「鏡が来た 高橋留美子短編集」感想

lumic1507.png 
高橋留美子のコミックスが三冊同時発売。
30年以上高橋留美子ファンをやっている身としては、半ば義務感から買わざるを得ません。

さて、今回の三冊ですが、
境界のRINNE」26巻はまあ相変わらずです。
それ以外あまり言及することもないくらい、いつものノリの話ばかりですね。
今回は特に桜がツッコミ役しかしていない感じで、これはいくらなんでもヒロインとしていかがなものかと思ったくらいですかw

高橋留美子劇場4 運命の鳥」は、4年前に出たA5版「高橋留美子傑作集 運命の鳥」の廉価版。
A5版も保存用として買っていますが、こちらは普段の鑑賞用としてですね。
紙質も悪いですし版型もB6と小さいですが、その分気軽に読めるので出るたびに買っています。

で、今回のメインはこちら。
鏡が来た 高橋留美子短編集
kagami01.png

帯のコピーには「[境界のRINNE]とも[高橋留美子劇場]とも違う」アナザーサイドオブるーみっくわーるどとあります。
つまり、定期的なものではなく、不定期に発表された短編を集めたものですね。

1980年代90年代あたりの短編は、だいたい「るーみっくわーるど」としてまとまっていますが、
21世紀に入ってからの短編(「高橋留美子劇場」を除く)というのは、意外とまとまっていなかっただけに、
ファンとしてはけっこううれしい作品集なのではないでしょうか。

紙もこちらはいいものを使っていますし、雑誌掲載時のカラーページも再現と、中々お買い得ですね。


収録されているのは以下の6話。
kagami02.png

鏡が来た(ビッグコミックスペリオール 2014年7月25日号)
リベンジドール (ビッグコミック 2013年10月25日号)
星は千の顔 (ビッグコミックスピリッツ 2010年10月18日号)
可愛い花 (ビッグコミック 2003年11月11日号)
with CAT (少年サンデー 1999年10月27日号)
MY SWEET SUNDAY あだち充×高橋留美子 (少年サンデー 2009年4月1日号)


ビッグコミック系とサンデーと混在していて、あまり統一性がない感じではありますが、
その分内容はバラエティに富んでいるとも言えます。

また古いものは1999年、新しいものは2014年と、作品発表時の年代も幅広いのも特徴ですね。


というわけで、一話ずつ簡単な感想などを。

●「鏡が来た」(ビッグコミックスペリオール 2014年7月25日号)

ちょうど一年前にスペリオール誌上で読んでいますが、あの時の感想とほとんど変わりませんね。
高橋留美子は「悪人」が描けない。だから「殺人鬼」を“得体のしれない化け物”とするしかなかったのかなあと。
本当はどんなおぞましい犯罪でもすべて“人間の仕業”なんですけどね。だから余計に恐ろしいわけで。

きっと、昨今の猟奇的な犯罪などを高橋留美子なりに社会的なテーマとして描こうと思ったのでしょう。
鏡を持つものとしての義務とか、18歳以下は殺されても生き返るとか、何かの比ゆ的な設定もありますし、
それなりに現代社会への警鐘として読めなくもないのですが、ちょっとわかりづらいというか。

鏡を持った者の“義務”というのがキモだとは思うんですよ、この話は。
そうでないと、凶悪犯罪はよくわからない化け物の仕業で終わってしまうわけで。
どうせならもう少し深く掘り下げてほしかったなというのが率直な感想ですね。

●「リベンジドール」(ビッグコミック 2013年10月25日号)

“サンジュサマ”という呪いの品を手に入れた漫画家の悲劇(?)。

これは好きですね。こういった人間の醜い感情をコミカルに描かせると本当にうまい。
とにかく、主人公の油田がひどいw

“努力最高!!”から“呪い最高!!”の流れとか、
ひととき、改心したかと思いきや、やっぱり最後の最後までクズのまんまなのに、
なぜか読後感はさわやかとか、まさしくルーミックマジックの真骨頂といえるでしょう!

●星は千の顔 (ビッグコミックスピリッツ 2010年10月18日号)

芸能界を舞台にした陰謀渦巻くミステリー(嘘)。

まあ、何というか中身がないコメディですねw

はっきり言って、ヒロインの星野カナという子の可愛さだけがこの作品唯一の魅力といえるでしょう。
ストーリーは期待しないようにw
あくまでカナという女の子の一人相撲ぶりを堪能するためだけの話です!

●「可愛い花」(ビッグコミック 2003年11月11日号)

高橋留美子らしい佳品。
どちらかというと、「高橋留美子劇場」に近い作品といえます。

テーマはストーカーですが、それほど重くならずにコメディに近いノリでストーリーは進みます。
オチも正直、「なんじゃそりゃw」と言いたくなるようなものなんですが、
一通り笑った後に、ふと「可愛い」とか「好き」とか人の嗜好ってなんだろうと考えてしまう仕組みになっています。

なかなか味わい深くてかなりお気に入りの一遍ですね。

●「with CAT」 (少年サンデー 1999年10月27日号)

今回の収録の中で一番古い作品。

当時、高橋留美子は「犬夜叉」を連載中で、こういったベタベタな“ラブコメ”の王道は久々だっただけに、
随分と「懐かしいな」と感じた記憶があります。

戦国生徒会」「われら顔面仲間」といった80年代前半のギャグ短編を少し髣髴とさせますが、
ノリはなんだか「らんま1/2」なんですよね。主人公とヒロインの意地の張り合いなんかは特に。

ていうか今読むと、この主人公、ほぼらんまだな。

あと、虎千代という猫が冒頭、「ふな~ご」と鳴いているのはびっくりしました。
これが六文のルーツだったんでしょうか。

●MY SWEET SUNDAY あだち充×高橋留美子 (少年サンデー 2009年4月1日号)

少年サンデー創刊50周年記念作品。

サンデー永遠の二枚看板、高橋留美子とあだち充の合作エッセイマンガですね。

あだち充に対する私の愛憎半ばする気持ちは以前も書きましたが、
この作品も高橋留美子主義者として、なんとも複雑な想いを抱きながら読んだことを覚えています。

内容としては子供時代から今の時代までの二人の「マンガ人生」を、
お互いキャッチボールのように振り返っていくというもので、
まあファン以外にはあまり面白くないものかもしれません。
けっきょく、お互いを「褒め合っている」だけのものですしw

ただまあ、とにかく、
あだち充にはお兄さん(あだち勉)、
高橋留美子には池上遼一と小池一夫。

これらの人たちがいたおかげでこの二人は世に出られたのだなあということが、
よくわかる話になっていますw

あと高橋先生は、こういったとぼけたエッセイもうまいんだから、もっと描いて欲しいなあ。


とにかく、最近の単行本未収録作品を集めましたという感じで
それぞれのテイストはバラバラです。

語り手も中学生から落ち目の漫画家までさまざまで、
読者対象がいまひとつ絞れない中途半端さは否めません。

ただ、逆に言えば、それだけいろんな物語を楽しめるわけで、
むしろお得な短編集といえるかもしれません。

個人的には「リベンジドール」と「可愛い花」がお気に入りですね。

  
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tag : 高橋留美子

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