「王とサーカス」購入。~「さよなら妖精」のヒロイン再び~



第27回山本周五郎賞受賞作満願」から約1年半。
米澤穂信待望の新刊「王とサーカス」が、7月29日に発売となりました。

私は基本、小説は新刊では買わずに文庫落ちを待ってからにしているのですが、
前回の「満願」同様、今回もハードカバーを購入してしまいました。
どうも、こと米澤穂信作品になると意志が弱くなってしまいます。
折れた竜」と「リカーシブル」まではなんとか我慢できたんですが、
今回の「王とサーカス」は無理でしたね。

それというのも、
『さよなら妖精』から十年のときを経て、高校生だった太刀洗万智は、異邦でふたたび大事件に遭遇する。絶賛を浴びた『満願』をも超える、現在最注目の著者の最新最高傑作!(Amazon 商品紹介より)
こんな紹介文があるせいですよ!

『さよなら妖精』から10年? 太刀洗万智が再び?
こんな売り文句があれば、よねぽファンとしては心が動いてしまうに決まっているじゃないですか!

さよなら妖精』。
ファンの中にはこれを米澤穂信最高傑作にあげる人もいるくらいに、数ある米澤作品の中でもひときわ重要視される作品です。


個人的には、『さよなら妖精』が最高傑作とは思いませんし、もっと評価されるべき作品は他にいくらでもあると考えています。
ただ、米澤さんを語る上で、まず最初に挙げられるべき最重要作品であることには、異論はありません。

今や、ミステリランキング(「ミステリが読みたい!」(早川書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)、「このミステリーがすごい!」(宝島社))で「三冠」をとるほどの売れっ子作家になった米澤穂信さんですが、
デビューしてから2、3年は、なかなか売れずに半分休業状態でした。

そんな彼をミステリ作家として世に知らしめた作品がこの『さよなら妖精』だったんですね。

実はこの『さよなら妖精』、本当は<古典部シリーズ>の第三作目として発表されるはずでした。ところが、“ライトノベル”レーベルとしての<古典部シリーズ>にはテーマが重すぎるということで、一旦頓挫してしまいます。つまり、お蔵入り寸前だったんですね。
そんな中、米澤さんの才能を見抜いていた先輩作家や出版社が、いろいろ掛け合ってくれて、全面的に書き直して、改めて一般向けノンシリーズとして2004年に刊行されたわけです。

その後、『さよなら妖精』は「このミステリーがすごい!」で20位にランクインし、米澤穂信の出世作となります。
もし、『さよなら妖精』が世に出なかったら、<古典部シリーズ>復活はおろか、ミステリ作家・米澤穂信は存在しなかったかもしれない。そのくらい、大きなターニングポイントだったんです。

「青春ミステリ」「日常の謎」「個人と世界との関係」。そして何より魅力的なキャラクターたち。
さよなら妖精』には、米澤作品の基本が全てつまっています。ある意味、もっとも米澤穂信らしい作品といっていいでしょう。

私にとっての『さよなら妖精』という作品の魅力は、センドーこと太刀洗万智というキャラクターに尽きます。
特に最後、主人公・守屋に対して感情をあらわにするシーンは何度読んでも胸が熱くなります。
太刀洗のあのセリフのために『さよなら妖精』という作品は生まれたんだと言いたいくらいですね。

米澤さんにとってもこの太刀洗万智というキャラクターには思い入れがあったのでしょう。
自分が20代だからこそ描けた10代の彼女を、30代になった自分が今、その後の彼女をどう描けるのかを知りたくてこの「王とサーカス」を書いたらしいんですね。
(BS11「宮崎美子のすずらん本屋堂」2015年7月24日放送より)

実はこの大人になった太刀洗万智を主人公にした作品は、今までも「ベルーフ」シリーズという連作短編という形であります。
ただ残念ながら、これらはまだ短編として4編しかなく、単行本としてまだまとまっていません。
なので、基本文庫落ち派の私は「ペルーフ」シリーズを未だに読めないでいます。
(シリーズ第3作の「ナイフを失われた思い出の中に」はアンソロジー「蝦蟇倉市事件2」に収録されているらしいですが、未読)

というわけで、私にとって初めての「ルポライター太刀洗万智」作品となる、この「王とサーカス」。そりゃとても3年先の文庫落ちまで待てやしませんよ……。

outocirus01.png outocirus02.png outocirus03.png 

ところで帯を見ると、表、裏、そして背表紙と、すべて本文からの引用が載っているのが印象深いですね。
しかも、「わたしはまだ、なにも知ってはいないのだ。」とか「わたしはわたしが信じてきた価値観にナイフを突きつけられている。」とか、
さよなら妖精』のセンドーのあの自信に満ち溢れていた冷静沈着なイメージを揺るがすような言葉ばかりなのが気になります。

まだ、買ったばかりで1ページも読んでいませんし、感想をあげるのはまだまだ先になりそうですが、
今からセンドーに会えるのが楽しみですね。
(あ、その前に先月文庫が出た「リカーシブル」の感想を先にあげなくちゃ…)

なお、
本書には拙作『さよなら妖精』の登場人物が登場しますが、内容的には連続していません。いわゆる「第二巻」ではないので、『さよなら妖精』をお読み頂いていなくても問題はありません。(本書 作者あとがきより引用)
とのことですので、『さよなら妖精』を読んでいない方でも安心して、本作から入っていけますので興味がある人は是非!
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tag : 米澤穂信

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ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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