よつばと!13巻購入。~「漫画」の力を信じる強さと切なさ~

今や国民的マンガといってもいい(個人的に累計1000万部を超えたものはそう呼んでもいいと思っています)「よつばと!」13巻の一面広告が、2015年11月27日付の読売新聞朝刊に載っていました。
12巻が2013年3月発売ですから、実に2年8か月ぶりの新刊ですか。
……正直ね、忘れていましたよ。この広告見て、「あ、出るんだ、いつ以来だ?」と、思い出したくらいでしたからねw
あわてて、土曜日に買いに行きましたけど。

しかし、累計1300万部、海外200万部ですか。
日本のみならず、アメリカ、ヨーロッパはもちろん、ロシア、東南アジアと、まさに世界的なコミックですね。(なんでタイだけ反転されているんでしょうかね?)
映像化されていないマンガで、ここまで世界に知られたものって「よつばと!」くらいなものではないでしょうか。
※「よつばと!」がどういうマンガなのか知りたい方は、まずはお試し版をどうぞ。
それにしても「よつばと!」って、なんでここまで人を惹きつけるんでしょうか?
もちろん、私も大好きなマンガなわけですが、正直、「よつばと!」の面白さを他人に説明しろといわれると、うん?と首をかしげてしまうわけですよ。
これだけ売れているわけですから、単なる「萌え」文脈的な要素だけでは説明しきれませんし、かといって、ストーリーや世界観が斬新というわけでもありません。
いくつか、評論家による「よつばと論」も読んだりはしましたが、(賛否ともに)どうにもしっくりこないんですよね。
かといって、自分なりの「よつばと」観があるかというと、これまた微妙なわけで……。
なんというか、「よつばと!」を語ると、自分の「底の浅さ」が露呈しそうで怖いんです。
言い換えれば、「よつばと!」について語るということは、この世界を自分はどう見ているか、ということがばれてしまうそうなので、慎重にならざるを得ないんですね。
さて……
うん、ここはやはり、私と「よつばと!」との出会いから語りましょうか。
私が「よつばと!」を初めて知ったのは割と遅くて、2006年春ごろでした。
(ちなみに私には、1997年の「THE END OF EVANGELION」から、2006年の「涼宮ハルヒの憂鬱」まで、ほとんどマンガ・アニメから遠ざかっていた時期があります)
当時、ちょうどコミックス5巻が出たばかりの頃で、確か、無料お試し小冊子が書店に置いてあったんですよ。で、その抜粋された回が、あの「ダンボー」の話だったわけです。
もう、立ち読みしたその場で5巻を即購入しましたね。
もちろん、いきなりみうらとか出てくるわけですから、キャラの関係性とか全然わからなかったわけですが、そんなことまったく気にならないくらいにはまってしまいました。
なんていうかな、ああ、再びマンガの世界に戻ってこれた、といった喜びとほんのちょっぴりの切なさを感じたんです。
あれからもう約10年。本当に月日の経つのは早いです。
でも、よつばと!の世界はまだあれから3か月くらいしか経っていないんですよね。
今回の13巻もいきなり、キャンプのおみやげがどうのという話から始まっているのですが、12巻のキャンプの話なんて、読んだのは2013年の春ですからねw。
はっきり言って、読んでいて時間の感覚がおかしくなりますよ。
キャンプ行ったのって、お前あれ2年以上前だろ!ってねw
「よつばと!」第1話である「よつばとひっこし」は夏休み一日前、つまり7月20日ごろの話です。
そこから、最新刊の13巻では第90話まで収録されているのですが、季節はまだ“秋”です。
つまり、一話につきほぼ一日ペースなんですよ、時間の流れが。
私たちの世界が10年の時を通り過ぎていく一方で、彼らは二度と戻れないかけがえのない日々を今日も生きているわけです。
よく、「よつばと!」は「日常系」と言われます。

この「いつでも今日がいちばん楽しい日」というキャッチコピーは、
コミックス第一巻の帯にも使われた、「よつばと!」を象徴する名コピーだと思いますが、
本当に一日一日欠かさずに「今日」を描いてきた作品なんですよね。
「日常系」といっても、いわゆる「サザエさん時空」とは違うわけです。
本当に毎日の“日常”という時間の流れをなるべくそのまま、漫画というフォーマットに落とし込もうとしている。
この作品の凄さはそこにあるんじゃないかと思うんです。
だからこそ、現実の写真によつばというキャラを投影したカレンダーや、
一日一枚をめくる、日めくりカレンダーなんていうグッズが、意味を持ってくるんですよ。
“よつば”というキャラはリアルな子供を象徴しているわけではありません。
すごくファンタジーというか、誤解を恐れずにいえば、「嘘くさい」存在です。
そもそも「よつば」って名前がもうファンタジーですよね。
そんな「嘘くさい」子供よつばが、毎日“!”に出会い、世界に知っていく。
それはまるで、この世界を“よつば”という存在で「幸せ」な世界にしてしまおうという、無謀な実験を試みているかのようです。

13巻の帯のキャッチは「そして今日も、日々は続く。」
そう、たとえ私たちが、2年8か月もの時間を待たされても(笑)、
きっとよつばたちの日々は「今日」も続いているのでしょう。
それと、

ダンボーに続いて、今度は「ジュラルミン」リアル化計画だそうです。
こういう、「漫画の世界」と「現実」をミックスしようとすること自体も「よつばと!」という作品の“企み”のように思えてならないんですよ。
なんというか、「漫画」の力を信じている気がするんです。
でも、どんなに漫画と現実を近づけても、しょせん「絵空事」ですよね。
もちろん、あずまきよひこさんもそんなことは百も承知でしょう。
分かっていてあえて、「よつば」の世界を信じようする強さと切なさ。
それこそが、「よつばと!」の魅力なんだと思いますね。
……、なんだか、思うがままに書いていたらよくわからない方向になってしまいましたが、
まあ、実際はそんなに構えることなく、普通に笑って楽しめる作品ですよ!
個人的には、会話や言葉の面白さも注目してほしいですね。
「とーちゃんはすなばのそしつがあるのに」とか大好きですw
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