「高校生探偵」物をいくつか挙げてみる

満願」でこの度、山本周五郎賞を受賞された米澤穂信
その彼のデビュー作が「氷菓」(<古典部シリーズ>第一作目)という“ライトノベル”であったことはもはや有名な話です。当時、米澤氏は「これからはライトノベル+ミステリが来る!」と意気揚々と応募したらしいのですが、けっきょく“ライトノベル+ミステリ”というコンセプトは思うようにいかず、その後<古典部シリーズ>はライトノベルレーベルではなく一般小説として角川文庫から再出発をすることになります。

そういった経緯が関係あるのかわかりませんが、これだけ「ライトミステリ」が流行っているのに、<古典部シリーズ>のような「高校生探偵」のミステリシリーズって意外とないんですよね。

青春ミステリ」というジャンルはあるにはありますが、単発物ならまだしも、高校生が探偵役として活躍する継続したシリーズ物というのは本当に少ないです。「高校生探偵」という設定にリアリティがないと一般小説では厳しいのかもしれませんが……。
そこで今回は、その数少ない「高校生探偵」物シリーズをいくつかピックアップしてみました。

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tag : 米澤穂信 氷菓 古典部シリーズ 小市民シリーズ 似鳥鶏 葉山くんシリーズ 初野晴 ハルチカシリーズ

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「満願」感想第4回「万灯」~それは懺悔の光なのか~

第27回山本周五郎賞受賞の話題作満願の感想、4番目は「万灯」です。

一言で言えば「サスペンス」でしょうか。それも犯人視点での「倒叙ミステリ」形式ですね。

つまり、最初に主人公が罪を犯すまでの過程が描かれてた後、今度はその犯罪行為が“裁かれていく”様子を追っていくスタイルです。

そのせいでしょうか、今までの「夜警」「死人宿」「柘榴」のようなおどろおどろしい感じとは違い、単純にストーリーを楽しめる、まるで一本の映画をみているような緊迫感が味わえます。

と言っても、もちろん気分がスカッとするようなものではなく、読み終えた後のモヤモヤ感は強烈ですが……

ざっと、あらすじだけ整理しますと
時は昭和50年代。商社マンとしてバングラディッシュに滞在している主人公が、天然ガスの開発事業の進めるために、ある村を開発拠点にすべく交渉に乗り出す。しかし、村の権力者であるマタボール・アラムはどうしても首を縦に振らない。打つ手なしかと思っていると同じ村の権力者シャハからある提案がなされる……

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tag : 米澤穂信 満願

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「満願」感想第3回~「柘榴」そのグロテスクな美しさ~

この度、山本周五郎賞も受賞、まさに米澤穂信の“今”が詰まっている短編集『満願』。
今まで「夜警」「死人宿」とご紹介してきましたが、3回目の今回は「柘榴」です。

「夜警」が“奇妙な味”、「死人宿」が“ブラックユーモア的御伽噺”なら、「柘榴」は“暗黒ミステリ”ですね。
それこそ、『儚い羊たちの祝宴』の中の一遍に入っていそうな「黒よねぽ」炸裂の作品となっています。
と言っても“ビューティフル・ブラック”とでも言いますか、魅惑的な話でもありましたね。
何しろ、語り部は美しい中学生の娘とその母です。そして語られる話が『鬼子母神伝説』と『ギリシャ神話』とくれば、“嫌な話”というよりは、“ファンタジー”に近いかもしれません。

いえ、語られる動機といいますか、根底にある人間のおぞましさはハンパないんですよ。
きっと最後の一文まで読み終えた後は、全身が震えるような嫌悪感に苛まれること請け合いです。
でも、どこか浮世離れしているというか、童話にでてくるような残酷さなんですね。
だから「夜警」のような“後味の悪さ”は感じないと思います。

(以下、ネタバレを含みます)


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tag : 米澤穂信 満願

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祝「満願」が第27回山本周五郎賞受賞

満願満願
(2014/03/20)
米澤 穂信

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うちのブログでも何度か話題にしてきた、米澤穂信氏の「満願」がこの度、第27回山本周五郎賞を受賞いたしました!
歴代の受賞者を見ましても、実に錚々たる名前ばかりで、この中に米澤さんが入ると思うとファンとしても感慨深いものがあります。いやあ、文庫落ちまで待たずに単行本を買ったかいがありました!

tag : 満願 米澤穂信

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9 (ガガガ文庫)
(2014/04/18)
渡 航

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読了後、まず最初に感じたことは
この作品をリアルタイムで読める、今の十代が心底うらやましい。でした。

いつだったか大槻ケンヂが、「寺山修司に十代で出会うかどうかで人生は大きく変わる」というような趣旨のことを言っていましたが、「俺ガイル」はまさに、私が十代の頃に出会っていたらきっと今とは違う人生を歩んでいた、と思わせる作品です。

書きたいことはいくらでも湧いてはきますが、うまく言語化ができる自信がありません……

「今しかできないこと、ここにしかないものもある。今だよ、比企谷。……今なんだ」
平塚先生のこのセリフには正直、泣きそうになりました。(アラフォーのじじいが情けないと思うでしょうが、若いころは涙なんか出ません。むしろ年を取るにつれ、涙もろくなるもんです)

平塚先生のこの言葉を16、17で読める今の高校生はホント、なんて幸せなんだろうとつくづく思います。
たぶん、今はその幸せを実感できないでしょうけど。まあそのうち気づきますよ。40ぐらいになってからね。
そして、もう二度とあんな甘酸っぱい気持ちを味わえないことに絶望するんです。ええ。

「俺ガイル」についてはそのうち、じっくり書きたいとは思っていますが、読むたびに心がぐちゃぐちゃにされるのでなかなか難しいです。

tag : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

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ドントルックバックの意味~アニメ「ゴールデンタイム」感想の断片まとめ~

今まで3回に渡って、アニメ「ゴールデンタイム」について語ってきましたが、
最後に、個人的な考えをまとめていこうと思います。
なおこれは、一般的な『アニメ作品』としての評価ではありません。あくまで『ゴールデンタイム』としてどうなのかを原作ファン側から観た評価だと考えていただけると幸いです。

※1-6話はこちら、7-12話はこちら、13話-24話はこちら

■なぜアニメは不評だったのか。

その1
多田万里と加賀香子のキャラクターが受け入れられなかった。

その2
『記憶喪失』もしくは『幽霊万里』の設定が視聴者を混乱させた。

ニコニコ動画のコメントやネットでの感想を見てみた限り、
原作未読のアニメ視聴者からの不評はこの2点にほぼ集約されるように思いました。

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tag : ゴールデンタイム 竹宮ゆゆこ

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前半の“ツケ”(アニメ「ゴールデンタイム」感想の断片 3)

今回は、アニメ「ゴールデンタイム」の感想の“断片”残り第13話から第24話まで。1-6話はこちら、7-12話はこちらになります。
※原作およびアニメのネタバレ全開です。


第13話
なるほど、入院時の回想ふたたびか。そういやリンダのあのセリフはやっていなかったか。ああ新OPは確かに不評なのはわかる。でもけっこう後半の香子の不安定さをうまくイメージしているとは思うけどな。聞きづらいけど。おまけんのノリは声がつくと寒いな……うーんこの辺の“怨霊化”は原作ファンの俺でもあまり擁護できないんだよなあ。呪いってネタにしてはつまらないし、マジなら方向性を見失っていると思うし…やっぱり「自分で自分を呪う」と取られちゃうから寒いギャグにしか見えなくなる。後半は安心して見れるな。エア焼きそばは原作でも好きな話。あ、でもこの後の微妙なすれ違いはこれでは伝わらないや。そもそもバイト事件のことがホントはずっと引きずっているんだけど、12話ですっきり解決!みたいに見せちゃうから……うわ、エンディングが唐突。 しかも曲が合っていないな。なんでこんなアップテンポの明るい曲にしているんだ?

第14話
水着回。うん、エンディングの入り以外は今までで一番いいかも。後半の香子と岡ちゃんの番外編の話もうまくまとめてくれたし。ホント、ラストの入りだけなんであんなにぶった切り感満載なんだろ?

第15話
事故るまでで締めか。この回もわりとゆったり尺をとっていい感じかな。最後の“怨霊”万里のシーンだけはなんか違うな…原作のときは違和感なかったけど、これは突っ込まれても仕方ないか。

第16話
ラーメン親父がすべて持って行った……まあ、ここは原作でも笑ったところだし、ちゃんとやってくれてよかった。万里と香子の口論の意味が理解されていないなあ。ここで万里は初めて香子も“欠けた”存在であるということを認識するんだけど。でもここも万里の心理描写を入れるとぐだぐだになるしアニメ的にはこれしかないんだろうな。12話もそうだけど会話劇がどうしてもアニメ組には伝わっていかない……

第17話
16話の後だと、何も起こらない回って感じだな。屋上のシーンここまでがっつりやる必要あるのか?それより香子の“人間活動再開”の流れを描いたほうがいいと思うんだけど。まあコメディ色を強めたい意図があるのかな。リンダの「ていうかていうか…」がないのが残念。もっと心配して慌てている感じを見せてほしかった。特に「こーこが元気ならそれで万事OK!」というセリフは今考えるとすごく意味深だったんだよなあ。香子もリンダに気を緩めて泣きすがるシーンがあったような。香子とリンダの恋のライバルにもならない微妙な関係を描けてない……というかスタッフもイマイチわかりかねているのかも。ああ、列伝ここで回収するのか。うん、これはいいかも。残されたものの物語をここで見せることで、万里の帰郷がターニングポイントになるのが見えてくるし。列伝の話は“本編”よりも重要だったりするから始末が悪い。しかし、このぶった切りエンディング入りは……。でも曲自体はすごくいい。歌詞なんて完全に香子そのもの。

第18話
あれ、まだ列伝やるか。エクソシストの話いるか?でも同窓会だけだと香子が一切出てこないし、まあありなのか。でももうちょっと、東京と静岡を交互に見せてリンクさせるとか演出を工夫してほしかったな。これじゃあ、前半パートと後半パートがまったく別の話になってしまって、なんか“無理やりくっつけた感”満載だ。ああ、万里がなぜ、橋の写真を撮りたがったのか、そして、そのことが幽霊万里の消滅につながったことが全然理解されていない……ここの言葉足らずは後々大きく響いてくるぞ。そういえば、事故の後、幽霊万里をまったく登場させてないんだよな。“俺は用済みかもしれない。”あの一言だけでも事故直後に言わせておけば…

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tag : ゴールデンタイム 竹宮ゆゆこ

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5/8購入。

本日購入したコミックたち。

実は私は 6 (少年チャンピオン・コミックス)実は私は 6 (少年チャンピオン・コミックス)
(2014/05/08)
増田 英二

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透明人間の作り方 (少年チャンピオン・コミックス)透明人間の作り方 (少年チャンピオン・コミックス)
(2014/05/08)
増田 英二

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白暮のクロニクル 2 (ビッグコミックス)白暮のクロニクル 2 (ビッグコミックス)
(2014/04/30)
ゆうき まさみ

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実は私は」は一部で“平成のうる星やつら”と呼ばれていたので、試しに読んだら納得。それ以来はまってます。ゆうきまさみはまあ「あ~る」世代だし。

tag : 実は私は 増田英二 ゆうきまさみ

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主観と客観~ラノベとアニメの断絶~(アニメ「ゴールデンタイム」感想の断片 2)

今回も前回の続きで、アニメ「ゴールデンタイム」の感想の“断片”を 綴っていこうと思います。
今回は第7話から第12話まで。ここまでで1クール分終了ですね。
※原作およびアニメのネタバレ全開です。


第7話
なるほど警察署内で一応、香子の気持ちの説明はやってくれるのか。よかった。でも岡ちゃんへの複雑な思いはこれまで全然フォローできていなかったし、この言い訳でどれだけわかってもらえるのか……なんで香子の母親を出さないのか。そういえば、ここのくだりって原作だと“幽霊万里”目線の語りだったよな…香子にドン引きして「こいつとんでもない女とつき合う事になったぞ」と今万里に語りかけていたっけ。幽霊万里が香子をどう見ているかってけっこう重要な描写だと思うんだけど。ああ、リンダからの逃走をギャグにしちゃうのか…これはいやだな。単に気まずいというだけじゃないんだよ、これじゃあリンダの存在自体が自分の存在を否定してきているかのように思えてしまう恐怖が伝わらないな。ていうか、ここでこそ、“幽霊万里”を見せるべきだろ。
リンダから逃げている万里をもどかしく見ているしかない切ない姿を描いてくれないと……それを見せないから“悪霊”扱いされちゃうんだよ。「みつおがピンチ」えええ、ここで切るの?

第8話
あれこの回想シーンはいつだっけ。「十日間事件」。ああ原作だと4巻か。あれをここに挿入するのか。なるほど遊園地、やっぱり「飲み会」はNGなのね。6話でもそうだったけど、こうしてみると呑みシーンてけっこう重要だったんだな、アルコールがないとこんなに会話も行動も不自然に感じるんだ…顔麺は無理があるだろう…えええ、ここでリンダにその答えを聞いちゃうの!?ああそれで冒頭に「十日間事件」か…ここでNOの答えを言わせてしまうのは正直、改悪だなあ……つーか普通に考えてリンダがここでYESというわけがないことに頭が回らない万里がすごくバカに見える。あれ、そもそもこの時点では万里って告白のために橋で待ち合わせしていたって知らなかったよな?

第9話
3巻まで消化。リンダの「香子ちゃんを見つけてあげて」はオリジナルか。うん、これはいい改変かも。ああ入れ替わりがどうしても唐突に見えちゃうな。前回の「寝おち」もそうだけど、文章だと自然な流れなんだけど。なんでだろ。やっぱり幽霊万里の感情の“変化”を描けていない気がする。

第10話
だから前回で思わせぶりな引きをするから……すぐに戻ると拍子抜けの感じになるじゃん。香子のスリッパがきっかけで戻ったんだけどあんまり伝わっていないような。感情だけがインストールされた“気持ち悪さ”は文章じゃないと伝わらないのかなあ。この辺の万里の心理描写はすごく好きだったんだけど…単なる都合のいい設定と思われるのは原作ファンとしてはやだな。エンディングはまあこんな感じか。でも本当は万里の心の中、もっとぐちゃぐちゃなんだけどね。アニメ的にはきれいに終わっているのが逆に不穏な空気を醸し出しているのかな。

第11話
割と原作通りの話かな。さおちゃんしーちゃんはオリジナルか。エンディングへの引きもいいし、いままでで一番安心して見れたかも。ただ、「それって最低かもな」は幽霊万里のモノローグに意味があると思うけど。ていうかやっぱり、幽霊万里の存在の描き方に迷っている感があるな。

第12話
なんかまじで最終回ぽいな。これじゃ1クールでいいだろと言われるわな。でも4巻終盤を割と尺多めにとってくれたのはよかった。ただ、部屋での会話の流れがこれほど伝わらないとは…あそこで別れるべきなんて発想は自分にはまったくなかったので、逆にびっくり。というか原作のニュアンスだと「めでたしめでたし」じゃないんだよなあのシーンは。いろいろ偽ってごまかして嘘を重ねての“仲直り”なんだけど全然そういう風に描けていないなあ。エヴァ風に言えば「偽りの、再生」なんだけどねw 最後のリンダのシーンもこれじゃあ…まるですべて解決、みたいじゃないか。せめて“血まみれの万里の亡霊”でも見せるべきだったと思う。そうでないと本当にこれは全12話でいいことになる。ここから13話以降繋げると“引き延ばし”に見えちゃうよな。実際、このあとなにやるの?というコメントもあったし。

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tag : ゴールデンタイム 竹宮ゆゆこ

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ゴールデンウィークにゴールデンタイム~アニメ「ゴールデンタイム」感想1~

ゴールデンウィークはニコニコ動画でタイムシフト予約をしていた、
アニメ「ゴールデンタイム」一挙放送を見ていました。
(全24話約10時間!さすがに年寄りにはきつかった……)

というわけで、今回はちょっと趣向を変えてアニメ感想を書いてみようかと思います。
といってもお勧めのアニメを紹介する趣旨ではありません。
ラノベ原作アニメをラノベ読みがどう思ったかをだらだら垂れ流していくスタイルです。
よって原作およびアニメのネタバレ全開ですので、ご注意ください。


はじめに断わっておきますが、筆者は原作者である竹宮ゆゆこ先生のファンです。
その中でも「ゴールデンタイム」が一番お気に入りの作品という珍しい(?)ゆゆこファンです。
したがって、これから書くことは一般的な意見とは異なる可能性があります。

後、筆者は基本的にあまりアニメを見ませんし、アニメ作品を語る素養も知識もほとんどない人間です。
作画がどうとか声優がどうとかは語れませんし、構成や演出もよくわかりません。
アニメファンから見ると頓珍漢なことを言っているかもしれませんが、
あくまで“なりそこない”個人の主観的な見方をうそ偽りなく綴っていく、というのがここのコンセプトですので、どうぞご理解のほどをよろしくお願いいたします。

さて、まず視聴し終わった後の率直な感想ですが、「意外と原作に沿った流れだったな」でした。
ネット巷ではけっこう不評でしたので、原作ファンとしては意味不明なオリジナル展開とか覚悟していたのですが、
思ったよりは原作通りのアニメ化だったとは思います。

ただ、「まあ、アニメが不評だったのも仕方ないかな」とも感じました。
原作で筆者が味わった面白さをアニメ視聴中、あまり感じ取れなかったのも事実です。
ストーリー自体はほぼ原作になぞっているのに
なぜ、原作ファンである筆者にもアニメを通じて原作の良さが伝わらなかったのか、今だに整理できていません。
なのでまずは、各話ごとに見ている最中、感じた感想の“断片”をつらつらと挙げていこうかと思います。
ラノベ原作アニメに対して原作ファンが感じたことのひとつのサンプルとしてご参考にしていただけると幸いです。

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tag : 竹宮ゆゆこ ゴールデンタイム

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「死人宿」感想~意外とエンターテイメントしています~

満願」2番目「死人宿」読了。

うん、こちらはそれほど嫌な話ではありませんでしたね。
タイトルからどれだけ後味悪い話なんだろうか、とけっこう身構えつつ活字を追っていきましたが、
これはわりと読みやすいというか、ブラックユーモア的な落ちも含めてエンターテイメントとして良作だと思います。

話は割とシンプルです。
失踪したかつての恋人を追いかけて「死人宿」と呼ばれる宿にたどり着いた主人公が
宿の仲居となっていた元恋人から3人いる宿泊客のうち、誰が自殺するのか推理を頼まれるという、
夜警」よりは本格ミステリ的な要素が強い一遍になっています。

遺書の文面から推理を進めていく感じなど、「遠回りする雛」の「心当たりのあるものは」をちょっと髣髴させますし、
「合理性」を重視してたどり着いた推理の結論が必ずしも正しいとは限らないのではないか、
という自問自答も「愚者のエンドロール」を意識させます。うーん、やっぱり同じ米澤作品と思わせますね。

落ちの黒さはどちらかというと「ボトルネック」に近いかもしれません。
意外なほど、明るく読めたというかブラックユーモアの域だと個人的には感じました。
(というかラストの一行はちょっと笑ってしまったぐらい)

これを読むと古典部シリーズも一般文芸ものもそれほど大きく離れてはないのではないかと再認識させられました。
米澤 穂信といえば「氷菓」しか知らない方もお勧めです!
満願満願
(2014/03/20)
米澤 穂信

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tag : 米澤穂信 満願

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保身の先にあるものは~「満願」と「氷菓」をつなぐ怖さ~

昨日購入した「満願」ですが、
とりあえず、冒頭1つ目「夜警」を読み終えました。(「満願」は6編のミステリによる短編集です)

いや~、嫌な話でした。
よく、ダーク色の強い米澤穂信作品を「黒よねぽ」と呼んだりしますが、
たしかに「満願」は濃縮された「黒よねぽ」ですね。

もっとも個人的には世間で言われるほど米澤さんの作品を暗黒小説とは思いませんけど。
文庫化された作品はほとんど読んできましたが、
私が読み終えた後、本当にしばらく気分が落ち込んだのは「犬はどこだ」だけですし。
読む前にウツになるから覚悟しておけと言われていた、「さよなら妖精」も「ボトルネック」も
意外なほど真っ当な青春小説でしたし、あまり『米澤穂信作品は鬱だ、救いがない』と思わるのは正直歯がゆいというか、
『そうじゃないのになあ』と言いたくなります。

ただ、どんな作品でも『人間の暗い部分』をテーマにしていることは間違いないです。
まあ“ミステリ”というジャンル自体そういうものだと思いますが、
今回の「満願」は「黒よねぽ」度99%で、そういった意味で米澤作品の中でも異色な作品なのかもしれません。

さて、一方「氷菓」という作品は、アニメの印象もあって「白よねぽ」の代表作とされています。
もともとがかつて角川が出していたライトノベルレーベルからのデビュー作ということもあって、
米澤作品唯一の“ラノベ”的な文脈でも語られることが多い作品です。
(でもだからといって“ラノベ”的なノリを期待しているととんだしっぺ返しに会うんですけどね…)

で、今回「満願」冒頭の「夜警」を読んでいてなぜか、
氷菓 6 (角川コミックス)』の「持つべきものは」という一遍を思い浮かべたんですね。

かたや文芸雑誌に掲載された犯罪心理をテーマにしたミステリ、かたや青春ものアニメのコミカライズ作品。
一見するとまったく違うジャンルですよね。
が、そこはおなじ米澤ワールド、通じるものがあるように思えるのです。

というわけで、今回はミステリ短編集とコミカライズというふたつの米澤作品に横たわる「怖さ」を語ろうかと思います。

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tag : 米澤穂信 氷菓 満願

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けっきょく……

悩みはしましたが……


買ってしまいました……

ソフトカバーの単行本ならまだしも、
ハードカバーを買ったなんて何年ぶりだろう。

まあ読み終えたら感想を書くつもりです。
(しかし「期待の若手」って……)

満願満願
(2014/03/20)
米澤 穂信

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tag : 米澤穂信 満願

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私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!「喪59」

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)
(2012/01/21)
谷川 ニコ

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今、マンガの中で個人的にもっとも好きな作品です。
本日5月1日には「喪59」が更新されましたね。

コミックスは2014年5月現在、6巻まで発売されています。
連載当初はいわゆる「ぼっちあるある」を題材とした日常系ギャグといった感じで
「喪女」ならばの痛さや切なさを面白がる作風でした。

ところが、4巻あたりからでしょうか、
痛々しいあるあるネタから、
もこっち”を中心とした人間関係を描いた学園コメディに徐々にシフトし始めているようです。

今回の「喪59」も冒頭こそ「ぼっちあるある」というか
隣の席の「友だちいますアピール」がうぜえというネタを使ってはいますが
全体的には“もこっち”という特異なキャラクター性にたよった笑いになっています。

つまりぼっちならだれでもわかるよね、的な普遍的あるあるネタというよりかは
キャラクターギャグ(キャラの特性に基づいたそのマンガ特有のギャグ)になってきているわけです。

これについて、一部から
「ネタ切れか」「以前のような面白さがなくなった」という声もあるようです。

「ネタ切れ」はその通りでしょう。
そもそも単行本のあとがきやツイッターのつぶやきでも原作者自ら
「2巻で打ち切られる予定だった」「4巻までいくとは思っていなかったのでもうネタないわ」
など自虐(?)ネタにしているくらいですから。
(※微妙に言い回しは違うかもしれませんがその辺はご容赦くださいね)

ただ、個人的には今が一番このマンガの“旬”だと思っています。

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tag : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

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ほろびゆくじじいの方針

1. その時の旬、メジャーマイナーなどに関係なく、
なりそこないじじい内でその時突き刺さっているものを取り扱うこと。

2. 悪口・誹謗中傷のたぐいは書かないこと。
ただ単に気にくわないもの、嫌いなだけのものはとりあげないこと。

3. 書かれている感想・評価はなりそこない個人の主観であって、
それを他者には決して押し付けないこと。

4. 自分の気持ちに嘘をつかないこと。拙くてもなるべく素直な思いを綴ること。

5. ネタバレはなるべく避けるが、深く書き出すとたぶんそれは無理なのでその点は臨機応変に適当にやること。
あまりに核心に触れるような部分は前もって「↓ここからネタバレ」など配慮するよう心がけること。

6. 一度エントリーした記事は原則、予告なしに消したりしないこと。
ただし、明らかな事実誤認や名誉毀損の記述があった場合は、速やかに削除・訂正した後、適切な措置を行うこと。

以上、ぬるく切なくだらしなく。滅びゆくその日までだらだら続けていくつもりです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

※リンクはフリーです。事前・事後承認も必要はありません。
※この方針は予告なしに追加、修正される場合があります。




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プロフィール
ぬるく切なくだらしなく。 オタクにも一般人にもなれなかった、昭和40年代生まれの「なりそこない」がライトノベルや漫画を主観丸出しで書きなぐるところです。 滅びゆくじじいの滅びゆく日々。 ブログポリシーはこちら

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