カバーデザインを変えるということ~市立高校シリーズ『家庭用事件』から~

以前、『「高校生探偵」物をいくつか挙げてみる』というエントリーでも紹介した、似鳥鶏(にたどりけい)の「にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ」
実に3年ぶりになる新作、「家庭用事件」が4月末に発売になっていたので、早速購入してきました。

hayamakun_01.jpg 
あれ?しばらく見ないうちに、なんだか随分イメージが変わったような……

うーん、この違和感はなんでしょうか。
試しにシリーズ一作目を引っ張り出してみましょう。
hayamakun_03.jpg 
なんと“キャラクターデザイン”が一新されているではないですか!

以前は、“toi8”さんがカバーイラストを担当されていたのですが、
今回、既刊も含めて“けーしん”さんに変更されているのです。



あと、なんと、シリーズ名も
hayamakun_06.jpg 
にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ」から

hayamakun_02.jpg 
市立高校シリーズ」に変更されていますw

途中から、シリーズ名が変わるって前代未聞じゃないですかね?
しかも、初期ならともかく、シリーズもすでに6作目を数えるほどの歴史がある中で、ですからねえ。 いったい、何やっているんでしょうw

といっても、シリーズ名に関しては私も以前
どうでもいいですけど、個人的にはこのシリーズ名はどうもピンときません。「葉山くんシリーズ」もしくは「市立高校シリーズ」のほうがしっくりきます
と、書いたくらいでしたから、この変更はむしろ大歓迎なんですけどね。
にしても、対処するの遅すぎだろw

まあ、それはともかく、この期に及んで、突然のカバーイラスト変更は何なんでしょうね。
ちょっとどういう経緯があって、こうなったのかがよくわからないんで何だかモヤモヤします。

確かに、新たに販促キャンペーンを張る際に、
カバーデザインを変えるということは、よくあります。
これは、映画化とかアニメ化というようなメディア展開に限らず、
売りたい出版社の思惑でいろんなパターンがあるでしょう。

例えば、太宰治の「人間失格」の表紙デザインを、
デスノート」などで有名な小畑健氏が担当したこともありましたよね。
あの時も賛否両論あったようですが、結果としてかなりの売れ行きを伸ばしたそうですし、
あの表紙が一つのきっかけになって、文学に目覚めるということもあるわけですから、必ずしも悪いことではないと思うんです。

小説にビジュアルなんて関係ない、大事なのは文章だろ、という意見もあるでしょう。
でも、「ジャケ買い」とか「表紙買い」という言葉もありますが、やっぱり、読んでもらうにはパッケージも重要なんですよ。
いくら中身が大事と言ったって、まず最初に興味を持つのは見た目じゃないですか。(それは人間でも同じですよね)
だから基本的には、途中でのデザイン変更にも反対ではないんです。

でもねー。
それは、ちゃんとした戦略と方向性があってのことなんですよ。
今回のこの突然の絵師変更は、正直、ちょっと意味が分かりませんね。

いえ、“けーしん”さんの絵がどうということではないんですよ。
むしろ、「市立高校」シリーズの世界観に非常にマッチしている、すごくいいキャラデザインだと思っているんです。

そうじゃなくって、ライトノベルやキャラクター重視の「シリーズ」物にとっての“キャラクターデザイン”というものは、
一般的な小説以上に重要なポジションを占めると思うんです。

例えば、「涼宮ハルヒ」シリーズのキャラクターデザインが、“ いとうのいぢ”さんから別の人に変更になったらどう思います?
私は、はっきりいって、それはもう別の作品になってしまうんじゃないかと思うんです。
涼宮ハルヒ」という作品は、谷川流 いとうのいぢとの共同作品といってもいいくらいに、あのキャライメージは欠かせないものなんですよ。
つまり、一般的な「文学」とは違って、ビジュアルイメージも含めてのひとつの作品なんです。

そうはいっても、さすがに、ライトノベル作品においては、途中で絵師が変更になるということはそうはないでしょう。
作者とイラストレータの名前が一緒に表記されているくらい、イラストが商品価値に直結しているわけですからね。
(例外は田中ロミオ氏の「人類は衰退しました」くらいでしょうか……あれも不可解な変更でした)


しかし、別にラノベじゃなくったって、一般エンタメと呼ばれるものにも、
キャラクターイメージが重要なものはあるんですよ。それが、「シリーズ」物なんです。
特に十代の若者を主人公にした青春ものに関しては、巻を重ねていく中で、登場人物も成長していく姿を描いていくわけです。
それは、キャラデザも込みでイメージしつつ、読者も一緒に時を重ねていくものなんですよ。

単発ものならいいんです。
何年後かに表紙を一新して改版しても、その時その時の新たな読者が、そこから作品世界に入っていけばいいだけですから。

でも、途中まで、前の表紙を買っていたシリーズファンはどうすればいいんですか?

hayamakun_05.jpg 
シリーズ5作目の次が

hayamakun_01.jpg 
いきなりこれだ、と言われてもついていけないですよ!
(なお、東京創元社の紹介ページによると、この左の女の子は柳瀬さんではなく葉山君の妹だそうです)

私にとって、「市立高校」正ヒロイン、柳瀬沙織とは、
hayamakun_04.jpg 
これらの表紙にいる、メガネをかけた女の子のことなんです!
いくら作中にメガネをかけている記述が一切なくっても、
「この謎のメガネっ娘は誰だ?」「もしかして、この表紙も含めて叙述トリックなのか?」とファンの間で議論になろうとも、
柳瀬さんはメガネをかけていたはずなんです!(※あくまで個人的な思い込みです)

……まあね。これが、完結している「シリーズ」ならいいんですよ。
あくまで、前のデザインとともに思い出に浸ればいいだけのことです。
で、新しいファンは一新されたデザインのもので揃えていけばいいでしょう。

シリーズ“途中”での変更はやめてくださいよ!
表紙のデザインが途中から変わっているとか、気持ち悪いじゃん!何だか落ち着かないじゃん!!
かといって、すでに5冊も既刊があるのに、今更新しいデザインのものを買いなおすなんてやってられないじゃん!!!


……で、けっきょく、この絵師変更ってどういう理由があるんでしょうね?
まさか、“toi8”さんが描く、この謎のメガネっ娘の存在が問題になっての降板劇ってことはないと思いますが……。


考えてみれば、アニメ化にもなった「ハルチカ」シリーズも、途中で絵師が変わっているんですよね。

今は
haruchika_02.jpg 
こんな感じですが(今はまだアニメカバーが流通しているかもしれませんが)、
かつては
haruchika_01.jpg 
こうだったんですよ。
この、いい意味で野暮ったい表紙が好きだったんだけどなあ。
ていうか、キャラ一人の構図よりも、キャラ同士の関係性を象徴した感じが気に入っていましたね……

思えば、この変更も不可解でした。
アニメ化が決まる随分前でのカバー交代でしたし、メディア展開がらみの販促ではないと思うんですよね。(ていうか、アニメのキャラデザはまったく別物でしたし)
人類は衰退しました」のときも、よくわかりませんでしたが、
大人の事情というか、契約的なことでトラブルでもあったんじゃないかと、変に勘ぐってしまいます。
そういった作品とは関係ないところで痛くもない腹を探られるのは、
作者にとっても出版社にとってもあまりいいことではないと思うんですけどね。

まあ、実際のところは、単純なテコ入れとしてのイラスト交代で、
これらによって、もしかしたら売り上げも上がったのかもしれませんが、
初期のころからシリーズを追いかけていたファンのことも少しは考えてほしい、というのが正直なところです。

せめて、いまだに柳瀬さんを思い浮かべると、あのメガネの女の子が出てきてしまうのを何とかしてください!



シリーズ一作目「理由(わけ)あって冬に出る」(うーん、左の子が柳瀬さんなのか…どうしてもイメージがわかない…)


シリーズ最新作「家庭用事件」(こうしてみると、よく似た兄妹だな…)
スポンサーサイト

tag : 似鳥鶏

line
line

comment

管理者にだけ表示を許可する

始めまして。ワタモテの記事いつも楽しみに拝見しております。
ラノベのイラスト変更というと新城カズマさんのジェスターズギャラクシーシリーズを思います。ジャケ買いなだけにとても残念でした。ただ次のイラストレーターもとても好きな方だったので、結果オーライな感じですが、前の方の作品はこの小説でしか絵が見れないので、諦めきれなくて、絵師本人のサイトで直接理由を尋ねた所、精神的に描けなくなったと言われ、しぶしぶ納得した記憶があります。

No title

yunoさん、コメントありがとうございます。

なるほど、そういう例もあるんですね。

確かにイラストレータさんって酷使されるわりには単価が驚くほど安いという話も聞いたことがありますし、受け手側にも明かせない様々な事情があるのかもしれません。
まあ読んでる方としては簡単に割り切れない思いもありますけどね……

ワタモテの感想もご覧いただいているようでありがとうございます!、ただいま喪95の記事も目下作成中です。
今回はまた、あまりに盛りだくさんの内容でしたので、まとめるのに少々時間がかかりそうですw
更新はおそらく、14日土曜日になってしまうかと思いますが、もしよろしければそちらも読んでいただけるとうれしいです。
line
line

FC2Ad

line
プロフィール
ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

なりそこない

Author:なりそこない
FC2ブログへようこそ!

line
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
カウンター
line
表現規制問題について
line
Amazon人気商品










line
My Favorite商品
line
検索フォーム
line
読んでいます
line
リンク
line
RSSリンクの表示
line
QRコード
QR
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
sub_line