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「このミス2016年版」米澤穂信インタビュー感想~米澤ワールドは次のステージへ~

なんかいろいろ、「年内にアップ」と宣言したものがあったにもかかわらず、いつの間にやら今年ももう大晦日。

去年も同じことをつぶやいていたような気がしますが、本当にあっという間でしたね。
今年は特に親との死別や仕事環境の変化など、昨年以上にハードな状況が続いたせいで、
記憶が一部欠落しているというか、すごくあいまいな感覚が残った一年だったような気がします。

で、ようやく時間が空いたと思ったら、今日がもう一年最後ですからね。なかなか現実を受け入れることができませんw

というわけで、「アニメ監獄学園を創った男たち」ヤングマガジンサード編の感想など、いくつか宿題が残ってしまっていますが、
とりあえずは順番として、まずは「このミステリーがすごい!」2016年版から米澤穂信インタビューの感想を綴っていこうと思います。
(後は年明けになりそうです……)



konomys2016_yonepo.jpg 
いやあ、いい笑顔ですね。貫禄がついたというか、ミステリー大家的な風格さえ出てきたような印象を受けます。
(……ちょっと太った?こともあるかもw)

ちなみに去年のインタビュー写真はこれ。
konomys2015_yonepo.jpg 
まだちょっと文学青年っぽさが若干あるように見えるんですよね。
やはりこの一年で、今まで以上に作家としての矜持みたいなものがついたのではないでしょうか。

さて、肝心のインタビューの中身ですが、『王とサーカス』についての話は既出のものもいくつかありました。
まあ、刊行から半年、すでにいろいろなメディアで数多くのインタビューに答えていますからね。どうしても同じことを話すことになるのは仕方ないことでしょう。
それでもいくつか興味深い話がありました。

例えば、それまで短編として発表してきた<ベルーフ>シリーズでは、大刀洗万智の職業について「ルポライター」となっていたらしいんですね。
でも今では「ルポライター」という言葉はあまり使われないので、単行本では使わないようにしたとか。

確かに先日出た「真実の10メートル手前」を読んでみても、大刀洗については「記者」とか「ライター」とか「フリー」とかになっていて、ルポうんぬんという表現は出てきていません。
でも本来は、大刀洗万智の「天職(ベルーフ)」は「ルポライター」と米澤さんは考えていたわけですよね。

この辺はちょっと面白いところで、「ルポ」というと「現場」にいって足で書く、いったイメージがあると思うんですよ。
少なくともかつては、普通のライターよりも「危ない」ニュアンスがあったように思います。

なぜ、「新聞記者」ではなく「ルポライター」でなくてはならなかったのか。
ダヴィンチのインタビューでは「松本清張しかり横山秀夫しかり、素晴らしい書き手がいるので気おくれがあった」と述べていますが、
私はそれ以上に、まず大刀洗万智というキャラクターありきだったと思うんですね。
彼女ならまず「新聞社」に入社して、そこで紆余曲折あっての「ルポライター」なのではないかという、米澤さんなりの大刀洗万智像があっての設定だったような気がするんです。
その辺も踏まえながら王とサーカス』、そして『真実の10メートル手前』を読んでみると、また違った面白さが見えてくるような気がします。

もう一つ面白かったのは、なぜ「ナラヤンヒティ王宮事件」について関心を持ったのかという話。
これがなんと、特にこういう性質だからというわけではなくって、「たまたま」だというんですよ。

で、ここからが重要というか面白いところなんですが、

「事件に対する興味の持ち方としてはやはり浮薄なものであったのだろうなと思います。その浮薄なものに興味を持つということ自体が、小説のテーマになるのではないかと考えていました。」
と米澤さんは自己分析しているわけです。
すごいですよね。自分のそういった浮ついたというか軽薄な部分を冷酷な視点で分析してミステリーにするというのですから。

この小説の中で描かれる浮薄な受け取り手、というのは自分自身でもあります。

自らの薄暗いところさえも創作の糧にする。何かを生み出す人の「業」が深さを垣間見た気がしましたね。

そのほかにも、いつもはタイトル決めに苦労するのに『王とサーカス』はふっと浮かんだ、そういえば『さよなら妖精』もそうだった、とか、

今回のテーマに関して、「私は記者ではないので、本当に現場の記者の方々がこういった意識をもっているのか、あるいはとっくに通り過ぎているような陳腐なテーマではないのか」といった恐怖を感じていた、など、
米澤さんのちょっと意外な面が見えた気がして興味深かったです。


王とサーカス』以外では、自身の作風についての話が印象に残りました。

「最初の十作と、次の十作は少し自分の中で違うなと思うところがあります。『インシテミル』が九作目、『遠まわりする雛』が十作目ですね。その次、『儚い羊たちの祝宴』以降には、少し違いがあると思います。」

ちょっとわかりますよね。具体的にどこがどうとかは難しいですが、ニュアンスとしては理解できます。


で、実は『王とサーカス』で十九作目、この間出た『真実の10メートル手前』が二十作目になるらしいんですよ!

つまり、次の作品で米澤ワールドはサードステージにあがる、というわけです。
いやあ、来年でるという文芸春秋の長編がますます楽しみになりましたね。

なお、その文春の長編とは別に、「悪女」ものを準備中とのこと。
女性の情念なら自分よりも優れた方はいっぱいいると考えている米澤さんが書く「悪女もの」とはいったいどういったものになるのか。興味は尽きませんね!
(少なくとも<小市民>シリーズの小佐内さんや『儚い羊たちの祝宴』のようなものではないでしょう)

また、「私の隠し玉」によると2016年には、<甦り課>シリーズ<シモンズ>シリーズ、そして<古典部>シリーズのどれか一つ、できれば二つ、形にしたいとのことです!
今月と来月の「小説野性時代」に2年ぶりとなる<古典部>最新作が載りましたし、これは期待できそうですよね。


というわけで、今年はこの辺で。
古典部最新作『いまさら翼といわれても』、『真実の10メートル手前』の感想は来年早々にも。


  

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tag : 米澤穂信

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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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