

キャラクターたちがかなり増えたことも大きなポイントですね。
8巻「修学旅行」編からの4班メンバー、田村ゆり、吉田さんはもちろんのこと、
この巻では、うっちーこと、スマイルマークも見事(?)レギュラー化を果たして、「体育祭」編でも大活躍を見せます。

そして、何より井口さん
彼女の参入はある意味、4班メンバー以上に大きなインパクトを与えました。

さらには、シャカ子(田村さん)と喧嘩をしていた「真子」、小宮山さんの唯一?の友達「伊藤さん」も、単なるモブキャラから脱してきていますし、全体的にすごく賑やかな感じを受けますよね。

その付随というわけでもありませんが、結果として「笑い」のパターンもかなり広がったと思います。
うっちーのびびりネタ。小宮山さんの変態ネタ。井口さんの勘違いネタ。
もこっちだけではなく、他のキャラでも笑いが取れることで、より作品に厚みが出てきた気がしますね。

●悩み始めたもこっち

で今回、なによりも感じたことは、もこっちが意外なほどに「悩んでいる」ということです。
というか、「自己分析」しているといったほうがいいかもしれません。

例えば、
mo79-19.png 
喪79でのこんなシーン。かつての過ちと同じことをしようとしている自分を冷酷なまでに省みています。

喪82
mo82-17.png 
このシーンでは、自分とは違う生き方をしている人に対して想いを馳せ、

mo82-18.png 
今後の自分のあり方について考えたりもしているわけです。

さらには、喪84
mo84-03.png 
クラスメイトとの接し方をあれこれ試行錯誤したりしていますし、
喪85では
mo85-ponpon.png 
人の温もり(?)を欲しがったりもしているんですよ。

こうしてみると、やはり「修学旅行」を経て、もこっちの中で何かが変わったように思えますね。

●悩むことが青春だ

ひたすら、賑やかで笑いっぱなしだった印象のある「体育祭」編でも、やはりもこっちは悩んでいます。

mo88-09.png mo88-10.png 
修学旅行が終わり、「仲間」と呼べるクラスメイトもできて、以前よりは「ぼっち」じゃなくなっても、
やっぱり悩みは尽きないんですよ。

で、「体育祭」編ってすっごく“青春”しているなあと思ったんです。
ある意味、去年の「文化祭」よりも、「修学旅行」よりも、
もこっちが一番青春していたのは、この「体育祭」編だったのかなあと感じたんですね。

“青春”って何か、と問われれば、やっぱりそれは「悩むこと」だと思うんですよ。
悩んで間違えてまた悩んで、というのは若さの特権ですよね。(じじいには羨ましいです…)
9巻におけるもこっちの悩みというのは、高校時代だからこそ輝くかけがえのないものなんです。

だからこそ、
mo88-33.png 
こんなシーンがさりげなく挿入されているのではないでしょうか。

●なぜ、「ぼっち」表紙なのか

というわけで、なぜ、表紙が「ぼっち」に戻ったのか、という冒頭の話に戻りますと、
それは、「ぼっち」編を経て、「仲間」編を経て、
今まさに「青春」編に突入したことの象徴としての、この表紙なのではないかなと思うわけです。

たとえ、「仲間」を得ても悩みは果てない。そんな高校時代ならばの切なさを表現したのが、この「ぼっち」表紙なのではないでしょうか。
ほら、ひとりでいる“孤独”よりも、他人の輪の中で感じる“孤独”のほうが辛かったりするじゃないですか。(浜崎あゆみの歌でもそんなフレーズがあったような…)

つまり今回、もこっちがひとりなのは、ただ仲間に流されるのではなく彼女なりに自分を見つめ直している証でもあるなのかな、という気がするんですね。
そう考えると、ハチマキを締めているこの仕草にも、なんだか深い意味があるようにも見えてきます。

結果として、この9巻は、青春マンガとしてのわたモテの魅力が詰まったものになったと思います。
それにやっぱり、体育祭ってすっごく青春っぽいですよねw


ところで、今回の9巻発売記念フェアの各特典。
watamote09tokuten.jpg 
この中では、特にメロンブックスさんのものがいいなということで、
watamote09tokuten_melon.jpg 
これをゲットしたのですが、
実はもうひとつ、今回の特典の中で気になるものがあったんです。

それがこれ。
watamote09tokuten_gamer.jpg 
これ欲しさに、2冊目を購入してしまいましたw

なぜかこれだけ、「体育祭」が題材じゃないんですよ。
他がすべて、「体育祭」なだけにどうしても気になってしまうんです。
この可憐な猫好きの少女(笑)を特典イラストとして描いた意味はなんなんだろうと。

喪85「モテないしポンポンする」にでてくる猫(オス)かなとも思ったのですが、
mo85-12_2.png 
ちょっと違う気がします。
でもあのイラストで、9巻に関係することといったら、この猫しかありませんよね?

というわけで、ひょっとすると、喪85って「体育祭」と同じくらい重要な話なのかもしれないとも思った次第なわけです。
まあ、どう重要なのかはよくわからないんですがw

ただ、この特典イラストに、ほのかな「儚さ」というか「寂しさ」みたいなものを感じたのは確かです。
なんとなく、そこに意味があるような気もしますね。



【余談】吉田さんに関する修正がちょっと気になる
余談になりますが、
今回読んでいて、ちょっと気になるところがありました。
それはweb掲載時と今回の単行本との違い。

単行本にまとまる際に、よりよい作品になるように、修正をすることがよくあります。

漫画家さんによっては、話の内容そのものも変えてしまう人もいますが、
わたモテの場合は、それほど大きな修正はありません。
今回も影を追加したり、「体育祭」でのうっちーのメイクを追加したりするくらいがほとんどです。

まあ、8巻では
mo71-15.png 
喪71のこの「ドラゴンヘッド」のノブオが塗り潰されていたりしましたがw
せいぜい、こういう著作権的に修正を余儀なくされることくらいでしょう。

ただ今回、ふたつほどどうしても気になる修正があったんですね。
それが、
喪79
mo79-10.png 
このシーンと、
喪87
mo87-16.png 
このシーン。

それぞれ、
mo79-10_shusei.png 
mo87-16_shusei.png 
という風に修正されているんです。

喪79のほうはわかりやすいですよね。
そう、「でもマジ賢人すきー」「もー別れろよ」「なー」といった、会話がカットされているんです。

このカットの意図がよくわからないんですよね。
強いていうなら、会話が下世話というか「生々しすぎる」ということくらいでしょうか。
でも、わたモテですよ?著作権的なアレならともかく、この程度の毒でどうのこうのということはないと思うんですよ。

喪87のほうはちょっとわかりずらいかもしれません。
mo87-16_hikaku.png 
右がweb掲載時、左が9巻になります。

そう、吉田さんの表情が変わっているんですよ。
うっちーに挑戦的な笑みを浮かべていた彼女が、なぜか9巻では、憮然とした表情に修正されているんです。

どうでしょう、ふたつとも修正の意図がイマイチよくわからないこともありますが、
どちらも、吉田さんに関わること、というのが気になりませんか?

これは勝手な推測にしか過ぎないのですが、
谷川さんは、吉田さんのパーソナリティを軌道修正しようとしているのではないでしょうか。

喪79の会話は、ちょっと擦れている感じを受けるかもしれません。(個人的には「なー」は無理やり話を合わせている感があって吉田さんらしいなと思いますが)
喪87の表情は、ちょっと性格悪そうに見える、といったところなのでしょうか。(これまた個人的には、凛々しい印象でらしいな、と思うんですけどね)

つまり、吉田さんのキャラをより「ピュア」に見えるよう調整したのかな、とも考えられるわけです。

単行本修正作業をしていた時がちょうど喪92の吉田さん回だったと仮定すると、あながち見当はずれでもないかなと思うのですが、どうでしょう。
いずれにせよ、今後の吉田さんの動向にはますます目が離せません!



さて、恒例の巻末おまけマンガは「体育祭」でのこぼれ話。
ひとつは騎馬戦、もうひとつは本編ではあまり出てこなかった吉田さんのエピソードなんですが、
これがもうサイコーに笑えますwww
特に吉田さんの話については、体育祭での吉田さんの活躍が本編ではほとんど描かれなかったことが、「体育祭」編の唯一の不満といってもいいくらいだったので、これはうれしいおまけでした。

また、作者近況マンガもある意味、「青春」がキーワードになっていて、これまた本編になんとなくリンクしているようにも思えてくるんですよw
これだけでも、単行本を買う意味があると思いますね。

わたモテ史上、もっとも「青春」している9巻は絶賛発売中です。(中表紙がまた“青春”しているので要チェック!)
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No title

更新お疲れ様です

喪79の方の修正
元々これって、実際の会話なのか、もこっちの「どうせDQNはこんな会話してんだろ」って想像なのか、
ちょっと判断がつかないんですよね
普段セリフで使ってるフォントと違うものにしてるし、実際の会話ならそこは手書きにしそうなものだし

個人的にはあそこはもこっちの想像だけど、
ピュアヤンキーキャラが確定した時点で、
誤解されない方向で修正してきたのかなーと思いました

喪87の方の修正は言われるまで気づきませんでしたけど、
自分は掲載時に「なんで吉田さんこの表情?w」と思ってたので、
なんか今回のがしっくりくる気がします

No title

Ooさん、コメントありがとうございます。

なるほど、つまり、あのヤンキー会話は、読者視点(神視点)ではなく、もこっちの主観だったということですか。
正直、まったく考えが及びませんでしたが、そう解釈すると今回の修正は納得できますね。
ていうか、あの表現では、もこっちが想像した“架空”のやりとりだった、ってそんな風には読めませんよ!
もしそうだったとするなら、この修正は至極当然の処置だと思いますw

体育祭のほうは、いろんな見方があるでしょうね。
私は前の不敵な感じのほうが「らしいな」と思ったクチですが、Ooさんのようにとらえる方も多いでしょう。
というか、谷川さんはこっちのほうがいいと思って修正したのでしょうから、私のほうが間違っているんでしょうけどw

いずれにせよ、吉田さんって、谷川さんの中でなかなかキャラが定まらなかったのかな、とは想像できますね。
最初は名前だけが先行していて、修学旅行で急遽登場させたキャラだったこともありますし、
確立していくまでに試行錯誤があったのではないでしょうか。

今回の修正は、そんな吉田さんのキャラの「揺らぎ」を証明するひとつの物証(?)にもなるかなと思います。

No title

更新お疲れ様です
吉田さんと友人のシーンは台詞が説明的な感じがするからカットしたのかと思いました、わざわざ台詞を入れなくてもあそこは吉田さんにも友人がいるというのがわかるので消したのかなと
体育祭のシーンは元々吉田さんは体育祭にヤル気がなかったので笑っているのは不自然だと判断したんじゃないかと思います
何にせよキャラクターの個性を大切にする谷川先生らしい修正だと思いました。
それにしても吉田さんの友人二人ってその後でてきませんが、学校内ではぼっちに見える吉田さんにとって重要そうなキャラにも思えますね
脇役が思わぬ活躍を見せるわたモテですから、この二人が出てくることもあるのかもしれませんね

No title

コメントありがとうございます。

なるほど、あそこは吉田さんの交友関係をもこっちに見せることが重要なわけですから、あれだと、絵面的にうるさく感じるかもしれませんね。
うーん、いろんな解釈があって面白いです。
ヤンキー仲間は確かに気になりますね。あのワンシーンだけですからねw
吉田さんはまだまだ謎が多いキャラなので、確かにかなり気になります。
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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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