『いまさら翼といわれても・前篇』第一印象~えるを見つける物語~

<古典部シリーズ>最新作、『いまさら翼といわれても・前篇』(「小説野性時代」2016年1月号掲載)の感想を書かなきゃと思いつつも、
気づけば明日にはもう、後篇が載っている「小説野性時代」2月号の発売日。

もう少し早ければ、今回提示された謎を推理・検証して、後篇の内容を予想するなんてこともできたかもしれませんが、後篇が明日にはもう読めるわけですから今更そんなことをしても意味がないような気もします。

やっぱり、ちゃんとした感想は後篇まできちんと読んでから書いた方がいいのではないかと思うわけです。

なので、今回はあまり深く考えずに前篇を読んだときの簡単な印象だけを書き留めておこうと思います。
(今回はネタバレはほとんどないと思うので、単行本派の人も大丈夫かと)


<古典部シリーズ>は今までに5作出ていますが、単行本未収録の短編が「連峰は晴れているか」「鏡には映らない」「長い休日」と3篇たまっています。

おそらく、今回の『いまさら翼といわれても』を加えて、今年中くらいには古典部シリーズ第六作目としてまとまるのでしょうけど、
遠回りする雛」のような連作短編になるのですから、当然全体を通したテーマみたいなものがあると思うんですよね。



で、これまでの3篇が共通するものはなんだろうと考えてみると、まあ普通に「奉太郎の過去」ということになるんですよ。
どれも、奉太郎の意外な一面を知ることによって、ヒロインたち(えるや摩耶花)の見る目が変わる内容になっているわけです。

ところが、今回の話は今のところ、そういった方向の話にはなりそうにありません。
何しろ、「合唱祭」に出るはずだった千反田えるがいなくなった!という「人探しミステリ」なんですから。

そうすると、テーマは別にあるのか?
改めて考えてみたのですが、もうひとつあるとすれば「古典部部員の過去」なのかなという気がしたんです。

つまり、「奉太郎」に限らず、今回でいえば「千反田える」の過去が明らかになって、えるの意外な一面が見えてくる……みたいな。

そう考えると、「いまさら翼といわれても」というタイトルも深読みしたくなりますよね。今回の話は、「千反田える」という人間の本質を追求するものになるんじゃないかと思うんです。

千反田えるは、なんの理由もなくすっぽかすような子ではありません。
きっと失踪には深い理由があるのでしょう。
それが、彼女の家の問題なのか、過去に関係することなのか、今の時点ではわかりませんが、
それが明らかになった時、奉太郎は彼女の意外な一面を知ることになるのではないでしょうか。

あと、奉太郎の推理シーンを久々に読んだ気がしました。
鏡には映らない」は摩耶花が探偵役みたいなものでしたし、「長い休日」も基本回想シーンでしたからね。
そういった意味では「ふたりの距離の概算」以来、久々の奉太郎探偵ものと言えるかも。

えるの失踪という重大問題に対して、他の三人がうまく連携して事にあたっている姿もちょっと新鮮にも感じられましたね。
奉太郎、摩耶花、そして里志。この三人がすごく仲がいいように見えたんですよ。やっぱり「鏡には映らない」以降、古典部の人間関係にも少し変化が生まれてきたのかなと。

それと今回って、千反田えるが「心ここにあらず」という状態で、さらには“失踪”してしまうので、ある意味、えるが見えない話なんですよね。なので後篇は、奉太郎たちがえるを「見つける」話になるのかなあという気もしますね。

まあ、今回はこんな感じで。後篇を読んでからまた改めてアップしたいと思います。

 
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tag : 米澤穂信

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