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前半の“ツケ”(アニメ「ゴールデンタイム」感想の断片 3)

今回は、アニメ「ゴールデンタイム」の感想の“断片”残り第13話から第24話まで。1-6話はこちら、7-12話はこちらになります。
※原作およびアニメのネタバレ全開です。


第13話
なるほど、入院時の回想ふたたびか。そういやリンダのあのセリフはやっていなかったか。ああ新OPは確かに不評なのはわかる。でもけっこう後半の香子の不安定さをうまくイメージしているとは思うけどな。聞きづらいけど。おまけんのノリは声がつくと寒いな……うーんこの辺の“怨霊化”は原作ファンの俺でもあまり擁護できないんだよなあ。呪いってネタにしてはつまらないし、マジなら方向性を見失っていると思うし…やっぱり「自分で自分を呪う」と取られちゃうから寒いギャグにしか見えなくなる。後半は安心して見れるな。エア焼きそばは原作でも好きな話。あ、でもこの後の微妙なすれ違いはこれでは伝わらないや。そもそもバイト事件のことがホントはずっと引きずっているんだけど、12話ですっきり解決!みたいに見せちゃうから……うわ、エンディングが唐突。 しかも曲が合っていないな。なんでこんなアップテンポの明るい曲にしているんだ?

第14話
水着回。うん、エンディングの入り以外は今までで一番いいかも。後半の香子と岡ちゃんの番外編の話もうまくまとめてくれたし。ホント、ラストの入りだけなんであんなにぶった切り感満載なんだろ?

第15話
事故るまでで締めか。この回もわりとゆったり尺をとっていい感じかな。最後の“怨霊”万里のシーンだけはなんか違うな…原作のときは違和感なかったけど、これは突っ込まれても仕方ないか。

第16話
ラーメン親父がすべて持って行った……まあ、ここは原作でも笑ったところだし、ちゃんとやってくれてよかった。万里と香子の口論の意味が理解されていないなあ。ここで万里は初めて香子も“欠けた”存在であるということを認識するんだけど。でもここも万里の心理描写を入れるとぐだぐだになるしアニメ的にはこれしかないんだろうな。12話もそうだけど会話劇がどうしてもアニメ組には伝わっていかない……

第17話
16話の後だと、何も起こらない回って感じだな。屋上のシーンここまでがっつりやる必要あるのか?それより香子の“人間活動再開”の流れを描いたほうがいいと思うんだけど。まあコメディ色を強めたい意図があるのかな。リンダの「ていうかていうか…」がないのが残念。もっと心配して慌てている感じを見せてほしかった。特に「こーこが元気ならそれで万事OK!」というセリフは今考えるとすごく意味深だったんだよなあ。香子もリンダに気を緩めて泣きすがるシーンがあったような。香子とリンダの恋のライバルにもならない微妙な関係を描けてない……というかスタッフもイマイチわかりかねているのかも。ああ、列伝ここで回収するのか。うん、これはいいかも。残されたものの物語をここで見せることで、万里の帰郷がターニングポイントになるのが見えてくるし。列伝の話は“本編”よりも重要だったりするから始末が悪い。しかし、このぶった切りエンディング入りは……。でも曲自体はすごくいい。歌詞なんて完全に香子そのもの。

第18話
あれ、まだ列伝やるか。エクソシストの話いるか?でも同窓会だけだと香子が一切出てこないし、まあありなのか。でももうちょっと、東京と静岡を交互に見せてリンクさせるとか演出を工夫してほしかったな。これじゃあ、前半パートと後半パートがまったく別の話になってしまって、なんか“無理やりくっつけた感”満載だ。ああ、万里がなぜ、橋の写真を撮りたがったのか、そして、そのことが幽霊万里の消滅につながったことが全然理解されていない……ここの言葉足らずは後々大きく響いてくるぞ。そういえば、事故の後、幽霊万里をまったく登場させてないんだよな。“俺は用済みかもしれない。”あの一言だけでも事故直後に言わせておけば…

第19話
福山雅治はなしか。すげえいい話なんだけど、まあ無理か。えええ、鏡割れたこと言っちゃうの?これはまずいよ。最後、静岡に帰ってから知ってしまうのがクライマックスじゃないのか?

第20話
やっぱり岡ちゃんも“キ○”扱いされちゃうか。俺はここで岡ちゃん好きになったんだけどな。あれ、この後香子に話をしたっけ。ああ、確かに回想シーンだけど相談していたな。なんでこのシーンをここまで尺とるんだろ。うん?いろんな人に指輪の件を相談するのか。この辺はオリジナルだよな。うわアイキャッチへの入り方がむちゃくちゃ“フラグ”になってる。ここもオリジナル演出かな。さおちゃんしーちゃんまだ押すか。えええ、逃亡しちゃってエンディング?なんだこれ。

第21話 
これじゃあ、出入り禁止の責任は万里一人としか受け取れないよな…20話で逃げちゃうから…しかも四年の失態も描いていなかったし、あんたは悪くないとか庇っているリンダがバカに見える。岡ちゃんの行動心理は列伝の『AFRICA』読んでないとわからないよなあ。万里の部屋での会話も列伝読んでいないとニュアンスが伝わらない。「香子には言わないでくれ」これが終盤最大のキーワードなんだけど、このセリフはモノローグないと何言っているか理解できるわけがないな。うーん、香子の行動の真意がまったく伝わっていないのが辛いな…

第22話
もはやギャグとかコメントで言われていたけど、この回は割といいと思う。香子の気持ちはこの回でさとってほしいなあ。やっぱエンディングの入りがなあ。あと予告が台無し。

第23話
香子の万里への言い訳をそのまんまの意味で取ってほしくないなあ。この辺の香子の想いがわからない人にはついていけなくても仕方ないか。逆に俺はリンダが最後までわからなかったけど。リンダは最後まで香子と正面から向き合おうとしなかった気がする。万里の自意識の不安定さがどうも描けていないような。隔離しろ、病院いけ、というコメントばかりだもんなあ。このエンディングの入り方はすごいな。作品をちゃかしているようにも見えてしまう……2クール目は演出方針に変更があったのかと思うくらい、EDへの持って行き方にすごく違和感を感じる。

第24話
最後話の“とって付けた感”はほぼ原作側の問題なのでフォローできない。あれパスワード協定やらなかったのにこのエピソードやるんだ。引っ越しの際に見た、て強引だろ。ここは無理して回収しなくても。もっと違った形で2次元君の男気を見せることもできたじゃないかな。まあ、岡ちゃんが訪ねてきたかのようにみせる供述トリック(?)は映像的に使えないから仕方ないな。橋のシーンはやっぱりこういう反応になるよな……でもなんで香子の真意がこれほどまでに視聴者にわかってもらえないのか不思議。リンダの描写はギャグにもなってない。指輪の演出は原作と変えたか。ラーメン親父も最後出してほしかったがカットか。最後は無難に主題歌流してエンド。ああ、やなっさんフラグを確定させるのか、これはリンダファンには非難囂々かも。なんか「これでふたりの邪魔をする障害物はすべてなくなりましたハート」みたいなニュアンスに見えて香子派としても複雑な感じ。まあ、最後はエッフェルでむしろ原作よりきれいにまとめたと言えるかも。


こうして、後半13話~24話を振り返ってみますと、ストーリーの流れ自体はほぼ原作通りなことに気がつきます。むしろ前半よりも忠実だった、といってもいいかもしれません。しかし、かえってそれが視聴者を置いてけぼりにしたような気もします。

つまり、1話~12話で省いてきたこと、もしくはさっと流してしまったことの“ツケ”をそのままにしたまま、13話以降のストーリーを機械的になぞってしまった。そのことが物語の破綻に一役買ったのではないでしょうか。

この場合の“ツケ”というのは具体的には幽霊万里の序盤のカット4話や6話で万里や香子を『モンスター』に見せてしまったこと、そして12話の演出ですね。この3点が特に不満でした。これらが、13話以降の万里の葛藤や香子の想いを意味不明にさせてしまっている気がするんです。たとえば13話での万里のキスをためらうシーン。香子が事故を起こしてしまった本当の理由。この辺も実は12話から引きずっていると思っているので。

後、18話で“幽霊万里”が消えていったことがほとんど伝わっていなかったのも大きいですね。20話以降の万里の“発作”に対して「悪霊いいかげんにしろ」というような反応があったのはびっくりしました。あれは「第三の万里」というのが視聴者にまったく理解されていなかったんですね。

後半の数少ない“改変”が致命的なミスを招いている点も見逃せません。
19話の「割れた鏡の件を香子に謝る」シーン。20話の万里逃亡。この2点だけはやってほしくなかったですね。

後はやっぱり、竹宮ゆゆこ作品の“雄弁”さがそのままアダになっていることです。

こうして改めて“断片”を読み直してみても、『理解されてない』『そのまんまの意味で取ってほしくない』とかそんなジレンマばかりですしね。
前の感想の時にもふれましたが、とにかく“心の揺れ動きの垂れ流し”が基本なので、ちょっとした心理描写をカットしてセリフを要約したりするだけでも登場人物の行動理由が見えなくなってしまう。

要するに情報量が多すぎるんですね、「ゴールデンタイム」という作品は。だからといって、文章のようにすべて説明しようとすると、ものすごく冗長になってしまう。
「ざっくりと言うと」「長い、三行で」
とにかく簡潔さ、わかりやすさが求められる情報過多の時代にはまどろっこしい物語なのかもしれません。

それと、13話から変わったエンディングテーマと妙なテンションの予告も後半の空気をぶち壊している感じがして、すごく違和感をかんじましたね。エンディング曲自体は1クール目よりもむしろ好きなぐらいなんですが、いかんせん、後半の空気に合っていない。これは「香子のキャラソン」であって、アニメのテーマソングにするべきものではなかった気がします。


次回は最後に総括的な雑感みたいなものをまとめてみます。

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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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