エンド・リ・エンド2 感想~『キャラ設定』に逆らえない主人公~
![]() | エンド・リ・エンド (2) 今回のイベントは、すべてキミのせい。 (角川スニーカー文庫) (2014/10/31) 耳目口 司 商品詳細を見る |
「ルーニーが主催するゲームなんて、誰だって絶対にやりたくないわよ」(本文267ページより引用)
うーん、実は主人公もNPCだったというオチじゃないでしょうね?
正直、そんな考えも浮かぶくらいに今回は、主人公「御代田侑」のやっていることにいらいらしました。だって、ルーニーを喜ばすことばかりやっているんですから。はっきりいって、私という読者にとっては全然「エキサイト」な展開ではなかったです。
あらすじはまあ単純です。
恋人フラグ成立で暴走し出す妹の美篶を何とかするため、主人公があれこれ策を練るわけですが、これがあまりに稚拙すぎて、ね。
……どうしよう。初期段階で、八代相手のラッキースケベはどう考えてもまずい。(本文61ページより引用)
……俺はどこで、選択を誤ったのだろう。(本文106ページより引用)
……なぜ、こんな簡単なことにも気付かなかったのだろう。目先の計画に集中しすぎだ、俺もどうかしている。(本文237ページより引用)
……なんだか引用するだけで気が滅入ってしまいますが、今回、こんな感じで主人公がとにかく後悔ばかりしているんですよ。
それも、読んでて馬鹿かお前はと突っ込みたくなるような行動や選択を自信満々でやるくせにこれですから、読んでいてストレスがたまるんですね。
どうも作者が「ゲームとは何か」という命題に引っ張られ過ぎて、どこか本筋を見失っている気がします。
「裏切り者」というのもよくわかりませんでしたし、どこか消化不良な2巻目でした。
まだヒロイン候補も3人残っていますが、どうなんでしょうね。
最後のルーニーの言葉を借りれば「どこかで見たような似たパターン」で「個性の一つもない」なキャラクターはヒロインの器じゃないそうですから、けっきょく「ヒロイン」なんていなくてすべてNPCでした、という身も蓋もない結末もなくはないかもしれません。
そう考えると、当初の設定、ヒロインだけ『キャラ設定』に逆らえるというのが俄然重要になってきますね。
つまり、テンプレでよくあるパターンのキャラでもそれだけではNPCとは限らないわけです。この場合『キャラ設定』というのはルーニーが設定したものなわけですから、ルーニーが意図しないような行動をおこすキャラこそが“人間”になるわけですよね。
でも今回の2巻では、主人公自体がルーニーの設定通りに動いている感じがしてしまって、“人間”ぽくありませんでした。
まずは侑こそが『キャラ設定』に逆らうべきなのではないでしょうか。
1巻の感想はこちら
エンド・リ・エンド1感想 ~エキサイトでしょう?エキサイトですよね☆~
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