「高校生探偵」物をいくつか挙げてみる

満願」でこの度、山本周五郎賞を受賞された米澤穂信
その彼のデビュー作が「氷菓」(<古典部シリーズ>第一作目)という“ライトノベル”であったことはもはや有名な話です。当時、米澤氏は「これからはライトノベル+ミステリが来る!」と意気揚々と応募したらしいのですが、けっきょく“ライトノベル+ミステリ”というコンセプトは思うようにいかず、その後<古典部シリーズ>はライトノベルレーベルではなく一般小説として角川文庫から再出発をすることになります。

そういった経緯が関係あるのかわかりませんが、これだけ「ライトミステリ」が流行っているのに、<古典部シリーズ>のような「高校生探偵」のミステリシリーズって意外とないんですよね。

青春ミステリ」というジャンルはあるにはありますが、単発物ならまだしも、高校生が探偵役として活躍する継続したシリーズ物というのは本当に少ないです。「高校生探偵」という設定にリアリティがないと一般小説では厳しいのかもしれませんが……。
そこで今回は、その数少ない「高校生探偵」物シリーズをいくつかピックアップしてみました。

まずはその<古典部シリーズ>を。
今は角川文庫から5冊出ています。
シリーズ一作目は「氷菓
氷菓 (角川文庫)氷菓 (角川文庫)
(2001/10/31)
米澤 穂信

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続編として「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」「遠回りする雛」「二人の距離の概算

“省エネ”を自称する高校生、折木奉太郎が活躍する元ライトノベルですが、米澤さんの原点とも言えるシリーズですし、やはり読んでいて損はないと思います。
個人的には「氷菓」はそれほど……だったのですが、「愚者のエンドロール」からキャラクターたちが動き始めて面白くなります。

そして、やっぱり同じ米澤穂信作品の<小市民シリーズ>も欠かせません。
こちらは創元推理文庫から4冊出ています。(秋期は上下巻)
シリーズ一作目は「春期限定いちごタルト事件
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
(2004/12/18)
米澤 穂信

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続編として「夏期限定トロピカルパフェ事件」「秋期限定栗きんとん事件 上」「秋期限定栗きんとん事件 下

<古典部シリーズ>を一時中断せざるを得なくなった米澤さんが、「さよなら妖精」で再び復帰した後、デビュー当時に支えてくれたライトノベルファンに感謝の気持ちを込めて始めたというこのシリーズは、“名探偵”であることに悩む高校生・小鳩常悟朗と“狼”であることに悩む小佐内ゆきの互恵関係コンビが「小市民」を目指して行くライト感覚の日常系ミステリです。
春・夏・秋とシリーズを重ねてたびに事件やテーマがより深刻になっていくのがミソで、<古典部シリーズ>のファンに向けたシリーズと銘打ちながら、キャラクターたちの醸し出す空気は古典部よりはるかに重い作品ですね。個人的には米澤さんの最高傑作と思っているシリーズです。特に「夏期限定」の結末は本当に衝撃を受けました。あれより美しいラストシーンはないのではないかと思うくらい大好きですね。ただ、山本周五郎賞を受賞したことで、ますます「冬期限定」が遠のきそうなのが心配です……。

次は似鳥鶏(にたどりけい)氏の<にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ>
(どうでもいいですけど、個人的にはこのシリーズ名はどうもピンときません。「葉山くんシリーズ」もしくは「市立高校シリーズ」のほうがしっくりきます)
創元推理文庫から6冊。(さよならの次にくるは2冊に分冊)
シリーズ一作目は「理由(わけ)あって冬に出る
理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)
(2007/10)
似鳥 鶏

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続編として「さよならの次にくる<卒業式編>」「さよならの次にくる<新学期編>」「まもなく電車が出現します」「いわゆる天使の文化祭」「昨日まで不思議の校舎

頼まれるといやと言えないお人好し高校生、葉山くんが名(?)探偵の伊神先輩や仲間たちと事件を解決して行くコミカル学園ミステリです。といっても、毎回密室トリックや叙述トリックが凝っていて飽きさせない出来になっています。
シリーズ一作目は作者のデビュー作ということもあって、少しこなれていない感じがありますが、シリーズ2作目の「さよならの次にくる」がとにかく名作なので、できれば「さよならの次にくる<新学期編>」までは読んでほしい作品です。正直、私は最後まで読んで泣きましたからね。あと正ヒロインである柳瀬さんの魅力には決して逆らえません。

最後に初野晴(はつのせい)氏の「ハルチカ」シリーズを。
角川文庫から4冊。
シリーズ一作目は「退出ゲーム
退出ゲーム (角川文庫)退出ゲーム (角川文庫)
(2010/07/24)
初野 晴

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続編として初恋ソムリエ」「空想オルガン」「千年ジュリエット

主人公は穂村千夏(ホムラチカ)という女子高生。幼なじみの上条春太(カミジョウハルタ)とのコンビで“ハルチカ”シリーズなわけですが、今回紹介した中で、もっともコメディ色が強い作品といってもいいでしょう。とにかく、出てくる登場人物がほとんどマンガです。「退出ゲーム」の解説でも「うる星やつら」や「究極超人あ~る」といった名前が挙がっているくらいキャラクターの掛け合いが楽しい作品ですが、一方でミステリの構造や真相はこの上なく深刻だったりするなんとも不思議な味わいのあるシリーズです。
正直言って人を選ぶ作風だとは思いますが、はまれば抜けられなくなること請け合い。

他にもまだあるでしょうが、代表的なシリーズ物を挙げてみました。
どれもまだシリーズ継続中ですので、今からリアルタイムで追いかけることも可能なものばかりです。
どの作品もそれぞれ独特の魅力がありますが、まずはシリーズ一作目を試してみてはいかがでしょうか。


それにしても、こういう一般小説のシリーズ物って、読む順番に最初戸惑いますね。

ラノベだったら、シリーズが続くことが前提なので普通にタイトルの後に1、2、とナンバリングが付くじゃないですか。(まあ「涼宮ハルヒ」シリーズみたいな例外もありますが)一般小説のシリーズ物って、タイトル名だけだとほとんど判別できませんよ。
もちろん、文庫の裏表紙あらすじ紹介では“●●シリーズ第○弾!”と最後に書いてあったりはしますが、本屋で背表紙を見ただけではわからないですし、「葉山くんシリーズ」の「まもなく電車が出現します」なんかは“コミカルな学園ミステリ短編集”としかないので、最初何冊目なのかよくわかりませんでしたからね。
シリーズ名にナンバリングだとラノベっぽく見られるのを嫌ってなのかもしれませんが、どうも馴染めません……。

これが金田一耕助シリーズとかどこから読んでも支障がないものならそれでもいいんですが、こういった青春ミステリって巻を重ねるごとに主人公たちが成長していくいわば、ビルドゥングスロマンですからね。最近は一般小説もライトノベルとあまり差がなくなってきているというか、あからさまにライトノベルぽさを売りにしているものも多いのに、変なところでこだわる意味がわかりません。
それとももっと別の理由でもあるんでしょうか?
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tag : 米澤穂信 氷菓 古典部シリーズ 小市民シリーズ 似鳥鶏 葉山くんシリーズ 初野晴 ハルチカシリーズ

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